天井が無くなり太陽が差し込むアークだが、驚くほど騒乱はなく日常が過ぎていく。
それは天井をぶっ壊した張本人であるアニスが地上に出てアークの防衛を行っているからだ。
アニスのソロライブは全てのアーク住民を魅了し、ライブから数日は驚異の犯罪率ゼロを達成していたほどだ、さすがに1週間後にはゼロではなくなったがそれでも犯罪率はもはや率で計算しなくて良いほどに減少していた。
もちろんアニスだけで四六時中防衛するわけにはいかないのでカウンターズが交代しながらそれぞれアークを守っているがアニスの影響かラピとネオンもかなりの人気を確保している。
ラピはもちろん前のテロでの活躍から人気だったがそこからアニスと同部隊であることでより注目を浴びてさらに人気を伸ばし。
ネオンはいつの間にかボディと武器を新調してボディも状態異常完全無効となって凄いが全長30メートル越えの超弩級武器のインパクトが強過ぎて一部のニケ達が火力最高とネオンを崇めるようになって2人とはちょっと違った人気を手にしていた。
そんな天井崩壊というとんでもないことが起きながらも平和なアークだが一部の組織は大忙しであった。
まずはテトラ、スマイルボックスチャレンジなるものは完全消失し、代わりに手のひらを返したようにアニスのライブの感想動画と配信で溢れかえっているなか、ミントとプリカの思考転換をレヴィに直してもらい、この爆発的、いやもはや核兵器的な人気のアニスをどう扱うかで激論を重ねる日々を送っている。
前から言っているように引退ライブを行う?アーク全体が鬱病になるぞ!?となり。
なら再出発させる?トゥインクルトライスター以外が娯楽として機能しなくなるぞ!?となり。
もうどうしたもんかと日々頭を悩ませている。
次に中央政府、こちらはポッカリと空いた天井を塞ぐためバタバタとしていたが、どう考えても年単位の時間と費用がかかることが予想され、次の案であった光学迷彩の展開を民衆が不安を感じるまえに完了させようと急いでいた。
最後に上の舞台ではなく下のM.M.R.、ネオンへの役目を終えた聖下が情報提供を行い始めたことでM.M.R.の技術は二段階先へと進もうとしていた、そしてその急激な進化に追いつこうと表層には影響が無いが、下で大騒ぎをしている最中だ。
………が、それはアークの困り事であり、フォービーストはそれらの問題は気にしないことにした、というより天井はダークマターで塞ぐわけにはいかないし、アニスの人気はこっちがあやかりたいぐらいだし、聖下に関しては元気にしてるツンデレメッセージが届いただけなので騒ぎを知らない…と言うことにした。
じゃあ今フォービーストは何をしているかと言うとクラウン王国へ帰宅して溶鉱炉の前に立っていた。
ジズとバハムートがラピの廃棄したボディを見つけた連絡を受けた指揮官達は最速で帰ってきて、もう既に溶鉱炉にはラピのボディは入れてあり他に何を入れようかと相談をしていた。
「賢いわたしは知っているぞ?子作りには精○が必要だ」
「堂々と言うなよ………でも○液って指揮官のか?」
「で、でもそれって」
「なんか………嫌だ………ラピのボディって知ってるせいかもしれないけど、ちょっと………いやだいぶ嫌かも」
分かりやすく嫌悪感をフォービースト、特に子供を欲しがったレヴィが人一倍嫌がってるのを見て指揮官は大分考えなしに行動していたことを後悔しながらも、同時にしっかりと愛されているというのが分かって後悔と幸福に板挟みにされた喜んでるのか悲しんでいるのかよくわからない表情をしていた。
「どんな顔だよ指揮官それ………怖いぞ」
ドン引きされた。
しょうがないだろ感情が混ぜ混ぜなんだよ、でもせっかくジズとバハムートに見つけてもらったが他者のボディを使っての子作りは止めた方が良さそうだな。
「ごめん、ジズ、バハムート、せっかく見つけてくれたのに」
「い、いいよ謝らなくて、言われてみれば確かに嫌だし」
「まぁ賢いわたしも気づかなかったのだ仕方ないだろう」
自分から言い出したことなだけあって珍しく、素直に謝るレヴィにジズとバハムートはたじたじになりながら気にして無いことを伝える。
さて、新しくレヴィとの子供の作り方は考えるとしてラピのボディを突っ込んだこの溶鉱炉はどうしようか、流石にもう完全に溶鉱炉内で溶けてるだろうから放置するのはもったいないし。
「そ、そもそも精○を入れて子供が出来るのかな?実験しないとレヴィの参考にならないよ?」
あぁ、確かにそうだな別のアプローチを考えるにしても、これで子供が出来るか出来ないかはだいぶ参考になるな………そうだ。
指揮官は携帯を取り出しメッセージを送る、レヴィ達は誰に連絡しているのか不思議そうにしている。
指揮官
[突然の連絡ですまないがラピは指揮官との子供欲しいか?あ、もちろんカウンターズのね?]
ラピ
[詳しく]
数回のやり取りの後ラピから欲しいという意思表示のメッセージを頂いたので携帯をしまわずそのまま別の人物に今度はメッセージではなく電話をかける。
とは言っても指揮官の後ろからやり取りを覗いていたレヴィ達はどこにかけたかなど分かりきっていたが。
バララララバララララ ピコン
『どうした?そっちから連絡、しかも電話なんて珍しい、緊急か?』
ハーレム野郎、お前の○液をもらう。
『………何て言った?』
お前の精○をもらう。
『ハッ!?何を言ってるんだ!?!?』
ピコン
シエンは混乱真っ只中のカウンターズの指揮官を無視して電話を切る、もちろんあっちから電話を掛け直してくるが気にせずほっとく。
いやぁ、心の怪盗団とか正義の怪盗団なるものがアークには居るらしいじゃないか、形だけでも真似してみたかったんだ。
「怪盗団って予告状を出すんじゃないの?電話だし全然丁寧な言葉遣いじゃなかったわよ」
なんだ形式とかあったのか?まぁスマートに回収出来なきゃ強奪するから怪盗っていうより強盗かも?
心の怪盗団、正義の怪盗団、精○の強盗団、うん似てるな!
「さすがに無理あるわよ」
それじゃ予告電話もしたし奪いに行きますか!
「ね、ねぇ、どうやって精○奪うの?流石に指揮官以外の触りたくないよ」
………注射器もってくか。
―――
カウンターズの指揮官は恐怖していた、何故か知らないがフォービーストが自分の○液を奪いにくるらしい、何故とかどうしてとかはこの際………全然良く無いがどうでも良いと仮定して問題はどのタイミングで襲ってくるかだ。
ラピ、アニス、ネオンには既に今からフォービーストがオレの精○を奪いに来るから守ってくれと、どう考えても信じてもらえない内容を説明したが、アニスとネオンが懐疑的だったのにたいしてラピはオレが嘘をついていないと信じてくれて防衛につこうとしてくれる。
流石にラピが本気であることもわかってかアニスとネオンも仕方なしと言った感じでこれからどう防衛しようか3人で相談し始めた。
「アニスを前衛にしてまずは守りを優先しましょう、ネオンはアニスのすぐ後ろでいつでも武器を展開できるようにしておいて」
「ラピはどうすんのよ?」
「フォービーストは奇襲も正面突破もお手のものだと思うから2人の少し後方でどちらにも対処出来るようにするわ」
「わかりました!強敵相手にこの火力武器を使ってみたかったんですよ!」
「さすがに人に向けて撃たないでよ………それでもなんとかしそうなのが怖いけど」
ラピの真面目な提案に2人素直に言うことを聞いて指揮官少し前にラピ、さらに前にネオンそして隣立つようにアニスも立っていつでも攻撃を防げるように警戒する。
カウンターズの指揮官は安心しきっていた、かなりのパワーアップを遂げた皆んなが揃えばフォービースト相手だろうと一筋縄ではいかないはずだと。
しかし安心は予想外の形で裏切られる。
突然アニスとネオンが倒れる。
指揮官には動きをとらえることは出来なかった、だがわかっていることが一つあった。
『ラピ………何故2人を気絶させた?』
ラピがオレには完全には捉えられない速度で2人を攻撃したことだ。
「すみません指揮官、本来ならしっかりと告白をして肯定の返事をいただき、付き合い、そしてプロポーズをして、籍を入れ、正しい行為をし、欲するべきなのですがニケですのでそれは不可能です」
『な、何を言っているんだラピ!?オレは何故2人を気絶させたか答えて欲しいんだ!』
「ですが指揮官はいくらニケが妊娠しないからと少々恋と性に奔放すぎます」
ギクゥ!と指揮官は肉体関係をもった相手達、エード、ブレッディ、マスト、ノワール、ソーダ、レオナ、ヘルム、メアリー、ロザンナ、ブリッド、ユルハ、ドラー、ルマニ、サクラ、アルカナのことを想像して「長い沈黙ですけどもしかして10人以上いるのですか指揮官?」
流石にラピもそんなイかれた人数と致しているとは思わなかったのか少し軽蔑した目で指揮官を眺める。
『そ、そんなことは、それより何故2人を!今から精○を奪いにフォービーストが来るんだぞ!?』
「えぇ知ってます、そもそもお願いと言いますか了承をしたのはわたしですから」
「なん………だと?」
つまり、ラピがオレから○液を奪うようフォービーストに依頼したというのか!?………いや手に入れてどうするつもりなんだ?というか言ってくれれば普通に渡すのに………いや普通に渡すってなんだ。
『一体精○を手に入れてどうするんだ?』
「それは自分が説明しよう」
いつのまにか地面に出来ていたダークマターの泥溜まりからシエンがヌゥっと這い出てきて、続くようにレヴィ達も続々と泥溜まりから出てきてフォービースト勢揃いという状況になった。
「事情説明とかしてくれてると思ったけど………何してんのよラピ」
「この方が早いわ」
「早くないわよ………」
レヴィが呆れた様子でラピに話し合いの重要さを教えてる間にカウンターズの指揮官はこの精○を強奪しようとしてきたシエンに何故そんなトンチキなことになったか聞くことになった。
―――
「つ、つまり、もしその実験が成功したら実質指揮官とラピの子供が出来るってことですか!?」
「で、でも、じ、実質でしょ実質、実質だから実質………羨ましい!!」
アニスとネオンにもしっかり説明しようとシエンは気絶している2人を起こしてことの経緯とする理由を説明すると、驚きながらも羨ましそう、と言うか羨ましいと口にして軽く嫉妬していた。
そんな2人に勝ち誇った顔をするラピを横目にカウンターズの指揮官はシエンに文句を言う。
『最初から電話でそう伝えればよかっただろ!?』
いや、まさかラピが説明せず強行手段を取るとは思わなくてな、だけど………したくなる気持ちもわかるぞ少し、ハーレム野郎は少しハメ外しすぎだぞ?
『いや、これには深いわけが………すみません』
変に言い訳するのは良く無いと思ったのか、カウンターズの指揮官は言い訳しようとした口を謝罪に変えて素直に謝る、それに対してシエンも肉体関係ではないが一般的には自分もハーレム側ではあるのを自覚しているので強く咎めは出来なかった。
ただ一つ警告だけはしとこうと思った。
そのだな、もし今回の実験で子供が出来た場合、ラピのボディはレッドフードと二つのコアで構成された特別性だが、もとは量産型ボディだ、多分だが質で言えばネームドボディと同等程度だろう………この意味わかるな?
カウンターズの指揮官はシエンが何を言いたいか理解し汗を大量にかきはじめた、それとは別にネオンはあまりそう言うのに興味ないのかへぇっと言った感じだがアニスは目をキラキラさせて指揮官と自分のボディを交互に見つめて、未来の自分の子供に思い馳せはじめた。
それを見てカウンターズの指揮官は汗をさらにダラダラと流し、シエンにこのことは公にしないよな?な!?と視線でというか顔全体で訴えかけてくる。
『公にしないよな!な!?』
口でも言ってた。
公にはしないさ、アークでそんなこと言っても変に混乱を招くし、そもそもそんな関係になるほどの人達は圧倒的少数派だ、少数派とも呼べないか、数える程度だろうな。
それを聞いてカウンターズの指揮官はホッと安心したように息を吐く、それをしっかりと見てからシエンは嬉しそうに笑顔で処刑の言葉を伝える。
ま、ハーレム野郎の彼女達には伝えてあげるけどね。
その言葉でカウンターズの指揮官はガクッと膝を崩して顔から倒れ込む………ふ、死んだか。
いつもならラピ達が心配して駆け寄りそうな倒れ方だが今回は内容が内容なのでほっといてカウンターズの指揮官を除いた皆んなでせっかくアークに来たのだからとカラオケに遊びにいった。
精○はカウンターズの指揮官が倒れた時にバハムートが注射器で採取してくれた。
―――
カラオケを存分に楽しんだ後でクラウン王国に戻り、さっそくダークマター溶鉱炉に精○を投入する。
するとグツグツと沸騰して沸き立つ水のようにダークマター溶鉱炉全体が動き始めた、その動きはとても激しく、震度3程度の揺れをクラウン王国全体に及ぼした。
そうなればもちろん心配になって他の皆んなも集まるわけで。
「ど、どうしたのだ!?」
「この揺れってこの溶鉱炉ですわよね?」
「せっかく昼寝してたっていうのに揺れで起きちゃったわよ」
チャイム、クラウン、インディビリアが同じ方向からやってくる、3人揃って髪がボサボサなのはインディビリアのセリフ的に揃って昼寝していたからだろう、すまんね。
「こ、これってぇ地震ですか?初めてですぅ」
「いえ、これはきっと巨大昆虫が近くにいます!」
「よかった、流石に下ネタにはならなかったね」
『いえ、これは』
「巨大昆虫同士の交尾でこんな振動になっているのですね!早く見に行きましょう!」
「………あぁもう!」
フラジャイル、マリアン、キロにタロスも別の入り口からやってきて、今日も今日とてマリアンに振り回されてるみたいだ。
【ちょっとちょっと!なんかここ急にエネルギーが異常値叩き出してるよ!?どうしたのお兄ちゃん!】
インクも大慌てで異常値の報告と心配でこっちにやって来てくれた。
全員が揃ったことでフォービーストは指揮官も混じって顔を合わせて目配せをしてそして頷く。
溶鉱炉は既に限界を超えて膨らみ、何か形を形成していく、どうなるかはわからないがまともな形にはならないのは確かだろう、つまり。
逃げるぞ!!
指揮官の合図に合わせてレヴィが床にダークマターを広げて一気に溶鉱炉の部屋にいた全員を王国の外へとワープさせる。
ワープ先である王国から少し離れたところに皆んなワープしてそれぞれがワープを先を理解して、すぐさま王国の確認をする。
時間にすれば1分程度だろう、しかし1分で王国に変化は現れた、ダークマターが王国全てを覆うほどに地面に広がり、次に王国を覆いながら空へとダークマターが伸びていく、しばらく伸びるとピタっとダークマターは上昇をやめて横に羽を広げるように伸びてそれで完成したのか静止した。
おいおい、とんでもない化け物が誕生しちまったな………。
「化け物ではないわ」
レヴィが自分自身の手を見つめながら寂しそうにシエンの言葉を否定する。
どう言うことだ?
「皆んなを逃す時のダークマターの一部が溶鉱炉………ううんあの子に触れたの、その時聞こえたのよ………『だっこ』って」
………つまり、あの王国を包んでデッカい塔みたいになったあれは子供で………しかも抱っこしてもらいたいだけの愛情に飢えた存在だと?
「うん」
レヴィは先程その子供に触れて感情を感じとったであろう手をゆっくりとシエンの手へと絡ませてそのままその上からさらに自分の手を重ねて祈るように胸の前えともっていく。
「お願い、指揮官………あの子を助けよう?」
シエンの冷静な感情があの存在は危険だと訴えかける、まだ生まれたばかりの今ならどうにかなるし、生み出した責任として葬ることが最適解である気もする。
しかし、そんなのは子供には何の関係もなく、何の責任もない。
………多分だがいきなり抱っこさせてあげる、はい終わりではない、正気をたもっているなら流石にもう少し話す余地がありそうな姿になるはずだ、正気に戻すためにあの子を弱らせないといけない、出来るか?
その問いは相手が強そうだからの問いではなく、子供の為に子供を傷つけることが出来るのか覚悟を問いたものだった。
レヴィはあの子を見つめる、レヴィからしてみれば他人の子供だ、レヴィの立場は出産を手伝った助産師のようなもので無事子供が出来た感動はあれど、自分の子供のような愛情が今あるかと言われたら微妙だ。
だけど自分と他人とは言え、子供が目の前で寂しそうにしながら泣きそうにしながらだっことお願いしてきて、見捨てるほどに終わっているつもりはなかった。
ダークマターを手のひらに生み出しながらレヴィは悩んでいた表情から覚悟ある表情へと変わり、そして自分の後ろ、ベヒモスとジズとバハムートを見る。
「子供に暴力なんて前時代的で好きじゃねぇがそうしないとだっこもできねぇんじゃ仕方ねぇな」
「あ、後でいっぱい謝って甘やかしてあげようかな」
「賢いわたしはそういう教育もお手のものだ、まかせろ」
3人も3人それぞれ覚悟を決めてレヴィの後ろからレヴィと指揮官に並び立つように横に並んで、あの子を全員で見つめる。
「わたくし達も援護しますわ」
そう言ってクラウン達も戦いの準備をしようとするが、シエンがそう言ってくれたことに喜びながらも断る。
嬉しいけど、産んだのは自分達フォービーストだ、自分達だけでやらせてほしい。
「だけど!あんな強そうなんですよ!?しかもクイーンの力も感じます!」
マリアンが心配そうにフォービーストだけで挑むのは危険だと訴えてくる。
それをフォービーストは笑う。
ベヒモスはアハハと高らかに。
ジズはプフゥと吹き出すように。
バハムートはフンッと嘲笑うように。
レヴィと指揮官は見つめあって互いにフフッと困ったように。
そんな心配は最初から不要だ。
大人しく見といてくれ、マリアン、そして皆んなも、ラプチャーよりもゴッデスよりもカウンターズよりもクイーンよりも強い。
獣を。
カウンターズの指揮官の名前が未だに決まりません、こんな名前が良いとかありましたら感想ください。