白翼の機械人形になった転生者は海賊(人助け)をしながら、世界を見守る。 作:キング・クリムゾン!!
パンクハザードの暴風が収まり、崩壊した研究所の広場には、麦わらの一味、トラファルガー・ロー、そして海軍G-5支部の面々が集っていた。
レオン・ユイの手によって完全無力化され、ローの能力『ROOM』によって心臓と身体を物理的に拘束されたシーザー・クラウンが、涙と鼻水を撒き散らしながら惨めに転がっている。
「くそぉ……! 覚えてろよお前ら! 俺にこんなことしてジョ-カーが黙っちゃいねェぞ! カイドウの手によって全員八つ裂きだァ!!」
「やかましい、静かにしてろ」
ローは冷淡にシーザーを蹴り飛ばすと、複雑な表情でマストの影に佇むレオンを見上げた。
「……レオン・ユイ。お前のおかげで毒ガスの被害は皆無、シーザーの捕獲も予定より大幅に早く完了した。……だが、なぜそこまで俺たちの『海賊同盟』の手助けをする?」
レオンは四枚の純白の翼を静かにたたんだまま、エメラルドグリーンの瞳をローへと向けた。
「手助けではない。お前たちの同盟が叩き潰そうとしている『新世界の闇』というシステムが、世界政府の裏の補給線となっているからだ。……非効率な不条理(闇の取引)を根元から絶つ。私の目的と行動原理は、常にそれだけだ」
「おい! レオン!!」
肉を骨ごと噛みちぎっていたルフィが、口のまわりをギラギラさせながら駆け寄ってきた。
「お前、これからどうするんだ? やることねぇなら一緒にドレスローザへ行こうぜ!」
「……拒否する。俺が直接前面に出れば、世界政府および海軍本部のバスターコール級の戦力がドレスローザへ集中し、お前たちの作戦行動における不確定要素が増大する」
レオンは冷冷と言い放ちながらも、二挺のツインバスターライフルを静かに背中にマウントし直した。
「……だが、ドレスローザにはドフラミンゴの配下だけでなく、世界政府の暗部『CP0』、そして海軍大将が投入される確率が92%だ」
「大将……!?」
ローの眉間にしわが寄る。
「……お前たちの狙う『SMILE工場』の破壊、そしてドレスローザの解放。それを成し遂げるための『影の防護壁』として、俺は別ルートでお前たちを追撃する敵システムを遮断・処理する」
その時、パンクハザードの上空から、異様な殺気を孕んだ風が吹き抜けた。
「……チッ、来たか」
レオンの視界が、新世界の雲海を高速で飛来する一つの影を捉えた。
ドレスローザの王にして、王下七武海――“天夜叉”ドンキホーテ・ドフラミンゴである。自分のビジネスとシーザーの危機を察知し、自らの能力で雲に糸をかけて直接飛び込んできたのだ。
「……ルフィ、ロー。今すぐシーザーを連れてサニー号で出航しろ。……ドフラミンゴの足止め(遅延処理)は私が引き受ける」
「レオン! お前、一人で大丈夫か!?」
ルフィが振り返る。
「俺を誰だと思っている。……私はウイングゼロフレーム、そしてロジャーの船の『死神』だ。時間を浪費せず、早く行け」
キィィィィィィィィン……!
レオンの全身から純白の粒子が眩いばかりに溢れ出し、背中の四枚の羽が一瞬で全開に展開された。
『ターゲット:ドンキホーテ・ドフラミンゴ。……距離:12,000メートル。……これより遅延および迎撃シーケンスを開始』
「行くぞ野郎ども! サニー号、出航だァーーー!!!」
ルフィの叫びと共に、サニー号が南の海へと向かって風を切る。
その背後、氷と炎の島の青空へ向かって、白き翼の死神レオン・ユイが、空を切り裂く一筋の光となって飛翔していった。
新たなる惨劇の舞台『ドレスローザ』を巡る歯車が、いま激しく回り始める。
次回:第四十話 『空上の交錯、糸を絶つ白き閃光』