見習い神官兼陰陽師、式神失格としてリリースされた型落ち倉庫番のフィギュアと共に一人前の階段を駆け上がります   作:クワ

4 / 7
ジュヌヴィエーヴとの出会い

 清一は驚きを誤魔化すように他の話題を振った。

「ところで、気になったのが、仲間をあまりキツク言わなくても……」

「オメーにカンケーねぇじゃん」

「まあ、そうなんですが……」

 

 

「そうケンカ腰に言うなよ」

 険悪な空気を大道寺が中和するかのように優しく声をかけてくれた。

「君、さっき幻塩見てただろ。僕はあれのyチューバ―をやっててね」

「もしかしてロココンさんですか?」

「いやあの人ではない」

「もっとヘタなやつだよ」

「そういうなよ~」

 太田は一見すると取っ付きにくいが、仲がよくなればそこまで悪い人じゃないのではと思えてきた。

 

 

「RPGって言うのかな、始めの内はキャラが少ないからみんな大切に使うよね。でも1年、2年とやっている内にキャラがいっぱい集まってくる」

「そうすると、使える武器などの装部品なんか使いまわしとか言って昔の主力から取り上げたりしないかい?」

「まあ、そうですね。馬車の中のキャラから取り上げたりしますね」

 清一は大道寺の話に相槌を打つ。

 

 

「コイツのやっていることはそういう事」

「ただ、具現化して命を持っているのでは」

 さすがに生命を宿すことになった者にそれはおかしいと思い修正を試みる。

「では、デジタルデータは命は無いのかい? ロボットは? アンドロイドは? 人工知能(AI)は?」

「それは……」

 清一は言葉を濁した。

 

 

「そう言う事。だから陽翔(はると)をあまり悪く言わないでやってくれ」

「そうだぞ、高校生、お前もいずれそうなる」

「そうでしょうか?」

「俺も、以前はそうだった」

 太田が寂しそうに笑った。

(この人なりに色々あったのかな)

 

 

「そうだ、陽翔(はると)、彼にあの娘あげたら、どうせ倉庫行きでしょ」

「えー、タダでか」

「僕もそれがいいと思う。リサイクルだよ」

 突然氷上が突拍子もないことを言い出し、渋る太田に大道寺が後押しをする。

 

 

「ま、いっか。その代わり飯おごれよ」

「OK、装備品取っちゃうんでしょ。私の子が昔付けてた装備品あげるよ」

「僕のも、もう使わない物をあげるよ」

「いいのですか?」

「別に構わねーよ」

「ありがとうございます」

 思いがけない申し出に清一は小躍りするくらいに喜んだ。

 

 

「ジュヌヴィエーヴ、じゃあな」

「……」

「式神の引き渡しの儀を行う」

「よろしくお願いします」

 ジュヌヴィエーヴの式神移転が終わると、三人は振り返りもせずに雑談をしつつ去って行った。

 

 再び居間

 

 

「なんとなくわかった」

 姉は、釈然としない顔をしながらも現状を受け入れようとしていた。

 

 

「ところで姉貴。俺さ、式神として元に戻す方法を聞き忘れたんだよ」

 姉は呆れてため息をつきウンザリ顔で清一に視線を送る。

「アンタ、いい加減にしなさい! 何で自分が出来ない事にそうやって首を突っ込むの!」

 

 

 姉はジュヌヴィエーヴの方に視線をずらす。

 しゅんとうなだれている式神に姉は同情し清一に名前を聞いた。

「その娘、なんて名前なの?」

 

 

「えーと、ジュヌ……なんだったけ?」

「ジュヌヴィエーヴ」

「そうそう、その名前! 名前から男だか女だかわからなくってさ。声もどっちともとれる声だし」

「コ、コイツ」

 誤魔化す清一に対し、姉はそのいいかげんさに腹を立てたものの、その湧き出た怒りをどうにか押し殺した。

 

 

「ジュヌヴィエーヴさんね。ごめんね、コイツみたいな変なのの式神にされちゃって」

「変なのってなんだよ!」

 

 

 姉は清一の反抗を黙殺し、怒りを含んだ口調で問いただす。

「清一。ちょっと聞きたいんだけど」

「なんだよ」

 

 

「その名前のブランド知ってる?」

「知らない!」

 

 

「その名前の女優知ってる?」

「知らない!」

 

 

「はぁ、馬鹿かお前、知らないじゃないだろ。一回死ねよ! どう見たって女性の名前だろうが!」

 

 

「私は、中条 清香(なかじょう きよか)。コイツの姉なの、よろしくね!」

「コイツ、あなたの名前を覚えられないからジュヌでいいかな?」

「絶対、姉貴が言いにくいからだろ!」

「なんか言った? 清一」

「いや、別に」

「なら、余計なこと言うな」

 

 

 清香は胸のポケットから一枚のお札を取り出すと、術を唱える。

 ブワッと煙が沸き起こり、それが収まった後には一匹の小さな狐が鎮座していた。

 

 

魔狐(まこ)おいで」

 魔狐(まこ)と呼ばれた狐は清香に駆け寄り膝の上で丸まった。

 

 

「清一、これくらいは出来るようになりなさい。とりあえずお父さんが帰ってきて……」

「姉貴!」

「――来たね」

 2人は玄関の先、神社の方から禍々しい気配を感じ立ち上がる。

 

 

「お客さんが持ってきたみたい」

 清香は目で清一を促し玄関へ足を向けた。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。