転生したら異世界の宇宙最強の龍でした!〜0から星と生命を作り出して一大文明の支配者になったので現代日本へ帰還します。自分は日本が一番暮らしやすい。〜 作:電動ガン
日本の観光地を回る旅に出たアドメラルが帰ってきた。侍女に肩を支えられており、木崎がおろおろ心配しながら帝国ホテルに帰ってきたのを見て須垣は絶句し、シルバディアはため息を吐いた。
「ちょっとアドメラル。大丈夫?」
「・・・・・・シルバディア様。」
「なに?」
アドメラルはゆっくり侍女から離れ、シルバディアの元へ歩きドレスなど気にせず尻餅を突く。慌ててシルバディアが支えるがアドメラルは顔面蒼白。流石にシルバディアも心配した。
「アドメラル。体調悪いなら部屋に戻って休みなさい。」
「体調は悪くはありません・・・・・ただ、私は・・・・・・衝撃を受けただけなのです。」
「なるほど?」
アドメラルはゆっくりと立ち上がり木崎に近づいていく、そして両手で木崎の手を握って木崎はびくりと身体を震わせた。
「木崎様・・・・・・大変。大変感謝致します。世界に、あのようなものがあるとは、思いもしませんでした。」
「い、い、いえ。喜んで頂けたなら。幸いです。」
「なんと、お礼を申し上げたらよいかわかりません。私は・・・・・私は・・・・・・」
「アド様、やはりまずはお休みになられましょう。すごく疲弊していますよ。」
「そのよう、ですね。すみません休ませて頂きます。」
フラフラと侍女を使者を引き連れホテルマンに連れられ部屋に戻るアドメラル。シルバディアは木崎をじとーと見つめるのだった。
「ちょっと。アドメラルに何したのよ木崎。」
「いやー、私としましてはなにも。観光地を巡り、美味い飯屋を巡り、美術館を巡り、自然を巡っただけですよ?」
「いかにもなメグメレル特攻をかましまくっているじゃないの。それならああもなるか。」
「え?何かまずかったんですか?」
「何も?でも少し刺激が強かったわね。」
「ええ・・・・・・?」
「メグメレルは古代の遺物なんて存在しないし、食は凝り固まってるし、自然は開拓しまくったし、美術なんて欠片も存在しないのよ。そのメグメレル人に特大の文化で殴ったらそらオーバーヒートもするわよ。」
「我々は特大の地雷を踏んだのでは?」
「異世界間問題にならないと良いわね。」
「そんな殺生な・・・・・・!!」
「冗談よ。まぁでもしばらく熱は冷めないと思うわ。アドメラルしかり、一緒に行った侍女と使者しかり。」
「無事なことを祈りましょう・・・・・・」
「そうね・・・・・・」
・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・
・・・・・・・・
・・・・・・・
・・・・・・
・・・・・
・・・・
・・・
・・
・
部屋に戻ったアドメラルは旅の途中木崎に買って貰った冷えピタなる道具を頭に貼り、ベッドに横になっていた。侍女達が心配そうに見つめているが、その侍女達も興奮を隠せないようだった。
「貴方達、覚えていますね。」
「はい・・・・・」
「我々も、確かに見ました姫殿下。」
「素晴らしかった・・・・・・我々はなんと愚かな事をしたのでしょうか。過去の遺物を邪魔だからと履き捨て築いた文明など、意味はありますか?」
「それには、私どもでは判断出来かねます。ですが、侍女風情の私見ではありますが、確かに我々は愚かだったと言えます。」
「美術館に飾られた絵画、像、古代の壺、武器・・・・・・それぞれが歴史を物語る証拠です。我々には映像しかありません。全て棄ててしまいました。」
「はい・・・・・・はい・・・・・・!!我々は・・・・・・!!」
「う、うう・・・・・・」
「私達は・・・・・なんてことを・・・・・・」
「泣きなさい・・・・・ジゼット、ミミ・・・・・今は泣くべきです。愚かな我々を泣くべきなのです。」
「姫殿下・・・・・・我々は今から何を出来るでしょうか。今から間に合うのでしょうか。」
「出来ます。我々は今からでも過ちを正す事が出来ます。失われた過去は取り戻せない。ですが、今から間に合わせる事が出来る。私からお母様に進言します。」
「姫殿下・・・・・!!」
「お心強いお言葉です・・・・・・!!」
「そしてまずは・・・・・・シルバディア様がいらっしゃるので不要かもしれません、いや・・・・・・この地球を守る手立てを整える必要がある。」
アドメラルは息を吸い込み、テーブルにあった水のペットボトルを開ける。その目は戦士の目をしていた。
「んうくっ!・・・・・美味い。ただの水でさえこの美味さ。この文化を失わせてはならない。私が矢面に立ち、地球との交流の全面の指揮を取る。使者を集めろ。作戦会議をする。」
「はっ!」
「直ちに!」
アドメラルは立ち上がり、ふらつく足に活を入れながら部屋を後にするのだった。
▽▽▽
永田町。総理官邸。地下六階。地下会議室。
「えええ!!?地球との全面文化交流!?!?」
「はい。中島様。」
アドメラルは中島総理に面と向かっていった。
「地球からは主に食文化をいただきたい。そして我々メグメレルからは地球が次元航行艦が自主製造出来るまで技術を渡す所存です。」
「え、ええ!?!?で、ですが・・・・・・!!」
「その代わり、食文化は日本だけでなく、他の国からも食文化を頂きたく思います。際限なく。」
「際限なく・・・・・・」
中島総理は思案する。悪い条件ではない。だがどこまで?食文化とはあらゆるもの?それとも美食のみ?相手にはその線引きが無い。世界中から集められるか?それとも・・・・・・
「とりあえず。我々には魔法が使えません。なので魔法の技術をもらっても困ります。そしてこの地球の状況を見て貰えばわかると思うのですが・・・・・」
「そうですね。この環境では魔法は使えない。エーテルは大量にありそうなのにマナがあまりにも希薄。このままでは魔法はどうあがいても使えない・・・・・」
「ご理解いただけたようで。」
「このまま魔法を渡すと説明書も無いのに次元航行艦を渡すのに等しい。得策ではありません。」
「その通りだと思います。」
「そうなると、ダンジョンがあるので魔石関係の研究成果、と言いたいところなんですが・・・・・・」
「魔石関係は既にいくつか小規模な物は我が国の貨幣と引き換えにもらってますが・・・・・・」
「魔石関係の技術発展はシルバディア様が厳格に管理していまして・・・・・・メグメレルから出立されたあとも管理していると思われます。地球ではどうですか?」
「地球では魔石の技術発展ではなく、魔石そのものを厳格に管理していると報告を受けています。」
「なるほど・・・・・と、なると、魔石関係の技術も渡すのは止めたほうがいいですね。余所から魔石が入るのはシルバディア様が深刻な問題にすると思います。」
「すると、どういう技術を渡せるのですか?」
「・・・・・・厳しいですね。渡せる物は殆ど無くなります。」
「そうですか・・・・・・」
「ですが、どうしてもそちらの文化が欲しい。でなければ、技術ばかり発展し、人が衰退する。そうなれば待っているのは滅びです。シルバディア様達が発展させ守ってきたこの文明を、シルバディア様の御友人になる前に終わる。それだけは絶対に避けたい。」
「わかりました。で、あれば、こちらから欲しい技術を指定させていただき、それを所持しているか精査してもらい。譲渡してもらう。というのはどうでしょう。」
「なるほど・・・・・わかりました。とりあえずそれで進めましょう。」
「ええ。よろしくお願いします。」
中島総理は隠れて勝ち誇った顔をした。向こうから来る物をこちらで選べればいくらでもコントロール出来るという事実を手に取った顔だった。向こうはシルバディアという盾があるので横柄に技術をいきなり渡してくる事も無い。旨味は少ないが突然侵略に舵を切る様なことは無くなっただろう。第二皇女を味方にするとはそういうことだ。
「総理・・・・・・すぐに経場連やつくばの研究所から要求技術のリストを作らせます。」
「お願いします江田さん。こちらの提出物も・・・・」
「おっは〜〜」
急にシルバディアが転移で乱入してくる。その手には何故かコンビニで売っているソフトせんべいが握られていた。
「今日アドメラルが中島総理と話すって聞いたから様子見に来たわ。」
「そうでしたか。ではシルバディアさんはこちらへ。」
「シルバディア様。ありがとうございます。」
「で、今何の話してたの?」
「私が是非文化欲しいですと申したんですが、こちらから渡せる技術が無くてですね。」
「あ〜〜〜・・・・・・」
「あはは・・・・・」
「そんな感じで落とし所を探していただいたところなんです。」
「そうだったのね。あれじゃない?料理人交換とかすれば?そして地球の余る食材が出てくるじゃない。各国の食料輸入の何割かをメグメレルに渡せばいいのよ。
私メグメレルと繋ぐゲート設置してあげるわよ?」
「そんなことまで可能なんですねシルバディアさんは。」
「・・・・・・・。」
「アドメラル様?」
アドメラルはサーッと顔から血の気が引き、急に立ち上がったと思うとスッと地面に頭を付けて両手を頭の横に添えた。
「申し訳ございません!!!シルバディア様!!!メグメレルから料理人は出せません!!」
「え?なんでよ美味しい料理作れる料理人いたじゃない。私アオアオジーの丸焼きとか好きだったわよ?」
「シルバディアさん、アオアオジーの丸焼きとは?」
「アオアオジーっていうほうれん草と白菜を混ぜた様な野菜があるの。それを一株まるまる鍋に入れて焼いて。生姜焼きのタレみたいなソースをかけて食べるの。地球の料理には劣るけど私それが大好きでね!メグメレルに居るときは週に8回出させるほどだったわ!」
「へぇ〜」
アドメラルはメグメレル式土下座をした後滝の様な汗を流し始めている。
「アドメラルどうしたのよ。」
「いないんです・・・・・・」
「は?」
「メグメレルに・・・・・・料理人はもういないんです・・・・・・」
「は?え?」
「私が生まれる40年前・・・・・・シルバディア様が出立なされて200年ほどのおよそ200年前に、調理工場が火事を起こしまして・・・・・・帝都の3%を焼く大火事でして・・・・・・」
「それで?」
「調理工場に努めていた料理人300名が、資料などを持ち出したいと調理工場に再突入し、救助も出来ず、資料ごと燃えてしまったのです・・・・・・」
「で、でも、大陸各地に弟子が・・・・・・・」
「弟子達は調理工場の資料が無いと料理が出来ないと料理人を辞めてしまい・・・・・・各地に料理の資料は全く残っておらず・・・・・・・火事の所為で火や熱を使う調理は危険だという世論が高まり、お母様が料理の完全廃止を宣告して我が国からは料理が完全消滅しました・・・・・・」
「はぁぁぁぁぁ!?!?!じゃあ今どんな食生活してるの!?!?!?」
「今は、乾燥冷凍した食材を、復帰剤をかけて戻し、そのまま食べています・・・・・・・」
「こ、この・・・・・・・」
シルバディアはぶるぶる震え、中島総理はあまりの有様にドン引きしていた。
「このばかーーーーーーーーーー!!!!!!」
「あううううーーーーーー!!!!申し訳ございませーーーーん!!!」
「何やってんのよ!!!あんた達が文化をあんまり気にしないのは知ってたけどそこまでする!?!?!?なんで自分で文化を殺しちゃうのよ!!!!!」
「お、落ち着いてくださいシルバディアさん!!!アドメラル様を蹴っちゃだめです!!!」
「このばか!!!このばか!!!このばかーーーーーーーーー!!!!!」
「ひぃぃぃーーーーーー!!!!」
「うわあああああああああ!!!!じゃあもうアオアオジーの丸焼き食べられないじゃないのよーーーーーーー!!!!!」
「すみませんーーー!!!申し訳ございませんーーー!!!ごめんなさいーーー!!!」
「マジでぶち切れた・・・・・・食べ物の恨みは恐ろしいわよ。滅ぼしてやろうかしら。」
「落ち着いて!!!落ち着いてくださいシルバディアさん!!!」
「でも、中島総理。美味しい物が無いなら存在価値は無いわよ。」
「きっと良いことありますから!!!滅ぼすのは待ってください!!!」
「アドメラル!!!一度メグメレルに帰りなさい。そして私の怒りをそのまま届けなさい。」
「は、はい!!承知致しました!!!」
「中島総理。とりあえず取引の草案を渡してあげて。それで私の怒りを知りながらも取引するならしてあげましょう。」
「わ、わかりました・・・・・」
メグメレルと地球の交流の第一歩。それはシルバディアの怒りから始まるのだった。それがこの先どう転んでしまうのかは誰もわからなかった。