闇の魔女と呼ばないで!   作:遙かなた

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エリンシア登場

「では、こちらが新規の冒険者カードになります。お二人はこちらの冒険者カードに魔力と血を一滴垂らしてください」

「はーい」

「わかりました」

 

 

私とクオンは冒険者カードを手に取り魔導具を使う時のように魔力を流す。そして、ヴァネッサから出された針で指をチクリと刺し、血を一滴カードに垂らす、すると冒険者カードは白く輝いた。

光を放ち終わった冒険者カードを見てみると先ほどまではなかった文字が浮かび上がっていた。

 

 

冒険者レベル 1

職業 魔導士 棒術使い

シンボルマーク なし

エンブレム   なし

パーティ名   なし

 

 

 

 

 

まだ、登録しただけだからかほとんどが「なし」である。クオンの方はっと・・・。

私は隣のクオンのカードを覗き見る。

 

 

冒険者レベル 1

職業 剣士

シンボルマーク     なし

エンブレム       なし

パーティ名       なし

 

クオンの方も私と一緒でほとんど「なし」だ。書かれているのは冒険者レベルと職業のみ、冒険者レベルは魔道具であるこの冒険者カードが持ち主が倒した魔物や依頼に反応しレベルを上げていくというものである。このレベルが高いほど冒険者として色々な経験を積んでいるという証明なのだ。ちなみに反映されるのは冒険者になってからのものなので私が倒したインプやクオンのダイアーウルフは反映されてない。

この冒険者カードはダンジョン産ではなく、人が作り出したものなので限界があるのだ。名前や年齢などは個人の情報になるため表示されていないが、先ほど垂らした血のおかげで個人を判断できるらしく、他の人間がこのカードを持つとカードは白紙になるらしい。つまり、このカードがあれば身分証明にも使えるという事だ。

 

「はい、これで作成は終了です。ではこちらがお二人の冒険者カードとなります大切にしてくださいね」

「了解!」

「はい」

 

 

私達は元気に返事をし冒険者カードを受け取った。これで私も立派な冒険者だ。

うきうきと心を弾ませながら冒険者カードを見て私は気付く。

 

 

「そうだ、クオンとパーティを組みたいんだけどどうしたらいいの?」

 

 

私はクオンを逃がさないためにもすぐにでもパーティを組みたいのだ。

 

 

「では、まずパーティ名を決めてください。 その後、パーティのリーダーとなる人の冒険者カードにパーティに参加する方が冒険者カードに魔力を流しながらパーティに参加すると念じ触れていただけばパーティに加入できます」

 

 

「おお、それじゃ、クオン。パーティ名どうしよう?」

「そうだね・・・う~ん」

 

 

パーティ名なんて全然考えてなかったよ・・・。

クオンも同じく考えてなかったのか頭を捻る。

 

 

「普通は自分たちの特徴となるものを名前の中に入れることが多いみたいですね」

 

 

自分たちの特徴か・・・う~ん。

私は悩みながらクオンの星空のような髪に目が留まる。

クオンの髪って結構特徴的だ・・・。

 

 

「じゃあ、クオンの髪の色からとって『漆黒の星空』とかどうかな?」

「漆黒はどこから来たのさ・・・」

 

 

なかなかに中二病的な名前になり、クオンが待ったをかける。

カッコいいと思うんだけどなぁ。

 

 

「星空は絶対入れたいよ!」

「リーダーは君なのになんで僕の特徴をいれるのさ」

「リーダーかは関係ないよ。私とクオンのパーティだもん!」

「うっ・・・」

 

 

赤くなるクオン。『すぐ赤くなる星空』なんていいかもしれない。

等と頭の中で冗談を浮かべつつ。再び頭を捻る。

 

 

「二人のっていうなら『星空の太陽』でどうかな?」

「お、結構いいね」

 

 

二人ならなぜ星空の太陽?私の髪の色は栗色なので太陽の色に見えないこともないけど、大体の人は全然違うと言うだろう。

でも、語感がすごく良かったので私たちのパーティ名は『星空の太陽』に決定した。

・・・後々、大きくなってから考えてみると星空の太陽って異常気象だよね。

 

 

 

冒険者レベル 1

職業 魔導士 棒術使い

シンボルマーク なし

エンブレム   なし

パーティ名   星空の太陽

 

 

 

 

冒険者レベル 1

職業 剣士

シンボルマーク     なし

エンブレム       なし

パーティ名       星空の太陽

 

 

ヴァネッサに言われた通りにすると私たちの冒険者カードにパーティ名が登録された。お父さんも入れようと思ったのだが、お父さんは昔お母さんと一緒にいたパーティ名をやめる気はないらしく断られてしまった。

まあ、しょうがないよね。

 

 

「では、早速依頼を受けますか?」

「あ、えっと・・・グラシアール商会が襲われた盗賊の討伐依頼を受けたいんだけど・・・」

 

 

そう、先ずはクオンの仇討ちだ。私がクオンを見るとクオンは一瞬躊躇ったような表情をするが、すぐに笑顔で頷き返してくれる。

 

 

「申し訳ありません、その盗賊の討伐依頼はまだ出ておりません」

「え、そうなの?」

「はい、情報だけは入ってきておりますが、まだグラシアールからも国からも討伐要請が出ておりませんので」

「そうなのか」

 

 

あらら、てっきり襲われたグラシアール商会が討伐依頼を出していると思ったのだけどアテが外れてしまった。普通なら盗られた商品を少しでも取り返す為にすぐにでも依頼していると思ったのだけど・・・。

 

 

「う~ん、どうしよう」

「あら、ちょうどいいですわ」

「うひゃあ!?」

 

 

私が悩んでいると後ろから私の顔の真横にひょこりと女の子が顔を出す。・・・びっくりした。

 

 

「だ、誰!?」

「ワタクシを知らないなんてお世間知らずのおバカちゃんですわね!」

「あんですって・・・」

 

 

いきなりのおバカ扱いに私のこめかみに青筋が浮く。

 

 

「エリンシアさん・・・」

 

 

青筋をたてた私の後ろでヴァネッサが呟いた。どうやらエリンシアと言うらしい。

 

 

「エリンシア?確かグラシアール商会の娘もエリンシアだったけど・・・まさか」

 

 

クオンがエリンシアと言う名前で思い当たる。グラシアールって盗賊に襲われた商会だよね。

 

 

「その通りですわ!エリンシア=グラシアールとはワタクシのことですわ!」

「・・・で、そのエリンシアがギルドに何の用なの?」

「本当におバカちゃんですわね。先程、丁度良かったと言いましたわよね?」

 

 

2度目のおバカちゃん扱いに私の青筋が3つに増える。

 

 

「おバカちゃんで悪かったね!そのおバカちゃんに分かりやすいように教えてくれるかな!」

「仕方ありませんわね、盗賊の討伐依頼に来たのですわよ」

「・・・ほえ?」

 

 

盗賊の討伐依頼って商会を襲った盗賊の?でも、普通こういうのって大人の人がくるよね?なんで、エリンシアみたいな子供が・・・いや、私も子供だけどさ。

 

 

「グラシアール商会からの依頼をお使いされたってこと?」

「・・・いいえ、グラシアールからの正式な依頼が来ることはありませんわ。これはワタクシ個人の依頼ですわ」

「え、どういうこと?」

「詳しくは依頼を受けた方にだけお話致しますわ」

「・・・・」

 

 

受けた人にだけか・・・うーん。

もし、彼女の依頼が本当であればこの機会を逃すともしかしたら彼女の持つ盗賊の情報を得られなくなるかもしれない。

それを考えると受けた方がいい気がするけど、もしかしたらお金持ちのお嬢様の道楽に付き合わされるだけかも・・・むう。

悩んだ末、答えが出ずクオンを見る私。

 

 

「やらずに後悔するよりはやって後悔した方がいいと思う」

「確かに」

 

 

クオンの言葉で私は腹をくくる。

 

 

「エリンシア、よかったらその依頼私たちが受けてもいいかな?」

「駄目ですわ」

「ふえ!?」

 

 

迷わずに断るエリンシア。な、なぜ・・・あ、私たちが子供だから!?でも、それならお父さんも一緒に来てくれることを話せば・・・。

 

 

「言葉が足りませんでしたわね、今すぐには駄目ですわ」

「え、どういうこと?」

「とりあえず先に依頼申請をさせていただきますわ。その方が話が早そうですし」

「あ、うん」

 

 

そう言って、エリンシアはヴァネッサのもとへと向かう。

 

 

「依頼申請ですね、どのような内容になるのでしょう?」

「依頼は盗賊討伐ですわ、ただし条件がありますの。」

「条件ですか、どのような内容でしょう?」

「条件は依頼を受ける前にワタクシが面接をし、信用できると思った方に限ります。そして、決まり次第終了させて貰いますわ・・・」

 

 

なるほど、だから断られたんだね。

となると先ずは面接からか・・・ちょっと面倒だけど仕方ない。

でもなんで、信用できる人だけ?

むしろ出来るだけ多くの人を雇った方が確実だと思うけど・・・あ、個人的にってことは依頼料はこの子が出すのかな?ならいくらお金持ちのお嬢様でも何人も冒険者を雇うのは無理なのかも。

改めて面接を受けるためヴァネッサがいるカウンターに行こうとするとエリンシアが私の目の前に顔を出していた。

 

 

「それで、面接を受けてくださいますの?」

「うひゃあ!?」

 

 

いつのまにか目の前にあったエリンシアの顔に再び変な声を出して驚く私。

 

 

「反応の面白い方ですわね」

「むぅ」

「それで、どう致しますの?」

「受けるよ」

 

 

私はエリンシアの目を真っ直ぐに見て答える。もしかしたらエリンシアにとっては遊び半分かもしれない。でも、私はクオンの為にも真剣にやるよ!

 

 

「あら・・・これは思ったより早く決まるかもしれませんわね」

「?」

 

 

エリンシアがなにか呟いていたが私にはよく聞こえなかった。

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