朝起きたらウマ耳と尻尾生えとるんやけど...!?!?!?   作:飽之七起

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第5R:ウマ息子

「............お見苦しいところを......お見せして......本当に申し訳ありません............」

 

「いえ...その...こちらこそ...」

 

「............」

「............」

「............」

 

顔を真っ赤に染めてたづなが謝罪する。他の3人もバツの悪そうな顔をしている。

 

「と、とりあえず、話を進めましょうか...」

 

「......はい...そうさせてもらいます...」

 

さすがにこの雰囲気に耐えられなくなってきたので、寝玄がたづなに話を進めるよう促す。

 

「...まず、あなたのそのウマ耳と尻尾についてですが、全員での確認の結果から見て、両方とも本物で間違いないかと思われます」

 

「...ですよね...」

 

「ただ、男性にウマ耳と尻尾が生える事例は、少なくとも私は見た事も聞いた事もありません...」

 

「うむ...私も一切聞いたことがない。たづなから聞いた時は耳を疑ったものだ」

 

トレセン学園のツートップがまったく聞いたことのない事例。実際寝玄自身も、今まで勉強の為に様々な資料を読み漁ってきたが、こんなケースが書かれているものは見た事がない。

 

「そして先程我々が戻ってきた際、ウマ娘2人を制圧していた。しかもただのウマ娘ではない、学園公認の警備ウマ娘を...」

 

「あの時は...こっちも必死だったもので...」

 

「...認めたくねぇが...完全に力負けだった。あんな力、人間が出せるもんじゃねぇよ...」

「たとえウマ娘が相手でも、掴まれて動けなくなることなんて、今まで一度も無かったわ...」

 

「ただウマ耳と尻尾が生えただけではなく、力もウマ娘と同等か、おそらくそれ以上になっていると思われます...」

 

「ウマ娘と、同じ...なら、あの感覚も...」

 

歩く際に感じる、世界を置き去りにする感覚...

 

「今朝起きてから、歩く時の感覚が、なんか、走り終えてランニングマシンを降りた後みたいな、めっちゃ速くなったような感じで、それと...」

 

そして朝から湧き上がっている、この衝動も、やはり勘違いなどではなかった。

 

「走りたい衝動が、凄いんです。走りたくて仕方がないというか...」

 

ウマ娘は、走るために生まれてきた。

もしウマ娘と同じ身体になっているのだとしたら、自分も、同じように走れるのではないか。

試してみたい。どれだけ速く走れるのか。

 

「そうですか...ウマ娘は人よりも、走ることへの欲求が強いですから...他に、昨日までと変わったところは何かあったりしますか?」

 

「...あ!そうや耳!!!耳が無くなったんですよ!元の耳が!」

 

色々と変わった部分はあったが、正直これが一番怖いところだった。

 

「ウマ耳が生えて、ヒト耳が消える...これは、もう医療機関で調べるしかないでしょうね。もし身体の作りが完全にウマ娘と同じになっているのであれば、それはそれで、問題が起きてもウマ娘と同じ対処はできるはずです」

 

「あ、でも全部同じってわけでもなくて...性別自体は男で間違いないんですよ。その...アレは付いたままですし...」

 

「............」ムラッ

「オサエテオサエテ」

 

「............」

「う〜ん、男性のウマ娘、ずばり、『ウマ息子』だな!!!」

 

「ウマ...息子...!?」

 

「............」バァン!

「」ビクッ!

 

たづなが机を叩く。

 

「...下ネタは結構です」

「いや...そんなつもりじゃ...」ガクガク

 

「すみません...ただ、男の特徴のままウマ娘化したとなると、ネーミングとしては確かにそれが一番分かりやすいかと...」

 

「......とにかく、しっかりと検査しなければ話は進みません。呼び方はその後でもいいでしょう」

「わ、私が直接医療機関に連絡しよう!ある意味緊急事態だ!早い方がいい!」

 

「それは、非常に助かります。お願いします」

 

「私が付き添います。その方がスムーズにいくでしょう。1人で行って大騒ぎになったら大変ですから」

 

「ありがとうございます。念のために財布や保険証とかは持ってきてるので、今からでも大丈夫です」

 

「では車で移動するので、正門まで向かいましょうか」

「ところでだが...」

 

やよいが寝玄に尋ねる。

 

「君の名前を、まだ聞いていなかった気がするのだが...」

「...失念していました...書いていただいた用紙を見せてもらえますか?」

 

「あ...まだ何も書けてないです...すいません」

 

「............」チラッ

 

「............」ガクガク

「............」ガクガク

 

記入する前に立たされてあの騒動なのでどうしようもない。若干青筋を立てるたづなに警備ウマ娘たちの顔が青ざめる。

 

「......用紙は道中で書いてもらいましょうか。紹介が遅れましたが、私はトレセン学園理事長秘書の駿川たづなです」

「そして私が理事長、秋川やよいである!」

 

「寝玄神です。改めて、よろしくお願いします」

 

「寝玄...!」

「神...!?」

 

たづなとやよいの顔が、驚愕の色に変わった。

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