見習い神官兼陰陽師、式神失格としてリリースされた型落ち倉庫番のフィギュアと共に一人前の階段を駆け上がります   作:クワ

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エピローグ ~清一とジュヌヴィエーヴ~

 それから数日後

 

 

 初夏の生暖かい風が線香の香りを巻き上げる。

 

 清一と清之進、清香は千歳の墓参りに来ていた。

 

 三人、言葉を発することなしに目を閉じ手を合わせ続ける。

「……」

「……」

「……」

 

 ゆっくりと目を見開くと、色とりどりの鮮やかな花たちが己の美を主張していた。

 

「やっと仇討ちが出来て報告できた……それに……」

「それに?」

「清一も強くなったな」

 そう言って清之進は視線を上げた。

 

 ヒュー

 

 風がその髪を優しく揺らす。

 

「私も一緒に戦いたかったな」

 ちょっと拗ねた言い方で清香が残念そうに呟いた。

「コーン」

「以下同文だワン」

 魔狐と希狛も同調する。

 

「へへーん、ボクと清一が大活躍したからね」

 ジュヌは満足そうに笑いながら清一の腕に自らの腕を絡めた。

 

「さて、帰るか」

「おう」

「そうね」

 

 その日の夜

 

 枕元にスッと降りてきた。

 

「清一、大きくなったわね」

「お袋?」

 そこには清之進の部屋に飾ってある、母親の写真と同じ面影がある女性が立っていた。

 

「横に座っていいかしら?」

 周囲は広い草原が広がり、風がそよそよと吹いて草を揺らしていた。

「あ、ああ」

 呆気にとられる清一を尻目に千歳は腰を下ろす。

 

「清一、あの人と一緒に戦ってくれてありがとう。母さん嬉しかった」

「色々あって、何だかオヤジと一緒に戦うことになってたんだよ」

「あの外国の人形の娘でしょ」

 千歳はくすくすと笑い言葉を紡ぐ。

 

「あ、あ、あ」

 焦る清一に微笑み、清一を見つめる。

(吸い込まれる目、これがお袋の目……)

 

「人間じゃない者との恋はとても大変なの。普通の人からは認知(にんち)されないし、戸籍(こせき)もないしね」

「……お袋」

「でもね、清一、自分の信じる道を進みなさい。母さんはいつも清一の味方だから……」

「お袋!」

 

 清一は力強く身体を起こした。

 

 布団が体からずり落ちる。

 外は暗く月明りが差し込み、常夜灯のオレンジの淡い光とともに現在の時刻を清一に知らせてくれていた。

 

「ゆ、め?」

 清一が頬に手をやると、液体がその手を濡らした。

 

「どうしたの? 清一」

 寝ぼけ眼のジュヌが清一を見る。

「怖い夢でもみたのかい?」

 

「いや、お袋の夢を見たんだ」

「ふふ、清一は子供だなぁ~」

 そう言いながらもジュヌは羨ましそうな視線を向けた。

「ボクにはちゃんとした両親がいないから羨ましいかな」

 

 清一は千歳の言葉を思い出し、かみしめていた。

「ジュヌ!」

「うん?」

「好きだ!」

「知ってる」

 

「え、ジュヌ!?」

 清一は狼狽え挙動不審になった。

「あのね、以前から言おうと思って言えなかったことなんだけど……具現化する前――フィギュアの状態でも動けないだけで固定された視線内は見えるし声は聞こえるんだ……」

 そう言って、視線をそらし顔を赤らめながら鼻を掻いた。

「えっ、ええええええ!!」

 

「でも、ありがとう。正面切って言葉で伝えられたのは初めてだから」

「お、おう」

 

 ジュヌは目を閉じて上を向き唇を尖らせる。

「ん」

 

「ああ、わかったよ」

 

 窓から覗きこむ月の女神に見せつけるように二人は唇を合わせた。

 

 女神は空に浮くカーテンをゆっくりと引いて、二人の世界を邪魔せず見守り始めた。

 

「ジュヌ、これからも一緒に」

「うん、こちらこそ」

 

 二人が再び唇を合わせる頃、中条神社から一筋の小さな光が天に向かってゆっくりと昇って行った。




 最後まで、私の作品にお付き合いいただきありがとうございました。
 この作品は、アニメーションの仕事を辞め、色々と投稿していた時に思いついた作品でありまして、没にして書かなかったものを蘇らせて書き始めた次第でございます。
 登場人物は当時の記憶でうっすらと覚えている物は流用し、いないものは新たに考えて書き始めたものの、何と言いますか中途半端になってしまいましたことは、お読みいただいた方には申し訳なく思っております。
 本来はもう少しばかり続けようとも考えたのですが、新たに仕事につきましたので(失業保険が切れました)※26.3.24時点 仕事のペースを掴むまで一旦手じまいにしようと思いました。
 色々用意した伏線やアイデアを放置したりするのは清一たちに対し心苦しいのですが、エタる可能性を考えるとけじめをつけた方がいいと考えまして。
 ペースは落ちてしまいますが、当時考えたアイデアや今思いついたネタがありますので、まだ続けようと考えております。
 また機会があれば会いましょう。
 本当に拙い作品を読んでいただきありがとうございました。
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