「あれ……これってどう結ぶんだろ……」
男性用の白いシャツを着たマシロは初めてのネクタイを上手に結べずにいた。
「しゃあねぇな。コーラルが結んでやんよ」
コーラルがマシロのネクタイを結び、まるで奴隷の首輪につけた紐のようにそれを引っ張ってマシロの顔を自分の顔に近付け、そのまま流れるように唇を重ねた。
もはやすっかり慣れてしまったマシロは動じることなくコーラルの行為を受け入れ、やがて息が苦しくなったところで二人はようやく離れた。
「んじゃ、行くか」
「うん」
海軍の制帽の中に髪を隠して目元だけを隠す白い仮面を装着し、正義のコートを羽織ったマシロが、コーラルと指を絡めて手を繋ぎ、二人で並んで自室を出た。
「あははは! 楽しみだな! 世界中の下々民どもの度肝を抜いてやろうぜ!」
コーラルの足取りはまるで結婚式場にでも向かうかのように軽いが、これから二人が向かう先は多くの人間が血を流して命を奪い合う戦争の場だ。
「コーラルはずぶとくていいなぁ……俺はすごく緊張してるのに」
その戦争において海軍を勝利に導くための大役を任せられて不安になっているおくびょうなマシロをコーラルは鼻で笑った。
「はっ、マシロが怖がる必要なんてねぇだろ。むしろマシロが海賊どもを怖がらせんだかんな!」
コーラルはマシロと繋いだ手の力を強めた。
「それにマシロの隣にはずっとコーラルがついてる! だからだいじょぶだ!」
頼もしい相棒に勇気づけられたマシロはもはや不安を感じなくなった。
「……そうだね。準備はしっかり終わらせたんだ。あとは勝つだけだ!」
「おう!」
こうして引き返すことなく前進を続け、やがて戦場となる海軍本部の要塞前広場に到着した二人は広場の最奥に設置された処刑台の上に向かった。
「センゴク元帥! ガープ中将! 大将白鼠、配置につきます!」
処刑台の上には懸賞金5億5千万ベリーの大物海賊、白ひげ海賊団二番隊隊長『火拳』のエースが無言で膝をつき俯いた姿勢で拘束されており、その両脇を海軍元帥『仏』のセンゴクと、英雄と称される伝説の海兵ガープ中将が固めていた。
「うむ、ご苦労」
「おお、なかなか様になっとるわい」
「えへへ、ありがとうございます」
敬礼をしたマシロにセンゴクが頷き、ガープがにっと笑いかけた。
マシロはとある重要な用事のために先日のうちにガープと交流していて、将来有望な海兵と認識されたマシロはガープからまるで孫に接するように優しくされている。
「コーラル宮も、御足労感謝します」
「おう。椅子ある?」
「ソファを用意してありますので護衛の白鼠と並んでお座りください」
マシロとコーラルはエースの背後に設置されたソファに並んで座った。
「おかきとお茶あるぞ。いるじゃろ?」
「わぁ、ありがとうございます。いただきます」
「甘い菓子はねぇの?」
「ないわい」
「んだよ気が利かねぇなぁ。でもまあいいや、くれるってんなら貰ってやんよ」
「コーラル! 断るならともかく、受け取るつもりならその態度は失礼だぞ! ちゃんとありがとうって言わなきゃ!」
「ちっ……ありがとよ」
「……どういたしましてじゃ」
「ん゙ん゙っ!」
「なんじゃセンゴク。欲しいならはっきり言わんか」
「違うわ! ガープ貴様ここは茶室ではないのだぞ!」
「あっ……ごめんなさいセンゴクさん。仕事中はダメですよね。しまっておいて後で食べます」
「あ、いや、君たち二人はいいんだ」
「は~……元帥ともあろう者が老人差別かのう?」
「ガープ……貴様白ひげの前に私と殴り合うつもりか?」
そんな目立つ場所にいて、しかもセンゴクやガープと対等に話している様子の二人は処刑台を守るために配置された海兵たちの注目の的となった。
「なんだあの二人……子供?」
「片方は海兵のようだが……もうひとりは何だ?」
海兵の装いをしているマシロと違ってコーラルは私服で、上は胸元にネクタイのような飾りがついた大きな襟が特徴的な袖無しの黒い服と肘から先の後付けの袖、下は折り目がたくさんついた黒くて短いスカートという、海軍においては見慣れない服装となっている。
「総員、傾注!」
ざわつく海兵たちをひと声で黙らせたセンゴクは、この場に集った海兵のみならず、映像電伝虫による配信映像でエースの公開処刑を見守っている世界中の民衆に向けていくつかの重要な情報を伝え始めた。
まずひとつ目は、エースが海賊王ゴールド・ロジャーの血を引く実の息子であり、それゆえにエースが所属する白ひげ海賊団が奪還のために戦争を仕掛けてくると分かっていながら公開処刑を強行する必要があったこと。
それだけでも世界中に衝撃をもたらす爆弾のような情報であり、この瞬間までそれを知らずにいた海兵たちも酷く動揺させられたのだが、続くふたつ目の情報が彼らを沈黙させることになる。
「そして……海賊王の血筋を絶やすというあまりにも重い役割に、世界貴族であるこの方が名乗りをあげてくださった」
「海賊王が作った大海賊時代に苦しめられてる世界中のみんな〜! リモシフ・コーラルちゃんだよ〜!」
コーラルは椅子に座ったまま大きく手を振り、満面の笑顔を作りながら媚びるような甘い声で名乗りをあげた。
「今日はコーラルが火拳のエースの死刑執行を担当するから、みんないっぱい、い〜っぱい応援してね〜!」
「天竜人が……?」
「い、いいのか……? 白ひげが来るんだぞ……」
世界貴族、すなわち天竜人とは、海賊王とは真逆の世界で最も尊い血を受け継いだ神にも等しい存在だ。
その天竜人の、しかも子供にしか見えないコーラルが、よりにもよって現在の世界における最高額の賞金首、懸賞金50億4600万ベリーの生きた伝説、大海賊『白ひげ』エドワード・ニューゲート率いる白ひげ海賊団が襲来するであろう危険な場所に自ら足を運んだという事実に、誰もが開いた口を塞げなくなった。
「あれれ〜? みんな元気がないな〜? あ! もしかしてここにいたらコーラルが危ないって心配してくれてるのかな? でも大丈夫! コーラルと海軍のみんなには、す〜〜〜〜〜っごく頼もしい味方がついてるから!」
マシロの晴れ舞台に浮かれるコーラルは全力で海兵たちの期待を煽った。
「頼もしい味方って……まさか隣の子供か?」
「いや、ブルーグラス中将みたいに背が低いだけの熟練の海兵なんじゃないか?」
「うっ……コーラル、やりすぎだってば」
無数の視線の圧力にのけぞりそうになりながらも、大将の地位を与えられた自分が弱気な態度を見せては海兵たちの士気に悪影響を与えてしまうと考えて、マシロは必死に動じていないふりを続けた。
「戦争が始まる前に紹介しておこう」
年齢相応で子供らしい声のマシロは喋ると威厳がなくなってしまうので、事前の打ち合わせ通りセンゴクがマシロの紹介を始めた。
「将校の中にはその活躍を耳にした者もいるだろう。彼の名はマシロ。コーラル宮が外遊先で出会い、海兵としてスカウトした、とある強力な悪魔の実の能力者だ」
センゴクや大将たちで話し合った結果、女子供を狙う悪党に目をつけられないためにしていたマシロの性別偽装は継続し、さらに仮面で素顔も隠蔽することになった。
これから海軍大将として名が知れ渡るマシロは常に悪党たちから命を狙われる立場になってしまうと予想される。
センゴクたちのような大人であれば平気でも、ストレス耐性が低い子供のマシロにそれは酷だろうからと、業務中は男装してそれ以外の時は本来の女の子の姿に戻すことで少しでも気の休まる時間を確保しようということになったのだ。
「彼の能力についてはこの後すぐに目にすることになる。よって私からの説明は省くが……確かな実績として、彼はあの『金獅子』のシキを打ち破っている!」
シキを打ち破った。
その事実はシキの全盛期を知る古参の海兵を中心に大きな衝撃をもたらし、シキの名を知らない若い海兵たちも上官の動揺する姿を見てマシロの実力を理解した。
「その功績をもって私は彼を大将『白鼠』に任命した!」
「大将……!?」
「それほどの戦力がこの土壇場で……!」
海軍の最高戦力とも称される大将とは全海兵の憧れの存在であり、尊敬の的だ。
たとえ子供にしか見えなくてもセンゴクが認めたからにはその実力を疑う余地はなく、自分たちの階級を一足飛びに追い抜いた頼もしい新戦力の登場を誰もが好意的に受け入れた。
「断言しよう。白鼠の戦略的価値にはこの場にいない王下七武海七人全員を補って余りある!」
海兵たちの戦意高揚を感じ取ったセンゴクは伝えるタイミングを見計らっていた海軍にとっての非常に不都合な知らせをここぞとばかりに話し始めた。
「七武海……?」
「そういえば召集されたはずなのに、奴らどこにもいないぞ……」
海賊でありながら世界政府と海軍に加担する王下七武海には白ひげとの戦争において海軍側の戦力として参加するよう召集令が出されていた。
断れば七武海の称号剥奪という条件だったので、本来であれば全員が召集に応じて当然なのだが……現在この場にはひとりもいない。
「『海賊女帝』ボア・ハンコックは召集を拒否し、さらには迎えに行った軍の部隊を攻撃した! その結果自力で能力を回避したモモンガ中将を除く全船員が石化させられ、軍艦の積み荷は略奪された! よって七武海より除名とする!」
海軍に対する明確な敵対行為に及んだ王下七武海『海賊女帝』を初めとして、センゴクは次々に七武海たちの不在理由を提示していく。
召集を拒否したために政府が運営する大監獄インペルダウンで一時的に頭を冷やさせていた『海侠』のジンベエは、つい先日になって白ひげ海賊団と友好関係にあることが判明したため拘禁を継続とし、今後の扱いは検討中だがほぼ確実に七武海除名となる見込みだ。
立場的に絶対に召集を断れないはずだった『暴君』バーソロミュー・くまは、大将ボルサリーノの任務を妨害して麦わらのルフィや冥王レイリーといった大物海賊たちを庇って自身も行方をくらませたため、七武海除名となった。
エースを海軍に引き渡した功績により、麦わらのルフィに倒されたクロコダイルの後任として七武海に任命された『黒ひげ』マーシャル・D・ティーチは、召集を受けて昨日までマリンフォードにいたにもかかわらず、なぜか今朝方にインペルダウンに出現して職員たちに危害を加えたため、ドクドクの実の能力者である監獄署長マゼランに制圧され、そのまま投獄されて七武海除名となった。
「残る三人は召集に応じていたが、海賊なんぞよりもはるかに信頼の置ける代替戦力が戦線に加わり、かつコーラル宮の安全を考慮する必要もあったため、参戦させないことに決まった」
前半で七武海たちの敵対行為を的確にあげつらったおかげか戦力の減少に対する海兵たちの落胆は少なく、むしろ海賊の手を借りずに海軍の力だけで正義を貫いてみせると奮起していた。
「しかしこれは喜ぶべきことだ! 七武海のいないこの戦争において、我々が背負いし正義の二文字を汚される心配はもはやないのだから!」
七人のうち四人が裏切ったのだから、残る三人が背中を刺してくる懸念はどうしても消せない。
そんな懸念を聞いてしまえば、召集に応じた三人の海賊を追い出したセンゴクの判断に異を唱えられる者は誰もいない。
「世界の命運は諸君の奮闘にかかっている! 絶対的正義の名のもとに! 白ひげ海賊団を討ち滅ぼせえええええ!」
センゴクの鬨の声に海兵たちが雄叫びで応じ、そのあまりの大音量にマリンフォードが震えた。
「あははは! こいつら全員マシロがいっからこんだけやる気出せてんだろ? やっぱマシロはコーラルと一緒に下々民の上に立つべきだな! マシロの身分がいつまでも下々民のままってのは世界の損失だし、この戦争終わったらすぐに挙式して天竜人になろうな!」
「え? コーラル何か言った? 全然聞こえない!」
「しゃあ! 来やがったな海賊ども! 前祝いにでっかい花火打ち上げてやんよ!」
ピリピリの実の能力の練度が急激に向上しているコーラルは生体電気で周囲の生物の位置を正確に把握できるようになった。
レーダーのようなその技術によって海兵たちが目視するよりも早く遠方から迫り来る海賊船の大艦隊と海中に潜水して隠れている数隻の船を捕捉したコーラルは先制攻撃を試みた。
「ちょっ、コーラル敵はまだ……!」
「じんらい!」
コーラルが天に向けて放った電撃が呼び水のような役割となって大気中の水分を引き寄せ、発生した小規模な雷雲から海面に向かって雷が落ちた。
人間に直撃すれば多少鍛えていても即死を免れない威力のそれは海の表面を伝って拡散したために潜水中の敵船には一切影響がなく、姿を見せて迫り来る海賊船の艦隊に対してもまだ距離があったため冬場の静電気程度の威力にしかならなかった。
「……!」
派手なだけで無意味に終わったように見えたコーラルの攻撃だったが、海面を激しく発光させることで海中の敵を動揺させ、海軍の実力者たちにその存在を感じ取らせることに繋がった。
「黄猿!」
センゴクに名を呼ばれたボルサリーノが高く跳躍し、じんらいの着弾点にレーザーを乱射した。
「大将黄猿!? なぜ海に攻撃を……」
「いや、何か出てくるぞ!」
ボルサリーノが雨のように放ったレーザー攻撃は海中にいた白ひげ海賊団の船に命中し、船を包んでいたシャボンのコーティングにいくつもの穴を作って破裂させた。
最初のコーラルの攻撃を見た時点で船を浮上させようとしていたため、コーティングが破壊されても勢いをそのままに海面に出ることには成功した白ひげ海賊団であったが、船員たちは全員が海水で濡れていて、なんとも格好のつかない登場となってしまった。
「お〜……こりゃあ幸先がいいねぇ〜」
「あははははは! びしょ濡れじゃねえか! 自慢のヒゲもヘタってやんの! みっともねぇ!」
「ダメだぞコーラル油断しちゃ。シキもあれで強かっただろ」
「白ひげ海賊団の奇襲は頓挫した! 濡れ鼠どもを血の海に沈めてやれ!」
士気が最高潮に達した約十万人の海兵たちが出端を折られた白ひげ海賊団に襲いかかった。
◯
仲間であるエースを救出しに来た白ひげ海賊団と、エースもろとも白ひげ海賊団を壊滅させようとする海軍。
二つの勢力が衝突する主戦場となったのは大将『青キジ』がヒエヒエの実の能力で凍らせた海面上だ。
障害物のない平坦な戦場において物を言うのは単純な武力であり、白ひげ海賊団の実力者である隊長たちや傘下の海賊団の船長たちの前に多くの海兵たちが犠牲となる。
そんな接敵前の予想は海軍にとって良い方向に裏切られた。
「うわあああああ!? カルマ船長がやられたぁ!」
「スクアード船長!? 嘘だろ!?」
実力と運を併せ持つ強力な海賊団のみが到達できるグランドラインの後半を新世界と呼び、そこで活動できる白ひげ海賊団傘下の海賊たちは間違いなく高レベルな猛者ばかりだ。
しかし彼らの前に立ちはだかったのはそんな猛者たちよりもはるかに格上の存在だった。
「新世界の力が通じねぇ! なんだこの囚人服の連中!? 海兵じゃねぇのか!?」
仮面で顔を完全に隠したその者たちは背中に大きく『敗北者』と書かれた白黒の縞模様の囚人服を着せられていた。
「下がってろよい! そいつらの相手は俺たちがやる!」
「隊長たち!」
「うおおおおお! やっちまってくれ!」
白ひげ海賊団一番隊隊長『不死鳥』マルコを筆頭に、今回の戦争とは別件で死亡した四番隊隊長と二番隊隊長のエースを除いた十四人の隊長たちが囚人服の者たちに攻撃をしかけた。
たとえ傘下の船長たちを一蹴する実力者であっても、隊長たちであれば容易くなぎ倒してくれる。
そんな海賊たちの願望は、隊長たちがひとりの例外もなく反撃を受けて負傷したことにより打ち砕かれた。
「隊長たちが……押し負けたのか……!?」
「お、おい見ろ! あいつ仮面が割れて……あの顔は、まさか……!」
マルコと衝突したはずみで粉砕された仮面の下から出てきたのは、海賊歴の長い白ひげ海賊団の船員ともなれば見間違えるはずのない、悪名高い男の顔であった。
「『鬼の跡目』……ダグラス・バレット!」
ダグラス・バレットと呼ばれたその屈強な男は元ロジャー海賊団であり、海賊王ロジャーの後を継ぐと目されたほどの実力者であったが、センゴクやガープを含んだ多くの海兵たちの尽力により捕縛され、世間からその名が消えて久しい過去の存在であった。
「海軍の奴ら……オヤジの首を欲しがる囚人たちと取り引きして参戦させたのか!?」
「正気か海軍!? 解放されたってんなら囚人がおとなしく監獄に戻るはずねぇ! 俺たちには勝てたとしても、その後が地獄になるぞ!」
海賊たちの憶測は事情を知らない中将以下の海兵たちにも伝播した。
それを受けてセンゴクはマシロに合図を送り、味方の懸念を解消するためのパフォーマンスを始めさせた。
「行け! サンファン・ウルフ!」
マシロが処刑台の上から下の広場に向かって投げたボールから出てきたのは、デカデカの実を食べて巨大化能力者となった巨人の海賊であり、能力発動時は海軍本部の要塞よりも巨大になる怪物、『巨大戦艦』サンファン・ウルフであった。
「あれは……巨大戦艦!?」
「大将白鼠が投げた球体から出てきたぞ!?」
「諸君が今しがた目撃したものこそ、大将白鼠のボルボルの実の力!」
ウルフの存在感に目を奪われた両陣営に向けてセンゴクが電伝虫の拡声機能を使ってマシロの能力を周知する。
「人間を捕獲し使役する彼の力により、我々海軍が過去に捕縛してきた凶悪犯たちは七武海よりも従順な政府の兵力と成り果てた! 我々は民衆の敵に自由を与えるような愚かな真似などしない! 奴らは今後永遠に白鼠の下で罪を償い続けるのだ!」
「今だ、みんな仮面をはずせ」
ボルボルの実の強大すぎる力を知って誰もが言葉を失い立ち尽くす中、マシロは打ち合わせ通りに電伝虫を使って囚人兵たちに小声で指示を出した。
マシロの能力を知る前にその顔ぶれを公開しては味方や世間に不信感を抱かせてしまいかねないからと装着させていた仮面はもはや役割を終えた。
ここから先は囚人兵たちの存在を前面に押し出してマシロの力を誇示する段階なのだ。
「あ、アバロ・ピサロ! 向こうのはバスコ・ショットだ!」
「カタリーナ・デボンまでいやがる……!」
下の階層ほど凶悪な犯罪者が収監される大監獄インペルダウン。
その最下層からエースと一緒にマリンフォードへと連れてこられた囚人兵たちは全員が伝説級の存在だ。
「元七武海のクロコダイル!」
「あれは孤高のレッドか!?」
「バーンディ・ワールドがいるぞぉ!」
「ど……ドビー・イバドンボだ……生きてやがったのか……」
それは誰もが海賊王や白ひげに勝てなかっただけの銀メダリストであり、その実力は最低でも隊長と互角以上、中には白ひげと殺し合いが成立するほどの領域に到達している者も数多く含まれていた。
「こ……こんなの勝てるわけ……」
「大将白鼠の名のもとに! 敗北者たちよ! 白ひげ海賊団を蹂躙しろ!」
絶望で膝を折る者が出てもマシロが海賊に慈悲をかけることはない。
電伝虫によって届けられたマシロの命令に従って、囚人兵たちがその実力を否応なしに発揮し、白ひげ海賊団に襲いかかった。
マシロという強大な戦力を引き入れた海軍の攻勢はまだまだ続く!