「久しいな、サリバン」
「そうだね、ラグナ」
魔界と人界の狭間、幽世に重なった竜界の一角で、一人の悪魔と一体の竜、そして一人の人間が対峙していた。
魔界のトップの一角、サリバンと、竜界のトップの一角、
「そろそろ死ぬから息子を頼む、養子にしてくれても構わん」
「相変わらず軽いねぇ君は」
「五十年くらい前に言っただろう、そろそろ死ぬから子供がいたら頼むと、」
「まさかほんとにできるとは思わなかったけどね」
「人間だが、滅竜魔法を覚えた自慢の息子だ、魔界の弱肉強食でもやっていけるだろう」
「そっか……じゃあ、魔界では僕の孫ということにするよ」
「頼んだ」
この会話の数日後、竜王ラグナは息を引き取った。長い竜の生を終えたのである。
そうして桜華はオウカ・サリバンとして、魔界を生きていくこととなった。
「おじいちゃん、はい、復唱」
「おじいちゃん」
「いや〜いいねぇ、おじいちゃん、孫ができたよ!」
はしゃぐサリバンを見ながらオウカは質問をする。
「なぁ、どこまでやっていいんだ?」
「ん〜基本的に何をしてもいいけど、初日は喧嘩しないほうがいいよ、ランク外扱いは守られていると同時に、捨てやすいということでもあるからね」
「じゃあ滅竜魔法は?」
「魔界では魔術にしたほうがいいね、滅竜魔術、それを君の家系能力としようか、間がいないから家系能力が違っても文句は言わないでしょ」
「そういうものなのか」
「そうだよ、それじゃご飯にしようか」
オウカはサリバンの屋敷で夕食を食べた。災星竜の力を持つオウカは、星や災害を食らうのが一番回復効率がいい、だが、それができない現状では、大量の食事で補うしかなかった。
机いっぱいに作られた料理はものの見事に消えた。量にして100人前、人でありながら竜の力を持つオウカの胃はすさまじいものである、
その力、竜の鱗を砕き、竜の肝を潰し、竜の魂を狩りとる。
魔界において、滅竜の力を超えるものは存在しない可能性がある、サリバンはその背中に王の風格を幻視した。
『かつての君のようだね、オウカくんは、ねぇラグナ、君は彼をどうも思って逝ったんだい?将来が楽しみだよ、真なる竜に育てられた人間、オウカ、属性は災害と天体か、』
サリバンは飯を食べ続けるオウカを見ながら亡き友へと声をかける。輩の死は、どんなに歳を重ねてもこころに残るものである。