転生したら異世界の宇宙最強の龍でした!〜0から星と生命を作り出して一大文明の支配者になったので現代日本へ帰還します。自分は日本が一番暮らしやすい。〜 作:電動ガン
ダンジョンが7階層より下の開放の前準備に入った。世界各地のダンジョンで下の階層を意識した動きの探索者が増え、ドロップ品が市場に回る。魔石も回る。この良い循環を取り込んだダンジョン景気は世界に富をもたらした。
「・・・・・・ゼファ姉。」
「そうだな。」
そして、ダンジョン庁、シルバディア専用ダンジョン管理室。お菓子のゴミで埋もれた管理室は、シルバディアとその分身が三人と、ゼファランディアと坂下が詰めている。ここでシルバディアはとある予測シミュレーションをゼファランディアと坂下に見せていた。
「来年には開放なのに・・・・・・」
「いや、もう手は無いのではないか。ダンジョンは試練でもある。」
「私としてはたった10階層程度でこれでは未来が無いのよ。」
「ううむむ・・・・・・」
坂下がゼファランディアにマカロンを差し出し乱暴につかみ取り頬張る。シルバディアもひとつ摘まむと口に入れた。
「坂下、なんか良い案ある?」
「わ、私ではちょっと・・・・・・」
「シルバディア、あまり坂下を酷使するな。」
「そうだけどね〜」
シルバディアが出した空間ディスプレイの文字。それは8階層死者3人。9階層死者5人。10階層6人。ボス部屋8人という数字だった。
どうしてもゼロにならないこの数字をなんとか様々なアップデートでゼロにしようと試みた。
だがなんどやってもゼロにならない。一応設置ダンジョン全てでの数字なので世界的な死者数だと考えれば少ない。だが、確かにいるのだ。
「どうしようかしら。なんで死ぬのかを考えなければ意味がないわよね。」
「だな。シミュレーションの詳細を追えるか。」
「やってみる。」
カチカチと空間ディスプレイを操作し、死亡原因を特定する。
「・・・・・・なるほど。」
「どうだった。」
「トラップスパイダによる原因での死者だったわ。」
トラップスパイダ。それは何も無いところにトラップを仕掛け、踏み抜いた探索者を捕らえて殺すモンスターだ。モンスター情報はリークしていないために起きていた死亡原因だった。
「ううーーーん・・・・モンスター情報を漏らすわけにはいかないわよね。」
「だな。見える敵など試練の意味が無い。」
「でも見せないとどうしても死は減らない・・・・・・どうしましょ。」
「我もここまで庇護しなければならないダンジョン運営は初めてでな・・・・・・・」
「あ、あの・・・・・・」
「何?坂下。」
「良い案があるのか?」
「8階層からは、痕跡を残すのはどうでしょう。」
「痕跡?」
「はい。私のいとこがやっていたゲームなんですけど。敵がいるところに、この先角注意とか、見えない敵注意とかとか。ゲーム側でメッセージを用意してくれてたり、プレイヤー側でメッセージを残せるんです。それで探索者同士警戒し合わせるんです。」
「ふーん?」
「アイディア自体は良い。だがダンジョンでは無理だな。」
「だめですか・・・・・」
「ダメな理由は、ダンジョンはインスタンスダンジョンだと言うことだ。敵の位置が毎回同じだとは限らないし、
毎回メッセージを置く場所を変えてたらダンジョンリソースが持って行かれてエーテル流入量が減ってしまう。それはダメだ。」
「ああ・・・・・・!!」
「それによ。探索者同士でメッセージを書かせてもインスタンスダンジョンは100人しか入れないし一回ごとに消えるから警告にならない。意味が無いわ。」
「あああ・・・・・・っ!!!」
「まぁでも坂下のアイディアは良いと思ったわ。メッセージで何か知らせる。もう少し雰囲気を出して伝えられればいいんだけど。」
「まて、こういうのはどうだ?」
「なに?」
「魔物図鑑だ。」
「魔物図鑑?」
「ああ。宝箱を設置し、中に魔物図鑑を入れておく。出現する階層、ステータス、ドロップ品などを書いておいて拾わせる。探索者がそれを読み、知識を蓄えさせたら売りに出させ、まだ未到達探索者の知識に入れさせる。」
「ああーなるほど。」
「坂下、ダンジョン庁で魔物図鑑の高価買い取りの準備をさせろ。そしてダンジョン内で大量出現させ、市場浸透を計る。これだ。」
「いいかもしれない。コレクションアイテムにもなるから。」
「そんな単純で良かったんですね・・・・・・」
「時にはシンプル・イズ・ベストという場合もあるのだ坂下。」
「肝に銘じます。」
「よし!!なら1階層から魔物図鑑の配備進めるわ。これみよがしに豪華な宝箱にしてやりましょう。これでこっちから意図的にモンスターの情報をリークするのではなく、
探索者の手で見つけることになるから試練として成立するでしょ。」
「そのはずだ。これで問題はひとつ解決しただろう。コレを踏まえてもう一度シミュレーション掛けてみろ。」
「よーし・・・・・・でた。」
新しいシミュレーションでの死者数、ゼロ、ゼロ、ゼロ。シルバディアはガッツポーズをした。
「っしゃあ!!これでよし!!」
「一安心だな。」
「よしよし。分身達、1階層から各階層に10階層までの魔物図鑑配置の準備。今日の午後から実装よ。」
「はーい。」
「はーい。」
「はーい。」
「ふわぁ。疲れたわね。ゼファ姉、坂下。ダイバーシティにご飯食べに行きましょ。」
「そうだな。すた丼行くか。」
「お供します!!」
「おっけー。分身達はドーナツちゃんと食べておくのよ。」
「はーい。」
「はーい。」
「はーい。」
・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・
・・・・・・・・
・・・・・・・
・・・・・・
・・・・・
・・・・
・・・
・・
・
数日後。永田町。総理官邸。地下六階。地下会議室。
「お、レディ・シルバディアよく来た。」
「やあ!!」
「シルバディア待っていたぞ。」
「どうもシルバディア。」
「どう?ダンジョン微調整してるんだけど・・・・・って。」
首相達の手には辞書ほどの厚さの魔物図鑑が。みんな持っていた。
「みんな持ってるじゃない。」
「ああ。これは非常に面白い。」
「実に良い読み物だ。」
「たのしいぞこれは。」
「うむ、三国志を読むより心躍ったぞ。」
「そんなに面白いかしら。書いてあるのはただの情報で、探索者じゃないと意味ないけど。」
「そんなことはないぞ!」
「そうだぞ。コレは是非世界中で流通させたい。」
「イギリスでもオークションだけでなく一般書店に少数卸しているがすぐ売り切れだ。」
「中国も皆夢中になっている。党の広報などを読んで欲しいところだがこの本の面白さには負ける。」
「え?何がそんなに面白いの?」
「まず異界の言語で書いてあることだ。念のため精神科にも受診したが精神汚染も脳に負担も無く見られる。」
「次に異界の言語で書かれていても自分の言語に変換されて読めると言うことだ。中身も情報だけと言ったがフレーバーテキストも多く実に面白い。」
「最後に今では珍しい羊皮紙の本だと言うことだ。レトロというかレガシーなアイテムで老若男女が虜にされている。」
「あー・・・・・・」
「これって何も問題無いよな?何か後でトラブルがあるとかないよな?」
「無いわ。完全にただの本よ。私の翻訳魔法は掛けたけど。」
「ならいいんだ。」
「フレーバーテキストを読むだけでダンジョンの様子が目に浮かぶようだ。」
「フレーバーテキストじゃなくてダンジョンの生態なんだけど。」
「どっちでも良いじゃないか。」
「良くないけど!?」
シルバディアが慌て始めるのを見て首相達はくっくと笑い始める。
「これほど教育に良い本は無い。出来れば聖書並に普及させたいから一回のダンジョンで20個の宝箱と言わず30個40個、いや一人一個拾える様にしてくれ。」
「もうそこまでダンジョンの仕様を研究してるの!?!?」
「当たり前だ。こんな安心安全でダンジョンを経験出来る本。普及させれば探索者を増やすことになる。」
「しかもこれは10階層までの魔物図鑑だろう?その先は11階層より下で新たな魔物図鑑が出るということだ。魔石より遙かに高く買い取って良い。」
「そうだな。是非とも普及させ我が中国でも寝るときの読み聞かせにさせたい。」
「もう好きにして・・・・・・」
がっはっはっはと高笑いをする首相にシルバディアはため息を吐く。そしていつものごとくずーっと黙っている中島総理に声を掛けた。
「中島総理は日本で魔物図鑑どうしてるの?」
「急遽免許不要1階層周回アルバイトを募集して大量に集めさせています。初心者武具セットの需要もなかなか冷えませんから武具集めと魔物図鑑集めを並行させ。需要を満たすべく奮闘しています。」
「あっそう。」
「こういう安心出来る産物なら大歓迎です。いつもこれだと助かるんですけど。これは全国書店で販売させます。出版社を通さず全て国庫に入るので万々歳ですよ。」
「あっそう・・・・・・・」
魔物図鑑魔物図鑑と大騒ぎする連中を見てシルバディアは叫んだ。
「もーーーーーーー!!!!!魔石集めなさいよーーーーーーーーー!!!!!」
魔物図鑑ブームは、なかなか終わらなかった。