バカ?と黒猫と台風と電子獣   作:亜莉守

6 / 16
第一部:試召戦争?編

開戦前の一コマ
「え?面白そうじゃないか。俺なんかでよければ手伝うよ」


第五問

 

 ドア越しの声を聞きながら、戦況を確認する。

 

「うーん、結構な勢いだなぁ。このまま僕の出番なければいいけど」

 

 Fクラスの一陣は一気に刈られたらしい。ただその次に来た第二陣に苦戦してて拮抗状態だ。でも、目標だった一陣の全滅は果たしてるし問題はなさそうかな?

 そんなわけで僕、吉井明久は戦場近くの屋上に居た。

 

「え、出番ないの?俺結構楽しみにしてるのに」

 

 わくわくした表情の吉良先生と一緒に、だ。かなり無茶なお願いしたのに、なんでそんなに楽しそうなんですかねこの人は。

 えー 僕と吉良先生が一緒にいる理由はこうだ。Fクラスの代表坂本雄二を狩る。ただそのためだけにこの場所に居る。

 ここは真下にちょうどFクラスがあり、ロープを使って窓を破って中に侵入する予定だ。え? 窓が割れる? 気にしない気にしない。これが僕らの流儀、物的損害は気にするな、だ。

 吉良先生に説明したらノリノリで乗ってくれたことを後述しておく。ふつうは止めるべきじゃないかなぁ? まあ、これは吉良先生の協力なかったらできない作戦だから乗ってくれて助かったけど。

 

「あ、Fクラスがほとんど空になってきたね」

 

 吉良先生がぼそりと呟く、僕みたいにドア越しの声を聞いてるわけでもないのになんでわかるんだろ?

 ! ガヤガヤと集団が移動する音が聞こえた。二軍に合流する気かな? ……どうやら大回りをしてAクラスにいる井上たちに襲撃をかける気だ。確実に無駄だろうけど。それにしても僕がここにいることはバレないなぁ。

 

「うーん、どうするんだい?」

「合図が……あ、あった」

 

 Aクラスの窓に赤いスカーフが叩きつけられる。よし、作戦開始!

 

                     ★

 

NOside

 

「どうなってる、被害状況は?」

「前線部隊全滅!第二軍も半分に減らされた」

 

 伝令係のFクラスの生徒が戦況を報告する。Fクラス代表、坂本雄二は苦虫を潰したような表情になった。そんな坂本に、ポニーテールが特徴的な女子生徒が食って掛かった。

 

「どうなってるのよ代表、吉井が入るくらいだし楽勝じゃなかったの?!」

「ちっ、井上に嵌められたか」

「井上?!なんであいつがEクラスにいるのよ。今年の学年主席でしょ?!」

 

 井上と坂本は犬猿の仲なのだ。いつも騙し騙され一進後退の攻防戦を繰り広げている。井上としては明久さえ巻き込まなければ、坂本に手を出す気はないのにいつも明久を巻き込もうとするからこういう事態に陥るのだ。

 

「奇襲失敗!奇襲組の全滅を確認」

「あんにゃろ……」

 

 ニタニタと笑う井上の顔が坂本の脳裏をよぎる。それからかぶりを振りポニーテルの少女、島田美波に指示を出した。

 

「仕方がない、島田。姫路を連れて前線に向かってくれ」

「わかったわ」

 

 島田が回復試験中の姫路瑞樹を呼びに行き前線へと向かう。教室には坂本と他護衛の数人がいるだけだ。

 がしゃあああああん 窓ガラスが割れ、ロープを使って壁から降りた明久と吉良が振り子の原理で勢いをつけて窓を蹴り破って入ってきた。

 

「吉井?!」

 

 坂本の目が驚きで大きくなる。そんな坂本に明久が笑いかけた。

 

「やっほー、坂本君。Eクラス、吉井明久が美術で試験召喚勝負を申し込む!試獣召喚(サモン)!」

「承認します!」

 

 途端にフィールドが開かれ、明久の召喚獣がおぼろげに姿を現した。

 

 

 美術

 ――――Eクラス 吉井明久 355点

 

 

「さて、やろうか」

 

 先ほどまでの笑顔を消し、真剣な表情をした明久が坂本を指さした。

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。