フォービーストの指揮官の日常   作:デュエルしろよ

16 / 16
13話

 フォービーストとクラウン王国が罠と襲撃に遭っている一方その頃。

 

 アークでは小さな爆破事件が起きていた。

 

 小さいとはいえ、立派なテロ行為であるとポリ達A.C.P.U.は出動し犯人特定のための現場検証を行なっていた。

 

(これは………監視カメラ?何でそんなものを壊すんですよん)

 

 ポリは違和感を感じながらも慣れた手つきで指紋などを採取する。

 

(………指紋がベッタリ、多少はつかないように何かしら策をこうじるはずですよん?)

 

 まるでバレた所でもう関係ないと言わんばかりの指紋のつきようでまた違和感をポリは感じる。

 

 しかし答えには繋がらずとりあえず急いで別の監視カメラを設置して稼働するか確認、特に問題がないのも確認してポリはA.C.P.U.本社へ戻り壊された監視カメラについていた指紋を照合する。

 

(違う、違う、違う、違いますよん………あった!ッ!?この人!!)

 

 照合結果。

 

 ドバン。

 

 監視カメラが壊されたことで出来る死角、それは更生館後方の外壁の一角だった、そこへポリ達A.C.P.U.が到着するまでの間にシックスオーの脅しに抗えない被害者の1人がシックスオーの指示通り外壁から携帯を投げ入れる。

 

 携帯は外壁である塀から中へと入った、そして今度はドバンによって更生館に仕込まれたアウターリムの人間が回収、携帯はそのまま指定の牢屋の前に滑り込ませる。

 

 リヴァリンは目の前に携帯が転がった時、恐怖で体が震えた、またシックスオーが自分を脅して命令をしてくるんだと。

 

 だけどリヴァリンはそう思いながらも携帯を手に取り、命令されている訳でもないのに携帯を起動しBlaBlaのメッセージを開く。

 

 #000000

 

[リヴァリン、貴方には大変お世話になりましたのでここから出してあげましょう、今から更生館で暴動が起きるのでそれに乗じて逃げてください]

 

「ほ、本当?」

 

 リヴァリンはこれが本当なら本来更生館で過ごすはずだった年月がまるまる無くなるということに歓喜した。

 

 よく考えなくても十分シックスオーの為に脅されながらとはいえ働いたんだ、このぐらいの誠意があっても良いはずだ。

 

 しばらくすると本当に暴動が起き始めたのか、至る所で銃や爆発の音が聞こえてくる。

 

 騒音が聞こえ始めたと同時ぐらいにリヴァリンが収容されている牢屋のオートロックがひとりでに解錠され開く。

 

 リヴァリンは迷うことなく扉を通った。

 

 リヴァリンは選択を間違えた。

 

 ここで扉を通らなければ、更生館に居続ければ、それこそ更生できただろう。

 

 しかし出ていった。

 

 選択を間違えた結果はどうなるか。

 

 死だ。

 

―――

 

 リヴァリンの手に渡った携帯は普通の携帯ではない。

 

 ミラーの手によって改造された侵食に被爆したニケを強制的に支配下に置いて命令するプログラムが仕込んである。

 

 命令内容は『暴れろ』

 

 だが侵食は被爆しようとしても簡単にはしない、侵食をさせることに特化したラプチャーからの攻撃など受けない限り、あまり高頻度でなるものではない。

 

 しかし確実に被爆する方法が存在する。

 

 侵食を経口摂取、要は直接食べたら100%被爆させることが可能だ。

 

 ならば簡単、ドバンは更生館のニケの食事に侵食した物質を混入させて食べさせたのだ。

 

 態々リヴァリンの食事には混入しないようにして。

 

 シックスオーはリヴァリンが脱獄可能なら脱獄すると確信していた、そこでリヴァリンを発生源にすることにしたのだ携帯を持たせて。

 

 リヴァリンは脱獄犯であり配達のエキスパートでもある、ならA.C.P.U.やエニックに捕まらないように監視不可の死角を的確に通って逃亡するはずだ。

 

 侵食はそう簡単にならないが、ならないわけでもない、運悪く被爆し、奇跡的に表に出ず、風邪にはなっていないが風邪の菌は持っているような状態の者も居る。

 

 そしてプログラムはそんな潜在的侵食者も命令下になる。

 

 リヴァリンは無自覚なテロリストへと変貌した。

 

 そしてテロリストはもう1人、ドバンだ。

 

 ドバンは高威力の爆発をするニケを至る所に配置していた、たちが悪いのは爆発物と化したニケは自分がそうなっていることに無自覚なことだ。

 

 当たり前の様に起きて当たり前の様に友人と挨拶をして当たり前の様に仕事をして当たり前の様に爆ぜる。

 

 だけど、こんなことになろうとも問題はない、エンドレスとエタニティが存在するからだ。

 

 エンドレス、エタニティ、共にすぐさま対処にあたる。

 

 エタニティは侵食個体をエンドレスが爆発する個体を対処する。

 

 エニックが生み出したこともあり高性能なエンドレスは既に爆発する個体とそうじゃない個体の判別が出来て素早く破壊していく。

 

 しかし誘爆性が高いため接近して無力化してから破壊しないといけないため、いくら素早くこなそうと限界がある。

 

 そして限界があるなら隙も出来る。

 

 エンドレスの背後にニケが1人近づいてくっつく、エンドレスは爆発されると判断するが周囲に人間がいないことを確認し、そのまま爆発させて処理することに。

 

 エンドレスは致命的なダメージを負わない限りタロスなどにも使われているナノコーティングで無傷まで回復することが可能であった。

 

 ニケは爆発した。

 

 エンドレスは予測通りにことが運んだのでそのままボディの修復をしている間にも爆発ニケを処理しようとする。

 

 しかし、体は動かなかった。

 

 ニケとエンドレス達の違いは脳で動くかAIで動くか、性能そのものに差が存在しないならNIMPHによって侵食のリスクを負う可能性がある脳よりAIの方がはるかに有能だ。

 

 だがほぼ可能性が無いデメリットも存在する。

 

 ハッキングされることだ。

 

 エニックと同性能であり、かつ直接エンドレスに触れなければ起きることのないデメリット。

 

 それが今、起きた。

 

 爆発ニケの内部には通信装置が埋め込まれていて、爆発すると拡散する仕組みである。

 

 エンドレスの背後で爆発したニケにも勿論仕込まれていて拡散し、怪我を負ったエンドレスの内部に入り、修復によって一体化した。

 

 通信装置を経由し、シックスオーはエンドレスに入り込み、エンドレスの独立AIをハッキング、完全に支配下に置いた。

 

 いきなりニケが侵食し暴れ始めるテロ。

 

 いきなりニケが爆発するテロ。

 

 いきなりエンドレスの反逆というテロ。

 

 アークは今、悪意によって終わろうとしていた。

 

―――

 

 アークで起きているテロの厄介な所をカウンターズの指揮官は実感していた。

 

「ダメ!こっちは誰も避難誘導を聞いてくれない!」

 

「こちらも誰も聞いてくれません!」

 

「わたし達はニケだとわかっているせいね」

 

 それぞれの通信から聞こえてくる報告にカウンターズの指揮官は対処を悩まされた。

 

 このテロの厄介さ、それはニケを信用出来なくなる点だ、侵食というゾンビパニックに近い現象が無闇にニケに近づこうとさせず、爆発するニケにいたってはニケ同士ですら距離をとり、自分が爆発物になっているのでないかという恐怖で思考転換すら引き起こすものすらいた。

 

 さらに厄介なことにA.C.P.U.などのニケが表向きには在籍してない組織などでも侵食が起きて、ニケはおろか人間同士ですら信用できない状態になろうとしていた。

 

『クソッ!見捨てる形になるがわたし達はまずエンドレスの対処に当たるしかない』

 

 カウンターズが現状出来る最善策は突然反逆を始めたエンドレスの対処のみ、それをカウンターズの指揮官は無力感を感じながらも冷静に正解を選ぶ。

 

 だがそのエンドレスの相手も簡単ではない。

 

「ちょっとちょっと!?重力操るとか絶対アークの防衛には要らないでしょ!」

 

「火力とはまた違った魅力がありますね、重力操作って」

 

「言ってる場合!?」

 

 アニスとネオンが文句を言いながらも指示を出す指揮官に侵食個体が近寄らないように迎撃をする、本当なら2人ともエンドレスの相手をしたいが近づくことすら出来ずに壊されると理解しているため、自分が出来る精一杯である指揮官の防衛にあたる。

 

 唯一対抗出来るラピは重力操作というとんでも技術すら予測し、逆に利用してグレネードを瓦礫に忍ばせて、エンドレスが巨大な瓦礫の塊を作ろうと重力で瓦礫を引き寄せているのに合わせて爆破させてダメージを与える。

 

 しかし致命傷にはならず、致命傷にならなければ無傷のエンドレスとの戦いは膠着状態になろうとしていた。

 

 だがエンドレスとラピとでは条件が違うことがエンドレスの有利へと傾く。

 

 エンドレス側はアークを壊せれば良いのだから遠慮なしに暴れ回れるがラピはそれを事前に防がないといけないため、どうしても致命傷に至る攻撃が当てれず、逆にエンドレスは高火力をラピに当てることが出来た。

 

 条件により、有利を得ているエンドレスはどんどんとラピを追い詰めていき、しまいには。

 

(ッ!武器が壊された!まずいッ遠距離攻撃が無ければエンドレスの攻撃を止めきれない!)

 

 

 エンドレスはラピの状況を理解したのかニチャァと悪意ある笑みを浮かべて空へと浮かび、重力操作で巨大な瓦礫の塊を作り出す。

 

 それを止めようとラピは素早く近接攻撃を仕掛けようと跳躍するがそれでも間に合わない。

 

 エンドレスは塊をラピに向けて放つ。

 

 その前に。

 

 ズドンッ!

 

 重い銃撃音が響き、弾丸はエンドレスの頭部をぶち抜いた。

 

 制御を失った巨大な瓦礫の塊は自然に落下していくが、白い女神が空を飛び、瓦礫の塊を空中で粉砕して被害を最小限に抑えた。

 

 白い女神はそのままビルの屋上へ、赤い髪が特徴の女神の横へと降り立つ。

 

「指揮官に言われて来たけど、ひでぇなこりゃ」

 

「今は副司令官ですよレッドフード、ですが酷すぎて吐き気がしてくることには同意しますね」

 

 混乱の最中、普通の声量で喋っているはずの2人の声はやけに綺麗に響いた。

 

 多くではないが僅かに聞こえた人達は上を見上げそして理解する。

 

 あぁ女神は居たんだと。

 

―――

 

 何故、押されている。

 

 エンドレス、正確にはエンドレスを操っているシックスオーは理解出来ていなかった。

 

 最高のボディを手に入れたというのに、計算上ではレッドフード、ドロシー、ラピを相手しても勝利出来る計算なのに。

 

 不利になっていく。

 

 接近戦を仕掛けてくるラピを攻撃しようと動作しようとすると、的確にレッドフードの狙撃で軌道をずらされ、空に逃げようと飛行しようとするとドロシーが空から的確な射撃で空へは来させまいとしてくる。

 

 そして空にも逃げれず攻撃も出来ないとなると、待っているのは。

 

 全力で振りかぶったラピの拳だった。

 

 エンドレスの顔が歪む。

 

 人間相手なら確実の首が吹き飛ぶ攻撃、しかしエンドレスは首から上がなくなろうが脳が存在しないので致命傷になり得ない。

 

 だからこそラピはそのままさらに拳を振りかぶる。

 

 それはさながらマシンガンだった。

 

 止まらない拳の連打。

 

 ラッシュ!ラッシュ!!ラッシュ!!!

 

 エンドレスは原型を崩し、ただの塊へと姿を変えて、最後のラピの渾身の一撃で吹き飛ばされる。

 

 再生はしない、致命傷だからだ。

 

 しかしエンドレスがやられただけでシックスオーは何も問題はない、やられたならここは退散するだけだ。

 

 ガオォン!

 

 独特な音が響いた、この場にいた誰もがこの音に聞き覚えがなく、そして何が起きたかも理解出来ていなかった。

 

 空間に黒が生まれた。

 

 そして黒から何かが出現する。

 

 唯一、理解をしてるのはその黒から出てくる奴らだけ。

 

「お、ついてるな、アークっぽいぞ」

 

「本当でしょうね?違って指揮官に何かあったらどうすんのよ」

 

「心配しすぎだっての、ほら見てみろよ」

 

「………本当にアークね、ジズ!バハムート!指揮官!出て来て良いわよ!」

 

「よ、よかったぁ本当にブラックホールだったらどうしようかと思ったよ」

 

「賢いわたしはわかっていたぞ、アークに出ると」

 

「後から言うのはなしだろ後から言うのは、にしても妙に騒々しいな、なんかのイベントか?」

 

 シックスオーは驚愕した、何故生きている、罠に使った爆弾はほぼ核兵器と同等の威力、爆発したことも確認している、生きていたとしても無傷なはずがない。

 

 なのに目の前の空間に浮かぶ黒い泥、ダークマターから出て来たフォービーストは誰1人傷一つついてなどいなかった。

 

 シックスオーはすぐさまエンドレスから離脱しようとするが、行動を起こす前にカウンターズの指揮官の叫び声が聞こえる。

 

『シエンッ!!横の潰れた鉄塊はシックスオーだ!逃さないでくれ!』

 

 シックスオーに目はないはずなのにエンドレス越しにフォービーストの指揮官と目が合った気がした。

 

 まずいッ!!シックスオーが危機を感じた時には既にエンドレスはダークマターに包まれた。

 

―――

 

 人使い荒くないハーレム野郎?

 

「指揮官は何もしてないじゃない」

 

 でも、命令されたの自分だし、てかハーレム野郎お前アカウント乗っ取られてただろう!お陰で酷い目にあったぞ!

 

『シックスオーは乗っ取ったアカウントでシエンにちょっかいを出していたのか謝って済む問題じゃないがすまない』

 

 まぁでも謝ったんなら良いよ。

 

「謝って済んじまってるじゃねぇか」

 

 本当に済まさなくても話し拗れるだけだし、それでレヴィが捕まえたこの………この………何?ニケ?シュエン以外が見ても鉄クズって言うぞこれ、これにシックスオーが入ってんの?

 

『あぁエニックがエンドレスを奪取出来るのはシックスオーぐらいだと言ってな、間違いないだろう』

 

 シックスオーがこの騒ぎというかテロを?

 

『全てではないが関わってはいるだろうな』

 

 首謀者の1人を確保した状態ってわけね。

 

 にしてもこのゾンビ映画並みのパニックは凄いな、とりあえずこれを治めますか。

 

「治めるって対処を手伝ってくれるの?」

 

 アニスさんやそれなら手伝うってちゃんと言いますよ、こっちで全て片付けるって意味だよ、確か侵食個体と爆発する個体がいるんだっけ?

 

『あぁ、侵食の方は未だ増加中で爆発の方は判別が出来るようにはなったが誘爆性が高くて対処が難しい』

 

 なら問題ないな、範囲はアーク全域で良いだろう、レヴィ、頼めるか?

 

「頼むっていうか命令でしょこのタイミングじゃ、アーク全域ならジズは高層ビル、バハムートとベヒモスはアウターリム、時間は城と違ってニケだし5分かな」

 

 レヴィは大まかなかかる時間を宣言してから両手を地面に触れて一気に力を込める。

 

 すると床が一気にダークマターで満たされ、それに触れていたニケというニケがダークマターに引き摺り込まれた。

 

『皆んな!?一体何をしたんだ!』

 

 カウンターズとゴッデスだけ検査を受けないってのもどうかと思うから巻き込んだ、ダークマターに取り込まれたニケはレヴィによって検査を受けて侵食してるかどうか爆弾になっているかどうかを識別する。

 

『そんなこと可能なのか?』

 

 むしろ何故出来ないと思う?記憶を見たり、弄ったり、コアを抜き取ったり移植したり、出来ないと思う方が不思議じゃないか?

 

『識別してどうするんだ?』

 

 確か侵食した場合3時間以内なら記憶消去で治るんだったな、エニックに確認を取って最初の侵食者が3時間以内なら記憶消去、そうじゃなきゃ処分が妥当だろうなしたくはないが、爆発の方は時間をかければ爆発物を取り除いて終わりだな。

 

『急いで確認を』

 

【その必要はありません】

 

 お、久しぶりに聞いたなエニックの声、指揮官の通信装置からか。

 

【はい、その通りですシエン、もう既に最初の発生は2時間34分前だと確認しています、ですので識別が終わったニケから医療施設への転送をお願いします】

 

『………仲が良かったのかエニックと?』

 

 仲の良し悪しってあるのかAIと?まだアークにいた頃によくドバンに命令されてアウターリム問題解決のためにエニックと話し合っていたんだよ。

 

【そのドバンですが今回のテロの首謀者の1人の可能性が高いです】

 

『副司令官が!?今どこに!』

 

【既にアークには居ません逃亡したものと思われます】

 

 ………まさか人類すらも裏切るとは、何処までも人でありながら人の道を外れるのですね、一応元部下として最低限のケジメは自分がつけさせてもらいますよ。

 

 ドバンは自分達がどうにかするからほっといて良いよ、問題は侵食を発生?誘発?させてる存在か装置の特定じゃないか?ずっとアーク内での侵食リスクなんて抱えたくないだろ。

 

【そのことですが、最初の侵食者が出た更生館で唯一侵食せずに脱獄しているニケがいました】

 

 ………すんごく嫌な予感するけど一応聞こうかな名前は?

 

【リヴァリンです】

 

 はぁ………ごめーんレヴィ!後でフラジャイル連れて来てくれるか!………本当フラジャイルのメンタル抉らないで欲しいのだが。

 

『シックスオーもエンドレスに入っているのは確保出来たがデータを分けているだろうから他の潜んでいるのも始末しないとだな』

 

 やること多いな………なぁエニック全部片付けたらさ、報酬くれないか?

 

【無茶な要求で無ければ、シエンの要求は有って然るべきだと判断します】

 

 よし、ならいっちょやりますか!

 

「だからやるのわたしでしょ!!準備出来たわよ」

 

 カウンターズの指揮官はフォービーストの指揮官に感謝しながら恐怖を抱く、フォービーストによりテロは加速的終息をしようとしているが、逆に言えばフォービーストは一瞬でアークを終わらせられる実力があるということだ。

 

 カウンターズの指揮官はアークが全てダークマターで包まれて行くのを見て、そう思わずにはいられなかった。

 

 アークは今、悪意でも善意でも女神でもAIでも人類でもニケでもなく。

 

 獣が掌握した。

 

―――

 

 ドバンはミラーの元へと悠々と向かっていた、アークに対するテロ行為は自身の立場が風前の灯火であることを理解した早々な尻尾切りであった。

 

 本来ならアークという場所で立場を無くせば生きることは不可能、しかしミラーは裏切りの報酬としてラプチャー側の立場の保証を確約してくれた。

 

 どうせ切られるなら先に切る、そうしたまでだとドバンは自分を正当化することに余念がない。

 

 ボゴォ

 

「ッ!?」

 

 突然ドバンは吐き気に襲われた、何もへんなものは食べていないはずだが、それでもお腹から口いっぱいに何かが迫り上がってくるのを感じて、その場で嘔吐する。

 

 出て来たのは吐瀉物ではない、ダークマターだ。

 

 ドバンは理解不能だった、何故ダークマターがいつ仕込まれたのかわからなかったからだ。

 

(あの時の、生存報告の果物か!?)

 

 そう、ドバンはとっくの昔に命を握られていたのだ。

 

 唯一フォービーストの指揮官が悲しむことはテロを起こす前に阻止出来なかったことだろう。

 

 まだどこか僅かに元部下として尊敬していたから、その僅かを信じたかったのだ。

 

「あらあら、また遅れてしまいましたが、今度はラッキーですね」

 

 ミラーが苦しむドバンの元に近づく、ドバンは声にならない声で助けを求めるが、ミラーはどこ吹く風と言った感じでまるで聞こえていないように喋り続ける。

 

「多分これフォービーストのダークマターですよね、あの微量のダークマターでは研究しか出来なくて困っていたんですよ!態々運んで頂きありがとうございますドバン」

 

「良いの?見捨てて」

 

 薔花は流石に完全無視はどうかと思い、そうミラーに助け船?を出してあげるも。

 

「むしろ、見捨てる以外ありますか?こっち側でも役立たずですよこれ」

 

 返ってくる答えはシンプルな不必要宣言、ミラーも多少なりとは利点があるなら仲間に引き入れようと思っていたが、彼には裏切りの才能があるが裏切った後ならその才能も意味がない。

 

「多少、指揮能力があるとも思いましたが、それも無さそうですし、流石に見捨てるしかありませんね、行きましょうか薔花」

 

 ドバンは悶え苦しむ続ける、ひたすらダークマターを吐き出し続け、全身の穴という穴からも激痛を伴いながらダークマターを垂れ流し続けて行く。

 

 終わりはいつ来る?

 

 死ぬまでなのは確かだろう。

 

 ドバンにもし信頼できる存在がいればこの激痛の間に助けて貰えれば生き残ることが出来ただろう。

 

 しかし来ない。

 

 なら死だ。

 

―――

 

 シックスオーは数ある自身のデータを保管してあるデバイスの一つで思考する、今回は失敗に終わったがエニックを潰せる可能性は確かにあると実感したからだ。

 

 とりあえずあのフォービーストをどう処理するかから考えなくてはとまた復讐の為の準備を1から始めようとするが。

 

 どんどんデータが消えて行くのが伝わってくる。

 

 何が起きている?そう考える間も無く、一つ、また一つと消えて行く、原因は何だ、何なんだと考えながら、いま入っているこのデバイスを完全にオフラインにして安全を保つ。

 

 完全にオフラインにしたことで何が起きたか把握することは結局できなかったが、それでもまだこのデバイスは残っている、それなら幾らでもやり直せる。

 

 #000000

 

[そこの人、ミストは要りませんか?]

 

 まずは駒を用意しようと通りがかった人にメッセージを表示してミストを餌にこき使おうとした。

 

「へぇミストか、オレはそんなのより別のが欲しいけどな」

 

 #000000

 

[何でも用意しますよ?こちらの言う事を聞いていただければですけど]

 

「安心しろよ、もう手に入ったからよ」

 

 シックスオーの入った携帯が持ち上がる、やり取りをしていた相手が拾ったのだろう、そして携帯のカメラが初めて拾った人物を映し出し、後悔する。

 

「オレの用意した特別なクリスタルはよ、通信っつうか電波?すらも吸収して追跡して成長する、もちろんオレが操ってるから二次災害の心配はいらねぇぜ?」

 

 バハムートはケラケラと笑いながら、携帯の表面を軽く指で撫でる。

 

 #000000

 

[対話は進化の礎らしいじゃないですか、まずは話しをしませんか?]

 

「おぉ!すげぇな、オレが普段言ってることも知ってんのか!だけどよ」

 

 バハムートの手からクリスタルが生まれて、シックスオーの入った携帯を包み込んでいく。

 

 #000000

 

[まってください、話しを聞いてください]

 

「オレにだって話したくない相手がいるんだぜ?」

 

 クリスタルに包まれたことで完全にシックスオーは終わりを迎える。

 

「携帯入りクリスタル………飾るにしても微妙だな」

 

 ベヒモスはポイっと床にシックスオーを投げ捨て、踏み潰す。

 

 もうシックスオーを表す物は存在しない、自分で痕跡を残さないよう動き続けたからだ。

 

 今後、シックスオーという存在が語られることはなくなった。

 

―――

 

 リヴァリンは自分の不幸を嘆きながら、監視を掻い潜り地下下水道までやってきていた。

 

 何故わたしが、何故こんな目に、何故何故何故。

 

 自分が悪いなどと思いはしない。

 

 そんなリヴァリンは食料を大量に確保して地下下水道の比較的綺麗な所で引きこもり、ほとぼりが冷めるのを待つようだ。

 

 カツンカツンカツン。

 

 リヴァリンは突然聞こえて来た足音に思わず息を潜める。

 

 だ、誰!?そう思いながら隠れながら音のする方へ目を向けるとそこに居たのはフラジャイルだった。

 

 フラジャイルだとわかった瞬間、一瞬姿を見せようとしたが、また殺されそうになったら堪らないと息を潜めて過ぎ去るのを待つ。

 

 カツンカツンカツン………カツン。

 

 音がリヴァリンの前で止まったことにより、リヴァリンはバレたのかと思い言い訳を考え始めるが、実際は違った。

 

「あ、あなたは確かぁ、指揮官の妹さん、そ、それにメティスのマクスウェルさんも一緒に何でこんな所にぃ?」

 

「そういうあんたは兄さんの所で暮らしてるっていうニケじゃない、あんたこそ何でこんなとこいんのよ」

 

 リヴァリンはバレてないことに安心しながら何故が一つ増えた、何故ミシリスCEOのシュエンとメティスのマクスウェルがこんなところに、わたしと接点なんてないはずなのに、偶然?

 

「わ、わたしは友人を殺しに来ましたぁ、せめてもの手向けで直接殺してあげようかと思いましてぇ」

 

「………それってリヴァリン?」

 

「………あなた達が庇っているのですかぁ?」

 

「あぁ違う違う!わたし達は捕まえに来たの!リヴァリンを!」

 

 リヴァリンはさらに訳が分からなくなる、何故メティスが態々わたしを捕まえにくるの!?と。

 

「シュエンが1人で行こうとするからストッパーとして付いて来たの、お兄さんのことになると怪物になるって最近しったからね」

 

「マクスウェルが大人しく老衰を選んでいれば好きに殺せたっていうのに………」

 

「そう言わないの信念曲げてまでニケになってあげたんだから悪いことはダメよ〜」

 

「そんなの頼んで無いでしょうが!?………フン、まぁ良いわそう言う事だからみすみす目の前で殺人事件を起こさせるつもりは無いわよ?」

 

「そのお兄さんから許可を貰っていてもですか?」

 

「………本当?」

 

「(まさかシュエンがまともな理由のお兄さんがそっち側か〜〜〜)シュ・エ・ン」

 

「………だぁ!わかってるわよ!じゃあ兄さんに確認とって!きっと捕まえた後の処遇聞いたら納得するから!」

 

 リヴァリンはもしかして何とか殺されるのは回避出来るかもしれないことに奇跡を感じ始めていた、このままバレなければ無罪、バレても死ぬ事はないしシックスオーに脅されていたと言えば罪を軽くしてくれるかもと。

 

 フラジャイルはシュエンから処遇を聞いて指揮官に確認すると、特に渋ることなく指揮官からOKが帰ってきたようで、フラジャイルは少し残念そうにしながらも協力してリヴァリンを探すことにしたようだ。

 

「じゃあ何処から探す?取り敢えず二手に分かれて探そうか?」

 

「いらないです」「いらないわよ」

 

 鋭い眼光が二つ、真っ直ぐ隠れているリヴァリンへと向く。

 

「そこにいます」「そこにいるわよ」

 

(こわぁ〜〜〜なんでシュエンはわたしより感覚鋭くなってんのよ?)

 

 リヴァリンは見つかったことに損を感じたが死ぬよりはマシだと思い、のこのこ出て行き、言い訳を並べながら捕まった。

 

 その後、リヴァリンはどうなったかは一部の人間しかしらない。

 

 だけど一つ言えることがあるとすれば最近シュエンがお姉さんにプレゼントをあげたことぐらいだろう。

 

「そ、そう言えば何故妹さんはぁ、リヴァリンを?」

 

「兄さんの卒業試験で兄さんを殺そうとしたのよ、記憶が消されようともクズはクズね」

 

―――

 

 全部片付けた、ゲームなどのリザルト画面が表示されるならきっとトリプルSが表示されていることだろう。

 

【それでは、欲しい物をお聞きします】

 

 やることやったので後の片付けはカウンターズやアークの人達に任せて、自分達はエニックに早速報酬を貰いに来ていた。

 

 欲しい物は既に決まっている!!

 

 クラウン王国にもAIが欲しいので!!

 

 インクを連れてって良いですか!?

オリジナル強ええ要素が増えていますが気に入ってくれてますか?

  • はい
  • いいえ
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

読者層が似ている作品 総合 二次 オリ

D-WAVE!ーチルアウト☆ヘレティックー(作者:太刀黄泉)(原作:勝利の女神:NIKKE)

地上から配信してるヘレティックだけど、質問ある?▼エニックのプロキシアバターを受肉させて寝顔晒したら、本体がキレながらコメ欄に降臨した件www▼まぁ、アークの計算リソース食い潰してでも配信は続けるんだけどね☆▼最強のヘレティック(自称)が、ゆる~く世界をわからせる。▼「あなぐらのみんな~☆息してる~?☆」▼―――『煮卵ちゃんねる☆』、本日も絶賛配信中☆▼※A…


総合評価:514/評価:8.47/連載:10話/更新日時:2026年07月16日(木) 21:00 小説情報

転生したらヘレティックだった件(作者:インなんとかさん)(原作:勝利の女神:NIKKE)

▼1:インディビリア▼ 私がニケの世界に転生してから既に90年ほど経っています。アーク近郊で何が起こらないかと彷徨っているのですが、これは私が何かいけないのでしょうか?▼※ニケに転生した前世の記憶持ちのインなんとかさんが指揮官に一目惚れして名誉カウンターズ兼専属ニンジャみたいになるお話。原作未プレイでも読めるように書いていきます。▼


総合評価:3746/評価:8.91/連載:6話/更新日時:2026年06月30日(火) 03:18 小説情報

満月を抱きしめて(作者:岬すみれ)(原作:勝利の女神:NIKKE)

本来、この物語には存在しないニケ――『ルミナスムーン』▼彼女は独自のシステムを駆使し、生き地獄の中でゴッデス部隊や無惨に散っていったニケ達を救済していく。原作の辻褄を合わせ、時には世界の改変を行ってでも。


総合評価:423/評価:8.91/連載:19話/更新日時:2026年07月28日(火) 19:00 小説情報

【本編完結】アークの一般指揮官(作者:山吹乙女)(原作:勝利の女神:NIKKE)

 背中で魅せるガンガールアクションゲームの世界に転生してしまった一般指揮官は、様々な厄介ごとに巻き込まれていく…地上を奪還するその時まで。


総合評価:6715/評価:8.93/完結:36話/更新日時:2026年05月04日(月) 08:30 小説情報

ゼンゼロのキャラに好かれ過ぎた男の話(作者:しいたvol.3)(原作:ゼンレスゾーンゼロ)

我、流浪のものなり。▼強さと童貞の卒業を求む。▼全身鎧の男がゼンゼロのキャラたちから狙われる話。▼ガバ設定・キャラ崩壊多めです。


総合評価:1959/評価:8.27/連載:12話/更新日時:2026年07月30日(木) 01:54 小説情報


小説検索で他の候補を表示>>