転生したら異世界の宇宙最強の龍でした!〜0から星と生命を作り出して一大文明の支配者になったので現代日本へ帰還します。自分は日本が一番暮らしやすい。〜   作:電動ガン

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高校達の悲鳴。静けさの残る放課後。

八王子、新南勝台高校。野球部部室。放課後を告げる西日の差し込む部室で高須康夫はひとり、ボールを磨き続けていた。かつては甲子園を目指し、放課後になれば打撃音と泥臭いかけ声が響いていたが、今はもう無い。野球部員は高須ただ一人となり、寂しさが部室を支配していた。

 

「はぁ・・・・・・」

 

高須は辞めていった部員の言葉を思い出す。部活辞めて探索者になろう。部活なんかやってる場合では無い。

 

「みんな・・・・・なんで・・・・・・」

 

お金を稼げるのは確かに魅力的だ。だがかつての仲間を棄ててまでやることだろうか。去年までは甲子園を一丸になって目指し一勝すれば笑い泣き、負ければ悔し涙を流した。

 

「・・・・・・。」

 

そこへ誰かが部室へ入ってくる。

 

「高畠先生・・・・・・。」

 

「よ。大丈夫か。」

 

「もう僕一人になっちゃいましたね・・・・・・」

 

「そうだな・・・・・・」

 

日本全国の高校で危機的な状況が訪れていたのだ。それは部活の存続危機。皆が皆エクスプローラー免許センターに通い、部活など入っていられないと入部希望者はどこの部活でもゼロ。既存部員も退部。残存部員が1人、2人になった部活は廃部というやむを得ない校則で涙を呑む部員達。この新南勝台でも部員が残っている部活は野球部のみという絶望的な状況だった。

 

「高校野球連盟も、大会の無期限休止を言い渡した。実質日本の高校野球は終わりだ。」

 

「そう、ですか・・・・・・」

 

「探索者になるなとも言えん。魔石採りは国策だ。一高校の部活の危機などで国のエネルギー政策に勝てるわけがない。」

 

「でも・・・・・・でも!!!」

 

高須は反論した。

 

「それで、青春の場が奪われるのは・・・・・・!!違うんじゃないですか・・・・・・!!!」

 

「そうだな・・・・・・でも俺たちには何も出来ないんだ・・・・・・」

 

「・・・・・・ぐす。」

 

学校側も頭を抱えていたが探索者免許取得を国策として推進している以上、部活動への強制参加を促すと国家事業への妨害と捉えられどんな処罰が下るかわからない。万事休すだった。

 

「う、うう・・・・・・・」

 

「辛いな・・・・・辛いよな・・・・・・少し前までは甲子園に向けて頑張ってたもんな。でもその甲子園が無くなっちまった。」

 

涙を流す高須だったが一つ、疑問が残っていた。残っていた部員達が、いくらなんでも金に左右されるほど金の亡者だったかと言われると否なのである。

 

「見学、行ってみようかな。」

 

去って行った仲間達がそんな金の亡者に変わってしまったのか。確かめる必要がある。理由が知りたい。どんな顔でどんな考えなのか。知りたい。そして高須は野球部の廃部を言い渡されたその日に、エクスプローラー免許センターの見学予約の申し込みをしたのだった。

 

・・・・・・・・・・・

 

・・・・・・・・・・

 

・・・・・・・・・

 

・・・・・・・・

 

・・・・・・・

 

・・・・・・

 

・・・・・

 

・・・・

 

・・・

 

・・

 

 

数日後、立川にある免許センターを訪れた。そしてその様相に驚いた。

 

「こ、こんなとこなの・・・・・・?免許センターって。」

 

そこは高いフェンスと有刺鉄線。更にコンクリートの壁で覆われ、各所にある塔に見張りが立っている要塞だったのである。

 

「うわ・・・・・・うわぁ〜〜〜・・・・・・」

 

高須はもっと自動車教習所の様なものかと思っていた。自分が小型二輪の免許を取りに行った時は優しそうな教官に手取り足取り教えてもらっていた記録が蘇る。係員に連れられ中に入るとグラウンドから怒号が聞こえてくる。

 

「立て!!!脚を止めるな!!!止めたら死ぬぞ!!!貴様は世界最初の死という不名誉を日本に与えたいのか!!!」

 

「発声が足りん!!!喉の調整不十分!!!点呼十回!!!」

 

「腕立て百回!!!途中で休んでも良い!!!だが諦めるな!!!諦めたら死ぬぞ!!!」

 

自衛隊の制服を着た教官らしき人が叫んでいた。そして訓練に励む受講者達。係員からあの教官達は現役のレンジャーや空挺団の方々ですと説明を受ける。高須でもわかる。レンジャーと空挺団の凄さは。ときおりテレビで特集を組んでいる自衛隊の超エリート部隊だ。彼らの指導の元、プロテクターを身につけた受講者が転ぶ。すると教官から立て!!と怒号が飛び、絶叫しながら立ち上がり、死に物狂いで走っている。想定していたものとはまるで違った。受講者の殆どは高須とそれほど変わらない年の子が多かった。

 

「あ、あれは・・・・・・!!!」

 

そして見つけた。別な教官の元で3メートルはありそうな丸太を担ぎ上げ坂を全力疾走しているは水泳部の野村と鈴木の姿だった。その他にはサッカー部のキャプテンの宮本とエースの中田が木刀片手に模擬戦闘訓練を行っており、その隣に吹奏楽部の部員の宮坂と畑山が背中に大きな荷物を背負って水泳訓練をしている。

 

「あ、ああ・・・・・・!!!」

 

高須は呆然と立ち尽くした。5階層まではそれほど危険性は無いといわれているのに彼らは何階層を想定して訓練しているのだろうか。そこで視線を移したところ更に見つけてしまった。

 

「あれ・・・・・!!米山と三倉!!」

 

かつて共に汗を流した野球部の米山と三倉。彼らが教官との格闘訓練で子供相手にやるほどではないほどボコボコにされている。教官は本気で相手をしていた。

 

「嘘だろ・・・・・・・」

 

高須はが見た、そこにいたのは楽して金を稼ごうなどという甘えた考えを持つ物では無い。かつて甲子園を目指したときと、いやそれ以上に、比べものにならない気迫でギラギラと燃えさかる目を向けていたのだ。

 

「そうか・・・・・・そうだったんだ。」

 

高須の胸の内に、雷が落ちたような衝撃が走る。金が稼げるから、探索者の道に進んだんじゃない。彼らは部活動という小さな枠組みを飛び越え、もっと高い場所での青春を謳歌しようとしているのだ。

世界を変える国策に関わり、過酷な訓練を乗り越え、未知のダンジョンへ挑む。それはかつての高校の部活が提供していた熱量を遙かに凌駕する、新時代の最高の熱狂であった。

そして高須は冷え切って寂しさと虚しさに支配されていた心に熱い風が吹いた。

 

「そうだったんだな・・・・・・それじゃあ。僕もやらないと。」

 

・・・・・・・・・・

 

・・・・・・・・・

 

・・・・・・・・

 

・・・・・・・

 

・・・・・・

 

・・・・・

 

・・・・

 

・・・

 

・・

 

 

高須は急いで学校に戻り、高畠教師の元へ向かった。

 

「先生!!!」

 

「うお!!!高須!!!どうした?見学どうだった。」

 

「僕わかりました。みんなが部活に来なくなった理由も。そしてどうやって部活に戻すのかも!!!」

 

高畠教師は目を瞬かせながら高須の次の言葉を待った。

 

「みんな。お金を稼ぐのはついでなんです。楽がしたくて探索者になってるわけじゃない。本気で打ち込める、熱い場所が欲しかっただけなんです!!!なので学校でその場所を提供します!!!」

 

「具体的にはどうするんだ?」

 

「ダンジョン要素を取り込んだ部活を新設するんです!!」

 

「ほう・・・・・続けて?」

 

「免許センターで少しだけ教官とお話できたんですけど、免許センターで訓練を終えて免許を取得しても、継続して訓練が必要だって言ってたんです。僕たちの学校みたいに都内でお台場に近いと良いですけど地方はそうじゃない。なので学校で訓練をしちゃえばいいんです!!!」

 

「そうきたかぁ〜」

 

「グラウンドを改造し、ダンジョン内を模した障害物を設置したり、クロスコンバットを意識する、魔石を採取するためにモンスターを効率的に倒す為、必要なチームワーク、体力制御、防衛術、これらを纏めて行う探索競技部を設立するんですよ!!!全国的に!!!そしてついでに大会にするんです!!!」

 

「お、おお。」

 

「もうダンジョンとは共生しないと時代に乗り遅れてしまう。だから学校を、免許センターと繋ぐ『育成・訓練拠点』にしてしまえばいいんです!!これなら学び舎として機能するでしょ?」

 

「なるほどな。確かに国策であるダンジョン探索を後押しする形になるから文科省も市教育委員会も文句は言えん。むしろ反対したら国策の妨害と捉えられてしまう可能性があって賛成せざるを得ない。それに国に認められれば支援金や補助金が出る可能性が高い・・・・・・・!!!」

 

「でしょ!!どうかな先生。」

 

「同じプレゼンを校長と教頭の前で出来るか?いや、やってもらう。」

 

「わかりました!!」

 

▽▽▽

 

こうして新南勝台高校は市教育委員会や都を巻き込み、全国初のダンジョン準備高校となった。これはSNSや全国テレビを駆け巡ったのだった。そして今の新南勝台高校のグラウンドには少し前には信じられない光景があった。

 

「遅い!!!裏取りはすればいいってもんじゃない!!!最初に挟み撃ちが出来なかったら無理に拘るな!!!」

 

「「「「はい!!」」」」

 

「甘いぞ!!!背後を取られたらすぐに展開しろ!!!もたもたしたら死ぬんだぞ!!!」

 

「「「「はい!!」」」」

 

泥にまみれ、声を張り上げる生徒達。そこには一度は部活を辞めていった生徒達の姿もある。さらには免許センターの受講順番待ちになっている生徒達の姿もある。

 

「すげぇよな。こんな施設が学校にあるなんて。バリバリ訓練出来るわ。」

 

「ほんとよねーダンジョン行けない日に訓練しようとしても出来なかったからさー」

 

「お前ら気を抜くな!!!来週には7階層の周回を任務にしている自衛隊ダンジョンエリート部隊の教官が来るぞ!!!」

 

「うおっすっげ。」

 

「はーい。」

 

この光景を高須は満足そうに見渡した。野球は出来なくなった。でも、新しい青春は見つけられた。熱く、眩しい新時代の青春はマグマの様に渦巻いていたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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