氷叢家の種馬(ガチ)   作:のりしー

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戦闘訓練2

side焦凍

 

 

「……まさか……押し返された?」

 

「どうした轟?」

 

建物を凍らせる為に放った冷気。

その先端付近での違和感。

 

「…………」

 

俺の放った氷がそこで足止めを食らった……そんな不思議な感触。

 

「障子……索敵を頼む」

 

「了解………………信じられん……間違いなく2人分の足音だ。どうやら……何かしらの手段でお前の氷を防いだらしいな」

 

「ああ……」

 

俺の家の事を知らない障子がわからないのも無理は無い。

 

……が、知っている者からすれば……『氷叢』を名乗る者が俺の氷を防いだのならば……それは自らの氷の力で俺の氷の力を防いだという事を意味する。

 

 

氷叢零至と名乗った青年。

 

 

幼い頃の記憶……その記憶の中にうっすらと残っている長兄の記憶。そのおぼろげな記憶の中の長兄があの歳まで無事に成長し、しまりのない笑顔でへらへらと笑ったのならば……きっとあの人みたいになるのではないか?

 

 

俺ですら思わずそう思ってしまうような……そんな外見の人だった。

 

そんな事を思わず考えてしまい俺の心が重くなるが……いやダメだ授業中だぞ。気持ちを切り替えろ。考えるのは後でも出来る。まずはこの戦闘訓練に集中するんだ!!

 

 

「……どうやら遠距離戦じゃ埒が明かないらしい……引き続き索敵を頼む。2人で屋内に侵入し敵を倒すぞ」

 

「わかった」

 

「……警戒しろよ……相手は俺の氷を防げるレベルの氷使いだ」

 

「ああ」

 

索敵を障子に任せ、2人で屋内に侵入する。 

障子によるとヴィラン役の2人は最上階で俺たちを待ち伏せしているらしい。

 

 

「……なら、好都合だ。障子は尾白の足止めを頼む。その間に俺があの人を仕留める」

 

「2対2の状況を2つの1対1に分ける訳か」

 

 

最上階への道を塞ぐのに邪魔な氷を俺の力で溶かしながら、俺達は上へ上へと進んでいく。

そしてその間に打ち合わせも行う。

 

 

「ああ……そうだ。障子が尾白を止めておいてくれれば……俺があの人を仕留めてみせる」

 

 

訓練開始前の爆豪の発言。

確かに言い方は悪いし、口に出して言うのはどうかと思うが……正直、気持ちはわからないでもない。

 

氷剣ヒーロー・アイスブレイド

 

 

聞いたことの無い無名のヒーローだ。

 

 

 

(……そんな人に……負ける訳にはいかねえ!!)

 

 

俺はこの氷の力……お母さんの力だけで親父を超えるんだ。

だったら……同じ氷使いのあの人に負ける事は許されない!!

 

 

そして最上階一歩手前……4階と5階をつなぐ階段まで来た俺達。

 

 

「これは!!」

 

「…………」

 

 

そんな俺達の前には、分厚い氷によって完全完璧に塞がれた階段が立ち塞がっていた。 

 

 

「まさに蟻の這い出る隙間も無い……というヤツか。轟、この氷を溶かしてもらっていいか?」

 

「…………」

 

「……轟?」

 

「あ、ああ……すまねえ」

 

障子からの頼み。思わず一瞬考えてしまう。

 

さっきまでと違い、これは俺が出した氷じゃない。  

 

氷を溶かすのは当然親父の……炎の力だ。

 

今まで氷を溶かして来たのは……自分が生み出した氷を自分でゼロへと戻す。ただ俺が出したモノを自分で片付けているだけ……そういう言い訳の中で成立する使い方。  

 

だが……これは……明らかに俺以外の人が生み出した氷の壁。それを溶かす為に力を使うのは……使わないと決めた親父の力を使う事にならないか?  

 

いや……しかし……

 

(今さら……か)

 

どうせすでにこの力は使っている。

 

ただ目の前の氷を溶かすだけだ。

  

自分の中でそんな言い訳をしつつ……俺は目の前の氷の壁を溶かし、ヴィラン役の2人が待つ最上階へと上がった。

 

     

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……おりょ?あれ?普通くんから聞いてた話となんか違えーなこりゃ。階段の氷を溶かして来たぞコイツラ」

 

「轟のヤツ……まだ俺達の知らない力が……それはそうと、ひょっとして俺の呼び名は普通くんで確定なんでしょうか?」

 

「……氷を放つだけじゃなくて氷の性質を変化させたり氷そのものを操る力かな?ま、そーゆーこともあるよねー」

 

「……聞いてない……完全に俺の話を聞いてないぞこの人……それはそれとして軽っる!!」

 

 

 

 

最上階に上がると、核兵器の前で俺達を待ち構えていた2人の姿が見えて来た。  

 

 

おそらく、あの階段の氷を何とかするのにもう少し時間が必要だと考えていたのだろう。2人が驚いた様子でコチラを見ていた。

 

 

(……理想的だな)

 

 

障子と打ち合わせした通り。状況は2対2だ。

後はこれを、

 

 

「障子!!」

 

「任せろ!!」

 

「……へぇ」

 

 

大きく外に膨らみながら、曲線を描き尾白へと走り出す障子。

 

 

「氷叢さん!!」

 

「どーやら1on1がお望みらしいね。どーする?」

 

「『1on1なら望むところだ!!よーし!!頑張ろう!!』って葉隠さんが言ってますけど!!」

 

 

「……じゃーそーするか。ってーか俺に決定権無いのよねー」

 

「軽っる!!!!!ああ!!もう!!障子がこっちに近づいて来てる!!俺が障子の相手をします!!氷叢さんは!!」

 

「ういーあっちねーりょー」  

 

「葉隠さんが『軽っる!!』って言ってます!!」

 

「はは!!ウケるね!!」

 

「尾白!!勝負だ!!」

 

「……ああ!!もう!!くっそぉ!!やってやる!!」

 

 

 

 

そして1対1の勝負を始める障子と尾白。  

 

 

そんな2人を横目で見つつ、

 

 

「やれやれ……どもー。なんか思ってたより早く親戚付き合いする事になっちまったねー」

 

「……ども」

 

 

同じく2人を横目で見つつ、氷叢を゙名乗る青年と俺は正面から向き合った。

 

 

「俺さー自分の家の事嫌いなのよねー。だからもうあそことはスッパリと縁を切ってる。なのに親戚のガキとこうして唐突に出会っちまって……何して遊べばいーかとかさっぱりわからんのよ。さーてどうしよっか?とりあえずそっちはやる気満々みたいだし……相撲でも取ってみるけ?」

 

 

へらへらと……記憶の中にある長兄の面影……その幻影を微かに宿す男が俺の目の前で笑っていた。

 

 

 

その手に持つ刀でコツコツと地面を叩き……パキパキ、っと地面を凍らせながら。

 

 

 

悪戯とか悪巧みが大好き!!言葉に出さずそのしまりのない笑みだけで語るその人を見て、俺は。

 

 

「……じゃあ、一手………お願いします」

 

「ういー」

 

「軽ぃなマジで」

 

…………………………………………………

 

 

そして俺は力を……母さんから受け継いだ力を高め、

 

 

「……はっけよーい」

「……のこった」

 

 

 

……2人同時!!氷の力を解き放つ!!

 

 

そう!!これは氷の個性による相撲だ!!

 

 

俺に迫る氷の壁!! 

あの人に迫る氷の壁!!

 

 

 

双方から伸びた2つの氷の壁が俺たち2人の中間で正面から激突!!いや!!これは!!

 

 

 

「……激突の地点が!!中間じゃなくて俺よりだと!!」

 

 

俺の生み出した氷の壁ともう一つの氷の壁が激突!!それは!!俺の予想した地点よりも大分俺よりの場所で!!

 

 

 

「おおおおおおお!!!!!」

 

「……へー……やるじゃん親戚くん」

 

 

勝つつもりしか無かった。

負けるつもりなど毛頭無かった!!

だが!!これは!!

 

 

「おおおおおおお!!!!!」

 

ぶつかり合う2つの氷の壁!!

その力が互角であれば!!本来は中間地点で拮抗するはずの力!! 

 

……それが!!

 

「おおおおおおおお!!!!!!」

 

 

 

……ガリゴリガリゴリガリガリガリガリ!!!!

 

 

 

ぶつかり合う氷と氷!!その2つの力がぶつかり互いに砕けていく耳障りな騒音!!それが!!どんどんと俺の方へと近づいて来ていた!!

 

 

「おおおおおおお!!!!」

 

負けないために!!さらに冷気の出力を上げる俺!!

 

だがしかし!!それでも!!それでも!!少しずつ少しずつ!!あの人の放つ氷の壁が俺の方へと近づいて来ていた!!

 

 

 

 

(……何故だ!!何でだよ!!出力自体は負けてる気はしねえ!!なのに何故こうまで押し負ける!!)

 

 

 

……感覚的にだが!!互いの個性の最大出力にそこまで差があるとは思えない!!なのに!!何故かこうして一方的に俺が撃ち負けている!!

 

 

「おおおおおおおお!!!!」

 

「おーおーがんばるねー」  

 

 

刻一刻と迫りくる氷の壁……それ以上近づけないように死に物狂いで個性の出力を゙上げながら……そんな極限状態でようやく俺は気づいた!!

 

 

 

 

(……俺の産み出す氷の壁よりもアッチの氷の壁の方が細くて強い!!力の圧縮と解放!!不定形の力を収束して放つ練度に差があり過ぎるのか!?)

 

 

つまり!!わかっちまえばそう言う事だ!!

 

同じ10と10の力だとしても!!その『密度』に明らかな差があれば撃ち負けるのが当然だ!!

 

 

 

水を撒くホースをイメージすればいい!! 

そのまま水を撒くホースと!!ホースの先端を指で狭めて細く勢いを強くした水!!正面から撃ち合ったらどっちが勝つ!?これはそんなわかりやすい話だった!!

 

 

(……ただ!!それを現実で実行するのが凄まじく難しいってだけで!!)

 

 

口で言うのは簡単だ。言うは易し。 

……だが、実際はそんな簡単な話ではないのだ。

 

形の無い冷気。

それも個性によるものだ。

自然現象ともまるで違う不思議な力、それが個性。

 

それを集中、収束し、指向性を持たせて圧縮して放つ……さらに出力自体も高めながらだ。

 

それは星の数程の種類が存在する個性という力の……その多くに共通する奥義のようなものである。

 

それを……俺よりも遥かに高い次元でこの人はやってのけていた!!

 

「ぐっ……ぐ……おおおお!!!!!」

 

そして!!理屈がわかった所で!!これは今すぐどうこうしようとして出来る問題でも無かった!!

 

ぶつかり押し負けた俺の氷が段々と俺に近づいてきていて……

 

 

「おおおおおお!!!!」

 

 

今まさに!!俺の氷ごと氷叢さんの氷が俺を飲み込もうとしていた!!

 

 

「……くっ……そぉぉおおおお!!!」

 

 

俺は慌てて足からも氷を勢い良く放つ!!

 

そしてその氷に乗るようにして!!倒れ込むようにして横に身体を弾きかろうじて氷の壁を避けた!!

 

 

さっきまで俺が経っていた所を氷の壁が勢い良く通過していく!!一瞬でも判断が遅れていれば!!確実に俺も巻き込まれて凍らされていた!!

 

 

 

 

「んーいい判断&いい反応だねー……じゃ、おかわりって事で、おかわりアイスウォールね♡」

 

 

 

「……マジかよ!!うぉおおおおおお!!!」

 

 

休む暇すらくれねえのか!!

 

倒れ込むようにして横っ飛びにさっきの攻撃を躱した俺。そんな俺にこの人はさらなる追撃をかけて来た!!

 

 

「ちぃぃぃぃ!!!!」

 

 

マトモに撃ち合ったら勝てねえ!!

 

 

俺はさらに横っ飛びに身体を投げ出し、かろうじて柱の陰に身を隠した。

 

 

 

「……はぁっ!!はぁっ!!……はあっ!!」

 

 

呼吸が荒い。

それを何とか宥めようとしつつ、

 

 

『障子……そっちの様子を教えてくれ』

 

 

インカムで障子へと連絡を取る。

完全にアテが外れた!!まさかこんな事になるとは!!

 

 

『……正直、良くも悪くもない。尾白は強い。ただ防御に専念して時間を稼げ……というのなら何とかはなる。短時間で尾白を倒せと言われると無理だ』

 

『……そうか』

 

 

その障子の返答を聞き、俺は頭を回転させる。

 

 

(……どうする?)

 

 

 

目の前のあの人は、当初予想していたよりも遥かに強大な敵だった。

 

 

(……多分……多人数のヴィランを相手にして戦果を競うような訓練だと……俺とこの人にここまでの差はねえ……でも……1対1だと……俺は……この人に……ああ!!クソ!!勝てねえ!!勝てそうにねえ!!)

 

 

……そんな確信。それが俺の心を激しく騒がせる。

だが……

 

 

(……それでも……それでも、負けるのは……嫌だ!!)

 

 

考えろ!!考えるんだ!!

 

あの人の弱点!!俺があの人に勝っている所!!この戦闘訓練を勝利で終わらせる為に必要な事を!!

 

……そして、気づく!!

 

(……ハンデとしてあの人は重りをつけている!!なら!!)

 

あの人はハンデとして自分の体重の半分の重りをつけている!

 

そして!!この戦闘訓練におけるヒーロー側の勝利条件は!!ヴィランを倒して捕らえるか!!

 

 

(……核兵器を確保するか!!だ!!)

 

 

 

『……障子!!』

 

『……策が決まったか!!合わせるぞ轟!!』

 

 

 

……そしてインカムで軽く打ち合わせ!!俺は隠れていた柱から飛び出した!!!

 

 

「おおおおおおお!!!!」

 

「はは!!いいね!!いい判断じゃん。ウケるね」

 

もうこの人とは氷で撃ち合わない!!

 

それよりも必要なのはスピードだ!!

 

足元から放つ氷の出力を上げる!!そしてこの人の追いつけない速度で核兵器まで辿り着いてみせる!!

 

 

 

「いいと思うぞー……でも、そう簡単には行かせないけどねー……飛氷剣・アイスバレット」

 

 

「……うぉおおおおお!!!!」

 

マジかよ!!この人!!こんな攻撃手段も持ってるのか!!

 

俺に無造作に向けられた刀の切先。

その先端から氷の弾丸が連射される!!

 

 

マシンガンのように連射される氷の弾丸!!

核兵器へと向かう俺を妨害する弾丸!!俺はそれを躱し!!時に氷の壁で防ぎ!!ああクソ!!全然!!核兵器に近づけねえ!!

 

クソ!!悔しいけど!!俺一人じゃどうしようもねえ!!

 

 

(……頼む!!障子!!)

 

 

そんな俺の祈り!!

それに!!

 

 

 

「隙あり!!」

 

「ぐは!!」

 

 

 

このフロアで繰り広げられているもう一つの戦場。 

障子と尾白。

 

尾白の一撃が障子へとクリーンヒット!!

吹き飛んだ障子。

 

……そして!!

 

「……っ……と……ど……ろ!!きぃ!!行けぇ!!」

 

「なっ!!」

 

「……へえ?」

 

コチラの方に吹き飛んで来た勢いそのまま!!障子が俺と氷叢さんの間に割って入る!!

 

「………」

 

「ぐっ!!長くは持たない!!急げ!!轟!!」

 

「すまねえ!!障子!!」

 

氷の弾丸から、文字通りに自分の身体を盾として俺を庇う障子!!

俺はそのフォローを受け!!

 

 

 

 

「おおおおおおおお!!!!!」

 

 

「しまった!!」

 

「ん……ま、こんなもんかね?」

 

 

一気に加速して核兵器へと向かう!!そして!!核兵器を確保!!

 

 

 

『……そこまでだ!!お見事!!ヒーローチーム!!WIIIIIIIIIN(ウィィィィィィン)!!!!!』

 

 

 

「……はぁっ!!はぁっ!!はぁっ!!はぁっ!!」

 

 

荒い呼吸をなだめながら……俺達の勝利を告げるオールマイトの声を聞く。

 

「はーっ……はーっ………」

 

 

……本当に……ギリギリだった……タイミング良く尾白に吹き飛ばされた障子がこちらに近づいて来たから何とかなった……それぐらい運任せの勝利だったと思う……

 

 

「……すみません……氷叢さん……俺の所為で……」

 

「ん……まー……今回はアッチの2人が良かったなーしゃあないしゃあない」

 

「……軽いなー」

 

尾白の謝罪を受けている氷叢さん……

 

その姿……正直言って……まだまだ余裕そうな……そんなこの人の様子を見て……

 

 

 

(……氷剣ヒーロー・アイスブレイド……何でこの人が……こんなに強い人が!!何で無名のまま何だよ!!いくら何でもありえねえだろ!!)

 

 

 

……へらへらと笑うこの人を見ながら、俺はそんな事を思った。

 

 

 

 

 

 

 

 

sideオールマイト

 

(……勝ちを譲ったかな?まあ零至くんらしいけど)

 

本当に彼は子供に甘い。

 

本来彼が得意とするのは、ミルコのような超速移動からの近接戦闘だ。

ハンデとしてかなりの重量の重りをつけているとはいえ……やろうと思えばあそこから轟少年の前に立ち塞がる事も出来た筈だけど。

 

(まあ……そこまでやると流石にやり過ぎか。元々は葉隠少女の代打だしね)

 

 

ヒーロー側の連携は拙いが非常に良かった。あれなら『ま、負けてもいいか』と零至くんが判断しても不思議は無い。

 

実際プロヒーローがムキになって学生相手に勝ちに行くのもあれだしね。そう考えるとイイ落とし所といった所かな?

 

零至くん的に自チームが負けても仕方無いなあ……っというラインをヒーローチームが見事に超えたのだろう。だから彼は勝ちを譲った。そうじゃなければ自チームを勝たせたのだろう。

 

まとめるとそんな感じかな?

 

 

「あ……あの……オールマイト先生?」

 

「……ん?どうしたんだい八百万少女?」

 

そんな事を考えていた私に、八百万少女が話しかけて来た。

 

 

「……あの……氷剣ヒーロー・アイスブレイド……氷叢さんは……何故あんなにもお強いのに……何故無名のままなんですの?正直……あれだけ強ければ有名になっていてもおかしくないと思うのですが……」

 

 

「だよな!!俺も思ったぜ!!今の轟との勝負!!アツい勝負だったよな!!」

 

「けろけろ……轟ちゃんは学生だけど、今すぐプロヒーローに混ざっても遜色無い実力者だと思うのよね。そんな轟ちゃんとハンデ付きで渡り合って……アレで無名というのはおかしいと思うのよ」

 

「そーそー!!私のコスチュームについてもメッチャいいアドバイスくれたしね!!」

 

八百万少女に続き、皆がそんな疑問の声を上げる。 

 

 

「ハッハッハ!!実にいい質問だね!!」

 

 

私としても友人である零至くんを褒められて悪い気はしない。

 

 

……が。

 

 

 

「……確かに!!君たちの言う通り!!零至くんは素晴らしい能力を持っている!!それこそ今すぐトップヒーローに混ざっても遜色無い程素晴らしい能力をね!!」

 

 

 

 

「「「「「やっぱ凄いヒーローだった!!!!」」」」」

 

 

 

 

……が……が!!何だよね!!

 

 

「……が!!その全ての素晴らしさを台無しにするくらいに!!飛び出た全てのプラスの針をマイナスに振り切る位に!!致命的なレベルでやる気が無いんだよね彼!!後死ぬ程女癖が悪い。そりゃ週休2日じゃ休みが足りないとか勝手に言って、土日以外に水曜日も休みにしてる位だからね彼!!それに加えて女癖が悪くて色々な女の子をとっかえひっかえしてる。同年代の男ヒーロー含む男性からは蛇蝎の如く嫌われるよねそりゃ!!結果ヒーローランキングは上がらないし、本人も休みを優先してるから上げる気がさらさら無い!!だから優秀なのに無名何だよね零至くんって!!」

 

 

 

「「「「「やっぱダメなヒーローだった!!」」」」」

 

 

「「「「「ヒーローなのに週休3日って何だそれ!!」」」」」

 

 

 

 

わーきゃーと騒ぐ有精卵達。

 

まーそうだよね。そりゃそう思うよね!!でも私が言っても聞かないから、年下の皆から言って上げてくれよな!!

 

そんな感じで騒ぐ皆の相手をしながら、4人が訓練場から戻って来るのを待つ。

 

戻って来たら講評の時間。

その後は次の戦闘訓練だ。

 

割と時間も押してるし、巻いて行かないとなぁ……

 

 

 

 

 

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