白翼の機械人形になった転生者は海賊(人助け)をしながら、世界を見守る。 作:キング・クリムゾン!!
「逃がさねェぞ……! 白ひげ海賊団も、ロジャーの血統も、麦わらも、レオンもォォォ!!!」
黒ひげ海賊団の乱入によって混沌が極まるマリンフォード。白ひげの壮絶な戦死とティーチによる「グラグラの実」の能力奪取という最悪の混乱の中、なおも執念で追いすがる海軍兵たちと大将サカズキの怒号が轟く。
だが、白ひげがその命と引き換えに穿った巨大な地割れと、レオンが三大将の包囲網を力尽くでこじ開けた軌跡が、海賊たちに絶対的な逃走路を作り出していた。
「全速前進ーーーっ!!! オヤジの最後の命令だ! 一人たりとも死ぬなァ!!!」
一番隊隊長マルコの悲痛な叫びとともに、白ひげ海賊団の船、そしてジンベエやバギーたち脱獄囚を乗せた軍艦が、ついにマリンフォードの湾外へと離脱を開始した。
「ハァ……ハァ……! 逃げ切れる……! 本当にあの地獄から逃げ切れるぞォォ!!」
バギーが甲板で大号泣しながら叫び、囚人たちが狂喜乱舞の歓声を上げる。
「ししし……助かったのか……! エース!」
「ああ……。オヤジを失っちまったのは……無念だが、俺たちは生き残った……!」
甲板で肩を寄せ合い、息を荒らげるルフィとエース。その頭上、船のマストの頂点に、漆黒の羽を休めたレオン・ユイが舞い降りた。
キィィィィン……。
ウイングゼロフレームの過熱した駆動音が、潮風に吹かれて静かに収まっていく。
レオンの全身を覆っていた禍々しい漆黒の生体組織が、自己修復と冷却プロセスの完了に伴い、少しずつ剥がれ落ちていった。四枚の羽から漏れていた紫色の瘴気も消え去り、かつての純白の鋼鉄の翼と、凛とした姿がゆっくりと戻ってくる。
『ゼロ・システム・ゼロ、スタンバイモードへ移行。……機体損傷率:18%。……生体マトリクスの修復、完了しました』
「……フゥ。機体冷却完了。思考プロセッサーも正常値へと復帰した」
レオンがマストから軽やかに甲板へと飛び降りると、エースとルフィ、そしてジンベエがすぐさま歩み寄ってきた。
「レオン……! お前、元の白くてキレイな姿に戻ったな!」
ルフィが目を輝かせてレオンの腕を突く。
「……触るなと言っている。ナノラミネート装甲の表面処理が乱れる」
冷淡に袖を払うレオンだったが、エースはその眼前で深々と頭を下げた。
「レオン。親父を失った傷は消えねェ……。だが、お前がいなけりゃ俺は処刑台で死んでたし、ルフィも無事じゃ済まなかった。……感謝する。ロジャーの親父の船の『死神』……いや、俺たちの恩人だ」
「……感謝は不要だ、ポートガス・D・エース。私はロジャーとの約束、そしてゼロシステムの弾き出した『正解』に従ったまでに過ぎない」
レオンはエメラルドグリーンの瞳で二人を交互に見つめ、静かに二挺のツツインバスターライフルのメンテナンスを始めた。
「お前たちが生き残ったことで、世界政府の独善的なは大きく揺らぐ。……これから先の時代、お前たちがどう足掻き、どう生きるか……それが私の観察対象(ミッション)だ」
その時、荒れる大海の遥か彼方から、一隻の赤髪海賊団の船――『レッド・フォース号』が戦場へと向かって航行してくるのが見えた。
四皇“赤髪のシャンクス”の介入により、マリンフォードの「頂上決戦」は、真の終戦を迎えようとしていた。
「シャンクス……!」
ルフィが遠くの船影を見つめ、固く麦わら帽子を握りしめる。
「会いたいが……今はまだダメだ。約束したんだ、立派な海賊になってから会うって……!」
「……賢明な判断だ、ルフィ。お前たちの現在の疲弊度では、これ以上の戦闘も接触も非効率極まりない」
レオンは四枚の純白の羽を大きく広げ、青空へと向かって一気に浮上した。
「レオン!? お前、どこ行くんだよ!?」
ルフィが驚いて見上げる。
「俺はひとまず別ルートで戦域を離脱し、機体の完全オーバーホールを行う。……ルフィ、エース。次に会う時まで、その生命力を維持しておけ」
「ハッ、言われなくても死にやしねェよ!」と不敵に笑うエース。
「おう! またな、レオン!!」と手を振るルフィ。
「おいレオン!! 俺様を置いていくんじゃねェよバカヤロー!!」と下で叫ぶバギーの怒号を背に受けながら、白き翼の死神は、青澄み渡る新時代の空へと向かって音速で飛翔していった。
頂上決戦の歴史は書き換えられた。
エース生還、白ひげの死、そして白き翼の死神の再臨――。
世界を揺るがす大激動の嵐を乗り越え、物語は新たなる時代のうねりへと突き進んでいく。
次回:第二十八話 『波紋の旋律、世界を揺るがす死神の影』