「昼飯食いながらで悪いがフォーメンションの説明に入るぞ」
「つーわけで、こんな作戦にしてみた」
井上がさっき決めていたフォーメンションを黒板に書いて説明している。クラスメイト全員がここの教室でお昼を食べているから、食べながら授業やってるみたい。
あらかたの説明を書き終えると、井上が前を向いた。
「一陣つか前線隊長は中林、頼んだ」
「いいわ」
中林さんが部隊長か、さっきから話し合いに参加していたしそこも兼ねて混ざってたのかな?
「それから、徴発されても飛び込むなよ。敵の思うつぼだから」
「わ、わかったわ」
坂本君はたぶんそういうところも使ってくるだろうからなぁ。それに中林さんは馬鹿にされるの苦手そうだし。
「三上、中林のフォロー頼む。隊長がつぶれたらもともこうもないからな」
「了解!」
三上さんは中林さんと仲が良いみたいだ。これなら大丈夫かな?
さて、と井上は前置きして話し出す。
「そんなわけで派手にやろうぜっ!!」
「「「「「おおおおおおおっ!」」」」」
体育会系のノリがすごいのか井上の人心掌握術がすごいのか、とりあえずクラスが一つになった瞬間だった。廊下を歩いていた先生が何事かと覗いてきたし。
★
時刻は一時、いよいよ開戦の時間だ。
「始まるな」
「そうだな」
「なーんでオレが出るの禁止なんだよ」
「近衛は傍に居なきゃダメだろ」
クラス代表の遠子と近衛に任命された俺と円堂と半田の四人は、教室で陣取って……いなかった。ここは……
「……それにしても大丈夫?」
黒髪の美少女が不安そうに遠子に声をかける。Aクラス代表の霧島翔子だ。無表情で高嶺の花なんてよく言われるけど、遠子と話している感じはとっつきやすそうだった。どっちかっていうと『あの噂』の方が有名だからなぁ。
「大丈夫だ。にしても悪いな、翔子」
「……他ならない遠子の頼みだから」
代表が居るということでまるわかりだが、ここはAクラスだ。最新鋭のシステムデスクにリクライニングチェア、これは勉強する環境なのか? おやつとかお茶とか出されて至れり尽くせりとか贅沢だ。
今まで全く知らなかったが、霧島と遠子が友人同士でその伝手で一か所を借りている状態。一応他クラスに隠れるのは禁止されていないし、そもそも遠子がここに居ることはFクラスにもばれてるから問題はないだろう。
「お、開戦したみたいだぞ」
「相変わらず便利だよな。帝のそれは」
帝が持っているのは帝の弟、真一の特製の隠しカメラと受信機。
真一は機械にはめっぽう強くて、それだけで十分暮らしていけるほどの技術を持っている。まあ、それを生かすよりもサッカーに情熱かけてるから宝の持ち腐れって感じになってるんだけど。
「まあ、点数の関係もあるし大丈夫そうだな」
「ああ、あとは明久が上手くやるかか」
「それ以上にFクラスの人数を削ることに集中しないとね」
画面の中ではFクラス生がクラスメイトに次々と狩られる様子が映っていた。本当にすごい勢いだ。隊長の中林は統率力に長けてるし。さすが遠子、こういう人選には長けてる。