氷叢家の種馬(ガチ)   作:のりしー

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種馬話〜山岳レディはマウントがとれない〜

 

side Mtレディ

 

「……あぁぁぁ!!もぉぉ!!このクズ!!私が行くまで酔っ払うなって言ってたのに!!なんでビールをジョッキで2杯空けた後にデキャンタ大の赤が半分になってんのよ!!このクズ!!このクズ!!ホントに!!ホントに!!もー!!!」

 

 

私急いで行くってあんだけ言ったのに!!何でほんのちょっとだけ待つとか出来ないのよコイツは!!

 

 

「……あっれー?どしたん山女じゃん?なんでここいんの?まじウケるんだけど」

 

「さっきこれから行くって言ったでしょ!!何なのよアンタはホントにもー!!!あ!!店員さん!!私ビール!!ビールちょうだい!!もー!!飲まなきゃやってられるかこんなん!!」

 

「ぶー不正解。サイゼはスマホでセルフオーダーですーQRコード読んで自分で頼んでね」

 

「むきー!!うざーー!!!!!ちゃんと頼むわよもー!!このクズー!!飲まなきゃ無理よこんなんもー!!我慢出来るかー!!このクズがーーー!!」

 

 

ここはあのクズの自宅の最寄りのサイゼ。

クズ曰く、ワインが飲めれば異常にコスパが良い居酒屋……外聞を気にしなければ飲みまくれるらしく、このクズ御用達のお店となっていた。

 

ホントに!!もーーー!!

 

 

日中のヒーロー活動が終わり、シャワーを浴びて私服に着替えて急いで来た私。

 

 

そんな私の目の前には、いつも通りにへらへらと笑っているこの男……アイスブレイドこと氷叢零至が楽しそうにお酒を飲んで座っていた。

 

 

急いで来たのよ私!!ちょっとくらい飲み始めるの待っててくれてもいいじゃない!!

 

そんなこのクズは、

 

 

 

「……あ、ちょい待ち……出久きゅんからLINE来たわ……わードジっ子だね出久きゅんは……よりによって俺の事務所に忘れ物したらしいぜーマジウケる……明日また取りに来るってよー……一人で辿り着けるかな俺の事務所に?ウケるー」

 

 

「……ね!!ちょっと待って!!出久きゅんって誰よ!!何でそんな即レスしてんのアンタ!!私のLINEとか2日くらい既読無視が普通じゃないの!!誰!?誰なのよ!?何なの出久きゅんってのは!?何でクズのアンタが即レスしてんのよ!!」

 

「んー……まー……出久きゅんは出久きゅんだよ。何か問題あんの?ウケるー。……明日、事務所近く来たら連絡よこせ……と」

 

 

 

 

そんな感じで楽しそうにスマホいじって返信してるこのクズ!!

 

 

 

 

 

「また私の知らない女!?新顔!?新顔なの!?もー!!今さらいいけど!!アンタのそんな感じわかって来たけど!!名前は覚えたからね!!出久きゅん!?出久きゅんね!?もー!!出久きゅん!!絶対に!!絶対に許すまじだわ!!」

 

 

 

(……なんか盛大に勘違いしてる気がするけど……まぁ、これはこれで面白そーだしこのままでいーかなー……頑張ってね出久きゅん♡)

 

……よく聞こえなかったけど、小声で何かとても楽しそうにクズが呟く。

 

 

「何か言った!?!?!?」

 

「んーん?べっつにー(へらへら)」

 

 

何でもないなりよー……ってな感じで適当にグラスの赤ワインをあおるこのクズ。

 

このタイミングで私の注文したビールが届き、

 

「いえーいとりまかんぱーい」

 

「……軽いわねーアンタはホント……」

 

コチン……とグラスを軽く合わせて乾杯する。

 

 

 

グビグビグビグビ……と一気にグラス半分くらい飲んでプハーーーー!!!!これよこれ!!飲まなきゃやってられるか!!しかもこのクズを相手にしてるのだ私は!!

 

 

 

「おーいー飲みっぷりじゃんウケるー」

 

「……誰の所為だと思ってんのよこのストレス……」

 

「?」

 

「アンタが!!2日くらい既読スルーぶちかましたチームアップミッションの話でしょうが!!その話をしに来たのよ私は!!」

 

 

そう!!元々私はその話をするためにこのクズに連絡をしたのだ!!他意は無い!!絶対に!!うん!!

 

 

 

 

「……?あー……うん……そだっけ?うん。多分今日くらいに返事するつもりだったわーうんーーうんーー」

 

「言い訳ヘタクソかこのクズ!!クズ!!クズ!!」

 

 

 

「ねーねー辛味チキン食べね?追加で辛味チキンいこー。あ、ワインも無くなったからデキャンタ大追加で」

 

「辛味チキンはいいしデキャンタ大もいいけど!!せめて私も飲める白にして!!後!!いい加減私のご飯も頼みたいからちょっと待って!!ああ!!もう!!結局!!チームアップミッションの話が全然出来てない!!」

 

「ちっす、んちゃ」

 

「真面目な話もするから!!いい加減にして!!」

 

 

「ういー」

 

「軽っる!!」

 

 

……とりあえず、こんな感じでクズの相手をしつつ、私は頑張って自分のご飯と追加のお酒を頼んだのであった……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……ヒーロー狙いの美人局(つつもたせ)?」

 

「うん」

 

 

ドリアやらピザやらが並ぶテーブル。

それぞれ白のワイングラスをちびちびと飲みながら、声を抑えて私達は話していた。

 

「何かねー……トップとかの上位争いまではいかない中堅くらいの男性ヒーロー達……でもほら、そんなヒーロー達でも性欲はある訳でしょ?そんな中堅くらいの男性ヒーローを狙った美人局の被害が最近多いらしいのよね」

 

「……ふーん……」

 

 

そこでクズは一拍。

 

 

「……自業自得じゃね?」

 

……それに関してはマジでその通りだと思うのだけど……

 

 

「……それに関しては私もホントに同感なんだけど……それはそれとして美人局が許される訳じゃないでしょ」

 

……ホントに、しょうもない話だ。

 

 

ヒーローだって人間だ。

その性欲を否定するのは不可能だろう。

 

だから風俗という業種は成立するし……好む好まないを別として必要なものだとは……うん。私も思う。

 

 

だからまぁ……その辺の需要と供給の範囲内で上手くやっててくれれば良かったのに……

 

 

 

 

 

「ヒーローさん達私をお金で買ったよね?サイテー!!30万払ってくれたら一緒にホテル入る瞬間の写真とか、その後のヤバい映像とか全部消すよ!!払わなければコレSNSにバラ撒くね!!……ってな感じの『雑』な美人局らしいのよね」

 

 

 

 

 

……最近、その辺の双方の合意で成り立つ関係を破壊する連中が現れたのだった。ラブホに入る瞬間を激写するやつとか、密室内を隠し撮りして後で脅迫するとか……

 

 

 

 

……手口は色々あるが……男性ヒーローをターゲットとしたそんな被害が広がっていたのだった。

 

 

 

 

「……ふーん……しかし?30万?……ちょっと安すぎるな……金額も気になるし、それにやり口も雑だなぁ……」

 

 

私と同じような疑念を抱いた彼に、私は正面から向かって

 

 

「わかるでしょうけど違和感があるの。この前の薬物を扱うヴィラン組織みたいな……巨大な悪質さは感じられ無くて……」

 

 

「……それにヴィラン組織としての収益にするにしては単価が安すぎる……美人局で一人30万だろ?100人やらかしても3000万……ワリにあわなすぎるな……」

 

 

「一応口約束レベルらしいけど……一回30万払ったら、その後は美人局グループには一切関わらない。逮捕とか、その手の活動は一切しないとかの約束も込みらしいわよ」

 

「……わからんでもないけど……組織としてやるレベルの金額じゃないよなぁ……どちらかっていうと……個人の……遊ぶ金のレベル?もしくは生活費?いや……まさかな……」

 

 

「立ちんぼや出会い系とかで個人で売春をしてる子達が犯人らしいわね。闇バイトとはちょっと違うけど……やってるのはそういうのに引っかかりそうな子達らしいわ。リスクとかその後の事は何も考えられなくて、今すぐ楽にたくさんお金が手に入ればそれでいい……そんな甘い考えの女の子達」

 

「ヒーローは人気商売だからなー。金で女の子買ってるのバレたら活動に響く……それを考えれば30万は安くはないけど、ポンと払えない額でももないからなー中堅くらいのヒーローにとっちゃ。ホントに30万一発で済むなら払っちまえ……って考えるヤツは多いだろな。2回目以降タカリに来たらそん時はマジでとっ捕まえればいーし」

 

「……そゆこと。結構泣き寝入りしてるヒーローもいるらしいわよ。たまに交渉決裂して刃傷沙汰になってるケースもあるらしいし……まあアンタの言った通り自業自得だとは思うけど」

 

「……んで、とりあえず話はわかったけどさ。チームアップミッション?何で俺よ?」

 

グビグビとワインを飲みながら……ホント大丈夫かしらコイツ?明日になったら何も覚えてないとかないわよね流石に?

 

口内を湿らす為に私もワインを一口。そして、

 

 

「囮捜査よ。男女でペアになって男が囮役。立ちんぼとかやってる怪しい女の子を誘って相方の待ってるラブホに誘導……そこで逮捕って訳よ。光栄でしょ?アンタにはアタシの相方を任せてあげるわ!!」

 

ふふん!!どうよこの作戦!?

コイツがホントは優秀だけどやる気無いのはわかってるもの!!だったら私とペアにさせる事で強制的に現場に連れ出して!!それで実績を強制的に稼がせてあげて!!

 

 

 

 

 

「えーやだーーー」

 

「……は?」

 

 

 

 

 

……あげ…て?は?……コイツ……今、なんて?

 

目の前のクズはグビグビとワインを飲みながらへらへらと笑い、

 

「?言ったじゃん?やだーって。めんどいからやだよ俺」

 

は?……は?……はーーー!?!?!?

 

ばん!!と周囲の注目を集めてしまいそうなくらいの音をたててテーブルを叩く!!

 

「なんでよ!?なんでやらないのよ!?」

 

「んー……めんどいから」

 

「めんどいから!?めんどいからってただそれだけでアンタこの作戦に協力してくれないワケ!?この私に誰とも知らないそこらの馬の骨男ヒーローとラブホに入れ!!ってそう言うのアンタは!?」

 

「んだよ……ラブホくらいでカリカリすんなっての。流石にその歳で初めて入るってワケでもないだろーに」

 

軽薄そうに笑いながらそんな事を言う!!このクズ!!

 

 

 

 

「〜〜!!………………よ」

 

「ん?……なんて?」

 

 

 

 

 

 

「初めてよ!!ラブホに入るの私初めて!!何か文句あるわけ!?」

 

「お……おうー……」

 

 

 

 

ふー!!ふー!!

キレてクズめがけて叫ぶ私!!

それにこのクズは多少の驚いた様子を見せ……

 

 

「……はぁ……しゃあねえな……あんまやる気出ないけど……しゃあなしで手伝ってやるよ」

 

「……ホント!?」

 

「……はー……マジでやる気でねー……そしてタバコ吸いてー……サイゼの欠点はタバコ吸えない事だなー……なー山女、俺は外の喫煙所で吸ってくるからちょっと待っててね」

 

「いい加減私の名前くらい覚えなさいよアンタ!!それなら丁度全部食べて飲み終わったし……じゃあ……次のお店……もう一軒くらいどっか……行く?」

 

勇気を出した……べ!!別にこのぐらいには勇気とか関係無い!!無いけど!!まあコイツもイヤイヤながらチームアップミッション手伝ってくれるっていうし!!お礼!!そう!!そのお礼としてもう一軒くらい付き合うのは!!まあ!!普通よね!?普通普通!!

 

……そんな私の葛藤は露知らず、

 

 

「おーいーねー……んじゃ……この近くに安くて美味い立ち飲み屋があるからそこで。タバコも吸えるし」

 

「待ちなさい!!ねえ!!ちょっと待って!!この流れで立ち飲み屋とかあり得る!?おかしいでしょ!?こういう時は二軒目はちょっとオシャレなBARとかじゃないの!?」

 

「んー……まあタバコ吸えるならどこでもいいっちゃいいけど……俺、んなオシャレなBARとか知らんよ?」

 

「あーもー!!このクズ!!いいから!!私が調べるからもー!!こういうのって普通!!男がリードするものじゃないの!?もー!!もーこのクズ!!クズクズ!!」

 

「そーなん?まー俺には関係ないね」

 

「もー!!ホントに!!もー!!!!」

 

 

スマホで急いでこの辺りの雰囲気のいい店を調べる私!!喫煙可の所ね!!もうこのクズは!!本当に仕方ないんだから!!

 

 

そんな私をへらへらと笑って見ているこのクズ。

 

 

(((((ニヨニヨ)))))

 

 

そんな私達をニヨニヨと見ていないようで見たり聞いたりしてる他のお客さんたち。

 

 

 

 

 

「……あー……流石にそろそろ趣味が悪いぞーモブ共ー」 

 

  

 

 

 

「「「「「……承知!!!!(さん)!!!!」」」」」

 

 

ザザザザザザザザザザザザ!!!!!!!!

 

 

 

「……ナルトかよ?ウケるなーホントウチのモブ共は……」

 

 

シュバッ!!って感じの超スピードで消えた私達以外の客。

 

 

 

 

 

 

「…………え?……え?え?」

 

それを見てちょっと意味がわからない……と混乱する私。

 

 

 

「あーあのモブ連中の事は考えるだけ無駄だぞー……ほれ次の店探してくれたんだろ?さっさと行こうぜ」

 

「あ……うん」

 

「ほれほれ気にすんなあんま細かい事は。さーお会計お会計」

 

「……えー……なんか……納得がいかない……」

 

 

 

  

 

 

そんな微妙な気持ちを抱えながら私とクズはこの店を出た。

そして次の店に入り、そこから長い長い1日が始まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

side とある立ちんぼ女子

 

「わー!!ホントに!!ホントに私でいいんですか!?」

 

「おけー」

 

「軽っる!!でも良い!!」

 

 

何せ、うん、顔が良い!!

 

 

いつものように推しのホストに貢ぐ為に街に立っている私。 

そんな私に1人のヒーローが!!ぶっちゃけ貢いでるホストよりもイケメン!!ヤバ!!そんなヒーローが誘いをかけて来た!!

 

 

氷剣ヒーロー・アイスブレイド

 

 

超絶イケメン!!イケメン過ぎる!!ヤバ!!

ぶっちゃけこの人がこの辺りを歩いてるのを見た段階で、この辺りの立ちんぼ女子達は声に出さずきゃー!!きゃー!!と騒ぎまくりであった。何せマジで下手なホストより顔が良い。いやマジで!!

 

 

こんなイケメンでも女の子買う事とかあるんだ!!

とりあえずアイスブレイドはどんな子が立っているのか確かめる為にこの辺を一周……まあ良くある行動パターンだ。

 

そしてしばらく経ち、確かめ終わったのか2週目……興奮する立ちんぼ女子たちの視線を集めながら彼は2週目に入り……私と目が合った!!そして!!

 

 

 

「よーおねーさん可愛いねー俺とエッチしない?」

 

 

「うん!!するするー!!エッチするー!!」

 

 

(((((ズルいあの女!!絶対に私の方が可愛いのに!!!!!)))))

 

 

(にへらー)

 

((((うわ!!ドヤ顔!!ムカつく!!!!))))

 

選ばれなかった私以外のブスども……優越感に満たされた私は彼女たちにとびっきりのドヤ顔を見せながらアイスブレイドと腕を組んで歩いていく。背中に多くの殺意を感じながら。

 

 

「……あーそこのラブホでいーよねー」

「うん!!モチロンどこでも!!」

 

少し歩きとあるラブホへ。 

 

……最近のクセだけど、いつもの通りにバックに仕込んだ隠しカメラは彼に向けておく。

 

 

えー……でも……彼からもお金もらうのー?どうしようかなぁ?今貢いでるホストよりぶっちゃけカッコいいしなー!!悩むなー!!

 

 

「部屋ここでいーよねー」

 

「うん!!何処でもおっけー!!」

 

 

えー!!どうしよ!!どうしよ!?コレでお金もらってせっかくの出会いを台無しにするのが何かもったいなくなってきた!!

あのカスホスト!!「枕は俺の流儀じゃない」とか何様なのクソが!!あんなクソからこっちのアイスブレイドに乗り換えた方がいい気がしてきた!!

うん!!彼から私を!!この私を誘って来たのだ!

30万はもったいないけどどうせあのカスホストに使うだけのお金だ!!それだったらこの映像はお金の強請りに使うんじゃなくて!!私と定期的に会って!!そんで抱いて!!ってそのネタにしたほうが良いよね!!うん!!私賢い!!

 

「おーついたなーはいるぞー」

「うん♡」

 

 

あのカスホストは私を抱きもしないクセに高い金を出さなきゃ話す事すら出来ないのだ!!だったらこっちのアイスブレイドに乗り換える!!そう!!私は乗り換えるのだ!!別に付き合ってとは言わないけど!!この画像をSNSとかに出さない代わりに私を定期的に抱いて!!って!!やーん!!私頭良いーー!!

 

そしてガチャ……っと部屋のドアが開き、

 

 

 

 

「はーい♡いらっしゃーい♡」

 

「アイスバインド」

 

「……え?」

 

 

……開き、何故か開いたドアの先には怒り顔で立っていた他の女がいて……アイスブレイドはその個性で私の身体を拘束していた。

 

 

そしてバタン……と入口のドアが閉じた。

 

 

「……えっ?……えっ?……え?」

 

戸惑いを隠せない私。

天国からの地獄。

そして……

 

 

「ねえ!!ちょっとアンタ!!不必要にくっつき過ぎじゃないの!?」

 

「そか?知らんけど」

 

「ったくもう……人の気も知らないで……」

 

「……なー優。これでこの辺2週回って、んでコイツを2人目として捕まえたわけだが……多分俺はもー無理っぽいよ。かなり目立ってるぞ俺。これで3週目は流石に怪しまれる」

 

「……そうね……SNSでもヤバい!!ガチイケメンキタコレ!!ってなってるみたいだし……うん。今日はこの辺にしときましょうか」

 

「そーそー。せっかくラブホ来たんだし。ビールくらい飲んでもいーよね俺。まー飲むけど」

 

「こら待ちなさい!!今この子を控室に預けに行ってくるから!!どーせ飲むならどっか外で飲みましょうよ!!」

 

「えー……わりー俺今日は頑張ってるしもー無理かなー」

 

「あ!!このクズ!!冷蔵庫からビール取り出して飲みながらベッドにダイブまでかましやがった!!」

 

「ソイツ預けてさっさとこっち戻ってこいよー。もー帰るのもめんどいし、今日は一緒にここで寝ちまおーぜー」

 

「何考えてんのよこのクズ!!行く訳無いでしょ!!このラブホは今ヒーロー達がこの作戦目的で貸し切ってるのよ!!隣の部屋に他のヒーロー達もいるんだからね!!わかって言ってるのアンタ!!」

 

 

 

 

 

「んーまー……でも『今日の予行練習』でこの前ラブホ行った時みたいに、優がきゃんきゃんにゃんにゃん大声で鳴かなきゃいいだけじゃね?」

 

「ああこのクズ!!クズ!!クズ!!もー!!ホントに!!ホントにアンタはクズ!!超絶クズ!!サイテー!!最低!!」

 

 

 

 

 

 

(……私は……一体……何を見せられてるんだろう……?)

 

 

 

拘束されて動けない私……その目の前で繰り広げられているこの痴話喧嘩……

 

 

 

 

 

叫びまくる真面目そうな美女と、へらへら笑うクズなイケメン。

 

 

それを見て……私は……

 

 

(……この後どうなるかわからないけど……もしこの後無事に社会に戻れたら……今度からは真面目に生きよう)

 

 

……とりあえず……

 

『男は顔では選ばない』

 

 

……それだけは、心に固く誓った。

 

 

 

 

 

 

 




出久きゅん『あれ?……ん……?何か……寒気が……』
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