氷叢家の種馬(ガチ)   作:のりしー

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AIによる挿絵があります。苦手な方はスルーしてください。


夜は終わり、そしてまた日常へ

side Mt.レディ

 

都内某所、夜。

寂れた倉庫街の一角。

 

周囲にある他の倉庫と比べても、何一つ違いがわからないような……そんなありふれた一つの倉庫。

 

……そんな倉庫を今、私達ヒーローが包囲していた。

 

あの会議室にいたヒーロー達の半数……エッジショットが指揮する14人のヒーロー達。

 

目的は、この倉庫に保管されている全ての違法薬物の確保。そしてその違法薬物を守っている全てのヴィランの逮捕だ。残りのメンバーはベストジーニストと共にブレーン役含む他のヴィラン達の逮捕へと向かっている。

 

 

 

 

『……時間だな。全員、準備はいいか?』

 

 

インカムから聞こえるエッジショットの声に、皆が無言で頷く気配が聞こえてくる。

 

 

『……よし。ならば手筈通りに行く……頼んだぞ2人共』

 

 

 

『おうよ!!』

『ちっす』

 

 

 

 

((((((片方軽っる!!!!!))))))

 

 

 

 

倉庫を包囲する10人のヒーロー達。

倉庫の入口の巨大な扉を物陰から見る私とエッジショット。

そして……

 

 

 

 

「は!!やる気マンマン状態のテメエと共闘するのは久々だぜ……抜かるなよ?」

 

「……は?誰に言ってんの駄ウサギ?テメエはテメエの心配だけしてろや」

 

「……そういうじゃれ合いは後でするように……何故俺はこんな苦労人ポジションばかりなのだ……」

 

 

私達4人が潜んでいた物陰……そこから出て行く2人のヒーロー。

 

 

 

『あのクズ』ことアイスブレイドとミルコだ。

 

 

こんなにも多くのヒーローがいるにも関わらず……エッジショットは、迷わずこの2人に一番大切なファーストアタックの役割を与えていた。

 

 

「……………………………行け!!」

 

「おっしゃあ!!」

「りょ」

 

 

((((((やっぱ片方軽っる!!!!!!))))))

 

 

……とは言ったものの、その後の光景は『軽い』だなんてとても言えるものでは無かった。

 

 

 

アイスブレイドの足元から爆発的な冷気が吹き荒れる!!

 

その冷気は即!!指向性を持った巨大な氷となり、アイスブレイドを前方へと凄まじいスピードで押し出した!!

 

 

「ウソでしょ!!スピードであのミルコ(・・・)に並ぶの!?」

 

 

 

わざわざこの場で語るまでもないトップオブトップのヒーロー・ミルコ。その強靭な足腰が生み出すスピードと蹴りの破壊力がウリのヒーローだ!!

 

 

そんなヒーローのトップスピードと並ぶ勢いでアイスブレイドは前方へと飛び出し!!

 

 

 

 

槍氷剣(そうひょうけん)・アイスランス」

踵月輪(ルナリング)!!」

 

 

腰の鞘から抜き放った刀に巨大な氷の槍を生み出したかと思えば!!ミルコの凶悪な蹴りと同着でその氷の槍を巨大な倉庫の入口へとぶち込んだ!!

 

 

破砕音が周囲に響き、同時、

 

(……な!!なんじゃこりゃあ!?)

 

(ヒーローどもの襲撃かよ!?)

 

(くそ!!何でココがわかったんだ!?)

 

 

倉庫の中から、くぐもった声でヴィラン連中の悲壮な叫びが聞こえてくる。 

 

(ギャァァァ!!)

(クソ!!ギャァァァ!!)

 

そして、それがドンドンと苦悶の声に変わっていき、

 

 

 

「……よし。では、私も行く。君にも期待してるぞMt.レディ」

「……りょーかいです」

 

 

 

私にそう声をかけるなり、個性をフル活用してエッジショットも倉庫の中に飛び込んでいった。そしてヴィラン連中が上げる悲鳴の数がさらに加速していく!!

 

 

 

 

(……ふ〜ん。な〜るほ〜ど……ね♫)

 

 

 

……ふーん。なるほどね。アイツ(・・・)はこーいうヤツなワケね。

 

 

クズ後輩と呼びながらもこの作戦にわざわざ呼び出し、そして最前線を躊躇無く任せる2人の先輩。

互いに憎まれ口を叩きあいながらも、この鉄火場において自分と並び立つことを否定はしないバトル馬鹿オブトップヒーロー。

 

 

 

(……なんとなくだけど……わかっちゃった気がするわね)

 

 

 

……そんな事をふと思う。

とはいえ……そんな事ばかり考えている訳にもいかないから!!

 

 

「そろそろ私も行くわよ!!」

 

 

個性・巨大化

 

 

自らの身体を10倍以上に巨大化させて、

 

 

 

 

「……ドッシャアァァァ!!!」

 

「ギャァァァ!!!」

「天井が!!天井が!!」

「一瞬でぶっ飛ばされた!!」

「何なんだよアレはぁ!!」

 

 

……一息に、倉庫の天井を引っ剥がす!!

 

 

これまでは水平方向から襲いかかるヒーロー達を警戒していたヴィラン連中は、突如襲いかかってきた上方からの脅威に瞬間気を取られて……

 

 

 

 

 

「……縛氷剣(ばくひょうけん)・アイスバインド」

 

 

 

その一瞬のスキを決して逃さない、倉庫内に突入した3人(・・)のトップヒーロー達の攻勢を受け、呆気なく殲滅された。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「じゃあな!!久々に楽しかったぜ怠け虫!」

 

「ういー」

 

「……張り合いねーなホント……」

 

 

戦いが終わり、全てのヴィランを捕らえた……そんな事後処理の時間。

面倒事を嫌ったのか?ミルコがこんな感じでまさかの離脱!!

えー……まじ?……みたいな他のヒーロー達。

 

 

「……はあ……本当に、相変わらずだなミルコは……まあ、この作戦に協力してくれただけタイミングに感謝するべきか……」

 

「ねーねー紙ぱいせん。駄ウサギ自体じゃなくてタイミングに感謝なのねーやっぱ。やっぱアレ駄ウサギだよねー」

 

「黙れクズ後輩……」

 

「まー別に俺はいーんだけどさ……紙ぱいせん良い人過ぎるからなぁ……このままだとトンデモナイ貧乏くじ引く気がするのよね」

 

「……やめろクズ後輩……その予想が2年後くらいに実現してしまいそうで最悪な気分だ……貴様もさっさと帰れ。送りの車を呼んである。後の事後処理は俺に任せろ。ああ……Mt.レディも一緒に上がってくれ。デビューしたてなのに夜遅くまですまなかったな」

 

「やっりーあざー」

 

「……軽いよなぁーお前はホントに……」

 

「ちっす」

 

 

そんなやり取りをエッジショットとしたアイスブレイドは、作業を続ける他のヒーローの邪魔にならないよう端に移動した。

 

 

 

……そんな彼に、私は近づく。

 

 

「……♫」

 

 

彼は誰の邪魔にもならない壁際まで来ると、とても嬉しそうに懐からタバコを取り出した。

 

 

 

「……ねー……私、タバコの匂い嫌いなんだけど」

 

「……へー……ふーん。そーなん?」

 

「うん」

 

 

そんな彼に私は声をかけて……そして彼は……マジで何事もなかった(・・・・・・・・・・)かのように取り出したタバコを口にくわえて火をつけた!!

 

 

 

「………………は?」

 

 

「はー……よーやく吸えたー……タバコうめー……」

 

 

 

 

「ねえおかしくない!!おかしいでしょ!!ねえ!!今私!!『私はタバコの匂い嫌い!!』って言ったよね!!間違い無く言ってたし貴方も返事してたよね!!なのに何で普通にタバコ吸い始めてるのよ!!!!」

 

「……?」

 

「……あ!!このクズ!!私の言った事マジで聞いてないし気にもしてない!!超絶適当すぎる!!」

 

「運動したら喉渇いたなー……送りの車コンビニ寄ってくんねーかな?ビール飲みてえ」

 

「正気!?ヒーローコスチューム着てコンビニでお酒買う気なのアンタは!!」

 

「………?」

 

「あ!!小首かしげて『それの何が悪いの?』って顔してるわねコイツ!!ダメでしょ!!ヒーローって人気商売なのよ!!ヒーローがヒーローコスチューム着て酒買ってる所とか週刊誌に撮られたらそれだけでマスコミ連中のネタになるのよ!!」

 

「……あ、車来たじゃーん。送ってくれてありがとございまーす。ちな、途中でコンビニ寄ってくれたりとかOKな感じ?」

 

「聞いてないし!!私の話をぜんっぜん!!聞いてないし!!ああ!!もう!!すいません!!私も乗ります!!コンビニは無し!!まずはこのクズを先に家まで送ってください!!私は後でいいから!!」

 

「えー……」

 

「黙ってなさいこのクズ!!ああ!!もう!!もう!!普通は女の子が先に送ってもらうべきでしょ!!なのにもう!!」

 

「あー先コイツ送ってくださいよ運転手さん。その後コンビニで」

 

「だから!!それだから!!ダメだと言ってるんでしょ!!」

 

「えー?」

 

「えー?……じゃ!!ない!!」

 

 

(……チッ!!……いちゃつくのはラブホ入ってからにしろよコイツら……)

 

 

 

……何か空耳が聞こえた気がする。忙しかったしまあ気の所為だろう。だと信じたい。

 

そんな感じで、結局私が先に家に帰り、絶対にコンビニは寄らないと約束したこのクズがその後家に帰った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

side氷叢零至

 

「ラーメンと餃子と瓶ビール……あ、あと持ち帰りでチャーシューとザーサイもよろ。チャーシューは切っておいてね。家帰ったらそれつまみですぐ飲むから」

 

 

「わー!!ヒーローコスチューム着て5時ピタでこの町中華に入るなりメッチャ注文するじゃんこのクズヒーロー!!」

 

「まあね」

 

「念のため言うけど褒めてはないぞ☆わかってるだろーけど念のためね☆」

 

 

今日も今日とてこの狂った町をパトロール。残業とかめんどいので5時ピタで上がりそのまま近くの町中華に。

 

 

ヒーローコスチュームのまま?え?何か問題あります?

 

 

オーダーを店長に伝えてバイトギャルが暇なのかな?こちらにやってくる。

 

だから俺は、

 

 

 

「そーいや何か最近ダイエット始めたらしーじゃん?どーよ調子は?」

 

 

 

 

と聞いてみる。すると。

 

 

「あー!!!それね!!ねー聞いてよアイスブレイド!!」

 

 

この町中華でバイトしているJKギャルが叫び出した。

 

「あのダイエットサポート薬さ!!メッチャいい感じだったのよ!!んで!!これで絶対痩せてやるぞうぉーー!!!って私燃えてたワケ!!なのに聞いてよ!!突然その薬の販売元と連絡取れなくなったってさ!!ありえない!!マジありえねー!!!」

 

「……ふーん?」

 

「あーあ!!これで私激ヤセしてぜってぇイケメン彼氏捕まえてやるわー!!って思ってたのにマジ最悪!!……ねえ?聞いてる?何か笑ってないアイスブレイド?」

 

「……ん?あー……別に笑ってねーよ。つか何でダイエット如きでお前らそんなマジになるワケ?マジウケるんだけど。ダイエットなんてデブりそうな菓子とかジュース飲むの控えて、筋トレして歩けば出来るじゃん?何でわざわざそんな楽して特別なダイエットしようとして毎回しくじるワケおたくらって。マジウケるんだけど」

 

「あー!!言ってはならぬ事を!!今!!キサマは!!全ての痩せたい女子9割を敵に回したぞ!!」

 

「絶対ソイツらブスじゃん。そもそも興味ねーわ」

 

「うーん!!このクズ!!」

 

そこで「おーい!!」と厨房から彼女を呼ぶ声がして「はーい!!」と元気良く少女が反応する。

 

んで、

 

「はい!!ラーメンと餃子と瓶ビールね!!チャーシューとザーサイは後で持ってくるからそれでいいよね?」

 

「おうーいただきまー」

 

「めっしー☆」

 

 

 

 

 

【挿絵表示】

 

 

 

 

 

瓶ビールをグラスにそそぎ一口。

 

 

ふう……

 

 

「ん……悪くないね」

 

「……ん?何か言った?」

 

「別に」

 

 

 

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