朝起きたらウマ耳と尻尾生えとるんやけど...!?!?!?   作:飽之七起

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第7R:話し合い

「私も理事長も......ウマ娘なんです」

「............は??????」

 

いきなりの暴露に寝玄が驚く。たづなややよいがウマ娘であるなどとは考えたことも無かった。だが、それならウマ娘同士での発情とも辻褄が合う。

 

「...これを知っているのは、限られた人物だけです。学園の生徒会長ですら知りません。先生には、私や理事長の診察もお願いしているので...」

「あぁ...なる...ほど...」

「くれぐれも、くれぐれも漏らさないよう、お願いしますね」

「わ、分かりました」

 

たづなが顔を近づけて念押ししてくる。めっちゃいい匂いがする。

 

「...ん゙ッ゙ッ゙!!??」ビクッ

 

いきなり声を上げたづなが寝玄から離れる。

 

「なるほど、超至近距離で匂いを嗅ぐと発情が起こると...ウマ娘からするとなかなか恐ろしいですね...」

 

「なんか...分かってても割と心にきますね...」

 

嫌がられてる訳ではないと理解してはいるのだが、匂いが原因というのもあって反応的にはあまり嬉しくはない。

 

「寝玄さんは、今はなんとも無かったんですか?」

 

「顔を近づけられた時にいい匂いがするなぁと思ったくらいですね。俺は実際に触られないと影響無いんでしょうかね?」

 

「今の感じだと、おそらくそうでしょう。ウマ娘から直接耳や尻尾を触られると発情する。接触型の発情でしょうね」

 

「...大変失礼いたしました」

 

たづなが会話に戻ってきた。

 

「発情の条件が分かったのは大きいですね。お互いにこれらを注意すれば、学園で起きたような事態は防げるかと」

「あの、俺これからどうすればいいんですかね...?もう昨日までと同じ生活はできないんでしょうか...」

 

「耳の位置と形が変わっているので、まずはウマ耳に慣れるようにしましょう。あと一番大きく変わる可能性があるのは食べる量でしょうね。元が少食であれば影響は少ないですが、もし増えれば人の数倍から十数倍の量、しかも男性ですから、もしかするとそれ以上必要になるかもしれません」

 

「マジですか......」

 

寝玄は割とガッツリ食べる方だった。もしウマ娘と同等以上の食事量になるなら、日々の食費がとんでもない事になるので頭を抱えた。

 

「食事は...色々考えてみます...ウマ耳に関しては、ウマ娘に関して勉強をしてるので多分大丈夫だと思います。また何かあれば、こちらに来させてもらってもよろしいでしょうか?」

 

「それはもちろん。何か困ったことがあれば遠慮なくお越しください。私としても、男性のウマ娘のデータを取らせてもらえるのは非常にありがたい」

 

「ではひとまず学園に戻りましょうか。今後のことについて理事長も交えてお話しさせていただきます。先生も、今回の件は...」

 

「えぇ、看護師にも他言無用だと伝えておきます。」

 

「ありがとうございます。それでは失礼します」

「ありがとうございました」

 

医者に礼を言い、診察室を後にする。

 

「理事長には連絡を入れました。昼休み後に理事長室に来るようにとのことなので、何か食べてから戻りましょうか」

「分かりました。ならコンビニでおにぎりとか買ってきていいですかね?」

「えぇ、私もそうしましょうか」

 

昼飯を買い、帰りの車でおにぎりを食べながら、寝玄は絶望していた。

 

(あかん...この量じゃマジで全っっっ然足らへん...やばいなこれ...)

 

────────────

 

学園に戻るとちょうどいい時間だったので、早速理事長室へと向かう。

 

「理事長、駿川です。ただいま戻りました」

 

「入りたまえ!」

 

ノックした扉の中から返事が返ってくる。たづなに続いて寝玄も理事長室に入った。

 

「ご苦労だった!まずは座りたまえ。今後のことについて話そう」

 

「はい、失礼します」

 

やよいの向かいの席に座る。たづなが理事長の後ろにつき、話し合いが始まった。

 

「先程病院からも連絡があり大体の内容は聞いている。単刀直入に言おう。君のこのウマ娘化の一件を、トレセン学園から公表させてもらいたい」

 

「............」

 

予想はしていた。かなり大きい事態になる予感はあった。実際に口に出されたことで、それが一気に現実として襲ってくる。

 

「公表...となると、俺のことも全て、テレビとかネットに出るんですよね...」

 

「そういうことになる。だが安心してほしい!君の生活は、我々トレセン学園が責任を持って守らせてもらう」

 

いわく、生えてきたウマ耳と尻尾に慣れるまで日常生活で不便になる。もしバレて大事になる前に先手を取って公表し、トレセン学園の庇護下に置くというわけだ。ただし、条件付きで。

 

「臨時職員として採用し、トレセン学園への入場許可証を発行する!職員寮に宿泊用の部屋も用意しよう。学園の施設も好きに使用してもらって構わない。その代わり...」

 

「データの採取に協力してほしい、と」

 

「その通りだ!」

 

世界初の男性のウマ娘。病院でも言われていたが、やはりそのデータは非常に価値の高いものであり、学園側としても手放したくないようだ。

 

「...学園の施設って、例えばウマ娘に関する資料や、過去のレース映像とかを見せてもらうことってできますか...?」

 

「無論だ!」

 

(あれ...?これ破格の条件では...?)

 

思っていた以上に待遇が良い。トレセン学園でしか得られない情報も多いはずだ。こんな機会を逃す手はない。あとは...

 

「あの...食事とかって、学園の食堂を使わせてもらえるんでしょうか?」

 

「もちろん!生徒と同じように無料で食事ができるぞ!」

 

「無料で!?!?!?」

 

「職員として協力してもらう以上、給与も支払おう。筆記試験満点であれば、能力に疑いの余地は無い!どうだ!?」

 

(至れり尽くせりやないか...!!!)

 

決まりだ。断る理由が無い。公表によるデメリットより、得られるものが多すぎる。

臨時ではあるものの、定職に就けるのは大きい。今の収入に加えて安定した給与が貰え、食費まで浮くならかなり楽に生活できる。

 

「今の仕事を続けながらでも大丈夫なら、是非お願いしたいです」

 

「うむ!君の仕事は確か、配信業だったな」

 

記入した用紙を確認しながらやよいが尋ねる。

 

「はい。動画サイトUTubeで配信活動をしてまして、広告収入を貰って生活しています」

 

「副業は特に禁止していないので問題は無い!しかし、トレセン学園内を無断で撮影するのはダメだ。もし撮影したいのであれば、必要書類を提出してしっかりと許可を得てからになる」

 

(許可取れば撮ってええの!?!?!?)

 

「それと注意点だが、学園にはウマ娘である生徒たちもいる。君のその...匂いの性質上、関わり方には十分気をつけてほしい。ただ、特にこちらから制限を設けるつもりはない」

 

「発情の条件も分かりましたし、超至近距離にならなければ影響は無いので大丈夫だとは思います。俺から必要以上に近づいたりはしませんから」

 

「あぁ。しかし、生徒の中には距離が近い者もいる。くれぐれも用心してほしい」

 

「分かりました」

 

「では後日、報道関係者を集めて会見を開く!それまでにある程度荷物をまとめて職員寮に運んでおいてほしい。配送業者はこちらで手配しよう。会見後は家に報道陣が押しかけることが予想される。警備会社にも依頼はするが、当分は戻れないことを覚悟しておいてくれ」

 

「分かりました。ありがとうございます」

 

私物やらゲーム機やら配信機材やら色々運び出さないといけない物が多い。あと泊まるとなれば替えの服もかなり持っていく必要が...いや、そういえば...

 

「他に何か聞きたいことはあるか?」

 

「少し気にかかるのが、衣服ですかね。尻尾穴のある男性用のズボンや下着が無いので...」

 

「ウマ娘用である以上、出回っているのは当然全て女性ものだからな...よし!それも学園の伝手を使ってなんとかしよう。それまでは不便だと思うが我慢してくれ」

 

「本当に助かります。他には特にありません」

 

「では決まりだ!たづな、会見の手配を頼む」

「はい、分かりました」

「む、そうだ、忘れるところだった!」

「どうされました?」

「男性のウマ娘、やはり名前は、『ウマ息子』でいこうと思う!それで問題は無いな!?」

 

「えぇ、俺は大丈夫です」

 

「............もう、それでいいです......」

 

たづなが諦めたように答えた。

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