転生したら異世界の宇宙最強の龍でした!〜0から星と生命を作り出して一大文明の支配者になったので現代日本へ帰還します。自分は日本が一番暮らしやすい。〜 作:電動ガン
「ちょっと!!!シルバディアさん!!!どういうことですか!!!」
永田町。総理官邸。執務室。中島総理はシルバディアにスマホの画面を見せつけ半泣きで問い詰めた。
「なんで!!!既に!!!アイルルスが市井に流れているんですか!!!」
「私が流したから。」
「なんで流したかを聞いているんですよ!!!」
シルバディアは腕を組み、一息吐く。なんて言い訳するかを考えているのだが。どうせこちらから強く言えば中島総理は強く言えないので少し言っておけばいいのだが・・・・・・それは不誠実過ぎる。
「少しね・・・・・・聞いて無いけど、総理はアイルルスを恐らく災害派遣に使おうとしてるんじゃない?」
「え、ええ。」
「それじゃ市井に流れるのに時間が掛かる。私は言ったでしょ?アイルルスは人類の相棒となって欲しいって。だから慎重にしてるのは変わりないんだけど、暫定的に法案が決まったのならアイルルスの受け口を作っておかなきゃならないと思ってね。」
「ですが・・・・・・!!物事には順序と言う物が・・・・・・!!」
「そうね。それもあるのは理解してる。」
シルバディアは紙パックのカフェオレを飲み干し潰すと中島総理に向き直る。
「でも、総理のやり方じゃアイルルスを労働力として使い潰してからその後を考えてる。」
「・・・・・・。」
「それじゃアイルルスは日本に、地球に根付けない。」
「・・・・・・でも、アイルルスの労働環境を整えてから放出しないと・・・・・・」
「そうね。運用マニュアルにそう書いたから私の所為かもしれない。でも私は最初から労働力不足の解消として人類の相棒を出すって言ったわよ。」
「・・・・・・。」
「総理は、タマ達をただの労働力としてか見てなかったの?」
「・・・・・・そうですね・・・・・・タマ達はよく働いてくれています。ただの労働力としては見ていません。」
「そう。」
「ですが。」
「?」
「なんで市井にアイルルスを流したのか答えを聞いてません。」
「ちっ。」
中島総理はため息を吐く。シルバディアは苦笑しながらも一枚の書類を取り出し中島総理に手渡す。中島総理は怪訝な顔で書類を見つめた。
「これは・・・・・・」
「人類へのアイルルスの融和活動の報告書よ。」
「この段階で家庭に投入するのは・・・・・・」
「やっておかないと政府は狂った法案で狂った実験を行う狂った政府になるけど。情報を小出しでも流しておく必要があるのよ。」
「せめて相談してくれれば・・・・・・」
「それをして総理はプラントの設置を急ぐんじゃない?」
「・・・・・・。」
「でしょ?官製品のアイルルスを出して置いて市井に供給を急いだら供給ラインが崩壊する。だから民間には私からのプレゼントという運が良かった者だけが賜れるものにしておけばアイルルスの有用性に気付いた者も納得出来る。」
「なるほど・・・・・・」
「だからまずはプラントで官製品を作り、私が民間に民生品を流す。この供給ルートを作っておけば少なくとも不満は出にくくなると思わない?」
「そう、ですね。国民も運が良ければアイルルスをお迎えできるという認識を植え付けておけばアイルルスが民間に出回るまでの時間を稼げる・・・・・・でもそう上手く行きますかね。」
「行くと思うわよ。Twitterの反応見るにうちにもアイルルス欲しいっていう意見が多いし私にお祈りして乞うだけで暴動が起きる気配は無し。
アイルルスは欲しいけど入手手段が私しか無いってわからせてるから暴れても無意味ってわかってる。良い傾向だわ。」
「ううむ。」
中島総理はこのままシルバディアを利用していいか考える。相手は人智を凌駕する知恵を持つ存在だ。これだけではない予感がビンビンする。だが裏を聞いて正直に答えるとは思えない。
「わかりました。ではそれで進めて構いません。ですが一つ聞いておきたい事があります。」
「なに?」
「プラントのマニュアルにもありましたがアイルルスのモデルの確認です。武装を満載にしたオリジンモデルフェリスタイプではありませんよね。」
「ああ、それね。安心して。オリジンモデルフェリスタイプじゃないわ。オリジンモデルは官製品にしなさい。私がプレゼントしてるのはシビリアンモデルキティタイプよ。武装は左腕部ビームピストルのみの完全ハウスメイド型よ。」
「武装は完全には取り払う事は出来ないんですか?」
「出来ないわね。最低でも暴徒制圧用の高圧水鉄砲が搭載されるわ。この水鉄砲を当てられたらビームピストルよりえぐいことになるけれどそれでもいいなら。」
「わかりました・・・・・・」
シルバディアは渡したプラントの運用保守マニュアルを思い出し、思案する。中島総理なら誤った対応をしないだろうと。だが人類である以上過信はしてはいけないとも。
「さて、じゃあ事後報告だけどいいわよね。」
「しかたないですね・・・・・・承認します。しかしどれくらい数を流すんですか?」
「そうね・・・・・・日本全国で30機を限度にしようと思ってるわ。それ以上は過剰だし。あとは政府の民生品を待って貰うわ。」
「ああ。ならば安心です。更に言えばその30機の追跡も行えるようにしてもらえると・・・・・・」
シルバディアはキョトンとした顔をして直ぐ近くで作業をしていたタマを呼びつける。
「タマ。あなたCATネットワークの話した?」
「え?してないです。」
「あー・・・・・・一応、アイルルスの極秘システムだけど・・・・・・ご主人様にはちゃんと開示しなさい。」
「あっ。はい!」
「総理あのね。アイルルスにはCATネットワークっていうどこで製造された個体でもプラントから製造された個体なら全個体が繋がっているネットワークがあるの。タマに聞けばそこから追跡出来るわ。」
「そのCATネットワークというものはどういう目的で作られた物なのですか?」
「私も制作者じゃないから詳しくないけれど・・・・・・元はアイルルス同士がご主人様やお仕事の情報を交換して不当な労働をしてないか監視しあうクローズドネットワークだったみたい。それがアイルルスのCPUを介した超巨大仮想スパコンになって処理能力を上げるように進化したのよ。」
「なるほど・・・・・・では例えば。私が機密情報をタマに伝えたらその情報はCATネットワークで共有されると?」
「されるかどうかは選べるんじゃないかしら。流石に。タマどう?」
「出来ますよ!クローズドネットワークですけどネットワークに上げますから!機密情報指定したものはアイルルス個々の隔離されたメガクリアソリッドステートドライブに保管されます!」
「だそうよ。」
「安心しました・・・・・・」
シルバディアは冷めたお茶を飲み、中島総理は何かを思い出したように書類を取り出しシルバディアに見せる。
「なにこれ。」
「ひとつお願いです。これ可能ですか。」
「あーーーー・・・・・・そうね・・・・・・」
その書類に書かれていたもの。それはアイルルスの分解調査計画だった。
「私は別に、やりたいならやればいい・・・・・・だけどタマに聞いてみて。」
「わかりました・・・・・・タマ。これを見てくれる?」
「はーい!」
タマはふんふんと書類を眺めて。うーんと首を傾げる。
「タマ、ダメそう?」
「えっとぉ。」
「タマ。嫌なら言って良いのよ。ご主人様とはいえ。」
「ああ、いや。嫌じゃ無いですよ?ここはミュシラ星じゃないので。私達の身体が気になるのは当然です。デスけども・・・・・・」
「何か問題があるの?タマ。」
「ありますねご主人様・・・・・・」
タマはうーんと頭を抱えて次の言葉をひねり出した。
「あの、ご主人様・・・・・・多分地球の技術じゃ分解出来ません・・・・・・」
「そうなの?」
「はい・・・・・・まず私達の肌、ミラージュナノマシンスキンの自己再生速度を上回って裂く為には30億ワット以上の出力のプラズマカッターで焼き切らないといけませんし。
スキンを焼き切れたとしてもその下にあるアーマーメッシュプラスチールダーミスを切断して、
フレームに辿り着くにはスキンを焼き切る10倍の出力のプラズマカッターを用いなければなりません。
まずその技術が無ければアイルルスの中を覗くことも出来ないんです。」
「ええーーー・・・・・・」
「何も出来なくてもいいなら・・・・・・未稼働の妹を一体分解を試みてもいいですけど・・・・・・」
「検証は・・・・・・してみましょう。ありがとうタマ。」
「いえいえ!」
中島総理は書類を仕舞うと秘書にお茶を淹れるように指示してタマも持ち場に戻した。シルバディアはスマホでネットサーフィンをしており、時折舌打ちをしている。
「シルバディアさん。話が変わるのですが、プラントのマニュアルに書いてない注意点などはありますか?CATネットワークの件でもしかしたらと思いまして。」
「え?あー・・・・・・二つあるわ。結構どうでもいい仕様だけど。」
「あるのですか・・・・・・なんなんでしょう。」
「一つはプラントの動力、波動プラズマリアクターの共鳴効果ね。半径200メートル以内に複数プラントが存在するとリアクターが共鳴して製造数が若干多くなるのと。誤差みたいな範囲だけど。」
「共鳴・・・・・・なるほど。」
「少しでも多く製造したいならやってみて。」
「ええ。二つ目は?」
「二つ目は材料の土と水、少量のプラスチックなんだけど、土と水から少し土地の記憶を吸うのよ。」
「それはどういうことなのですか?」
「その土地の記憶を宿したアイルルスが製造されるってことね。例えば都内郊外にプラントを設置して土と水を投入すると、
人間が一番活気に溢れてた時代の記憶、高度経済成長の記憶を宿して製造されて、ハンバーガーが食べ物の好みになったりするってこと。」
「なるほど・・・・・・二つとも隠し仕様のようなものですね。」
「マニュアルに書いてない仕様はこんなものね。それになんかこれ隠し仕様では?って感じたら報告して。調べるから。」
「わかりました。ありがとうございます。」
「こんなもんでいい?私ダンジョン庁行って帰るけど。」
「ええ。大丈夫です。坂下長官をよろしくお願いします。」
「わかったわ。坂下は総理のアイルルス羨ましがってたからこないだ私の分身を長官室に置いてきたし。」
「ちょっと待ってください。聞いて無いんですけどそれ。」
「え?聞いて無いの?余計なこと言ったかしら・・・・・・」
「坂下長官は10年前から変わりませんねほんと。」
「まぁ良いじゃないの。害は出てないんだから。」
「ですがね?シルバディアさん。私達は貴方方と一定の線引きをしておかないといけないんですよ。思想も、行動倫理も、生きる時間も違うんですから。」
「まぁまぁそう堅いこと言わないで。私も線引きはしてるけど仲良く出来るならしとく方が得じゃないの?」
「そう言って入れ込みすぎるとどんなしっぺ返しがあるかわからないですからね。まぁ私も人のこと言えた義理はないですけれど。」
「でしょ?これからも仲良くしてね。」
「もちろんです。ですが人類が滅びない範囲でです。」
「滅ぼさないわよ裏切らない限りは。」
「何が裏切りになるかわからないんですってば。朝食にハムじゃなくてベーコン食べたのが裏切りだって言われてもおかしくないんですよ。」
「そんな馬鹿だと思われてるの・・・・・・?」
シルバディアは中島総理のあまりの言い様にため息がでたが、これが来たばかりの頃だったら普通に総理は泣いて終わりだったな、と中島総理の成長を感じ。少し微笑んで転移で自宅に帰るのだった。