白翼の機械人形になった転生者は海賊(人助け)をしながら、世界を見守る。 作:キング・クリムゾン!!
サウザンド・サニー号が深海へと潜航していくのを見届けたレオン・ユイは、新世界の拠点に停泊させてある自分の船へ戻るため、単身で大空へと飛翔していた。
新世界とグランドラインを隔てる巨大な赤い壁――レッドライン。
その雲を貫く頂上を越えるため、レオンは純白の四枚の羽を爆発的に羽ばたかせ、超音速で高度を上げていく。
キィィィィィィィィン……。
静謐な大気圏近くを飛行していたその時、眼下に広がる建造物群――世界政府の心臓部であり、神々の住処と称される『聖地マリージョア』が視界に入った。
『環境データ取得中……。聖地マリージョア上空を通過。……バイタルサインの異常集中を検知。……解析:多数の生体反応に極度の苦痛および衰弱が確認されます』
「……ん?」
レオンのエメラルドグリーンの瞳が、ズームインしたメインカメラの映像を捉える。
そこには、絢爛豪華な街並みの石畳を、首に爆薬の首輪をはめられ、四つん坊で重い荷物を曳かされる人間たちの姿があった。彼らを鞭で打ち据え、笑いものにしている天竜人たちだった。
『痛いか? えぇ!? 下民風情が! もっと速く這うのよ! ほーっほっほ!』
『お父上様、あの奴隷が倒れたら新しいのに取り替えて!』
その光景が網膜に焼き付いた瞬間――。
バチチチチチッ……!
レオンのウイングゼロフレームの心臓部(エイハブ・リアクター)が、かつてない異常な高熱を帯びて激しく脈動した。
「……何だ、この胸の不快感は」
ゼロ・システムは冷徹な演算を提示する。《介入の必要性:0%。エネルギーの無駄な消費》。
だが、かつてロジャーと共に自由のために海を駆け抜けたレオンの魂が、その論理回路を強行突破した。
「……自分たちを『神』と錯覚し、他者の尊厳を踏みにじるシステム……。やはり、この聖地そのものが世界最大の致命的な害悪だ」
レオンの瞳が、静かに、しかし凄まじい「静かな怒り」によって紅く明滅した。
「……消滅しろ、神を名乗るゴミどもが」
レオンは空中で反転。両手に二挺のツツインバスターライフルを構え、その銃口を聖地マリージョアの中心部――パンゲア城と天竜人たちの居住区へと向けた。
キイィィィィィィィィン!!!!
「な……なんだぇ、あの光は!?」
「空に……悪魔のような羽が生えたガキが……!?」
警護の海軍兵やCP0が気づいた時には、すでに遅かった。
「――『ツインバスターライフル・バースト・シュート』」
ズガァァァァァァァァァァァァァァン!!!!!!!!!!!!!!!
漆黒と純白の光線が合一した二条の超高エネルギーの濁流が、天を裂いて聖地へと着弾した。
ドゴォォォォォォォォォォォォン!!!!!!!!
大地が鳴動し、数百年の歴史を誇る白亜の宮殿群が一瞬にして蒸発・粉砕されていく。莫大な熱波と衝撃波がマリージョアの半分を呑み込み、天竜人たちの居住区は跡形もなく吹き飛ばされた。
「ギャアアアアアアあっ!!?」
「神々の住処が……マリージョアが壊れていくぅぅぅ!!」
レオンは間髪入れず、背中から三十個のフェザーファンネルを一斉射出。
ハラハラハラ……と美しく舞い散る純白の羽たちは、超音速で奴隷たちの首元へと肉迫すると、微細なビーム一撃で爆薬の首輪だけを正確無比に切断・解体していった。
「首輪が……外れた!?」
「自由だ……! 助かったんだ!!」
「走れ。ここはもうじき、ただの瓦礫の山となる」
レオンの冷徹な声が、全壊した聖地に響き渡った。
「よくも……よくも神聖なるマリージョアをこのような惨状にしてくれたな、害虫めが……!!」
崩れ去ったパンゲア城の瓦礫の奥底から、凄まじい覇気と圧迫感が渦を巻いて噴き出した。
煙の向こうからゆっくりと歩み出てきたのは――五老星の5人。
それぞれが異形の威圧感を放ち、その瞳には世界政府の頂点としての冷酷な狂気と殺意が宿っていた。
「レオン・ユイ……。ロジャーの船の『死神』か」
「懸賞金を付けるだけでは生温かったようだな。世界の秩序を破壊する狂った兵器め」
「神の領域を侵した不敬……もはや生かして返さぬ。我らみずから、貴様に『神の鉄槌』を下してくれる」
五老星たちが一歩を踏み出すと、周囲の大気が重力に耐えかねてメリメリと歪み始めた。
「……神だと?」
レオンは四枚の純白の羽を優雅に広げ、二挺のライフルの照準を五老星に静かにさせた。
「……お前たちは神などではない。世界を腐敗させる、ただの老いたハエだ。――システム、最大戦闘モード。排除を開始する」
聖地マリージョアの廃墟の上で、世界の頂点『五老星』と、全力を開放した『白き翼の死神』レオン・ユイの、歴史に残る極限の死闘が幕を開けようとしていた。
次回:第三十三話 『神々の咆哮、深淵の死闘』