白翼の機械人形になった転生者は海賊(人助け)をしながら、世界を見守る。 作:キング・クリムゾン!!
砂漠の太陽は容赦なく照りつけ、レインベースの街並みを陽炎の向こうへと歪ませていた。
王下七武海サー・クロコダイルの本拠地、カジノ「レインディナーズ」。その地下深くに設置された巨大な檻の中に、麦わらの一味のルフィ、ゾロ、ナミ、ウソップ、そして海軍の大佐スモーカーは閉じ込められていた。
「くそっ! なんだこの檻は、力が全然入らねェ……!」
ルフィがぐったりと鉄格子に掴まりながら、情けない声を上げる。
「無駄よルフィ。それは『海楼石』で作られた格子よ。悪魔の実の能力者の力を完全に封じ込める、海のエネルギーを持つ特殊な石なの」
ナミが檻の奥で膝を抱え、困り果てたようにため息をついた。隣ではスモーカーが不機嫌そうに葉巻をふかしている。
檻の向こう側の高台には、ガラス越しに彼らを見下ろすクロコダイルと、その傍らに佇むミス・オールサンデー(ロビン)の姿があった。
「クハハハハ! 哀れなもんだな、麦わら。貴様らの冒険もこの砂漠の地が終着駅だ」
クロコダイルが金色の義手を光らせ、冷酷に笑う。「そして……お前たちを餌にしていれば、あの煙たい『幽霊』も自ずとここに誘い出されるというわけだ」
「……幽霊? 誰のことかしら」
ロビンが知的な笑みを浮かべながら、わざとらしく問いかける。
「知れたことよ。48年前の亡霊――レオン・ユイだ。奴がどれほどの化け物だろうと、この『海楼石の檻』の前に引きずり出せば、ただの無力な18歳のガキに成り下がる。能力に頼り切った奴らの敗因は、いつもこの石だ」
クロコダイルが絶対の勝利を確信した、その瞬間だった。
カジィィィン……!
カジノの分厚い大理石の扉が、凄まじい衝撃と共に内側へと吹き飛んだ。
静まり返る地下室に、規則的で重厚な金属の足音が響き渡る。砂埃の向こうから現れたのは、緑のタンクトップをまとい、両腕を白銀のガンダムフレームで覆った少年――レオン・ユイだった。
「待たせたな、ルフィ。……システム、檻の材質および構造を解析しろ」
レオンの瞳が青く明滅する。
『ターゲット:海楼石の檻を捕捉。……材質:純度98%の海楼石結晶。悪魔の実の能力者のエネルギーを100%遮断。ただし、レオン・ユイの肉体を構成する「ウイングゼロの基本フレーム」は悪魔の実の呪いではなく、前世の物理的テクノロジーの具現化。……結論:海楼石による出力低下はゼロ。即座の力技による破壊が可能』
「……了解した。これより、非効率な監禁を解除する」
「ハハハ! 馬鹿め、自ら罠に飛び込みにきたか!」
クロコダイルが狂ったように笑う。「その格子に触れてみろ! 貴様の『白翼』も一瞬で毟り取られるぞ!」
レオンはクロコダイルの言葉を完全に無視し、ゆっくりと檻の前に歩み寄ると、その白銀の機械的な手を、海楼石の格子へと力強く叩きつけた。
ガシィィィン!!!
「……え?」
ナミが驚きに目を見開く。
クロコダイルの笑い顔が、凍りついたように引きつった。
海楼石に触れたはずのレオンは、力が抜けるどころか、その十八歳の鋭い眼光をさらに鋭く輝かせ、ガチガチと指の力を強めていく。ナノラミネート装甲の指先が、海楼石の格子に深くめり込んでいく。
「な、なぜだ……!? なぜ貴様、海楼石に触れて平気な顔をしていられる……!!」
クロコダイルがガラス窓に手を叩きつけ、絶叫した。
「言ったはずだ、クロコダイル。俺の肉体は『構造化』されている」
レオンは冷淡に言い放つと、背中から四枚の鋼鉄の白い天使の羽を爆発的に展開した。
「俺のフレームは、この世界の海の呪いなど受けていない。――ターゲット確認、排除する」
バキィィィィン!!!
レオンが軽く腕を振るうと、世界最強の硬度を誇るはずの海楼石の格子が、まるで腐った木切れのように一瞬で粉々に粉砕され、周囲の壁ごと弾け飛んだ。
「うおーーーっ!! 出られたァ! やっぱりお前凄ぇな、羽のロボ!」
ルフィが飛び出してきて、レオンの肩をバンバンと叩く。「痛い。叩くな、非効率だ」とレオンはいつものようにルフィの手を払いのける。
「嘘……海楼石を素手で壊しちゃうなんて。あんた、本当に規格外ね……」
ナミが呆気にとられたように頬を緩め、ゾロは「フン、面白いやつだ」と不敵に笑いながら刀を抜いた。
「ふふ、さすがね。歴史の裏に隠された『白き死神』の力、見せてもらったわ」
ロビンは檻の破壊を見届けながら、クロコダイルの後ろで静かに微笑んでいた。
「おのれェ……! 予定を狂わせるバカどもがァ!!」
クロコダイルの身体が激しく砂へと変化し、ガラス窓を突き破って地下の闘技場へと舞い降りた。周囲の空気が、彼の怒りによって一瞬で乾燥し、砂嵐が巻き起こる。
「レオン・ユイ……! 貴様がどれほどの伝説だろうと、ここは俺の国、俺の砂漠だ! 水分のねェ砂の中で、干からびて塵になれ! 『砂嵐(デザストロ)』!!」
クロコダイルの両手から、すべてを飲み込む巨大な砂の竜巻が放たれ、レオンたちを目がけて突進してくる。
『警告。前方の砂嵐による視界不良、および摩擦による装甲の微細な損壊を予測。……推奨行動:ツインバスターライフルによる、熱量干渉』
「……システム、出力を0.5%に固定しろ。これ以上上げれば、アラバスタの地殻が耐えきれない」
レオンの両腕に、二挺の巨大なツインバスターライフルが生成され、ガチリと連結される。
「クロコダイル。お前の『砂』の弱点は、水分だけではない」
レオンの指が、静かに引き金を絞った。
「――熱量だ」
ドォォォォォン!!!!
最大出力のわずか0.5%。にもかかわらず、バスターライフルから放たれた純白の熱線は、地下室の空気を一瞬で沸騰させ、クロコダイルの放った砂嵐のど真ん中を貫いた。
その瞬間、異様な光景が広がった。
熱線に触れたクロコダイルの砂が、爆発するのではなく、高熱によってジュウジュウと音を立てながら――ドロドロの液体状になり、やがて綺麗な『ガラス』へと変化していったのだ。
「なっ……何ィ!!!?」
クロコダイルが驚愕の声を上げる。
放たれた砂嵐の半分以上が、瞬時に透明なガラスの壁へと変えられ、自らの行く手を阻むように地面に突き刺さった。
科学の法則。砂は、極限の高熱に晒されれば融解し、ガラスへと姿を変える。レオンのツインバスターライフルが放つ熱量は、悪魔の実の能力という「概念」を、物理法則という「現実」で力技でねじ伏せたのだ。
「砂に戻ねぇ……!? 俺の砂が、結晶化している……!?」
クロコダイルが自身の右腕の砂がガラス化していくのを見て、恐怖に目を見開いた。
「……これ以上の戦闘は非効率だ。ルフィ、クロコダイルの戦闘能力は32%低下している。あとはお前たちの任務だ」
レオンは静かにライフルを分離させると、背中の白い羽を折り畳んだ。
「おう! ありがとな、レオン! あいつは俺が絶対にぶっ飛ばす!」
ルフィが拳を握り締め、ガラス化した砂漠の戦場を駆け抜けていく。
お人好しな伝説の死神のサポートにより、アラバスタの運命の歯車は、原作の未来を遥かに超える圧倒的な「規格外」を伴って、最終決戦へと加速していくのだった。
次回:第六話 『白き翼と砂漠の王女、そして首都に響く熱線』