【インクをですか?】
そそ、未だ人口は少ないけど建物はしっかりとした建築方法で立ってるし、ちゃんと配置もえぇっと………なんかキロが難しいこと言ってたがしっかりとしたんだ!だから今度は後に大人数になったさいの王国の維持や管理を任せられる、それこそエニックみたいな子が欲しいんだよね。
【少し、待ってください、計算します】
考えるってことね。
―――
【やった!やった〜!遂にシュミレーションルームから脱出〜!ありがとうお兄ちゃん!】
良いってことよ、後昔も言ったがお兄ちゃんって呼ばれると本当の妹達が怒るからやめてね。
結局エニックはあれこれ可能性を計算した結果ある条件を飲めば連れていって良いと結論づけたみたいだ。
それでその条件とは?
【今から皆んなでカラオケに行きます】
………………………ごめん………もう一回言って?
【今から皆んなでカラオケに行きます】
………凄い………聞き間違いじゃなかった、なんでそんなことを?
【シックスオーがわたしの負の感情から生まれたのは知っていますね?】
あぁ、聞いたよ、AIだけどそういう悪い感情みたいなの生まれるから全部まとめて分離させて出来たのがシックスオーなんでしょ?
【はい、だからです】
どうだよ!?………えぇっとつまりストレス抱えないように発散をしたいってことか、でも何でカラオケなんだ?もっと自分達が得意そうなことした方がストレス発散できないか?ボードゲームとか。
【あなたとの約束を優先しました】
えぇ約束?………あぁ!したしたそれこそアウターリムに関して相談してる時に、自分達がよくカラオケ行く話ししたらしたことないって言うから今度皆んなでしようって!
「普通に雑談してない?本当にアウターリムの相談してたの?」
レヴィから疑いの目を向けられるけどちゃんとしてたわい!良いじゃないかSiriとかチャットGPTと人間みたいに喋る奴だっているんだから、より高性能なエニックと喋るの楽しいぞ?
「それで今皆んな揃ってるから行こうって?かぁ!健気だねぇ!!」
「べ、ベヒモス、おじさんみたいだよ」
「だが賢いわたしは覚えているぞ、前行こうとなった時もう音楽を聞けていないから歌えないと」
あ、こら!?余計なこと言うんじゃありません!
バハムートの発言を聞いたエニックは気のせいか少し残念そうな表情を浮かべながら数拍の間を置いて、いつもより抑揚なく話す。
【なら、別のプランを提案します】
ほらぁもう、残念がってるじゃんか、良いよ行こう行こうカラオケ!
【よろしいのですか?】
良いぞぉ、歌う曲は………えぇい!なるようになれだ!行くぞ!
歌った曲は童謡ばかりになったがエニックもインクも楽しんでくれたのかインクは大笑いをしたり、エニックは普段変わらない表情が笑っていた。
―――
【ちぇ、また電力不足】
そう言いなさんなインクさんよ、昔ラプチャーが来る前は地球のことを考えて電気があったけど使わなかったそうじゃないか、それだよ。
【違うでしょお兄ちゃん!なので慢性的な電力不足に終止符をうつためわたしが解決策を提案します!】
おぉ、ここに来てから初めての政策だな!
【一つ目!大型ラプチャーのコアを動力にする!動力源は人間だからとってもコスパも良いよ!】
………一旦………一旦話し合いか?………いやまず説教かも。
人類を守護するという前提条件がなくなると真っ先にこんな考え方が生まれてしまうのだろうか?とりあえず倫理観を叩き込んでもう一度チャンスをあげる。
【一つ目!大型ラプチャーのコアを動力にする!動力源は人間だからとってもコスパも良いよ!】
おぃ!?わざとだな?!
【えへへ、バレた?でもアークもやってるんだし良いんじゃない?実際効率は一番良いんだよ?】
………スゥーーーーーーーーーーーマジか、え、アークそんなことしてるの?え、電力供給方法大型ラプチャーコアで動力源人間?え!?だからアークっていう限られた空間なのに子作り支援みたいなのずっとあったの!?
なんか知りたくないこと知っちゃったな、でもそうでもしないと回らないってことなんだろうから、良いのかもしれない、遺体の廃棄も兼ねれて一石三鳥ぐらいになっているのだろうし。
とりあえずクラウン王国では良いよ、ラプチャーのお墓も建ててあげてるから、大型コアで発電なんてマリアンが悲しんじゃうよ、人間に置き換えたら大柄の人の脳だけ意識ある状態で残して永遠発電機として設置されるって終わり過ぎぃ!
【終わってるって言えば、あのテロ以降ニケと人間の関係が完全に終わってるけど良いの?】
むしろどうしろと?完全に原因は取り除いたけど、潜在的な恐怖は残り続けるだろう、ニケは人間を攻撃出来ない、そんな前提があったとしても銃を裸で持っているんだ、誤射するかもしれない暴発するかもしれない、そもそも攻撃出来ないなんて情報すら嘘だと疑ってしまうだろう。
解決するとしたらどうすれば良いんだろうな、圧倒的な光でも見せつけるしかないんじゃないか?
【そっか〜、じゃ!気を取り直して二つ目の案!永久機関を作る!】
永久機関って出来ないんじゃないっけ?
【そうだよ!だけどねぇほっといたら無限に増える、魔法見たいな物質があるでしょ?】
………あぁ!確かに!
―――
いやぁ水力発電ならぬ無限ダークマター力発電のお陰で随分と生活がアーク並………とは言わずとも一般家庭並みにはなったんじゃないか?
「そうね、これで王国の基盤は出来たんだじゃない?」
クラウン王国の夜、電気が足りるようになったとはいえ、無駄に灯りをつけておく理由もないので月明かりに照らされながら、レヴィと指揮官は城のバルコニーでいつものようにお喋りしていた。
これからはどうしようか、ゲームセンターとか映画館とかそういう電気使う娯楽施設いっぱい作ろうか、レヴィはどうしたい?
そう言って指揮官は王国の景色からレヴィの方を向くと、レヴィは慌てたように顔を指揮官から背ける、その頬は夜の薄暗さでもわかるぐらいには赤かった。
「わ、わたしは!………やっぱり………いいや」
レヴィの背けた横顔が覚悟を決めたような真剣な表情になり指揮官に顔を向き直して何かを言おうとするも、覚悟が少し足りなかったのか言い淀みながら、何も無いなんて言う。
………レヴィのお願いなら何でも聞くし、何でも叶えて見せるぞ?とは言っても自分1人じゃなにも出来ないから結局皆んなに協力して貰うだろうけど。
数回の深呼吸の音だけが聞こえる。
レヴィは再度こっちに向く、顔を真っ赤っかにしながらも目はこちらをがっちり見つめて逸れることがない。
そして震える唇で勇気を出して、願い事を口にする。
「こ…子供……が欲しい」
「指揮官との!子供が欲しい!!」
言ってしまったと、言えたことよりもどこか後悔の方が強いレヴィはさっきまで見つめていた指揮官の顔が見れなくなっていた。
なんて言うんだろう、ニケとの間に子供なんて出来ないと当たり前のことを言われてしまうんだろうか、それとも単純に無理だと言われてしまうんだろうか、そんなマイナスな考えばかりがレヴィの頭の中を埋め尽くす。
だけど、そんなマイナスはすぐに無くなった。
わかった、子供作ろうか。
レヴィはパッと顔を上げる、そこにあったのはいつもの指揮官とは違う何処か照れくさそうな顔で笑う、会ったばかりの頃のお互い気恥ずかしさがあった頃の顔だった。
影が重なったり、一つになったりなんてことはこんな話しをしといてなかったが、それでも。
影が離れることなんてきっと無いのだろう。
「ね、ねぇ………いつ出ていこっか?」
「もうちょっとって言いてぇけど、今動くと物音たてそうだしなぁしばらくはこのままだな」
「賢いわたしはさっさと出れば良いと思うぞ」
「それだけはねぇだろ、だってよく見てみろよ」
ベヒモス達が見つめる先には遥か昔、海を目指した青年と泥魚だった少女が初めて会って仲良くなった時の互いに何処かワガママで喧嘩もしてしかしそれでも一緒に居たいと思っていた。
そんな海の青に負けない青春が蘇っていたのだから。
―――
さてとそれじゃ子作りに励むわけですが………?
次の日にさっそくどうしようかと意見を出し合おうと皆んなで揃ったが、レヴィ以外の全員が揃ってニヤニヤとした表情でこちらとレヴィを交互に見ている。
あぁ、こいつら全力で今日は弄り倒すんだろうなと察しながらも、受け入れるつもりで話しを始めようとすると。
「シエンとレヴィはS○Xしたんですか!?どんな風にしたんですか!?指揮官との参考にするので教えてください!!」
その場にいたマリアン以外全員咽せたので取り敢えず弄り倒すということはなくなった。
―――
それでどうしたら良いと思う?妹達よ。
「ちょっと待って………今最高に脳破壊受けてるから、この瞬間だけニケになって記憶消去うけたいわね」
「ほんまやわぁいつか結婚とかするんやろなとか覚悟は決めてたけどまさかニケと子供欲しがるなんて正気ちゃうよ?」
なかなかクラウン王国のメンツで良いアイデアが思い浮かばなかったため、アークにやってきてニケ制作のエキスパートでもあるジエンとシュエンにアイデアを貰いに来たのだが、妹達には少々刺激が強過ぎたらしい。
「ハァ………そうねぇ、確か前クラウン王国行った時、防衛生物?で良いのかしら、あれ生み出している装置を軽く見せてもらったけどあれを応用して作るってのが一番理想じゃないかしら」
「自分だけそうやってちょくちょく兄さんとこ行って狡いなぁ、こっちで子供形のニケ用意したるとかじゃあかんの?ペットロボットの延長線やん」
「相変わらず倫理が終わってるわよ姉さん、それで自分の子供って割り切れる奴は少数よ、嫌でしょ定期的に娘が体の不備のチェックのため全身バラバラになんの」
「なんでや?病気とか怪我の心配不要で子育てちょう楽ちんやないの」
ジエン、こんな地下に居るせいでより倫理が悪化したんだなオヨヨ、ここを爆破して連れ出してやるからな!
「兄さん!最愛の妹のためにそこまでッ!!」
「しないでよ?したところですぐ自分から戻るわよ、ここの研究気に入ってるんだから姉さん」
なんだ、昔から研究が好きだったしな、そう簡単にアークに出れない以外は確かにジエンにとっちゃ良い環境だな。
「でも偶には兄さんとシュエンに会いたいやぁん」
「何言ってんだか、わたしも兄さんも会いに来てるしアークにも結構出てきてるじゃないのよ!」
「会いたりへんに決まってるやん!本当なら毎日会いたいんやで!?」
何処か嘘くさく涙を流しながらシエンにくっ付こうとするジエンをシュエンが必死になって止めるのを見ながら、シエンは昔に戻った気がして、自然と微笑んでしまう。
「そう言えば兄さん、ようここまでこれたねぇ?」
うん?どういう意味だ?
「兄さん知らんの?三つの伝説っていう噂っちゅうか事実やけど、流行ってんの」
え、何それ知らない、自分が関わっているならカウンターズの指揮官やアンダーソン副司令官が連絡くれそうだけど。
「一つ目が女神降臨、これは誰を指してかわからんけどおったんやろ?」
これはドロシーかな、結構目立つ活躍してたらしいし、空飛んでいる姿とかまさしく女神っぽいしね。
「二つ目はカウンターズの英雄化、正確にはラピやな、地上奪還を一部とはいえ成し遂げたことと今回のエンドレス戦で被害を最小限に抑えたことが評価されとるなぁ」
元から有名人だったのがさらに目の前で活躍する姿を見たら本格的に英雄の誕生を見たような気分になるだろうな。
「ま、だからと言ってテロの影響によるニケと人間の溝は埋まらないけどね」
それはしょうがない、むしろこの二つの事実があるから明確なデモや活動に繋がらずに済んでいるってことだろう。
「そして最後の三つ目は怪物の来訪、黒い泥がアークを全部包み込み、ニケ全てと先程の二つの事実すらも飲み込み、発生源の中心には黒い泥を生み出したであろう黒服の集団が目撃されたそうやで、兄さん有名人やなぁ!」
なんか自分達だけ悪評じゃない?
いや、確かに側から見たら、人間のために頑張ってた女神とカウンターズを一瞬で何処かへ消え去り、さらに侵食や爆発関係なく全てのニケすらも消し去ったのは怪物に見えるか、アークをダークマターで包んだし。
………あれ、本当によくここまで来れたな自分、良い感じに良い奴だよーって情報でも流してくれたのかな?
「中央政府は女神と怪物は味方だと宣言はしてくれとるけど、今の中央政府の発言は信用できるんかぁ?って感じやね」
どう庇おうと責任を負わせようとテロを未然に防げていないこととA.C.P.U.などの公的機関に秘匿でニケを在籍させていた事実は中央政府という存在を不安視するのに十分だろう。
………しばらく来るの控えるか。
そう言った瞬間2人して駄々を捏ね始めたので結局いつも通り会うことになったが、こちらはこちらでフォービーストのイメージアップをはからないと偶に遊びに来ることも出来なくなってしまうな。
―――
クラウン王国の建物の一つ、そこには唯一侵食経験のないレヴィの混じり気が無いダークマターで形成された溶鉱炉が中央に鎮座していた。
久しぶりに実験に使うなこのカレー式ダークマター、子供を作るっていうなら子供叩き込むか?
「いきなり怖い冗談いわないでよ………そうね、やっぱり武器だけで生物になったんだし、ニケを入れたら人型にならないかしら?」
ニケの死体のストックあったっけ?
「ないわ、死体が無いってのは良いことなんでしょうけど、最初から困ったわね」
「シュエンとかに作って貰ったらどうだ?ボディだけでも人型になるんじゃねぇか?」
と、思って一応この前アイデア聞きに行った時貰ってきました。
量産型ニケのボディだけをダークマター溶鉱炉に入れてしばらく待つ。
ぺッ!
変わらず吐くなこの溶鉱炉。
溶鉱炉から出てきたのは………亀だ
「ワン!」
「ひ、久しぶりの亀さんだ!可愛い!」
ジズは喜んで亀を抱き寄せて可愛がるがどうやらボディだけでは人形にはならないみたいだ。
うーん、どう思う?
「やっぱり脳が重要なんじゃない?」
「NIMPHが居るとかじゃねぇか?」
うーんどっちもすぐに用意出来るものじゃないし、なんか亀が賢くなるだけな気がしてくるな。
「ふふふ、賢いわたしはわかったぞ」
期待しないがとりあえず聞くね。
「おい期待しろ、まぁいい、いいかボディを入れても武器を入れても亀になる、これはつまりレヴィの溶鉱炉が強すぎるからだ」
………続けて。
「何を入れても亀になってしまう、しかし!レヴィの溶鉱炉より強力なボディを入れれば良い感じに混ざり合いきっと人形が生まれるはずだ!」
静寂が訪れる。
「なんだ?賢すぎて言葉が出ないか?」
その通りなんだよなぁ、頭打ったか後で見ようか。
「怪我などしてないぞ?!」
―――
強力なボディを流石にシュエンに作って貰うのは気が引けるのでカウンターズの指揮官が言っていた昔破棄したというラピのボディを手に入れることにした。
とは言っても捜索は探し物が得意なジズとバハムートに任せて、自分とベヒモスとレヴィはアークに来ていた。
「ねぇアークになんか来てどうすんのよ?流石にジズ達が頑張ってるのに遊ぶ気にならないわよ?」
「だな、目的はなんなんだよ?」
まぁまぁ、もうちょっと待ってよ。
指揮官はそう言いながら中央政府へ入って行き、そのままアンダーソン副司令官の執務室へもスタスタと入って行く、そこにはドロシーとレッドフード、もちろんアンダーソンが居たがさらにカウンターズの指揮官とラピも居た。
『急にラピを連れて来いってラピに何かようなのか?』
「わたしも来るように言われましたけどなんなんですか?」
ようがあるのはラピとドロシーだけだよ、まぁこれからやる活動を態々報告する必要が無くなるのは楽だから集まってくれてるのはありがたいが、アニスとネオンは?
『アニスに強くなりたいと言われてな、なる手段は知っているのか別行動になった、ネオンはアニスのサポートだ』
ほほう、修行か良いね、ま、こっちも修行みたいなことするけどな。
『………どういう意味だ?』
ふふふ、それはだな!ラピ!ドロシー!レヴィ!
「はい?」「だからなんなんですか?」「すんごく嫌な予感がするんだけど?」
アイドルやろうぜッ!!