白翼の機械人形になった転生者は海賊(人助け)をしながら、世界を見守る。 作:キング・クリムゾン!!
マリンフォードで吹き荒れた狂乱の宴が終わり、数日が経過した。
四皇“赤髪のシャンクス”の仲裁によって「頂上決戦」は終結を見たが、その結末が世界中に与えた衝撃は、過去いかなる大事件をも遥かに凌駕していた。
世界経済新聞の号外が空を舞う。
『火拳のエース、極刑を免れ脱出!!』
『四皇“白ひげ”マリンフォードに死す――新たな時代の幕開け』
『海軍本部壊滅的打撃――三大将を退けた“白き翼の死神”レオン・ユイとは何者か!?』
新聞の一面には、処刑台の上空で四枚の漆黒の羽を広げ、紫色の瘴気を纏って不気味に輝くレオンの姿が、鮮明な写真と共に躍っていた。
「……ハッ、派手に書かれちゃってまぁ」
グランドライン某所、傷を癒やす白ひげ海賊団の残党が身を寄せる孤島。
ベッドの上で体を起こしたポートガス・D・エースは、届いたばかりの新聞を眺めながら苦笑いを浮かべた。その傍らには、ジンベエに支えられながら安らかな寝息を立てるルフィの姿があった。
「あのガキ……いや、レオンがいなければ、間違いなくワシらは全滅しておった」
ジンベエがしみじみと語る。
「世界政府も、まさかロジャーの船にいたやつが、これほどまでの牙を剥くとは思ってもみなかったはずじゃ」
「ああ……。親父を救えなかったのは悔やんでも悔やみきれねェ……。だけど、レオンが繋いでくれたこの命、無駄にはできねェよ」
エースは強く拳を握り締め、窓の外の青空を見上げた。その空のどこかに、あの冷徹で温かい「死神」が飛んでいるのだと確信しながら。
その頃、聖地マリージョア――『権力の間』。
最高権力者である「五老星」たちが、重苦しい沈黙の中で緊急会議を開いていた。彼らの手元には、レオン・ユイに関するロジャーの時代の極秘ファイルと、マリンフォードでの戦闘記録データが山積みになっている。
「……ウイングゼロ、そして“メカメカの実”の構造変化による『覚醒』……」
「まさか、あのロジャーの船に乗っていたガキが、ここへ来て歴史の絶対的なイレギュラーとして立ち塞がるとはな」
「クロコダイルを一撃で粉砕し、サカズキのマグマすら押し返したあの火力……。野放しにしておけば、世界政府の800年の秩序が根底から覆るぞ」
「懸賞金を改定しろ。……もはや『海賊』としての枠組みでは括れん。世界の均衡を脅かす『古代兵器級の力』を持つとして、全海軍に即刻抹殺指令を発令せよ」
机の上に叩きつけられた手配書。
そこには、レオンの冷徹なエメラルドグリーンの瞳の写真と共に、前代未聞の破格の数字が印字されていた。
『レオン・ユイ』
『ONLY DEAD:BERRY 4,500,000,000-(45億ベリー)』
四皇クラスに匹敵する、あまりにも異常な超高額懸賞金。世界政府が彼に対して抱く「底知れぬ恐怖」の表れであった。
一方、凪の帯(カームベルト)にある地図に載っていない無人島。
その島の奥の洞窟の中でレオン・ユイは四枚の純白の羽で体を覆い、繭のようにして静かにしていた。
キィィィィィン……。
胸部の排熱ベントからわずかな白煙が上がり、壊れた内部回路の自己修復が着々と進行していく。
『機体損傷率:3%まで回復。……ナノラミネート装甲の分子再配列、完了。……新世界の気象データおよび海軍の暗号通信を受信中』
「……世界政府の懸賞金引き上げを確認。45億ベリーか。無駄な予算の消費だな。俺を金で討伐できると考えているのなら、彼らの思考そのものは相当狂っている」
レオンはエメラルドグリーンの瞳をゆっくりと開いた。
その視界には、眼下に広がる広大な青い海と、これからルフィたち......もとい、麦わらの一味が挑むであろう「新世界」の雲海が映し出されていた。
「……ポートガス・D・エースの生存により本来の歴史とは大きく変動した。……ルフィが『海賊王』に至るまでの確率論的ルートを、再計算する必要がある」
二挺のツインバスターライフルを背中に静かにマウントし直すと、レオンの全身から純白の光粒子が放たれた。
「システム……次の行先をセット。――行こう、新世界へ」
そして体を覆っていた純白の4枚白い翼を静かに広げ、洞窟の外へ出ると回収しておいた自分の船に乗り込み、新世界に向けて舵を取った。
次回:第二十九話 『集結の刻、そしてそれぞれの選択』