白翼の機械人形になった転生者は海賊(人助け)をしながら、世界を見守る。 作:キング・クリムゾン!!
マリンフォードの激闘から、二年の月日が流れた。
新世界の過酷な海域、常に巨大な落雷と磁気嵐が荒れ狂う無人島「ライジン島」。その中心にそびえ立つ断崖絶壁の頂にて、レオン・ユイは深い沈黙と共に佇んでいた。
ガチガチガチ……キィィィィィン……。
静寂を破り、ウイングゼロフレームの心臓部が心地よい高音の駆動音を鳴らす。
この二年、レオンはただ体を休めていたわけではない。ゼロ・システムの自己学習能力と“メカメカの実”の構造操作を極限まで同調させ、機体スペックを根本から再構築(アップデート)していたのだ。
『ゼロ・システム、最新追加プログラムの同調率:100%。……新開発兵器『フェザーファンネル』、全システム正常に稼働可能』
レオンはエメラルドグリーンの瞳を静かに開いた。
かつてのウイングガンダムゼロには存在しない、オールレンジ攻撃用の追従型端末――それこそが、この二年の演算でレオンが生み出した独自の解答だった。
「……試運転を開始する」
レオンが静かに呟くと、背中にたたまれた四枚の純白の翼から、ハラハラと美しく繊細な羽根が舞い落ち始めた。
その羽は、単なる装甲の欠片ではない。
一枚一枚にエイハブ・リアクターの小型出力炉とビーム偏向フィールド発生器が内蔵された、超高精度オールレンジ攻撃端末――『フェザーファンネル』。
「展開」
レオンのゼロ・システムを応用することでと同期した瞬間、舞い散っていた羽たちが重力を無視して空間にピタリと静止した。その数、三十基。
空間に散らばった三十の純白の羽は、まるで自我を持つ生物のように生き生きと旋回し、周囲の雷雲から放たれた巨雷を全方位から一瞬で迎撃・無効化していった。
「……防御陣形」
レオンが短く命じると、三十基のフェザーファンネルがレオンの周囲へ超高速で立体に配置された。それぞれのファンネルからエネルギーフィールドが隙間なく展開され、完全な球状の防御フィールドを形成する。
ズドォォォォォォォン!!!!
島を揺らすほどの巨大な落雷が直撃したものの、その衝撃と熱量は防御フィールドの表面を滑るように霧散し、内部のレオンには1ミリの振動すら伝わらなかった。
「……効率的だ。全方位からの覇気攻撃、および広域破壊兵器に対する防御確率は99.8%まで上昇した。攻撃への即時転換も問題ない」
羽を優雅に羽ばたかせると、三十個のフェザーファンネルは美しい光の粒子を撒き散らしながら、再びレオンの四枚の翼へと吸い込まれるように完全同化した。
キィィィィィン……。
機体チェックを終えたレオンは、遠く雲海の向こう――シャボンディ諸島がある方向へと視線を向けた。
『データ受信。……シャボンディ諸島にて、モンキー・D・ルフィおよび“麦わらの一味”の集結を確認。……隊長たちが率いる白ひげ海賊団残党も新世界にて順調に縄張りを維持中』
「.......『不条理』な者達が、再び動き出したか」
ふっと、レオンの唇にわずかな冷笑が浮かぶ。
二年という歳月は、ルフィたちだけでなく、彼らを守り観察する「死神」をも異次元の領域へと進化させていた。
「……ルフィ、エース。お前たちが創り出す新たな時代、見届けさせてもらう」
ドォォォォォォォン!!!!
背中の純白の翼が一瞬で展開され、音速の壁を爆砕する衝撃波がライジン島を揺らす。
進化を遂げた白き翼の死神レオン・ユイは、麦わらの一味再集結を見届けるため彼らの集結地である「新世界」の入り口であるシャボンディ諸島へと向け、船を走らせた。
次回第三十一話:『再会、そして新世界への扉』