誓って食い逃げはしません   作:タカリ

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よう実アニメの1~3期では原作で各クラス40人いたクラスメイトが25人に減らされている。
そしてアニメ4期から原作通りの40人クラスになっている。


判断力C(普通)

 1年D組。男女20人ずつ、合計40人。

 そのはずだが、なぜか俺の目には25人しか見えないな……。まあたぶん気のせいだろう。データ上はしっかりと40人になっている。

 

 俺の席は最後列の真ん中。左隣は黒髪の堀北さん、右隣にはピンクの二つ結びの佐倉さんが座っている。二人とも美少女なので隣の席になれたのは嬉しいが、先日の自己紹介のせいで堀北さんには無視されているし、佐倉さんには怯えられているので悲しい。

 他の生徒たちの座席も表にするとこんな感じだ。

 

←窓       【黒板】        廊下→

 

宮本   篠原   井の頭  森  幸村

平田   軽井沢  小野寺  櫛田  本堂

外村   松下   高円寺  長谷部  山内

三宅   王    沖谷   佐藤  池

綾小路  堀北  【俺】  佐倉  須藤

 

 やはり25人しかいない気がする。だが、やはりデータ上は1クラス40人、4クラスで160人なのは間違いないので俺の気のせいだろう。気にしてはいけない。

 

 □

 

「なあ、総理は10万ポイントなにに使った? 俺はこれ買っちゃった!」

「俺も池と一緒に買ったんだよ! 総理も買って一緒に遊ぼうぜ!」

 

 池と山内が買ったばかりの携帯ゲーム機を見せびらかしてくる。友達と協力プレイでモンスターをハンティングできる大ヒットゲームだ。

 だが、残念ながら俺は貯金一択。こんな高いゲームを買うつもりはない。

 

「10万ポイントは女の子とのデート代に使うつもりだからほとんど使ってないぞ」

 

 この学園、10万円分のポイントを毎月配ってくれるらしいけど、食堂やコンビニ、スーパーには無料の定食や無料の商品が置いてある。

 お陰で食事や生活必需品にお金を使わずにすむので貯金が捗る。女の子とカフェや映画館に行ったり、デート用の服や小物を買おうとしたら金はいくらあっても足りないからな。

 普段から無駄遣いせず節約することが重要だ。

 

「デート! お前、まさか彼女ができたのかよ!?」

「いや、まだだけど」

「なんだよ、びっくりさせるなよ。抜け駆けされたかと思ったぜ」

 

 池。お前とは何も約束していないんだから、抜け駆けも何もないだろ……。

 どうも妙な仲間意識を持たれているみたいだが、気安く話しかけてくるから会話が続くんだよなぁ。

 

 ふと窓側に目を向けると、たしか綾小路という名前の男子がなんだか寂しそうな目でこっちを見ていた。話に混ざりたいなら混ざればいいのに。人見知りなのか?

 

 □

 

 入学してから一週間、今日はプールの授業がある。

 

「なあ、総理! 今おっぱいランキング作ってるんだけどさ! お前は誰が一番巨乳だと思う?」

 

 教室に入るとさっそく池たちに話しかけられて『おっぱいランキング』はどうのと言われた。

 お前ら、本気で彼女作る気あるのか……?

 しかも綾小路まで混ざっているし。こんな馬鹿な話に付き合わされて可哀そうに……いや、もしかして意外とこういう話が好きだったりするんだろうか?

 

「ムッツリスケベのムツノ小路……」

「ムツノ小路!? 俺のことか!?」

 

 あ、すまん。つい口から洩れていた。

 

「ごほん。池、山内、綾小路。女子たちがお前らのこと気持ち悪がってるからやめた方がいいぞ」

「ええ、なんで!?」

「ど、どうしてだよ! 俺ら何もしてないだろ?」

「なんでもどうしてもねーよ。普通にキモイよ」

 

 お前らの会話、女子に丸聞こえだったと思うぞ。俺の言葉に頷いている子とかいるし。

 池たちの相手していると高校選び間違えたかなぁ……という気分になってくる。本当にここはあの高度育成高等学校なんだろうか……。

 

 □

 

 その後のプールの授業で、先生がレースの一位には賞金を出すと言うから本気で泳いだんだが、残念ながら高円寺と須藤に負けてしまった。

 これでも運動は得意だし水泳にもかなり自信があったんだが、まさかのクラス3位。

 やっぱりさすがは高育だ。池や山内と違って優秀な生徒も多い。須藤もただのヤンキーかと思ったらスポーツ万能だし、平田も俺のタイムとほとんど差がない。地元の中学とは全然レベルが違った。

 

 それと女子たちのレベルもすごく高い。櫛田さんや堀北さんの水着姿はとても良かった。他の女子もみんな可愛いし、この学校は顔の良さで入学する生徒を選んでいるんじゃないかと思ってしまうほどだ。

 え? 西村竜子? 東咲菜? どこかで聞いたことがあるような気がしたけど俺の記憶にはなにもないな。

 

 □

 

 放課後、池たちに一緒に遊ぼうと誘われたが金がかかるので断った。ゲーセンなんか行ったらあっという間に金が溶ける。あいつら本当に一か月で10万ポイント使い切りそうだな。

 

 金もないし、ジャージに着替えて校内をランニングすることにした。今日の水泳の授業で須藤や高円寺に負けたのが悔しかったし、運動部の連中に負けないように体を鍛えることにする。

 部活紹介会も見に行ったけどあまり興味がそそるような部活がなかったんだよな。

 

 ん? 前の方に可愛い女の子二人がいるけど、なんか険悪な雰囲気だな。

 

「君たち、なにかあったの? ――え、缶ビール?」

 

 女の子二人が向き合っていたんだが、なぜか片方の手に缶ビールが握られていた。

 酒やタバコは生徒は買えないと思ったんだが、なんで持っているんだ?

 というか校内の店舗に酒もタバコも置くなよ。一応高校の敷地内だぞ。

 

「……私が盗んだのよ。さっさと学校に突き出せばいいじゃない」

「えっ」

 

 盗んだって万引きか? なんでそんなことを……。

 

「これは私が処分しておきましょう」

 

 もう一人の少女、杖を突いた銀髪の小柄な少女が缶ビールを受け取ると自分の鞄に仕舞ってしまった。

 

「あんたたちが連絡しないなら私からする!」

「ちょっと待って! 落ち着いて!」

 

 万引き少女がスカートのポケットから携帯端末を取り出したのを止めた。どう見ても自暴自棄になっているようにしか見えない。

 

「学校に連絡したらおそらく退学でしょうねえ」

「なによ! 退学なんか怖くないよ! そんなこと言うならあんたがさっさと連絡すればいいじゃない!」

「二人とも落ち着いて!!」

 

 銀髪の少女は慌てることもなく、楽しそうにこっちを見て煽ってくるし。そういうことはやめなさい!!

 

 □

 

「では神室真澄さんには私の最初のお友達になってもらますね」

「……わかったわよ」

 

 二人をなんとか説得して俺の部屋に場所を移した後、話し合いで事態を解決した。

 万引き少女・神室さんの犯行を俺と銀髪少女・坂柳さんが黙っている代わりに、神室さんが坂柳さんのお友達になる、ということで合意したんだ。

 ……解決したのかなぁ?

 これって犯罪を見逃してやる代わりに奴隷になれって言ってるようなものじゃない? 大丈夫?

 

「俺は万引き被害に遭った店舗の方も気になるんだけど」

「そちらも私が手を回しておきましょう。私の父はこの学園の理事長なので任せてください」

「それって職権乱用じゃないのか?」

「力があるのに使わないのはただの愚か者ですよ、晴柀くん」

「でも無暗に力を使わずにすむようにするのが頭のいい人なんじゃないかな」

「ふふ、それはそうかもしれませんね」

 

 坂柳さん、さらっと父親が理事長だって暴露したし、後ろ盾アピールがエグイ。神室さんなんかさっきまでの威勢を失って青い顔しているぞ。

 

「……まあ。この紅茶、美味しいですね」

「ああ、淹れ方にコツがあるんだよ。市販の茶葉でも正しい淹れ方をしたら全然違うからね」

 

 坂柳さんに出した紅茶の味で褒められた。

 あまりポイントを使わないように節約生活を送っているが、いつ来客が来てもいいように紅茶やコーヒー、ココアなんかはちゃんと常備しておいた。

 今まで部屋に招いた友人はいなかったけど、こうして役に立っているんだから準備しておいて良かった。

 

「本当に美味しい……」

「ありがとう、神室さん」

「……あんたは、私に何か要求したりしないの?」

「え?」

 

 神室さんが警戒した様子で俺に尋ねる。

 うーん、神室さんに要求することか。

 

「おやおや」

 

 横で紅茶を傾けながら楽しそうに観戦している坂柳さんがいなかったら……。

 

「私にお構いなく。一人で紅茶を楽しんでいますから」

 

 にっこり笑顔で言われても欠片も信じられない。

 だが、俺は神室さんの隣に座り、彼女の腰に手を回した。

 

「神室さん」

「な、なによ……」

 

 触れた瞬間にびくりと体を震わせ、精一杯強がっているのが丸わかりだ。男性経験は少ないらしい。彼女の体を抱き寄せるとガチガチに緊張している。

 ゆっくりと顔を寄せると、俺と坂柳さんの間を視線が忙しなく往復し、混乱しているみたいだ。

 

「神室さんの連絡先、教えて?」

「……え?」

 

 そんな神室さんの耳元に顔を寄せて囁くと、少しの間フリーズした後、俺にからかわれたことに気がついて一気に顔を真っ赤に染めた。もちろん怒りで。

 

「ほら! これが私の連絡先よ! これでいいんでしょ!!!」

「ありがとう。また今度連絡するから一緒遊びに行こうよ」

「お断りよ!!!」

 

 怒っていてもちゃんと連絡先を教えてくれる神室さん、いい子だなぁ。もう二度と万引きなんかしないように俺も気をつけておこう。

 

「坂柳さん、良かったら連絡先を交換しない?」

「ええ、いいですよ」

 

 俺と神室さんのやり取りを見てコロコロと笑っていた坂柳さんとも連絡先を交換した。一気に女子二人の連絡先が増えたぜ。しかも二人ともとても可愛い美少女。大収穫だ。

 

「美味しい紅茶のお礼です。晴柀くんがAクラスに来るなら歓迎しますよ」

「そうなの? じゃあ今度遊びに行くよ」

「ふふ。お待ちしています」

 

 『Aクラスに来るなら歓迎します』。

 坂柳さんの言葉の真意を、この時の俺は全く理解していなかった。




入学一週間。
・まだクラス間競争のことを知らされていない
・毎月1日に配布されるポイントの増減にも気がついていない
・可愛い女の子と連絡先を交換できて喜んでいる

これは間違いなく一般人。

あとアニメではカットされているが、ムツノ小路は原作だとけっこうエロいことを考えているので間違いなくムッツリスケベ。
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