白翼の機械人形になった転生者は海賊(人助け)をしながら、世界を見守る。   作:キング・クリムゾン!!

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続きです。ゆっくりしていってね。


第八話:『闇の炉心と、死神のガトリング』

アイスベルク島の地下数百メートル。そこは地上に吹き荒れる猛吹雪とは無縁の、鉄と油の臭いが立ち込める巨大な世界政府直轄の秘密工廠だった。

 

「侵入者だ! 白い羽のガキが降りてきたぞ!!」

「撃て! 撃てェ!!」

 

レオンが天井の氷層を突き破って降り立った瞬間、待ち構えていた数百人の政府役人と武装兵たちが一斉に銃火器を向けた。放たれた無数の弾丸が暗闇を切り裂き、レオンの肉体を覆う。

 

キン! キン! カァァァン!!!

 

しかし、弾丸はすべてレオンの皮膚に触れた瞬間、火花を散らして弾け飛んだ。ウイングゼロのナノラミネート装甲と融合した彼の肉体には、小銃の弾など文字通り掠り傷一つ付けられない。

 

「――非効率な抵抗だ。ターゲットの破壊を優先する」

 

レオンの脳内システムは、すでにこの施設の「心臓部」をロックオンしていた。工廠の中央に鎮座する、巨大なカプセル。その中には、海軍の新型人間兵器『パシフィスタ』の出力を従来の数倍に跳ね上げるための、高エネルギー反物質炉心(コア)が怪しい光を放っていた。

 

『周辺データを更新……。当該コアが起動した場合、半径30マイルの海域が消滅する危険性あり。……推奨案:ビームガトリングによる面制圧、および炉心の構造的解体』

 

レオンは無言のまま両腕を突き出した。彼の能力が駆動し、両腕の皮膚の下の構造が瞬時に変形、重厚な砲身がせり出して連結される。

 

「ゼロ、出力を0.03%に固定。弾幕展開を開始する」

 

バリバリバリバリバリバリ!!!!!!!!

 

レオンの両腕から、目も眩むような光弾の嵐――ビームガトリングが掃射された。

放たれた高熱の光線は、施設の強固な鉄壁も、迎撃しようとした装甲車も、まるで紙細工のように一瞬で蜂の巣にし、爆発の炎へと変え、武装兵たちを一人残らず無力化していく。

 

「ヒィィィ! 化け物だ……! 『白き死神』の伝説は本当だったんだ!!」

生き残った研究員たちが、腰を抜かして悲鳴を上げた。

 

レオンは硝煙の中を無表情で歩み、巨大な炉心の前に立った。

カプセルの中で激しく脈打つエネルギー。世界政府が「世界の均衡」を保つという名目で作り出した、あまりにも不条理な破壊のバグだ。

 

「……こんな歪な構造で出力を上げれば、現場の兵器(パシフィスタ)にかかる負荷を演算していない。設計者の思想が非効率すぎる」

 

レオンは右腕を炉心の隔壁へと突き立て、その強固な外殻を力任せに引き剥がした。アラバスタで時計台の爆弾を処理した時と同様、彼は脳内の『データ』を基に、最も安全で、かつ完璧にこのエネルギーを中和する方法を瞬時に弾き出す。

 

「ゼロ、ライフルの熱量を反転。分子の運動エネルギーを強制停止(絶対零度凍結)させる」

 

手元に形成されたバスターライフルの銃口から、今度は一切の熱を持たない、青白い「冷力レーザー」が放たれた。それは先ほど外で対峙した海軍大将・青雉の氷をも凌駕する、純粋な物理的熱量奪取。

激しく暴走しかけていた炉心のエネルギーは、レオンの一撃によって一瞬で分子運動を止められ、ただの巨大な美しい「クリスタルの塊」へと変貌し、完全に沈黙した。

 

「……任務、完了。これより、本施設からの離脱を開始する」

 

レオンが踵(きびす)を返したその時、工廠の奥の指令室から、一人の初老の政府高官が、震える手で無線機を握りしめながら叫んだ。

 

「お、覚えていろレオン・ユイ……! お前がどれだけ政府の施設を潰そうとも、新世界の計画は止まらない! すでに聖地マリージョアでは、お前のその『悪魔の実の能力による科学力』すらも解析しようと……!」

 

「……そうか」

レオンは振り返りもせず、冷淡に言った。

「解析したければするがいい。ただし、ウイングゼロのシステムを完全に理解しようとすれば、お前たちの貧弱な脳は暴走の不条理に耐えきれず、自滅する確率が99.8%だ」

 

レオンは背中の四枚の白い羽を大きく広げ、ウイングゼロフレームの出力を解放した。

 

ドガァァァァァン!!!

 

大気をごっそりと押し上げるほどの爆発的な推進力で、レオンは一瞬にして地下施設を突き破り、遥か上空の雪空へと飛び去っていった。あとに残されたのは、完全に機能停止し、世界からその脅威を消された静かな工廠の廃墟だけだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数時間後。吹雪が止み、抜けるような青空が広がったアイスベルク島の外海。

伝説の船『オーロ・ジャクソン号』のデッキに戻ったレオンは、激しい戦闘の後だというのに、呼吸一つ乱さずに静かに佇んでいた。

 

彼の手には、地下施設から「余り物の材料」として回収してきた、新鮮な果物を使った自家製のアップルパイがアルミホイルに包まれて握られていた。

 

「……システム。今回の任務による、白翼海賊団の生存確率への影響は?」

 

『演算終了……。世界政府の兵器開発に3年4ヶ月の遅延を発生させたため、当海域の生存確率は12.4%向上。……なお、ログデータを更新。現在、上空を進む麦わらの一味の生存確率:依然として測定不能』

 

「フン……。あいつらはいつも計算外の塊だからな。わざわざ演算するだけエネルギーの無駄だ」

 

レオンは小さくため息をつき、アップルパイを一口齧った。甘酸っぱいリンゴの風味が、彼の構造化された味覚へと広がる。

 

「……さて、次の目的地は?」

 

『電磁波の変化を感知。……次のターゲット:この先の濃霧の海域に漂う、巨大な影。不条理なる『幽霊島”スリラーバーク”』への到達確率、91.2%』

 

「幽霊島、か。ロジャーの時代にも、そんな質の悪い冗談のような島があったな。……世界を歪める害悪は、すべて俺がスクラップにする」

 

レオンが立ち上がり、背中の四枚の白い羽が太陽の光を浴びて美しくきらめいた。

麦わらの一味とは全く違う、世界の闇を一人で撃ち抜く孤独な航路。しかしその胸には、かつての仲間との約束と、アラバスタで掲げた左腕の記憶が、確かに刻まれている。

白き翼の死神は、次なる不条理を屠るため、静かに、しかし圧倒的な速度でオーロ・ジャクソン号を霧の海へと走らせるのだった。




次回:第九話 『魔の海の巨大な影と、死神の索敵網』
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