氷叢家の種馬(ガチ)   作:のりしー

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戦闘訓練1

オールマイトがカンペを見ながら戦闘訓練の詳細な内容について説明をしている。

 

内容を簡単にまとめるとこんな感じ。

 

 

2人組のヴィランが核兵器を隠し持っているアジト。

同じく2人組のヒーローがそのアジトに潜入し、ヴィランを捕らえるか核兵器を確保するというものだ。

 

時間内にヴィランを捕らえるか核兵器を確保出来ればヒーロー側の勝ち。逆に時間内でヒーローを返り討ちにするか核兵器を守り切れればヴィラン側の勝ち。

 

 

大雑把でアメリカンな感じが実にオールマイトっぽいね。ウケる。

 

 

「コンビ及び対戦相手はクジだ!!」

 

 

「適当なのですか!?」

「プロは他事務所のヒーローと急造チームアップする事が多いし、そういう事じゃないかな?」

 

「そうか……先を見据えた計らい……失礼いたしました!!」

 

「いいよ!!早くやろう!!」

 

 

んでそれぞれクジを引いてコンビが決まった。

 

 

 

チームI・尾白&葉隠(零至)

 

 

 

「尾白猿夫です。よろしくお願いします!!」

「改めて葉隠透!!よろしくね!!」

「よろー」

 

 

「「軽っる!!」」

 

俺のコンビは真面目そうな普通の男子に決まった。

出久きゅんは明るい感じの女の子と組んでいた。良かったね!!

 

他のコンビについては……まあ、いいか。めんどいし。

対戦相手決まったらソイツらだけ覚えてりゃいーでしょ。うん。多分。

 

 

「あー零至くんはハンデとして自分の体重の半分の重りをつけてもらうよ。後、作戦とかも君が考えると授業にならないから作戦を考えたりアドバイスも禁止ね。零至くんの視界とリンクするように胸元にカメラを付けさせてもらうから、葉隠少女が控室でそれを見ながら尾白少年とインカムで会話し作戦を考えるように」

 

 

「「わかりました!!」」

 

……ま。それはそう。全部俺が決めちゃうとコイツラの授業にならないもんなあ。透明女の戦闘訓練参加は止めたけど、こういう形で訓練に参加出来るのは良いことだね。

 

「よーし!!頑張るぞー!!」

 

「おー作戦考えんのは任せたぞー」

 

「……適当だなぁ……あ、氷叢さんの個性を教えてもらっていいですか?作戦を考えるのに参考にしたいので」

 

「おーそーね。俺の個性はねー」

 

そんな感じで3人で話していると。

 

 

 

「けっ!!対して知名度もねえ無名のモブヒーローが調子のってしゃしゃり出て来やがって!!精々恥かかねえように気をつけるんだなぁオイ!!」

 

「爆豪くん!!いくらなんでも失礼だぞ君!!」

 

「けっ!!」

 

「おい爆豪!!お前なぁ!!」

 

 

 

おーなんかイキのいーヤツがいるじゃん。ウケるね。

 

 

コチラに悪態をついてきた……なんかすんげー悪人面してんなーアイツ。

 

 

「けろけろ……ごめんなさい氷叢さん。爆豪ちゃんは性格とお口がちょっとアレ(・・)なのよ。今の失礼な発言については私が代わりに謝るわ」

 

近寄って来て悪人面の代わりに謝ってくるなんかカエルっぽい子。別にあれくらいで謝らなくてもいーけどさ。

 

 

 

「別に謝ってもらう程じゃねーからいーんだけど……ねーねー?あの悪人面は何で急にあんなキレてんの?マジウケるんだけど」

 

 

 

「「「「「スゲエなこの人!!!!」」」」」

 

「「「「「爆豪の悪態を完全スルーしてる!!!!」」」」」

 

「「「「「メンタル鬼強ぇぇ!!!!」」」」」

 

 

 

どっちかってーとそっちの方が気になるなー。まあぶっちゃけどっちも同じくらいどうでも良いんだけどね。

 

「……チッ!!」

 

「爆豪くん!!君は本当に!!」

 

「はーいそこまで!!時間がもったいないぞ!!チームが決まったら次は……対戦相手決めだぁ!!」

 

 

そう言ってオールマイトがまたクジを引く。

 

「最初の対戦相手はぁ……コイツラだあ!!」

 

 

 

Aコンビがヒーロー。

Dコンビがヴィラン。

 

 

「他の者はモニタールームに向かってくれ」

 

「「「「「「「はい!!!!」」」」」」」

 

 

……おー……出久きゅんAだったのね。Dは……おーさっきの悪人面いるじゃんウケる。

 

悪人面はメッチャ出久きゅんにガンつけてるけど……

 

 

 

 

「………(キッ!!)」

 

「………(はっ!!ぐぅぅぅ……)」

 

 

……はは、ウケるね。

正面から睨み返されて戸惑ってやがんの。

 

……あの(・・)母須恵砂町で鍛えられた出久きゅんのメンタルを、あんま舐めんじゃねーぞ、ってね。

 

「……どうしたんですか?」

「ねーねー早く行こーよー!!」

 

「ん……おーわりわり……んじゃ行くか」

 

チームの2人に促され、俺もモニタールームへと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それでは!!Aコンビ対Dコンビによる屋内対人戦闘訓練!!スタートォォォ!!」

 

 

んでモニタールーム。

複数のモニターが屋内の様子を映し出している。

 

 

「さあ君たちも考えて見るんだぞ」

 

 

オールマイトの訓練開始の声とともにそれぞれが動き出す。

 

2人一緒で屋内を慎重に進むヒーローチーム。

 

それに対し!!

 

「いきなり奇襲!!」

「爆豪ズッケェ!!奇襲なんて男らしくねえ!!」

 

あの悪人面が2人に奇襲を仕掛け、それを出久きゅんが躱していた。

 

 

「奇襲も戦略。彼らは今、実戦の最中だぜ」

 

「そーねー……でも、1対2の状況で奇襲を仕掛けるなら、今ので一人は仕留めるか?それが無理でも最低限ダメージだけは与えたかったよねー。うーん、減点かなー」

 

 

 

「爆豪が行ったぁ!!」

 

人数的に不利な状況で、再度悪人面が出久きゅんに攻撃を仕掛けるが……

 

「……ん、いいね」

 

悪人面が大きく振り被った右腕。

出久がその内側に上手く潜り込み、そのまま腕を掴み背負い投げ!!悪人面を地面に叩きつけた!!

 

 

 

(……出久はけっこー()が良いんだよなー)

 

その目というのは動体視力だけでなく、観察眼とかそういうモノも含む。今のもなんか事前に決め打ちしてたみたいな動きだった。多分前からあの悪人面の動きのクセとか見抜いてたんだろーなー。目端・機転の利くやっちゃ。

 

 

「……でも、投げ飛ばして倒れたままのヴィランに追撃もしないし、捕縛しよーって動きも見えないから減点かなー」

 

 

「なんかスゴイ実戦っぽいアドバイス!!」

「プロの方はそういう所を意識しているのですね!!」

 

あーあー言わんこっちゃない、起き上がっちゃったじゃん悪人面。

 

何か色々話してるぽいけど定点カメラで音声無いからわからんなー。

 

集中しモニターを見てる俺。

その横でオールマイトが補足で色々と説明をしつつ、何かPlus Ultra!!ってしてた。

 

 

「ムッシュ!!爆豪が!!」

 

 

……お、動いた。

悪人面が出久に仕掛ける。それを上手いこと捌く出久。

その隙をついてヒーロー側の女子が別行動に。

出久が悪人面を足止めし、その隙に核兵器の確保に行くのかな?

 

……しっかしあの悪人面……状況がなーんにも見えてないのかなぁ?暴走でもしてんのかね?まあそれはそれでリアルなヴィランぽくてウケるけど。

 

屋内を逃げて悪人面を引きつける出久。

それを追いかける悪人面。

そして最上階に辿り着いたヒーロー側の女子とその前に立ち塞がるヴィラン役男子。

 

……そこで!!

 

「……爆豪少年!!ストップだ!!殺す気かぁ!?」

 

「おいおい!!」

 

悪人面が、腕の小手から凶悪な攻撃をぶっ放した!!

 

破壊を撒き散らしながら外まで貫通する高威力の爆破攻撃!!

 

「……零至くん……」

 

「……ん〜〜……出久のヤツにギリ当たらないような射線だった。狙って撃ってたとは思う。だから良いって訳じゃないけどな」

 

「……一応、当たらないように狙ってた………ってのは同感だね。ただ驚いた緑谷少年が予期せぬ動きをした所為で攻撃が直撃……ってのも十分考えられる……爆豪少年!!次それ撃ったら強制終了で君らの負けとする!!」

 

「妥当だね」

 

通信でオールマイトが悪人面に厳重注意を行う。

 

出久のヤツは……はは!!目が死んでない!!しかもちゃっかりこの隙に通信で相方に連絡取ってやがるぞアイツ!!

あんな目に合わされたのに!!まだ勝ちに行く気だ!!

はは!!良いじゃん!!ウケるね!!

 

その後、再び出久に飛びかかる悪人面!!

 

……へえ!?

 

爆破の個性を上手く使い出久を翻弄。連続で強烈な攻撃を仕掛ける悪人面。大したもんだ。

 

そして出久はその苛烈な攻撃から逃げ出し……でも……

 

(……まーだ負け犬の……勝ちを諦めた目はしちゃいない!!)

 

……一旦逃げ出した先。その先の壁際で立ち止まる出久。

そしてその前に立ち塞がる悪人面。

 

そして!!2人同時に駆け出す!!

 

多分これが……出久の狙い。

 

互いに!!正面から全力の激突!!

 

 

 

「双方!!ちゅ…!!」

 

「止めんなオールマイト。行け、出久」

 

「零至くん!?」

 

 

 

 

 

……そして、デクの一発逆転のワン・フォー・オールが放たれた!!

 

 

直前まで悪人面に向けられている……そう誰もが考えていた腕の軌道を強引に変更!!上空目掛けてアッパー気味に突き上げる!!

 

ワン・フォー・オールで強化された腕力が強烈な衝撃波を生み出し!!ビルの各階の天井を天井を天井を天井を貫いて天まで駆け上がる!!

 

……そうして最上階のフロアまで貫通した衝撃波とそれに巻き上げられた破片。それを上手く利用し、出久の相方が核兵器を確保。

 

 

「屋内対人戦闘訓練……ヒーローチーム……WIIIIIIIIIN(うぃぃぃぃぃぃん)!!!!!!」

 

……ヒーローチームの勝利となった。

 

(……やったじゃん。頑張ったな出久)

 

……とりあえず倒れた出久を見ながら、心の中で褒めておいてやる。口には出さんけどね。

 

(……しかし……話には聞いてたけど……)

 

倒れた出久の右腕……ワン・フォー・オールを使用した事によりボロボロとなった右腕を改めて見る。

モニター越しだから正直わからん事もあるけど……

 

(うーん……どうしたもんかねぇ?)

 

 

……聞いてはいたけど……思ってたより厄介な状況だなぁこりゃ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……まぁ……つっても……今戦のベストは飯田少年だけどな!!」

 

「……!……なぁ!!」

 

「勝ったお茶子ちゃんか緑谷ちゃんじゃないの?」

 

「うーん……そうだなぁ……何故だろうなぁ……わかる人!!」

 

「はい!!オールマイト先生!!」

 

 

……んで、戦闘後の講評の時間。

 

挙手した痴女っ子がスラスラと講評を述べる。

 

……おー良い事言うじゃーんこの痴女っ子。痴女ルックなのに委員長気質なのかしらね?マジウケる。

 

オールマイトも思ってたより言われた……って顔してるしね。ウケる。

 

「……ま、まぁ……飯田少年も……まだ……固すぎる節はあったりする訳だが……まあ、正解だよ!!零至くんは何か補足あるかい?」

 

「……ん?俺?俺からも特にないよー。ぶっちゃけそこの痴女っ子が大体言っちゃったしね」

 

「……ち!!痴女!!痴女っ子って私の事ですの!?」

 

「うん」

 

「な!!何故ですの!?」

 

「ん?そりゃコスチューム的にだろ。ウケるよね」

 

「全っ!!然っ!!ウケませんわー!!」

 

 

「……さて時間も押し気味だし……次の対戦行こーよオールマイト」

 

「ま!!待って下さいまし!!納得!!納得が全然いきません!!」

 

「……相変わらず女の子にはセメントだねー零至くんは……ああ……すまないね八百万少女。実際時間が押し気味でね……悪いけど零至くんを詰めるのは授業が終わってからにしてくれたまえ。うん。ちなみに私としては零至くんはこういうヤツだから、適当にスルーする事をオススメするけど。ぶっちゃけ私も自分の教え子が沼にハマって行く様子を見たい訳じゃないし」

 

 

 

 

「「「「何か色々と見てきた人のセリフだ!!!!」」」」

 

 

 

「……くっ……何故……何故私がこんな……こんな仕打ちを……」

 

 

 

「さーて次の対戦はどーなるかねー」

 

 

 

「「「「そしてこっちもスゲェ!!!!」」」」

 

「「「「この八百万を完全にスルーしてる!!」」」」

 

「「「「しかもふっかけたの自分なのに!!」」」」

 

 

 

「ハッハッハ……相変わらずだねー零至くんは……さて次の対戦は……おっと!!」

 

 

オールマイトがクジを引いて……そして俺達にそれを見せる。

 

 

ヴィラン役は……俺達Iコンビ。

 

 

そして……

 

「…………」

 

 

俺をじっと見てくる視線を感じる。

……はは、ウケるね。

 

……まさかの……相手のヒーローチームはEコンビだった。

 

(……どうにも……変な縁があるみてーだなーこりゃ)

 

あのエンデヴァーの息子。

俺の遠い親戚。

髪型を七三分けならぬ紅白分けした少年。

 

……そして、暗い目で俺を見る少年。

そんな少年との対戦が決定した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「氷叢さん。個性を使って4階と5階の階段を氷で通れないように塞ぐ事は可能ですか?」

 

「おーそれくらいならいけるぞー」

 

『やったー!!流石プロヒーロー!!頼りになるぅ!!』

 

「ういー」

 

「『軽っる!!』」

 

あれから俺達は場所を移動し、ヴィラン役のアジトとなる屋内、その最上階に辿り着いた。

 

核兵器の場所やら建物の見取り図を確認し、普通くんと透明女がインカムで色々と作戦を打ち合わせしていく。

 

訓練開始までの時間に色々出来る事をやっておこうって訳だ。真面目で良いことだね。当時の俺とは大違いだってばよ。

 

俺は2人の指示に従って階段を塞いだり、通路を凍らせたり、窓ガラスを氷で補強したりと……まあ色々とこき使われた。

 

 

『すごーい!!』

 

『流石プロヒーロー!!』

 

『そんな事も出来るんだ!!』

 

……みたいに、キャバ嬢さしすせそ的な感じでテンション高い透明女の声を適当に聞き流しながら諸々の準備が整う。

 

そして、

 

 

「それでは!!Eコンビ対Iコンビによる屋内対人戦闘訓練!!スタートォォォ!!」

 

 

 

オールマイトの声が響き、対人戦闘訓練がスタートした。

 

 

『頑張ってね2人とも!!全力で応援してる!!』

 

モニタールームでなく控室に待機……まあモニター見せる訳にはいかないもんね……な透明女から激励の声が届く。

 

「ういー」

「ありがとう!!頑張るよ葉隠さん!!」

 

『あははは!!片方軽っる!!』

 

 

2人が相談して決めた方針。

それは時間一杯核兵器を守るというもの。

 

 

 

 

『轟くんがね!!とりあえず滅茶苦茶スゴイの!!』

 

「俺は接近戦が得意なんですけど……正直、轟には接近する前に凍らされるイメージしか沸かない……」

 

 

 

2人が警戒するのは俺の親戚である紅白分けくん。

 

 

 

ゆーてまだ学生やん?

 

そこまで警戒しなくてもなー……

 

 

 

……なんて、そんな事をのんきに考えていたさっきまでの自分の頬を、心の中で軽く引っ叩く。

 

 

 

「……なるほど、学生レベルじゃねーなこりゃ」

 

「氷叢さん?」

 

 

足元……正確には階下……一階から猛烈な勢いで上に登ってくる強烈な冷気!!はは!!ウケるなコリャ!!

 

 

俺は素早く鞘から刀を抜くと地面に突き刺し、

 

 

 

 

 

「壁氷剣・アイスウォール」

 

 

「な!!!!!!」

 

『ええええ!!!!』

 

 

地面に突き刺した切っ先から、俺も冷気を解き放つ!!

 

 

大したもんだ!!俺の親戚くんは!!

 

 

 

 

この建物ごと俺たちを凍らせに来やがった!!

 

 

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