フォービーストの指揮官の日常   作:デュエルしろよ

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7話

 ひとつ聞きたいのだが………なんでフォービーストもレッドフードの故郷への旅について行くんだ?アークの娯楽を楽しみまくる予定だったのに。

 

『仕方ない、地上に詳しいのが君のいる国のチャイムという子だけなんだから』

 

 カウンターズの指揮官よ仕方ないと言われても娯楽三昧が無くなった事実は変わらないのだよ………にしてもドロシーも来ると思ったが意外にも来なかったな。

 

「これ以上は本当に気持ちが揺れてしまうのでやめておきますだってよ、あたしも別れようとした手前でこれだから未練たらたらになりそうだしありがたいけどな」

 

 アンダーソン副司令官は?

 

「単純に外に出れる体じゃねぇってよ、今頃ドロシーと昔話に花咲してんだろ」

 

 それ絶対話題レッドフードにならないか?

 

「だよなぁなんか自分がいない所で自分の話って小っ恥ずかしいよなぁ………」

 

 そうな気がするってだけで気になるっていうのにほぼ確定だとかなり気になるよね。

 

「あのぉ〜トーカティブに襲われてたのを助けてくれたのって貴方達って聞いたのですが間違いないですか?」

 

 おろ?ネオンだっけか、そだよ、たまたま気づけてね感謝してよ!

 

「はい!ありがとうございます!それで疑問なんですがどちらが火力を出して助けてくれたのでしょうか?」

 

 火力?脅して帰ってもらったから戦闘はしてないよ。

 

「………そうなんですか」

 

 もしかして武器に興味あるの?

 

「いえ、火力に興味があります」

 

 武器と何が違うんだ???威力があれば何でもいいのか?………うーんなら思ってるのと違うかもしれないが次のラプチャー遭遇戦バハムートに任せるから見てみるかい?良い火力だと思うよ?

 

「良いんですか!?」

 

 良いよ、ただ参考には出来ないけどね。

 

―――

 

「賢いわたしの火力が見たい?」

 

「はい!見せてください!!」

 

「そう簡単に見せるわけがないだろう!何故なら賢いからだ!」

 

 賢いからじゃなくてもっと別の理由があるでしょうが、完全に仲間なわけじゃないから手札を見せたくないとか。

 

「手札???なぜ今トランプの話になった!?」

 

 ………とりあえず、見せても良いよ、それこそ信頼の証としてね、賢いバハムートは信頼した相手に隠し事なんてしないだろ?

 

「あぁもちろんだ、なら行ってくる」

 

『メティスと仲良くなれそうだな』

 

 そっちにも居るのかバハムートみたいな子。

 

『あぁ共同作戦をしたことあるが賑やかな子だよ』

 

 会わせたいような会わせたくないような………まぁこんな調子で仲良くしてたら会うんだろうなきっと。

 

「ネオンと言ったか?離れていろ賢いわたしでないと怪我をしてしまう」

 

「どのぐらいですか?」

 

 こっちまで戻っておいで!フォービースト以外当たると痛いから!!

 

『いったい何をするつもりなんだ?この数を1人で片付けるのは流石に厳しいぞ』

 

 何をするつもりと言われてもなぁ、説明苦手なんだよ、見てくれとりあえず!ただ。

 

 この数を1人で片付けれるから見せるんだよ。

 

 バハムートはダークマターを球体状に丸めながらそのサイズをどんどん大きくしていき、最終的に大玉転がしの玉程度 まで大きくし空へと放り投げた。

 

 パンッ

 

 風船が割れるような音と同時に空のダークマターが黒い雨となってラプチャーの軍勢に降り注ぐ。

 

「………あれ?何にもならないですね」

 

『そうだな、これといった変化がない』

 

 バハムートが倒したし自分が部品回収していいか?アークに売れるんだ。

 

「まだ終わってないように見えますけど?」

 

 ?………あぁ!もしかして火力ってド派手な爆発とかじゃないとダメだったかい、結構良い火力だと思ったんだけどなぁ。

 

 そう言いながらフォービーストの指揮官はスタスタとラプチャーの前まで向かってしまう、危ないとカウンターズの指揮官とネオンもすぐ後を追うがラプチャーを眼前に据えて始めて何が起きたか理解する。

 

『小さい穴………まさかさっきの黒い雨全てこの極小の穴を空けて貫通したのか!?』

 

「うぉぉ!!あんな小さい粒にこんな火力があったんですか!?凄い!凄いじゃないですか!!」

 

 ………だろぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!うちのバハムートは凄いんだぞぉ!

 

『だが良かったのかいくら信頼の証明にしたってこんな奥の手見たいな物見せてもらって』

 

 大丈夫さこれは自分達フォービーストの力のほんの一部さ。

 

「見たかネオン、わたしの奥の手を」

 

「はい!すごかったです!」

 

『………あぁ言ってるが?』

 

 いやいや、あれは序の口の序の口で。

 

「賢いわたしが考え抜いた最高の奥の手だ!ダークマターを粘着性に変化させる要領でダークマターを硬化させあのような火力にまで進化させたのだ!」

 

『………あぁ言ってるが?』

 

 ………奥の手だよ!奥の手ですぅ!バハムートがあれ考えついた時珍しく本当に賢いから賢いパーティしたぐらいには奥の手ですよ!文句あっか!?

 

『いや、そこまでしてくれたんだ、そちらの信頼を裏切らないよう頑張るよ』

 

 やだ、心までイケメンなら非の打ち所がないじゃないか!?

 

 ………一つ信頼の対価というわけじゃないが聞いて良いか?

 

『答えられることなら』

 

 モテるか?

 

『は?………いやそんなことないぞ』

 

 ………言い方がモテそうだなぁ、もうちょっと仲良くなったらイケメンハーレム種馬媚薬製造かどうか聞いたろ。

 

―――

 

 我慢は体に毒だと思うかい?自分は思うので仲良くなる前に聞きます。

 

 自分達フォービーストの間でカウンターズの指揮官はイケメンハーレム種馬媚薬製造だと言う予想を立てたのだがあってるか?

 

『ブフォッ!?』

 

 きったね!?うぇベトベト………で、どうなんだ合ってるか?

 

『そんなわけないだろ!?』

 

 だよなぁ正直に答えないよなぁ………アニスさんやアニスさんや!ちょっとこっち来ておくれ!

 

「なによ、指揮官様と話してたんじゃないの?」

 

 その指揮官様はイケメンハーレム種馬媚薬製造だと思うかい?

 

「指揮官どうしで真面目に作戦会議してると思えば、そんなこと話してたわけ指揮官様?」

 

『ち、違う!こいつが勝手に!』

 

 まぁまぁ、で、どうよ?合ってる?

 

「………種馬は違うと思いたいけど、イケメンハーレムは間違ってないわね」

 

 ヒュー!流石イケメンは違うねぇ!

 

『やかましい!というか何だ媚薬製造ってそんなことしてないぞ?』

 

 君の血だよ、なんか特殊な血なんだろ?

 

 フォービーストの指揮官がそう口にした時、空気が一瞬で冷え込み、アニスは急いで指揮官を庇うように前に出て武器をフォービーストの指揮官に向ける。

 

 しかしそれよりも早くアニスの足元にダークマターが丁度アニスの影に重なるぐらいに広がって、それを生み出したジズは自身の指揮官を翼で射線を切るように立っていた。

 

『何故そのことを知っているんだ?』

 

 ………いや助けたの自分達なんだけどぉ!?!?君の怪我したところバハムートが触っておかしくなったからそう予想立てたんだけどぉ!?!?

 

『お、おう、すまない、確かにそうだったな、内密なことを知っていたからつい』

 

 ついじゃねぇぞこら!信頼を最速で裏切りやがって!しばらくハーレム野郎って呼んでやるからな!?

 

『甘んじて受けよう』

 

 やだ、寛容さまであるのって思ったけど自分の罰が軽いだけな気がするなこれは。

 

 ほれジズ、誤解だったんだしダークマター戻して戻して。

 

『アニスも武器を下ろしてくれ』

 

 アニスとジズは渋々と言った感じで武器とダークマターを戻す、これ互いにあっちが悪いのにって思ってるパターンだ。

 

 うーん変に険悪なまま行くってのもなぁ、何かアニスの好きなことってあるかい?

 

『炭酸水だな、後好きかわからないがTTスターっていうアイドルグループに詳しいな』

 

 TTスター?相当前のグループじゃないか、第一次地上奪還戦が終わった後ぐらいと聞いたぞ、よっぽど好きなんだな。

 

 とは言えジズもそんな昔のアイドル知らないので炭酸水の方で仲直りしてもらおう。

 

 ジズ〜炭酸水出して〜。

 

「はぁい、冷たいの?常温?」

 

 ここでチラッとアニスを見ます、ありゃキンキンがお好きな顔ですね。

 

 冷たいのをお願い。

 

「ちょ、ちょっと待ってぇ………あった、はい!」

 

 おぉキンキンに冷えた炭酸水だぁ、しかしこれだけではアニスは謝ろうとしないだろう、ここでこの炭酸水の情報をひと匙加えます。

 

 そう言えばこの炭酸水そろそろなくなるよな?新しいの作らないとな。

 

「うん、指揮官の作るこの炭酸水、レヴィが汲んでくれる海洋深層水から作ってるからすんごい美味しくてすぐ飲んじゃう!」

 

 ジズ、グルメリポーターになれるよ。(激甘評価)

 

 そして極上の炭酸水、しかもキンキンがあると言うのと信頼してすぐの行動だったことの罪悪感からか、そろりと近づいてアニスは謝る。

 

「ジズ、ごめん、せっかく信頼してくれたのに疑うようなことして」

 

「い、いいよ!わ、わたしも指揮官を狙われたからちょっとカッとなっちゃった、ご、ごめんね」

 

 お互いぎこちなく謝りながら、二ヘヘと笑い合う2人を見て自分はほんわかしながらジズに一緒に炭酸水を飲むよう促す。

 

「いいの!?」

 

 もちろん。

 

 アニスとジズが仲良く座って炭酸水を飲んでいるとそれに釣られて他の皆んなも飲みたくなったのか飲み物に炭酸水を欲しがった。

 

『俺も炭酸水にしようかな』

 

 ないよ。

 

『へ?』

 

 皆んなに渡した分で最後だ、君のはない。

 

『………』

 

 いや〜〜〜〜すまないねぇ〜〜〜〜〜悪気は無かったんだよ、本当本当、ただそのぉ〜〜なんだ、結果として君が損することになったねハーレム野郎、信頼は大事だ!!ガッハッッハ!

 

『………そこにあるだろ?』

 

 ?どこだッてあぁ!?自分の炭酸水盗りやがったな!?!

 

『ハハハ、ハーレム野郎は甘んじて受けるがこの炭酸水は貰うぞ!』

 

 ちっきしょぉ!返しやがれ!

 

『あんなに皆んな美味しそうに飲むんだ、俺だけ仲間外れはやだね!!』

 

 2人の指揮官の奪い合いを見ながらジズとアニスは再び笑い合った。

 

―――

 

「ここなら知っているのだ、さっそく行くのだ?」

 

「そうしたいけどよ、流石にあれを邪魔する気になれなくてよ、プレイボーイはどう思う?」

 

 そう聞かれて、改めて目の前光景を眺める、そこにはマリアンがカウンターズの指揮官に泣きながら抱きついてアニスとネオンが囲むようにして立って仲良くしている様子だった。

 

 そうだな、時間も夕方に差し掛かる頃だし、せっかく自分達のホームに来たんだ一泊していこう、その方があっちも喜ぶだろうし。

 

 てかなんか凄いカウンターズは驚いてたけどもしかして預け先知らなかったのか?通りでマリアンに関する話題全然出さないと思ったよ。

 

「聖女様とおちびちゃんと先生が送ったんだっけ?お嬢様から聞いたが本当に変わっちまったんだな、おちびちゃんが報連相怠るわけねぇし」

 

 悲しそうだな。

 

「そりゃな、皆んなそのままでは居られなかったってことだしな」

 

 だがお陰で生き残れた、だろ?

 

「へへ、その通りだ、良いか悪いか置いといてよ、変わったことで今を生きてるんだろうよきっと」

 

 そっか………ところでさ、虫と酒とエロに心当たりあるかい?

 

「エロはあるが他はなんだ?虫は流石にGは嫌いだし酒は若気のいたりぐらいでしか飲まなかったな、で、なんだそれ、ナゾナゾか?」

 

 う〜〜〜んいやちょっとな、カウンターズの教えかもしれんからまだ断定は出来んがマリアンの教育がな………。

 

「???」

 

―――

 

 カウンターズとレッドフードの歓迎会、そこで誰よりもはしゃいでいる存在がいた、酒をがぶ飲み、虫を爆食い、下ネタ連発、聞いてるだけだとおじさんだが、やっているのは心幼き少女である。

 

「酒ぇ!美味しいです!皆んなお泊まりだから歓迎酒です!!歓迎会なので虫も食べましょう!アニス!ネオン!指揮官!エロい話ししましょう!ここの本で沢山覚えました!」

 

『い、いったい、何があったんだ………夢であってくれ………』

 

「えぇ………誰が、こんな教育したのよ………まってこの特徴………」

 

「確実にあのお三方ですね、短期間しか共に行動してないはずですが、悪い奇跡が起きてますね………」

 

 悪い奇跡によって生まれた、酒!虫!下!なマリアンに揃って目眩を覚えるカウンターズ、それを横目にレッドフードは呟く。

 

「悪いことばかり教えるやつもいるもんだなぁどこのどいつだ?」

 

 ………どうかあの世に帰るまで気づきませんように。

 

―――

 

 懐かしい。

 

 あの川、いっつも夏はあそこで水浴びしてたっけか、ちょっと小高い崖から飛び込んでよく怒られたな。

 

 すんげぇ、まだあのばあちゃんの家残ってんのかよ、野球とかサッカーのボール全部あそこに入ってって毎度怒られてたな。

 

 うげ、あの警官の家も残ってんのかよ、やんちゃしてた時よく怒られてたな。

 

 ハハハ、怒られてばっかじゃねぇか。

 

 でもよ。

 

 水浴び終わりにスイカ食べさせてもらったり。

 

 謝った後、危ないからとテレビで普段みない映画をばあちゃんと見たり。

 

 警官にヤレヤレと呆れられながら、奢ってくれるアイスだったり。

 

 そんな嬉しいこともあったな。

 

 懐かしい。

 

 背後を振り向く、そこには誰もいない、何も言わず察して姿を消してくれたのだろう。

 

 再び前に視線を戻すと自分をイメージしたかのようなカセットプレイヤーがあった。

 

 ゆっくりと壊さないように触る、とは言ってももう壊れてるだろうけどな。

 

 故郷の親友が残してくれたのだろうカセットプレイヤーは自分と一緒でもう終わっているんだと思いながらもレッドフードはカセットプレイヤーのスイッチを押す。

 

 …………。

 

 …………。

 

 …………。

 

 やっぱり壊れてるなと諦めて去ろうとすると。

 

 カチッ。

 

 〜〜〜〜〜〜。

 

 〜〜〜〜〜〜。

 

 〜〜〜〜〜〜。

 

 あぁ………懐かしい…………最後に………これが聞けてよかった。

 

 レッドフードは注射器を腕に当てる、今度はすんなりと針は皮膚を通る。

 

 思えば、こうやって故郷に戻れたのはラピのおかげか。

 

「ラピ、ありがとう、元気でな」

 

 〜〜〜〜〜〜。

 

 〜〜〜〜〜〜。

 

 〜〜〜〜〜〜。

 

 音楽がまだ聞こえる、天国ってのはこんな古臭いもんなのか?それともあたしに合わせてくれてんのかな。

 

 〜〜〜〜〜〜。

 

 〜〜〜〜〜〜。

 

 〜〜〜〜〜〜。

 

 ………?

 

 薄く目を開く、目の前の光景は死ぬ前と変わらない。

 

 注射器を見るとまだどういう効果かわからない謎の液体は残ったままだった。

 

「おいおい………ラピ………流石に怒るぞ?」

 

「怒らないであげて、止めたのはわたしだから」

 

 声のする方を向くとそこにいたのは………誰だ?ロリ?

 

「幼女が何でこんなところにいんだ?」

 

「キィ!違うわよ!!成人してるわよ!わたしの名前はレヴィアタン!指揮官に言われてちょっとこっちに来たのよ!!」

 

「よ、ってことで間に合って良かったよ」

 

 プレイボーイじゃねぇか、つまりこいつはフォービーストの1人か、で、間に合ったって?

 

「実はドロシーにお願いされちゃってね、第3の選択があるなら連れ帰ってくれないかってね、ちなみに1がこのままレッドフードの状態で連れ帰るで2が大人しく見送るね」

 

 ………お嬢様にも困ったもんだな、あたしは死んでるし、ラピにだって託したんだ。

 

「あぁそうだドロシーが伝えてって、『次に託すのも良いでしょうけど、借金を継がせるのはどうかと思いますよ』だってさ」

 

 借金?………おいおいまさか地上奪還のことか?確かに地上を奪われるのを阻止出来なかったんだから借金になるのか?

 

 あぁもう!別段あたしはそんな借金から逃げるつもりでさっさと戻ろうとしてるわけじゃねぇぞ!?お嬢様めぇ、あたしが気にするようなこと伝えてきやがって!

 

「つか、第3の選択ってなんだ?」

 

「スワンプマン、テセウスの船、どっちか知ってる?」

 

「しらね、なんだそりゃ?」

 

「ようはレッドフードのそっくりさんはレッドフードなのかってことだね、もちろん記憶も何もかもそっくりだ」

 

「そりゃ………あたしなんじゃねぇの?2人いたら、働く量が二分の一になって最高だな」

 

「その考え方なら問題なさそうだな、レヴィ」

 

 はぁいと返事しながらレヴィは床のダークマターだまりから既に息を引き取っているであろう量産型ニケを取り出して床に寝かせる。

 

「おいおいまさかあたしのために殺したとかないよな?」

 

「安心しなよ、地上ですでに死んでいたのを保管していただけだから、まずレッドフードのコアをこの子に埋め込む、するとレッドフードになる」

 

「………いやならねぇだろ」

 

「現に今、なってるじゃないか、この量産型の子のコアを抜けばより確実だろう」

 

「そういやそうだな、だけどそもそもどうやってコアを移植?するんだよ、さすがに麻酔無しで外科手術とかはやめてくれよ!?」

 

「わたしが痛みなくやるから安心なさい、記憶の移し替えも丸ごとコピーするからそんな手間じゃないしね」

 

「単純にレッドフード、君がどうしたいかだけが重要だ、したくないというならドロシーには無理だったと報告するだけだ」

 

 レッドフードは目を瞑って、考える、したいかしたくないか。

 

 もう過去の人間なんだからさっさと終わるべき、そう考えていたし別段今だってそう思っている。

 

 だけど借金を残したままっていうのも確かにと思っちまった、あたしが借金したわけでもないし、ラプチャーが勝手にやってきて勝手に取り立ててきたわけだが結果として借金したようなもんだ。

 

 それに今のお嬢様は何処か危ういから不安だし、指揮官は地上で指揮するなんて出来ないぐらい弱ってるのも不安だし。

 

 ………お嬢様に頭ん中言い訳すんなって言ったのにあたしもしてんじゃねぇか。

 

 理屈をどんだけ並べようとも結局は生きたいか死にたいかって話しだ。

 

 〜〜〜〜〜。

 

 〜〜〜〜〜。

 

 〜〜〜〜〜。

 

 ………そういえば、このカセットプレイヤー、中身のカセットはどうなってんだ?

 

 立ち上がってカセットプレイヤーの中身を確かめようと調べてみるとあることに気付き思わず笑ってしまった。

 

「やるよ」

 

「そのカセットプレイヤーで決めたみたいだけどなんか書いてあったの?」

 

「うん?あぁ、そういうわけじゃねぇよ、決めた理由は確かにこれだけど」

 

「………なんで???」

 

「そりゃあ、このカセットプレイヤー」

 

 カセットプレイヤーの形しただけのただの音楽プレイヤーだぜ?

 

―――

 

 故郷の親友は何故、カセットプレイヤーではなくカセットプレイヤー風の奴にしたのだろう、流石にゼンマイ式の電気要らずが見つかんなかったのか、乾電池式だと動かなくなると思ったのか、窓際にあったのは太陽光発電するタイプだからみたいだ。

 

 親友はカセットプレイヤーそのものより、中身を大事にしたのだろう、当時ですら相当古い音楽だ、あたしの好きなこの音楽のカセットテープがなかったのかもしれない、それでもこの『音楽』を届けたい、そう思ってこういう形にしたんだと思う。

 

 走れ。

 

 何というかこれがカセットプレイヤーじゃないとわかった時そう言われた気がした。

 

 〜〜〜〜〜。

 

 〜〜〜〜〜。

 

 〜〜〜〜〜。

 

 こいつは『音楽』を届けてくれた。

 

 ならあたしは?

 

「いきますよ、レッドフード」

 

「はいはい、つか何処にいくんだよお嬢様」

 

「アークにいる理由もなくなりましたし、一旦エデンに戻ることにします、指揮官があれでは再び指揮してもらうというのは難しそうですし」

 

「エデンってのはどっちだ?」

 

「あちらの方角ですね」

 

「………ラプチャーだらけなんだが」

 

「何か問題でも?」

 

「ハッ、ねぇよ」

 

 お嬢様がさっさと戦闘しに行ってしまう、なんやかんや血の気多いよな。

 

 昔、走った。

 

 助けるため、しっかりと別れの挨拶をするために。

 

 今、走る。

 

 助けるため、一緒に前へ走り続けるために。

 

 〜〜〜〜〜。

 

 〜〜〜〜〜。

 

 〜〜〜〜〜。

 

 こいつは『音楽』を届けてくれた。

 

 ならあたしは?

 

 『勝利』だ。

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