白翼の機械人形になった転生者は海賊(人助け)をしながら、世界を見守る。 作:キング・クリムゾン!!
頂上決戦の熱狂が去り、世界が新たな勢力図に揺れる中、新世界への入り口に位置する「シャボンディ諸島」の41番GR。
半壊した軍艦の影で、キャプテン・バギーは血を吐くような思いで手紙の束を握りしめていた。インペルダウンから付いてきた屈強な脱獄囚たちが、涙を流しながら彼を胴上げしている。
「バギー船長ォォォ!! 王下七武海からの勧誘が来ただなんて、やっぱりあんたは本物の伝説だァーーー!!!」
「白ひげにタメ口を叩き、あのレオンとロジャーの船で弟分だった男!! 俺たちは一生付いていきます!!!」
「ぎゃははは! 当たり前だバカヤロー! 俺様を誰だと思ってんだ!!」
バギーは高らかに笑い飛ばしながらも、密かに遠い空を見上げて冷や汗を拭った。
(……ったく、レオンの奴……。無事でいやがるんだろうな。45億ベリーだなんて頭の狂った懸賞金をかけられやがって……。ロジャーのオヤジの船にいた頃は、ただのクソ生意気で冷血な見習いコックだったってのに……)
バギーの脑裏に、かつてオーロ・ジャクソン号の厨房で、スープの味付けについて淡々と論理的に解説してきた若きレオンの姿が浮かぶ。
「……フン。生きてりゃまた会うこともあるだろ。俺様は七武海としてのし上がって、世界中の宝を根こそぎ手に入れてやる!!!」
バギーの決意の咆哮が、シャボンディのヤシの木々を揺らしていた。
同じ頃、ルフィとエースは、女ヶ島の極秘エリアにて、冥王シルバーズ・レイリーと対峙していた。
「……なるほどな。レオンが介入したか」
レイリーは杯を傾けながら、どこか懐かしそうに目を細めた。
「あいつの考えることは、昔から一貫して『効率』と『ロジャーとの約束』だけだ。だが……今回の暴走で、奴自身も気づいていない『感情』がに組み込まれたようだな」
「レイリー、レオンは強いぞ! めちゃくちゃ強くて、かっこよかったんだ!」
ルフィが目を輝かせる。
「ああ……。だが、今の俺たちのまま新世界へ進めば、またレオンに守られるだけの存在になっちまう」
エースが燃えるような瞳で自分の拳を見つめた。
「俺は、親父が守ってきたナワバリを守る。親父の残した『家族』を守るために、新世界で力を蓄える」
「そして、ルフィ……お前には今のまま新世界へ突入するには覇気もスタミナも足りん」
レイリーが静かにルフィを見つめる。「2年だ。2年間、修行をして力を蓄えろ」
ルフィは一瞬だけ悔しそうに顔を歪めたが、マリンフォードでレオンや大将たちが見せた圧倒的な領域を思い出し、力強く頷いた。
「おう……! 2年だ! もっと強くなって、2年後にみんなでシャボンディ諸島に戻るんだ!!!」
新世界のとある海域に発生している雲海を貫く巨大な積乱雲の頂点にある無人の空島。
レオン・ユイは四枚の純白の羽を休め、静かに膝を抱えて大気の流れをモニタリングしていた。
『通信解析完了。……モンキー・D・ルフィ、およびポートガス・D・エースの今後の行動インデックスを取得。……ルフィ:2年間の修行フェーズへ移行。……エース:白ひげ海賊団のおよび新世界にあるナワバリの防衛フェーズへ移行』
「……2年の猶予か。不確実性の高い人間にしては、極めて論理的で効率的な判断だ」
レオンのエメラルドグリーンの瞳が、静かに明滅する。
胸部のエイハブ・リアクターが静かに脈動し、覚醒した「堕天使」のデータ、そしてゼロ・システム・ゼロの暴走ログを自己診断プログラムで1ミリ単位で最適化・圧縮していく。
「2年後……新世界のバランスは完全に崩壊しているだろう。……ルフィ、エース。お前たちがその不条理な力で時代をどう塗り替えるか、私のウイングゼロフレームが最後まで見届ける」
キィィィィィィィィン……!
レオンの全身から美しい純白の粒子が溢れ出し、彼は静かに島の雲海の奥深かくと姿を消した。
死神は眠りにつくのではない。
2年後の『新世界編』という、さらに過酷な戦場を見据え、その機体を極限までアップデートさせるための潜伏期間に入ったのだ。
オリジナル強化をします。
次回:第三十話 『二年の静寂、舞い散る純白の舞闘』