白翼の機械人形になった転生者は海賊(人助け)をしながら、世界を見守る。 作:キング・クリムゾン!!
パンクハザードの上空数千メートル。
雲海に薄い糸を張り巡らせ、凄まじい速度で空を駆けるピンクの羽毛コートの男――ドンキホーテ・ドフラミンゴ。
そのサングラスの奥の瞳には、冷酷な怒りと焦燥が滾っていた。
「フフフフフ……シーザーの奴め、ヘマ踏みやがって。トラファルガーも、麦わらも……まとめてこの手で引き裂いてくれる……!」
ドフラミンゴが手をかざし、さらに前方の雲へと糸を伸ばそうとしたその瞬間――。
キィィィィィィィィン……!
空気を切り裂く高音の駆動音と共に、一筋の純白の光線が雲海を水平に穿ち、ドフラミンゴが足場にしていた雲と糸を一瞬で蒸発させた。
「……ぬ!? 重力波……いや、ビームか!?」
足場を失い、空中へと投げ出されたドフラミンゴは、すぐさま周囲の雲へと新たな糸を打ち込もうとした。しかし、その視界を無数の純白の羽が覆い尽くす。
ハラハラハラ……。
舞い散る三十の羽。その中心で四枚の美しい翼を優雅に広げ、二挺のツインバスターライフルを構える少年――レオン・ユイが静かに滞空していた。
「フフフフフ……! これは驚いたな。聖地マリージョアを半壊させ、懸賞金45億をかけられた“白き翼の死神”レオン・ユイか……!」
ドフラミンゴは空中にとどまりながら、凶悪な笑みを崩さずにサングラスを直した。
「元ロジャー海賊団の生き残りが、なぜ俺のビジネスを邪魔する? シーザーとローはどこへ連れ去った……?」
「……ドンキホーテ・ドフラミンゴ」
レオンのエメラルドグリーンの瞳が、静かにドフラミンゴのバイタルと糸の波長を観察する。
「お前が統治するドレスローザ、および『SMILE』の闇取引は、世界政府の腐敗を加速させる有害なシステムだ。……これ以上の進行を阻止する」
「ハハハハハ! システムだと!? 青臭いガキが語るんじゃねェよ!! この海の頂点に立っているのは世界政府であり、俺たち天竜人の血脈だ! 俺の安息を、闇の取引を……貴様ごときに邪魔されてたまるかァ!!!」
「――『オーバーヒート』!!!」
ドフラミンゴの手のひらから放たれた、高熱を帯びた一本の極細の糸が、音速を超えてレオンの胸元へと突き刺さる。
ズガァァァン!!!!
激しい爆煙が上がり、空中に衝撃波が広がる。
だが――煙の向こうから現れたレオンのナノラミネート装甲には、かすり傷一つ付いていなかった。
「……切断効率:0%。高熱エネルギーの吸収率:100%。……お前の糸の構造は、ウイングゼロの装甲分子を解体するには程遠い」
「な……なに……!?」
ドフラミンゴの笑顔が引きつる。
「――『フェザーファンネル・ブレイク』」
ハラハラハラ……!
レオンの合図とともに、三十個のフェザーファンネルが一斉に全方位から飛翔。ドフラミンゴが空中に張り巡らせていた「雲へ繋がる全ての糸」を、極細の光線で完璧に切断・消滅させた。
「しまっ……! 雲への糸が……!?」
足場を完全に奪われ、海面へと落下していくドフラミンゴ。
「……ルフィとローは、すでにお前の待つドレスローザへと向かっている。……お前の裁きは、あの世代の手によって下されるのが最も確率論的に正しい」
レオンは冷徹に見下ろしながら、バスターライフルを背中へとマウントした。
「行け、ドフラミンゴ。お前の偽りの王国が崩壊するカウントダウンは、すでに始まっている」
ドォォォォォォォン!!!!
音速の衝撃波を残し、白き翼の死神はドレスローザの上空へ向けて先回りするように飛翔していった。
空中で体制を立て直そうともがくドフラミンゴの咆哮が、パンクハザードの雲海に虚しく響き渡るのだった。
次回:第四十一話 『愛と情熱の国』