剣丞の親友だけが外史に向かった話 作:まくろ
「おい。旭はいるか?」
「……?久遠か?」
「ってお主は何をしておる!?」
久遠の屋敷で水浴びをしている中で久遠が急にくる。
久遠が近づいてきた時には水浴びをしているところだった。
「いや、朝の鍛錬してたら汗かいたから水浴びしてるだけだけど。」
「……鍛錬?」
「木刀で素振りとか軽く持久走したりとか日課なんだよ。……もしかしてこっちの世界って朝の自主鍛錬となやったりしない?」
「いや。壬月とかしてると聞いている。」
「そっか。まぁ俺も結構するからな。ちょっと待ってて着替えるから。」
冷たい水を浴び目が冴えたところだったし丁度いい。服に着替え俺は久遠の元に向かう。
「……どした?」
「うむ。貴様を家臣団に披露しようと思ってな。」
「あ~。評定ってことか。」
「うむ。楽しみにしておけ。お主を夫にすると報告するのだから。」
「……別にいいんだけどさ、織田家中って武道派多いんだろ?絶対に何かあるだろ。」
「ほう。聞いていたのか?」
「麦穂様から聞いているかな。というよりも派閥について聞いたからその際にな。」
「ん?あまり派閥とか面倒臭そうにしてたではないか。」
「いや、久遠を嫁にもらった以上、そのつとめは果たすつもりだからな。まぁ、俺は政治とかそういった系はさっぱりだから久遠に任せる。」
「案外義理堅いのだな。」
少し久遠は驚いたようにしていたが俺は苦笑する。
確かによく言われてるけど、これに関しては雫姉さんの生き方を参考にしてるからなぁ。
そんな中でやってきた清州城で俺は一室に案内される。
「……正直城って居心地悪いと思ってたけど、そこまで悪くないんだなぁ。」
和室作りであるためか思っていたよりも休めるんだよなぁ。そんな中で俺はのんびりと外を眺めていた。
「……失礼します。旭殿?」
「あれ?麦穂様?おはようございます。」
「おはようございます。旭様。久遠様がお呼びです。」
「了解。……それと麦穂様、俺のことは呼び捨てでいいけど。」
「いや、流石にそれはなりません。久遠様の夫ということになるのですから、私からしたら私からしたら主筋にあたります。何なら旭様が呼び捨てになさいませ。」
「……」
ここでも身分の差か。この世界では仕方ないかもしれないけど。……麦穂さんの下に潜れたら大分楽になりそうなんだけどなぁ。
「まぁ麦穂さんで。でも様呼びは正直辞めてほしい。久遠の夫ではあるけど、俺はその前に一人の武士だからな。」
「……ふふ。分かりました。旭さんでよろしいですか?」
「はい。」
案外この人に好かれてるんだよなぁ。ひよもそうだけど、この二人に関しては本当に評価というよりも既に友達とかそういう感じが強い。
暫く歩くと一際大きい襖が見え俺と麦穂さんは足を止める。
「失礼します。」
入った瞬間に緊迫した様子になったのを感じる。好意的なものもあるけど、殆どが興味や敵対心を感じる。まぁ、こんなもんだよな。てか殆ど可愛い女の子かいな。これが織田家重鎮なら相当姫武将はいそうだな。
「……どうした旭。そんなところで突っ立っておらずわれの隣に来い。」
「…ん。」
トントンと隣を叩いているのでそれに従う。久遠の隣に座ると少し笑い久遠が口を開く。
「皆のもの、こやつが我の夫になる男。南雲旭だ。思う存分引き回してやってくれ。」
「……という紹介に預かりました。南雲旭です。まだ分からないことが多いですが宜しくお願いします。」
「ふざけるなぁーー!!」
すると一人の少女から声があがる。
「控えよ。和奏御前であるぞ。」
「でも壬月さま!いきなり出てきたこんな奴が殿の夫ってどう考えても……」
「その件に関しては。」
「いいよ。聞かせて。」
俺の言葉に壬月さまがこちらを見る。
「……しかし。」
「いいよ。実際あそこにいなければ俺はただの急に来た餓鬼が急に久遠の旦那になってるんだからその反応も分かるしな。それに陰で下手に言われる方が織田家は割れる。それなら不安や反対意見はこの場で吐き出しておいたほうがいい。」
その言葉に壬月さまは驚いていたが頷く。
「…ってことで話せばいいよ。」
「……ふ~ん。」
すると隣にいる少女は面白そうにみてる。そして
「まぁ、佐々殿の言いたいことは分かりますよ。雛もそう思いますし。、」
「佐々殿、滝川殿の意見に犬子、じゃなかった、この前田又左衛門犬子も同意見だよ。」
その言葉に雛と呼ばれた少女はこちらを見る。……っていうか多分だけど気づいてるな。この少女。一瞬だけ目が合うと少し笑顔を見せる。
てか滝川、佐々、前田かよ。この少女たち。織田家の重鎮じゃないか。
「…それなら和奏どうやったら此奴を認める?」
「ボクより強ければ認めてあげます。」
「えっ?結局それなの?和奏……」
と言うと壬月さまと麦穂さんは黙り込む。
「だそうだが……旭?よいな。」
「別にいいけど、ついでに立ち合いたい奴は相手になるぞ。」
「ん?良いのか?」
「いや、そういうつもりで呼んだんだろ?何なら他に立ち合いたい人がいるんなら付き合うけど、織田家の武も見てみたいし。」
「ずいぶん余裕があるな。」
「…なら聞くけど、久遠はオレが負けると思うか?」
「思わん。」
「ならその期待に応えるだけだろ。」
「ふふ。ぬかせ。勢い余って殺すなよ。」
「分かってるよ。」
ちゃんと久遠のことを心配しているのも分かるし良い家臣持ってるじゃん。
結局立ち合いは5人になり、公正を喫するために久遠の屋敷で開かれることになったのであった。