白翼の機械人形になった転生者は海賊(人助け)をしながら、世界を見守る。   作:キング・クリムゾン!!

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続きです。ゆっくりしていってね。


第十一話:『シャボンディの弾丸、そして交錯する二つの鉄拳』

巨木『ヤルキマン・マングローブ』の根から放たれる特殊な天然樹脂のシャボン玉が、至る所にぷかぷかと浮かぶ街――シャボンディ諸島。

世界政府の闇を一つ葬り去ったレオン・ユイは、愛船オーロ・ジャクソン号を41番GR(グローブ)の海岸に停泊させ、次の任務へのエネルギー充填(休暇)を兼ねて、珍しく観光がてら街を歩いていた。

 

いつもの緑のタンクトップ姿のまま、通りがかりの屋台で購入した名物の「シャボンタルト」を口に運ぶ。

 

「……フン。甘さの配合が絶妙だ。糖分補給の効率としては申し分ない」

 

『警告。周辺データに異常な電磁波の乱れを感知。……前方50メートル先、世界政府における最優先保護の天竜人が接近中。住民たちの恐怖心が98%に達しています』

 

ゼロシステムの警告と同時に、周囲の一般市民や海賊たちが一斉に地面に平伏し、激しく震え始めた。

道を歩いてくるのは、頭にガラスの宇宙服のようなカプセルを被り、不細工な顔を歪ませた天竜人。その手には太い鎖が握られており、首輪を嵌められた怪我だらけの男の奴隷が、四つん這いで無理やり歩かされていた。

 

「おい、歩くのが遅いぇ、この下民(げみん)めが!」

天竜人が容赦なく奴隷の男を蹴りつける。そのあまりの理不尽な光景に、周囲の人々は息を呑んで目を背けた。

 

だが、平伏しない男が一人。レオンはタルトを食べ終え、紙屑をゴミ箱へと正確に投げ入れると、冷徹な足取りで天竜人の正面へと歩み出た。

 

「おい! 何だお前は! 偉大なる創造主の末裔であるわちきを遮る気かぇ!?」

天竜人が激昂し、懐から黄金のピストルを引き抜いてレオンの眉間に銃口を向けた。

 

「……お前たちの存在そのものが、この世界の進化を阻害する非効率な害虫だ。――排除する」

 

「死ねェ、下民!」

天竜人が引き金を引いた瞬間、放たれた弾丸はレオンの顔面に触れるよりも早く、彼の放った純粋なストレートキックによって空間ごと掻き消された。

 

ドガァァァァァァァン!!!!!!!

 

覇気も悪魔の実の能力も必要ない。ウイングゼロフレームの圧倒的な質量と駆動出力が乗ったレオンの拳が、天竜人の顔面へ完璧にクリーンヒットした。

ガラスのカプセルは粉々に砕け散り、天竜人の身体は音速の壁を突き破って遥か後方の建物の壁へと叩きつけられ、白目を剥いて完全に気絶した。

 

「て、天竜人が殴られたァァァ!!! 海軍大将が来るぞォォ!!!」

周囲の住民たちが狂ったように絶叫し、蜘蛛の子を散らすように逃げ惑い始める。

 

レオンは騒ぎを完全に無視し、地面に倒れていた奴隷の男の首輪を掴むと、力任せに引きちぎって解放した。

 

「あ……ああ……」

男は信じられないものを見る目でレオンを見上げ、恐怖を通り越して涙を流しながら、レオンの足元に縋り付いた。

 

「お、お願いだ、白い羽の旦那……! 俺はどうなってもいい! でも、俺の妻が……ここから少し離れた『ヒューマンショップ』に囚われて、これからオークションに掛けられちまうんだ……! 助けてくれ、頼む……!」

 

男はそう言いながら、地面に頭を付けながら頼み込んできた。普通の人なら断るかもしれないが、レオン・ユイはお人よしの故、断らずに「分かった、場所はどこだ。」と言った。

 

「ッ!!ありがとう、本当にありがとう!!」

 

男は大粒の涙を流しながら感謝を告げる。

 

「礼には及ばない。それより早く向かうぞ。ゼロシステム、この島のヒューマンショップの場所を全て割り出せ。」

 

『ログを更新……。当該諸島内に存在する人身売買施設、計7箇所を補足。……これらは法的に禁止されているにもかかわらず、天竜人の利権によって黙認されている世界の闇です。……推奨案:一括解体』

 

レオンの瞳が、ゼロシステムと同調して冷たく光る。

「恋人を救う確率を100%にする。案内は不要だ、座標はすべて脳内に叩き込んだ」

 

レオンは背中の四枚の白い羽を激しく羽ばたかせ、音速でシャボンディ諸島の上空へと舞い上がった。

 

「――ウイングゼロフレーム、全武装のオンラインを確認。これより、全人身売買施設の強制解体を開始する」

 

まずは一番近い22番GRのヒューマンショップ。天井を突き破って轟音とともに降り立った死神(レオン)は、驚愕する悪党たちに向けて、両腕のビームガトリングを容赦なく掃射した。

 

バリバリバリバリバリバリ!!!!!!!!

 

「ギャァァァ! 何だこの白い羽のガキは!?」

「警備を出せ、撃て――」

 

悪党たちが悲鳴を上げる間もなく、施設の強固な鉄格子や武装集団は一瞬で蜂の巣となり、爆発の炎に包まれていく。レオンは囚われていた奴隷たちの鎖を次々とビームサーベルの微弱な熱線で焼き切り、全員を解放した。男の恋人である女性も、その中で無事に救出された。

 

だが、レオンの害虫駆除はそこでは終わらない。

「次だ。待たせるのは非効率だ」

 

レオンはそのまま諸島内を高速で飛び回り、24番GR、30番GR、45番GR……と、島中に点在する悪質なヒューマンショップを、文字通り片っ端からビームガトリングとバスターライフルで粉砕し、完全に更地へと変えて回った。

彼が通った後には、悪党たちの悲鳴と、自由を手にして涙を流す元奴隷たちの歓声だけが残されていった。

 

そして、諸島内で最も巨大な、天竜人御用達の『オークション会場(1番GR)』。

レオンが他の施設をすべて潰し終え、この最後の中枢へと向かって正面の扉を蹴り開けた、まさにその瞬間だった。

 

ズガァァァァァァァン!!!!!!!

 

レオンが立ち入るより一足早く、オークション会場のステージ上で大爆発が起きていた。

壇上には、顔面をへし折られてぶっ飛んでいく別の天竜人の姿。そして、その中心で怒りに拳を震わせ、麦わら帽子を深く被った見覚えのある少年が立っていた。

 

「こいつ……友達を傷つけやがって……!!!」

ルフィが、魚人のハチを撃った天竜人を殴り飛ばした直後だったのだ。

 

周囲の海賊や貴族たちが「海賊が天竜人を殴った!!!」とパニックになる中、ステージの袖からゾロ、サンジ、ナミ、そして合流したばかりのロビンたちが一斉に飛び出してくる。

 

「ちょっとルフィ! 本当に殴っちゃうなんて……!」

ナミが頭を抱えて叫んだその時、ロビンが入口に立つ「純白の羽」の影に気づき、美しい目を見開いた。

 

「あら……。まさか、こんなところで会うなんてね」

 

「え……? 嘘、レオン!?」

ナミが驚愕の声を上げ、ゾロやサンジも目を見張る。マストの上にいたルフィが、入口のレオンに気づいてパッと顔を輝かせた。

 

「おぉーーー! レオン!! お前もここにいたのか!」

 

レオンは二挺のツインバスターライフルを静かに消滅させ、腕を組んでルフィたちを見下ろした。

 

「……ルフィ。相変わらずお前たちの行動は、計算外の極みだな。まさか俺が周囲の売買施設をすべて更地にした直後に、本丸でお前が同じ天竜人(害虫)を殴り飛ばしているとは、ゼロシステムでも確率3%以下の同時多発エラーだ」

 

レオンの口調は冷淡だったが、その口元は微かに呆れたように緩んでいた。

 

「ししし! よく分かんねェけど、お前もあいつらが気に入らなかったんだな! じゃあ一緒にこいつらぶっ飛ばそうぜ!」

ルフィが拳を突き出す。

 

「断る。俺のこの島における人身売買システムの排除任務は、たった今100%完了した。これ以上お前たちの不条理に付き合うのは非効率だ」

 

レオンは背中の四枚の白い羽を大きく広げ、会場の天井の穴を見上げた。

海軍大将『黄猿』の軍艦が、すぐそこまで迫っている電磁波をゼロシステムが感知している。ここから先は、再びそれぞれの航路へと戻る時間だ。

 

「ルフィ、。……大将が来る。死ぬなよ」

 

レオンはそれだけ言い残すと、爆発的な推進力でオークション会場の天井へと飛び立ち、シャボン玉の舞う空へと消え去っていった。

天竜人を恐れぬ規格外の鉄拳と鋼翼が、このシャボンディ諸島で束の間の交錯を果たし、世界を揺るがす大事件の幕が、今まさに切って落とされるのだった。




次回:第十二話 『凍りつく戦雲と、白き翼の死神が選ぶ共闘』
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