朝起きたらウマ耳と尻尾生えとるんやけど...!?!?!? 作:飽之七起
理事長との話し合いの後、荷造りのために寝玄は自宅へと帰っていた。理事長室を出る際にたづなとやよい2人の連絡先は交換しているので、用意が終われば連絡を入れて配送業者に時間を伝えてもらう手筈になっている。
「これとこれと、あとこれと...」
送られてきたダンボールに私物を詰め込んでいく。間に合うなら明日の午前中に配送しておき、午後に会見を始めるとのことなので急いで作業を進める。
「なんか旅行行く前日みたいやなぁ〜」
トレセン学園への宿泊(食事付き)なのであながち間違いでもない。しかもそれで給与まで出るのだから楽しみで仕方がなかった。聞いたところ金額もかなりのものだったのでウハウハである。
「こんなもんかなぁ。思ったより早よ終わったなぁ」
荷物の最終チェックを終えるとたづなに連絡する。明日の配送や学園に来てからの流れなどを確認して電話を切った。
「腹減った...」グギュルルルルゴゴゴ......
一段落すると腹からとんでもない音が鳴る。昼食べたおにぎりでは全く足りていないので夜ご飯は多めに食べることにする。
「この状態で外出んの無理よなぁ...マクドでも頼むか〜」
携帯でアプリを開き、念のためいつもの倍の量を注文する。数十分待つとアプリから通知が届き、すぐにインターホンが鳴った
「はーい」ガチャッ
「お待たせしましたな...の...」
ドアの前で商品を持った配達員のウマ娘が立っていた。が、寝玄を見て固まる。
「え...耳...えっ...?」
「耳?あっ!!!」
コートや帽子も無しに普通に出てきたのでウマ耳と尻尾が丸見えになっていた。
「あ〜すいません!!!ちょっとコスプレ衣装試してる途中やったんで!」
「コスプ...あ〜なるほど!そういうことだったの!」
「いやほんと脅かしてすいませんね!ありがとうございました!」
「ありがとうございましたなの!」
無理矢理誤魔化して商品を受け取り家に入る。
「びっくりしたの...ウマ耳も尻尾もすっごいリアルだったの...」
驚いてるウマ娘と同じように、家の中では寝玄も心臓バクバクだった。
(あっっっっぶなぁぁぁぁ!!!!!!セーーーーーフ!!!!!)
割と危なかったがなんとか切り抜けられた。受け取った袋を開けて食事を始める。しかし、
「これでも足らんなぁ...」
空腹感は無くなりはしたが、かなりの量を頼んだにも関わらず満腹には程遠かった。まだまだ余裕で入りそうだ。
「明日学園でどれだけ食えるか試してみるか」
今の自分がどれだけ食べられるのか少し気になった。学園での食事はタダなので金の心配をしなくていいのがありがたい。明日が楽しみになってきた。
「今日はそろそろ寝るか〜」
明日の準備は既に出来ているのでもう特にやる事は無い。食事後すぐ風呂に入りベッドに潜り込んだ寝玄は、まだ早い時間にも関わらず一瞬で眠りについた。
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早めに寝た甲斐もあって体調は良好だった。学園へ行く準備をし、やってきた配送業者に荷物を積み込んでもらった後すぐに家を出た。
学園に着くとたづなに職員寮へ案内される。
「ここが学園の職員寮です。今荷物を運び込んでもらっているので、その間に他の場所もご案内しますね」
「お願いします」
服装は昨日も着ていたフード付きコートだが、幸い今は授業中なので他の生徒たちは見当たらない。トレーニングルームや図書室、視聴覚室など色んな場所を案内され、次に来たのは食堂だった。
「ここが学園の食堂です。あちらのメニューから好きなものを受付で注文して受け取る方式ですね」
「見てるだけで腹減ってきますねこれ...」グギュルル...
「ふふっ。でしたら今から早めの昼食にされますか?調理スタッフには寝玄さんの事は先に伝えているので構いませんよ」
「マジですか!?!?」
こんなにも早く学園の食事が食べられるとは思っていなかった。朝ご飯を食べてないのでかなり腹に入りそうだ。
「結構多めに食べても大丈夫ですかね?昨日普通の食事やと全然お腹膨れなかったんで...」
「えぇ、大丈夫ですよ。大食いの生徒もいるので在庫は多めに入れていますから」
「分かりました!早速頼んできますね!」
とりあえず気になるものを色々注文してみよう。昨夜の腹具合から見ても数人分は余裕で入る、いや、それでも全然足りないかもしれない。
「すみません、この塩ラーメンに味噌ラーメン、トレセンの味ラーメンとこってりニンジンMAXラーメン、チャーハン大盛りと餃子10個と鶏の唐揚げ10個お願いします!」
「はいよ!」
受取口で待機していると台車で食事が運ばれてきた。
「はいお待ち!」
「めちゃくちゃ早いですね!」
「このくらい早くなきゃ捌ききれないからねぇ」
「凄ぇ...!!!」
提供スピードに感動しながら台車を押して席に戻る。
「たづなさんは食べないんですか?」
「私は大丈夫なので、気にされなくていいですよ」
「では、遠慮なく、いただきます!」
早速食事を始める寝玄。こってりしたラーメンにブッ刺さっている人参を一口食べた瞬間、衝撃を受けた。
「うっっっっっま!!!!!」
めちゃくちゃウマかった。他とは比べ物にならないレベルでウマかった。寝玄はそのウマさに感動しながら食事を進め、
「これいくらでも入りそうですね!おかわり行ってきていいですかね!?」
「えぇ。大丈夫ですよ」
一瞬で全てを平らげて次の注文へ向かう。その様子をたづなは微笑ましげに見ていたが...
「ごちそうさまでした!!!」
「........................」
寝玄が食べ終わった頃、たづなの顔は青ざめていた。
(そんな...ありえない...この量...オグリさんの倍は...軽く...)
キッチンを見ると、調理スタッフたちが息を切らしていた。
「めちゃくちゃウマかったです!トレセン学園凄いですね!」
(食べる速度も...速すぎます...これは...毎日このペースなら...非常にまずいです...)
「たづなさん?どうしましたか?」
「えっ!?あぁ、いえ...結構、食べられるんですね...」
「こんなにウマい料理なかなか無いですからね!今の自分の限界を知るためにも色々食べてみようと思ったんです。ただ、まだ案内の続きも残ってますし、そろそろ生徒たちも来そうですから、腹八分目に抑えておきました」
「腹......八分目......???」
信じられないという顔をするたづな。声がわずかに震えている。
「まだ......食べれるんですか......?」
「まだまだ全然いけますよ!もっと食べたいくらいですけど、今は時間も限られてますからね」
「そ...そう...ですか......」
たづなが引き攣った笑みを浮かべる。これからの食材の発注をどうするか、頭をフル回転させて考えていた。
「......で、では、行きましょうか」
「はい!」
食堂を出る寝玄とたづな。2人の話を聞いていた調理スタッフたちの顔も青ざめていた。
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学園内の案内もある程度終わり、一旦2人は理事長室でやよいと合流した。
「では私はこれから会見に行ってくる!覚悟はいいな!?」
「大丈夫です!」
「明日朝には全校集会で君のことを紹介する予定だ。簡単な挨拶だけ考えておいてくれ」
「はい!分かりました」
簡単に打ち合わせを行い、やよいと分かれる。
「では今から生徒会室に向かいます」
「生徒会、確か生徒会長は...」
「えぇ、シンボリルドルフさんです」
皇帝、シンボリルドルフ。
有名どころではない。無敗でクラシック三冠を成し遂げ、GⅠを計7勝したトップ中のトップウマ娘だ。寝玄も生で見るのは初めてだった。
「ルドルフさんには、寝玄さんの事はあらかじめ伝えてあります。ただ、発情の件は伏せているので、くれぐれも近づきすぎないようお願いしますね」
「えぇ。もちろん気をつけます」
生徒会室まで来るとたづなが扉をノックする。
「ルドルフさん、駿川です」
「どうぞ、お入りください」
扉を開け2人が入ると、部屋の中央にシンボリルドルフが立っていた。
「ようこそ、トレセン学園生徒会へ。私が生徒会長のシンボリルドルフです」