転生したら異世界の宇宙最強の龍でした!〜0から星と生命を作り出して一大文明の支配者になったので現代日本へ帰還します。自分は日本が一番暮らしやすい。〜 作:電動ガン
木崎は危惧してることがあった。ここ数日の皇女3人の様子は、アドメラルは食に取り憑かれ、アドメラルは服に取り憑かれた。こちらで検問はあるがお土産もそれなりに購入している。
だがミリアミルは。何もお土産を購入していない。上の姉二人に東京の街を連れ回されたが自分の欲しい物は何ひとつ買っていなかった。
これに木崎は危機感を覚えた。末っ子だけ何も買ってないのは姉妹間の不和に繋がるし、何よりメグメレルに戻った時自分だけ何も買わなかったと報告されれば日本で姉妹で区別されたと捉えかねられない。
何とかしてミリアミルにも自分の欲しいお土産を購入して欲しいものだが・・・・・と思うが・・・・・
「行くしかないか。」
木崎は夜に女性の部屋を訪ねるという無礼を承知でミリアミルを訪ねることを決めた。これも日本とメグメレルの正常で健全な外交をするためである。
▽▽▽
「あら木崎様。どうなさいましたの?」
「メリー様。夜分遅くに大変失礼致します。」
「まぁ!入ってくださいな。」
部屋に入るとメラメリルはリビングのテーブルに各種スイーツを並べて食べていたようで。アドメラルはベッドルームで買ってきた服の組み合わせを楽しんでいるという。ミリアミルはと聞くと隣のリビングで本を読んでいると聞けたのでメラメリルに挨拶をしてミリアミルの元へ向かった。
「ミリア様。」
「え?あ。木崎様。どうなさいました?」
「こんな夜更けに失礼致します。どうしてもミリア様に伺いたいことが出てきまして。」
「私に伺いたいこと?なんでしょう。」
ミリアミルは呼んでいたグルメ雑誌をテーブルに置き、ソファーに座る。木崎も遅れて座り、真剣な顔でミリアミルに問うた。
ミリアミルは見た目10歳ほどの少女である。しかし年齢が見た目と一致しないのは十分理解していたつもりだ。
二人の姉とは一風変わった非常にしっかり者の気質を持つ少女だ。これまでの市井の視察も姉二人に振り回されているようであったが実に冷静な視線を送り見定めていた。
「ミリア様。メリー様とアド様は実に我が国の文化を楽しんでいらっしゃいます。その件には我々日本政府共々胸を撫で下ろす思いでございます。」
「そうですね。大分わがままが過ぎてると思いますが。」
「ですが、ミリア様はどうでしょう。控えめどころの話ではないのではございませんか?」
「ええ。まぁそう捉えられるかもしれません。」
「こういった私利私欲を見せない者というのは、一見すると慎ましく、賢明で、思慮深く見えるかもしれません。ですが我々の外交手段で取られると最悪です。」
「そ、そうなのですか?」
「はい。政治や外交の場に置いて、こういった不均等は不和の原因となり、決定的で取り返しの付かない外交の落とし穴に嵌まることになるのです。」
「で、ですが。我々は親善大使です。遊びにきたわけではありません。ここで私達姉妹全員がそちらの好意に甘えて我が儘放題すれば、悪辣な略奪者として捉えられるのでは?」
「確かにその可能性は無きにしも非ずでしょう。ですがこちらがお出しする好意に乗ってくれないというのもまた、メグメレル流に言えば、なんと言えばいいでしょうか・・・・・・和平の使者が会食の場に槍を持ってきたと言えば伝わりますでしょうか。」
「なるほど・・・・・・それに近いことわざがあります。つまり、私がしたのは・・・・・・」
「お考えの通りだと思います。」
「・・・・・・すみません。」
「いえいえ。良いのですよ。全く警戒されないのも困りますしね。」
しょんぼりとただでさえ小さい身体を更に小さくするミリアミルだったが、木崎はこの様子なら簡単な懐柔は出来そうだと思案する。
長姉が食、次女が服、三女は何にハマるか未知数だが、ミリアミルも何かしらあると木崎は踏んだ。
「ミリア様。ミリア様のお考えは重々承知しています。メグメレルの大使として立派にお務めあげられる姿。誠に感服致しました。ですが、どうかご理解願います。
我々日本政府にとって、三人の皇女殿下に全員にこの国の文化を好きになっていただくことは、メグメレルと日本の友好の命題でございます。
ミリア様が我慢を重ねられたままお帰りになると言うことは、我が国にとってこの国交の最大の痛恨の極みです。
ミリア様の興味があるものを教えていただくことは。我が国の外交的利益に繋がります。どうか、お教え願えませんか。」
ミリアミルは少し目を伏せて。立ち上がる。そして一冊の雑誌を持ってくる。
「木崎様・・・・・・私は・・・・・・これが・・・・・・・」
「・・・・・・ほうほう。」
それは女児向け変身ヒロインアニメの付録付き雑誌であった。恐らくホテルのロビーに置いてあったものなので付録は無い。
「でも・・・・・その・・・・・・これは、4歳から8歳までが対象年齢とありました。私はもう100歳なのに・・・・・・これは・・・・・・」
「100歳・・・・・・・」
やはり年齢と見た目が一致しなかったと木崎は心の中で苦笑した。一瞬で顔を引き締めるとミリアミルに語る。
「ミリア様、なんら恥ずかしいことはございません。こちらは大人でも夢中になるものでございますので。」
「そう、なんですか?」
「はい。なのでミリア様が何歳であろうと、全く問題はございませんよ。」
「・・・・・・・。」
「どうでしょう。」
「この、アニメ?をテレビでやっていたのです。」
「ふむ。」
「少女が煌びやかな衣装を身に纏い魔物と戦う。そんなのメグメレルには絶対存在しないです。戦いは、大人の仕事です。
なのに、見た目は私やアド姉様と変わらない少女が戦いに身を投じている・・・・・・めちゃくちゃな設定でした。でも目が離せなかったのです。」
「・・・・・・そうでしたか。」
「アニメの魔法と、メグメレルの魔法とは全然違います。メグメレルの魔法は誰かを傷つけ、破壊するだけのものです。ただの無機質な技術でしかありません。
それが、こんなに輝いて、人を救う。こんな素敵な世界があるなんて思いませんでした・・・・・・・」
「なるほど・・・・・・」
「地球は、日本は素晴らしい場所です。私も・・・・・・私も・・・・・・!もっと・・・・・・!!」
目を爛々と輝かせ熱弁するミリアミルの姿は先ほどまでの重圧を背負い責務を全うしようとする大使ではなかった。
恐らく地球の人間換算をして10歳未満のアニメに憧れる少女でしかなかった。
そして木崎は内心ほくそ笑んだ。これで全て嵌まったと。
「では、ミリア様。明日は秋葉原に行きましょう。」
「秋葉原・・・・・・あの雑誌で見ました。さぶかるちゃー?の一大拠点なんだそうですが。」
「ええ。そこでミリア様の欲しい物を全て買いましょう。」
「えええ!?」
「大丈夫ですよ予算は青天井なので。おもちゃを数百個買ったくらいでは全然痛くありません。」
「・・・・・・・いざ言われると・・・・・・やっぱり・・・・・・・」
「ミリア様、こう考えてください。これも日本との外交利益を取る為だと。」
「わかり・・・・・・ました。そういうことなら。」
「では、そのように手配しておきます。夜分遅く申し訳ありませんでした。」
「いえ・・・・・・では明日はよろしくお願い致します。」
「承知しました。ではおやすみなさい。」
「おやすみなさい。」
・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・
・・・・・・・・
・・・・・・・
・・・・・・
・・・・・
・・・・
・・・
・・
・
翌日。帝国ホテル。
「あら?ミリアミルはお出かけなの?」
「はい。メラ姉様。アキハバラに行ってきます。」
「そこって美味しい物あります?」
「あーどうでしょう。一応グルメ街があるようですが。」
「うーーーん。今日はホテルの方がスイーツの職人を呼んでくださったのですよね・・・・・今日はホテルでスイーツづくしにしますわ。」
「アド姉様は?」
「私は原宿に行ってきます。制服コーデなるものがあるらしくて。」
「木崎様、アド姉様は・・・・・・」
「ご安心を。案内人と護衛をしっかり用意していますよ。」
「わかりました・・・・・・」
「今日はミリア様が思いっきり楽しみましょう。」
「はい。」
▽▽▽
防弾センチュリーに乗り、秋葉原へやってきたミリアミル一行。ヨドバシカメラの駐車場に入ったら、ミリアミルは少しピリッとした雰囲気を感じ取っていた。
「なんというか、今まで見て来た場所とは雰囲気が違いますね。」
「左様ですか?まぁ熱気でいったら渋谷以上のものですからね。」
「そうなのですか?」
「ええ、まず6階に行きましょう。」
エレベーターに乗り6階へ。そこに辿り着いたミリアミルは目の色を変えた。
「ふ、ふおお・・・・・・」
煌びやかなおもちゃコーナーを見て目を輝かせたミリアミルはゆっくりと回り始める。そして不意にプリキュア・マジックハートの主役のぬいぐるみを手に取ると木崎に微笑んだ。
「木崎様!これにします!」
「これだけですか?」
「ええ・・・・・これがあれば十分では?」
木崎はミリアミルの前で大きくため息を吐いた。VIPの前でため息を吐くなど無礼千万ではあるがこれも木崎の作戦だった。
「ミリア様・・・・・・」
「は、はい。」
「下手・・・・・・!!下手っぴ・・・・・・!!」
「へたっぴ!?」
「欲望の解放の仕方が下手・・・・・・!!!」
「ええ!?」
「ミリア様。もっとご覧になってください。」
ずらっと並ぶプリキュアグッズの群れ、ミリアミルは端から端まで眺めた。
「ミリア様はこう思ってる筈です。あそこの着せ替えドールもいいな。向こうの変身ステッキも良い。高い場所に変身ドレスもある。そこの変身ジュエルバラ売りを全部買いたい・・・・・・」
「で、でも・・・・・・」
「ええ。でも。ミリア様はこうした。自分は我が儘な姉のようにはならない。自分を律して、メグメレルの誇りを守らねばならない。だからぬいぐるみ1400円で我慢しよう・・・・・・違う!!!」
「えっ・・・・・・」
「秋葉原はそういう場所じゃない!!財布の中身なんて気にせず欲しかったあのおもちゃを買っちゃう!!!欲しかったあのゲーム機を買っちゃう!!!秋葉原はそういうとこです。」
「は、はぁ。」
「幸いミリア様は日本政府という莫大な財布があります。だからこうするべきなんです。あれもこれも。好きなだけ買っちゃおう。今だけは私はただのお姫様じゃない。スーパーお姫様なのだと。」
「スーパー・・・・・・お姫様・・・・・・・」
「ええ。なので、我が儘放題しましょう。ね?」
「・・・・・・。」
「・・・・・・。」
「・・・・・・。」
「では、こちらの変身ステッキと、取り替える変身ジュエルを全部・・・・・・」
「買いましょう。」
「それと・・・・・・ぬいぐるみ全種・・・・・・!!」
「買いましょう。」
「変身ドレスもっ!全員分!」
「買いましょう。」
それからは怒濤だった。ミリアミルは今までため込んでいた物を開放したかのようにあれもこれも買っていった。
「BDBOX・・・・・・?メグメレルで見られるでしょうか・・・・・・」
「ポータブル電源も買いましょう。」
「原作・・・・・・漫画・・・・・・?」
「少しウィットに富んだ表現が使われてるものですね。恐らく大丈夫でしょう。買いましょう。」
「フィギュア!!!精巧で、精密で、躍動感があって、美しい!」
「主役三人分買いましょう。」
「ポスター!アクスタ!ステッカー!キーホルダー!トレカ!」
「全部買いましょう。」
「設定画集!絵コンテ集!イラストブック!」
「残す事無く買いましょう。」
そして買いに買ってアイテムボックスに仕舞っていく。ミリアミルは汗をかきながら目はキラキラと輝き、鼻息を荒くしていた。
「か・・・・・・」
「どうです?」
「買ってしまった!!」
ヨドバシカメラ上層のレストランで満足そうに設定画集とぬいぐるみ、変身ステッキの箱を抱えてジュースを飲むミリアミル。
木崎はしてやったりとニヤけるの我慢しながらコーヒーを飲んでいた。
「木崎様ありがとうございます。」
「いえいえ。全て我が国に利があってのこと。遠慮なさることはございません。」
「久しぶりに楽しかったです。」
「それは良かった。この後はどうなさいますか?他にもグッズを売っている店はございますが。」
「うーん。もう一回ここの売り場を見たいです。」
「承知しました。それではまずお食事をして、休憩しましたら行きましょう。」
「はい!」
木崎は完全に読み通りと内心爆笑していた。これでメグメレルの上層部は日本に染まり、メグメレルから何かを引き出そうとした時に全く血を流すこと無く譲歩させられる。
あとは収容所の報告を待って対応を決めるだけだが皇女達の様子から大凡大丈夫であろうと推測出来る。完全に勝利を確信する木崎なのであった。
「これ美味しいです。」
「左様ですか。」
SP達にも食事を順番に摂る様指示し、一人付いてきてる侍女はミリアミルが心の底から楽しんでいるのを見て号泣していたので大丈夫だと思う。
「ごちそうさまでした。では木崎様、大丈夫ですか?」
「ええ。では行きましょう。」
再び下に降りたのは良かった。だが、ミリアミルは見つけてしまった。
「・・・・・・?あれはなんです?木崎様。」
「え?」
それは女児向けアイドルカードゲームの筐体だった。賑やかな音楽が流れ、画面に煌びやかな女の子が映るそれはミリアミルの興味を引くのは十分だった。
「あれはゲームですね。女の子にドレスを着せ替えさせて踊ってもらい音楽に合わせてボタンを叩く、というものですが、私はあまり詳しくなくてですね・・・・・・」
「そうなのですか・・・・・・やってみたいですけど・・・・・・・」
「誰かわかるやついるか?」
木崎が問うたら一人の女性SPが自分がわかると手を挙げる。娘がやっているそうで詳しいという。そしてそのSPの手引きでミリアミルはゲームを始める。
「えと、これでドレスを選んで・・・・・これでカードをスキャン・・・・・」
木崎はふと、嫌な予感がした。ゲームの刺激が強すぎるとかではない。何か、嫌な予感が。
「わ、わ、わぁぁぁぁ!」
ゲームが終わりこちらに振り向いたミリアミル。その顔は満面の笑みで目をキラキラと輝かせていた。
「(ああ。これお買い物の二回目が始まるな。)」
木崎の予想通りで、先ほどのお買い物で箍が外れたミリアミルはこんどはアイドルカードゲーム、プリラビのグッズを求めてまたもやヨドバシのおもちゃコーナーに繰り出すのだった。