氷叢家の種馬(ガチ)   作:のりしー

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雄英高校入学式が終わり、んで……

残りの3月の日々は特にイベントも無くあっさりと過ぎていった。

 

 

 

俺にとってはいつも通りと言えばいつも通りの怠惰な日々……だが、当然そうじゃないヤツもいる。

 

 

 

そう、出久きゅんだ。

 

 

 

最初はおっかなびっくりと母須恵砂町に来ていた出久きゅんだが、いつの間にやら世紀末モヒカン連中達とエロゲの話をしたり、謎の怪しい小太り中国人風の純日本人に中国武術を習ったり、内緒で既婚者合コンに行ったのがバレて揉めてるビッチ若妻と旦那が喧嘩をしてる間にその子供と公園で遊んだり、JKギャルズ四天王と一緒にコンビニまでうまい棒を買いに行ったりと……うん?なんか知らん間に随分とこの街に馴染んでいた。

 

 

 

最初は俺の事務所に用事がある時だけ来ていたのだが、いつの間にやら街の連中と遊んだり何だりする為だけに来ていたりもしていて……それを知った時、流石の俺も正直驚いたものである。

 

 

 

 

 

 

「いやー……何と言いますか……この街のモブの皆さん、変態と言えばまあ確かに全員かなりの変態さんなんですけど……慣れてくると案外優しくて暖かいんですよね皆さん……まあ全員変態なんだけど」

 

 

 

 

 

……それは控え目に言ってもくさやとか何とかの珍味類を好きになるタイプの人間が言いそうなセリフだなぁ……等と思ったものだが、それを口に出さない程度には俺にも良心というモノが残っていたようである。うん。お口チャック。

 

 

 

春はあけぼの。やうやう変態に染まりゆく出久きゅん。

 

 

 

清少納言だったけか?なかなかいい構文を残したもんだね。ウケる。

 

 

……そして3月が終わり、4月となった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「どもー。おーいそこの店員さーん。とりあえず瓶ビールとレバニラと餃子。あ、後ツマミでザーサイもよろー」

 

「はーいかしこまりー!!店長ー!!オーダー入りましたー!!」

 

 

定時でパトロールをサクッと終えた俺は、ヒーローコスチューム姿のまま行きつけの町中華に入った。

 

 

空が明るいうちに飲むビール程美味いものはないと思うんだよねー。

 

とりあえず空いてる席に座ると店員が早速瓶ビールを持ってくる。それをグラスに注ぎまずは一杯。

 

「はーうめー」

 

「軽いなー。も少しくらい心を込めよーよ」

 

「うーめー」

 

「はーいちょっと伸ばしただーけー」

 

慣れ親しんだ店員と軽口を交わしつつ料理を待つ。瓶ビールの後にはとりあえずツマミのザーサイだけ早めに持ってくる辺り流石だね。うん。わかってる。

 

 

「ねーねー。今日は出久きゅんは来ないの?」

 

「んー?確かアイツ今日は雄英高校の入学式だった筈だぞ。流石に来ないんじゃね?」

 

「あー!!じゃー流石に来れないかー!!今度会った時にイイ男いたか聞いてみよー♫」

 

「ふぁいてぃーん」

 

「よしゃー!!目指せ玉の輿ーー!!理想は高収入かつATM的な旦那ー!!」

 

何やら燃えてるJK店員を横目にタバコを取り出し一服。んでスマホを取り出す。

 

「……ん?出久きゅん?」

 

さっきまでパトロール中だったから気づかなかったが、スマホには出久きゅんからLINEでメッセージが届いていた。

 

 

 

 

 

『大変です!!大変ですよコーチ!!』

 

 

 

 

 

「……大変ねぇ?……念願叶って待望の雄英高校入学式だろ?一体何がそんなに大変なんだか?」

 

送信からしばらく経っていたそのメッセージ。

とりあえずそれに返事を返す。

 

 

 

 

 

『そんなに焦っちゃって一体どうしたんだい出久きゅん?初顔合わせしたクラスメイトの中に、クロスオーバーして来た伊藤誠(・・・)でもいたの?』

 

 

『それは確かに一大事だけど!!最悪だ!!最悪だぞこの人!!』

 

 

 

 

 

俺のメッセージに即既読、んで即返信が来た。

 

 

 

『学園モノのクロスオーバーで一番出演させちゃダメなヤツでしょその人!!』

 

『えーダメかなー?面白い話になるんじゃね?《僕のヒーローSchool Days〜せっかくチート個性をもらって雄英高校に入学したのに、クラスメイトにあの(・・)伊藤誠がいる件について〜》とかメッチャ面白そーな気がするよん?』

 

 

『……面白いかなあ?流石の愉悦部員でも全員裸足で逃げ出しませんかねそれ?……さらに言うと一応、今日は僕の晴れの日な訳で……何で息吸って吐くくらいの極々自然な感じでこんな邪悪な事を思いつくんだろうなぁこのクズコーチ……』

 

『……そう?面白くね?メタ的な事を言うと、感想とかDMで許可取る必要無いから誰か書いて俺に読ませて欲しいくらい楽しそうな話なんだけど?』

 

『……うーん邪悪だなぁ……コレ多分、主人公は雄英高校ヒーロー科に通いながら自分のステータスを上げてヴィラン退治含む各種イベントを進めつつ、なおかつ自分の恋愛イベントも進行させながら伊藤誠的なバッドエンドも防ぐフラグもしっかりと立てなきゃいけないヤツじゃないですか……しかも真トゥルーエンド以外は誰かしら最低一人は女の子がヤツの餌食になってそうだし……うん。控え目に言って、難易度Ultra Very Hardでは?』

 

 

『……出久きゅん?出久きゅん?……確かに言い出したのは俺だけど、ソレ完全にエロゲ攻略脳になってるぞ☆』

 

『……は!?……あ!!でも絶対にコーチの方が悪い!!』

 

『それなー』

 

『軽っる!!』

 

 

 

適当に出久きゅんとLINEしながらレバニラ食ったり餃子食ったりビール飲んだりする。ん?龍子からLINE?まー返事は後でいいか。

 

 

 

 

『あーもう!!クズコーチの所為で話がズレたけど!!大変何ですよコーチ!!何と!!僕のクラスメイトの中にコーチそっくりの男の子がいたんです!!轟くん!!って言うんですけど!!』

 

 

 

 

「……ん……あー……あー……ね」

 

 

……そのメッセージを見て瞬間、頭の中に色々な事柄がぐるぐると回る。

 

……そーいや萌も言ってたな。あのオッサンの息子が今年雄英高校入学だって。んー……これは忘れてた俺が悪いのか?知らんけど。

 

……まさか、その子が出久きゅんと同い年で、かつクラスメイトになっちまうとは……何というか……何というか、だなぁ……

 

 

 

……まあ、とりあえず、出久きゅんにはLINEを返しておく。

 

 

『あー多分それ俺の遠い親戚だわ。ソイツに会ったことはないけどな』

 

『そ!!そうなんですか!?親戚!!つまりそれはあのエンデヴァーと!!』

 

『……相変わらずだねーヒーローオタクだねー出久きゅんはさー』

 

『……は!!すみません!!』

 

『まーよいよー』

 

『軽っる!!』

 

 

……まあ実際謝られる程の事じゃない。少なくとも出久きゅんが謝るような事は何もないしね。

 

たまたま出久きゅんのクラスメイトに俺の親戚がいる。

 

俺は実家とは折り合いが悪く、萌から聞いた感じだとソイツも家族仲がすこぶる悪い。

 

ただそんだけの話だ。 

 

 

「……さて、どうなるかな……おーいハイボール追加よろー」

 

「はーい」

 

とりあえず追加の酒を頼む。

後の事はまぁ……飲みながら考えるとしよう。

 

 

困った事に……出久きゅんともソイツともすぐに会う事になるのだから。

 

 

オールマイトの助手として行く、初めての雄英高校。

 

 

……行くと決めた以上、逃げる事も出来ないしなぁ……

 

 

「はーい、ハイボールだよー」

 

「どもー」

 

……間近に迫ったその瞬間に備え、とりあえず俺はハイボールを飲むのであった……

 

 

 

 

 

 

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