転生したら異世界の宇宙最強の龍でした!〜0から星と生命を作り出して一大文明の支配者になったので現代日本へ帰還します。自分は日本が一番暮らしやすい。〜 作:電動ガン
永田町。総理官邸。定例の四カ国会議を終えた中島総理は酷い疲労を覚えながらパソコンを閉じた。相変わらずシルバディアの事になると親戚の伯父さんになるがそれ以外だと如何に自分に利を得ようと画策する狸ども。もう疲れた。チョコを食べて早く寝たかった。
「はぁ・・・・・・」
最近増えたコードネーム:シェンロン、個体名エルーカディアをどう隠すかが問題だった。下手に隠そうとすると何か隠しているのがバレてしまう。かといって手を付けずにいると簡単にバレてしまうので絶妙な舵取りが必要だった。もう総理大臣辞めたい。
「う、うう・・・・・・はぁ。さて。」
中島総理はそのエルーカディアの書類に手を付けた。とりあえず、保護は、シルバディアと同じ対応で良いだろうと身構えた。それがとんでもないことになるとは中島総理は、予想出来たであろうに疲れで見過ごしたのであった。
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「これ・・・・・・そういうことよね。」
「うおー・・・・・・」
千代田区。シルバディア宅。
「これで・・・・・・美味しい物・・・・・・いっぱい買える・・・・・・?」
「買えるけれど・・・・・・エル、これは献上されたのよ。」
「あっ・・・・・・そっかぁ・・・・・・」
須垣と天谷が苦い顔をする。総理には報告が行っている筈だ。なぜスマホとクレジットカードをエルーカディアに渡したのか・・・・・・なんてことは無い中島総理は疲労がピークに達して判断ミスしただけである。
「まずいわ。須垣。エルの対価は全て奇跡よ。地球に奇跡は早すぎる。」
「そうなのですか・・・・・・ですが、もうこうして来てしまったわけで・・・・・・」
「私も、食事の献上などは見過ごして対価の支払いを百年後、千年後、一万年後に後回しに出来るけど。現物を渡されたらエルに奇跡を渡しなさいと言わざるを得ないわ。」
「どう、なり、ますか。」
「今回のスマホとクレカを渡すのは総理が決めた事だから、奇跡は総理個人で済むと思うけれど、どうあがいても総理に奇跡は避けられないわ。」
「ですか・・・・・・」
「悪いけど無視は出来なくなったわ。スマホもクレカも、私達がいる間はずっと使える様にしてくれるわけでしょ。永続的な効果があるものを献上されたら対応しないと掟が意味を成さなくなる。」
「左様ですか・・・・・・」
「私達との取引を総理は嫌がるのもわかってる。でも伝えて。エルから対価を受け取る準備をなさいって。」
「承知しました。」
ひとまず話し合いを終える須垣達。だがここで天谷がひとつ、質問を口に出した。
「あの、シルバディアさん。」
「何?天谷。」
「エルーカディアさんの渡すものは奇跡だって言ってたんですが・・・・・・具体的に奇跡ってなんですか?」
「そうね。エルのなかで完結してるものもあって説明が難しいんだけど・・・・・・大抵は、干ばつ地帯への雨とか、洪水地帯への治水とかの災害への救済。他は超人の形成、強化。それと復活よ。」
「復活?」
「そう。死者蘇生。」
「死者蘇生!?」
「ええ。かなり条件が厳しいけどエルに掛かれば死者蘇生が可能なのよ。私も出来るわよ?」
「えええ・・・・・・」
「エルが何を渡すかわからないから推測になるけど、恐らく超人系の奇跡になるはず。
人間辞める系は流石に渡さないとは思うけれど・・・・・・」
「怖いですね・・・・・・」
「怖いわよそれはもう。エルは私ほど地球に染まってないんだから。」
「大丈夫でしょうか総理は。」
「一応私が着いて行ってヤバいものはヤバいって言うわね。」
「お願いします。」
とりあえずXデーに備えよう。エルは答えないと思うし。
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再び永田町。総理官邸。
「・・・・・・。」
「ですので、もう待たせてあります。」
「・・・・・・うう〜〜〜〜〜〜!!!」
床をゴロゴロと転がり駄々を捏ねる中島総理。みっともないがそうなるのも頷ける。
「ううう〜〜〜〜!!!いやぁ〜〜〜〜〜!!!須垣君代わって!!!」
「無理です・・・・・・しっかりしてください。」
「はぁ・・・・・・ぐす・・・・・・うう・・・・・・わかったわよ。」
すっくと立ち上がり切り替える中島総理。目尻に涙が浮かんでいるもののその顔は既に凜々しく整っていた。
切り替わりが早くなったのを喜ぶべきだが中島総理はそれを認めたくなかった。
「総理。待たせておりますので。」
「わかっている。わかっているわ・・・・・・すぅーーーー・・・・・・はぁ・・・・・・」
椅子に座り、のびをして、深呼吸する。覚悟を決めて腕を組む。
「・・・・・・地下会議室に移動するわよ。」
「わかりました。」
地下会議室に移動し、何が来ようとも不動の構えを取る中島総理。エルーカディアの対価の受け取りという一大行事に身構えるが身構えて何が出来るのかと自問自答する。今にも泣きたい。チョコ食べたい。早く寝たい。
「来ました。」
「入れてちょうだい。」
中島総理が許可すると重たいシールド扉が開かれる。そしてシルバディアとエルーカディア。天谷が入ってくる。
「ようこそ。シルバディアさん、エルーカディアさん。」
「ごきげんよう総理。」
「お〜・・・・・・」
「総理、お連れしました。」
大人しく椅子に座る二人と天谷。
「総理。早速、本題に入るわ。」
「ええ・・・・・・わかってます。携帯端末と、クレジットカードの対価ですね。」
「話が早いわ。そうよ。」
重たい沈黙が会議室を包む。エルーカディアだけは袋からどら焼きを取り出しむしゃむしゃと食べている。
「悪いんだけど、食事の献上くらいは止められたわ。でもスマホとクレジットカードだけは止められなかった。」
「では・・・・・・どうすれば対価を免れる事ができましたか・・・・・・?」
「スマホは機種だけ与えて使用料はこちらに委ねるとか・・・・・・クレジットカードで自由に永続的に使えるお金を渡すのではなく、少しずつ定期的に与えるの方が対価を免れるなら最適だったわね。」
「なる、ほど。シルバディアさん達に不自由を与えるわけにはいかないという気持ちが裏目に出たのね・・・・・・」
「そうね。私達は言えないけれど、いろいろなルールがあるの。」
「承知しました・・・・・・」
「でも学習したでしょ?」
「ええ。確かに。」
シルバディアは椅子にふんぞり返り、中島総理の次の言葉を待つ。
エルーカディアは奇跡を対価にする私達の中でもかなり異質な存在だ。
物やエネルギーを受け取っても全て奇跡で返す。他は無い。そして受け取る物も、消費出来るもの以外受け取らないという性質もある。
非常にめんどくさい。
一応、アルカディアというもう一体もいるが、そいつもそいつで取引はめんどくさいのでなるべく人類には会わせたくないなと思案する。
シルバディアは自分を棚に上げていた。
「じゃあ。受け取るわね?総理。」
「ええ。覚悟が出来ました。」
「わかった。エル?」
「はー・・・・・・い・・・・・・」
どら焼きを食べていたエルーカディアが手に持っていたどら焼きを口に放り込むともごもごと咀嚼しながら残りの袋を置く。
「そうりー・・・・・・なに・・・・・・欲しい・・・・・・?」
「とりあえず、どのような奇跡をいただけるんですか?」
「えっと・・・・・・ねー・・・・・・・雨を降らせる奇跡とー・・・・・・疲労が消える奇跡と・・・・・・聖者の奇跡とー・・・・・・」
「待った。」
「シルバディアさん?」
「エル、聖者の奇跡は無しよ。あげすぎ。」
「えー・・・・・・?」
「シルバディアさん・・・・・・聖者の奇跡とは・・・・・・?」
「死んだ時、一度だけ復活する奇跡よ。そして復活したら身体が聖人になる奇跡なの。人間を辞めることになるわ。」
「えええ・・・・・・」
「エル、選ばせるのは雨と疲労消しだけにしなさい。」
「うぃー・・・・・・」
「総理どうする?雨を降らせる奇跡と疲労を消せる奇跡。」
「それは・・・・・・どれほどの規模なのですか?」
「そうね・・・・・・雨を降らせるのは街一つに雨を降らせる。天気予報を無視して。」
「なるほど・・・・・・では疲労消しというのは?」
「巡礼者が巡礼で長距離歩いた時、祈りで疲労を消してもう一度歩き出す、という奇跡を再現した物よ。
あー疲れたなーって時に疲れ消えろーって祈れば消えるっていう単純な物。
誰かに悟られる事が一番少なくて安全な奇跡よ。」
「・・・・・・わかりました。」
中島総理が長考に入る。エルーカディアは再びどら焼きを食べ始め、シルバディアはペットボトルのサイダーを飲む。
須垣が議事録を記録する音だけが響き渡り、静かな会議室を形作る。そして意を決した総理が口を開いた。
「・・・・・・疲労消しの奇跡をいただけますか?」
「はいよー・・・・・・」
エルーカディアが中島総理に近づき、右手を差し向ける。すると手のひらから光球が出現し、ふわふわと中島総理の胸に吸い込まれた。
「終わりー・・・・・・」
「・・・・・・ありがとうございます。」
早速、中島総理は両手を合わせ、神社に参拝するように疲労が消えろと祈った。すると身体から溶けるように疲労が消え去り、あれほど重かった肩、あれほど堅かった首、むくんでいた手足、前進の至る所から疲労が消え健康を取り戻す。
中島総理はスッキリとした気分になって顔が輝くが、ストレスまでは消えてくれないんだなとがっくりと肩を落とした。
「どう?総理。奇跡を受け取ったけれど。」
「ええ。非常に有用ですねこれは。」
「私達が疲労をけしかけてるのはわかってるんだけど、なるべく疲労はとってね。」
「ありがとうございます。」
こうして奇跡の受け渡しは終わった。中島総理は胃痛で悩まされているが、疲労消しの奇跡で胃痛も消える。マッチポンプと言いたいところだがぐっと堪えた中島総理なのだった。