白翼の機械人形になった転生者は海賊(人助け)をしながら、世界を見守る。 作:キング・クリムゾン!!
空から降ってきた軍艦の激突と共に、マリンフォードの戦場は完全に新たな局面へと突入した。
「エースーーーー!!! 今助けに行くぞォォォォ!!!」
ルフィの咆哮が、広場を揺るがす。インペルダウンの地獄から這い上がってきた囚人たち、ジンベエ、イワンコフらが一斉に戦場へと打って出た。その圧倒的な「不条理」の乱入により、十万の海軍兵の防衛陣形は至る所で決壊を始めていた。
しかし、その混沌の戦場において、ただ一人、ルフィたちの進軍とは完全に異なる殺意を持って動き出した男がいた。
元王下七武海、“砂漠の王”サー・クロコダイルである。
「……見つけたぞ。白き死神」
クロコダイルの鋭い眼光が、処刑台の前に佇むレオン・ユイを捉えていた。
かつてアラバスタ王国において、理想郷計画の最終段階で突如現れたこの少年に、すべての計画を『破壊』の名の下にスクラップにされ、己の野望を根こそぎ叩き潰された過去。インペルダウンの最下層に幽閉されている間も、その屈辱と復讐の炎が消えることはなかった。
「フン……。アラバスタの害虫か。インペルダウンから脱獄して、真っ先に俺の首を取りに来るとは、非効率極まりない」
レオンは冷徹にクロコダイルを見返した。
「効率だの害虫だの、相変わらず胸糞の悪ィ口を叩きやがる……! あの時の借りを、ここで返してやるよォ!!!」
クロコダイルの右腕が、瞬時に巨大な砂の刃へと変貌する。「『砂漠の宝刀(デザート・スパーダ)』!!!」
空間を切り裂く砂の斬撃がレオンへと襲いかかる。
レオンは即座にツインバスターライフルを連結させ、最大収束の熱線でクロコダイルごと周囲の砂を一網打尽に焼き尽くそうとした。だが、引き金に指をかけた瞬間、レオンの脳内にあるゼロシステムの警告画面が、真っ赤なエラーログを最優先で表示した。
『警告。射線軸の直線上に、ポートガス・D・エースが囚われている処刑台が存在します。……現出力でのツインバスターライフル発射による、処刑台の消滅確率:99.8%。ポートガス・D・エースの死亡確率:100%』
「……っ!?」
レオンの指が、ほんのわずかに硬直した。
目の前のクロコダイルを狙い打てば、その破壊光線はクロコダイルを貫通、あるいは巻き込み、その遥か後方にある処刑台をエースごと完全に消し飛ばしてしまう。ロジャーの血脈を守るというレオンの最優先ミッションと、完全にエラーが生じるのだ。
「フハハハハ! どうした死神! ご自慢のバカでかい大砲が撃てねェようだなァ!!」
クロコダイルは海賊としての百戦錬磨の勘で、レオンが背後の処刑台を庇っていること、そしてその強力すぎる武器が『街中や守るべき対象がある場所では使えない』という致命的な制約を孕んでいることを瞬時に見抜いていた。
ザザザザザッ!!!
「『干割(ひわれ)』!!!」
クロコダイルの身体が砂嵐と化し、レオンの死角へと急速に回り込む。ライフルの射線軸を完全に封じられたレオンは、次なる最適解として、接近戦用の武装――ビームサーベルの抜刀を選択しようとした。
しかし、それすらも遅かった。
『警告。クロコダイルとの相対距離、すでに2メートル未満。……ビームサーベルの起動および抜刀プロセス完了まで、あと0.4秒。……敵の攻撃到達まで、あと0.1秒。――迎撃、間に合いません』
「終わりだァ、鉄のガキが! 砂漠で干からびやがれ!!!」
間合いはすでにゼロ。
クロコダイルの水分を根こそぎ奪い取る悪魔の右手が、レオンの胸元へと肉薄していた。
バスターライフルは射線上のエースを巻き込むため撃てず、ビームサーベルを抜く猶予すら、クロコダイルの驚異的な突進速度の前には残されていない。
ゼロシステムが弾き出した、レオン・ユイのボディの大破確率:87%。
かつてない致命的な計算違いが、白き死神を襲う。その瞳は、光を失ってしまっていた。
「ここまでか」
クロコダイルの攻撃はレオンの身体を貫いた。
次回:第十七話 『道化の怒りと、崩壊の淵から響く駆動音』