次に向かうは、フローリッシュアンドブロッツ書店。
ここではロックハートがサイン会を行い、ハリー達ホグワーツ生が教科書を買いに行く。
私は別に買う必要は無いんだけど、せっかくなので何か1冊ぐらいは買ってみたい。買わなくても見るだけで楽しいだろうし。
入り口でサイン会をしているロックハートに黄色い歓声を上げる魔女達をスルーして、店内へ向かう。ロックハートに興味は無いのでスルー。
そういえば、闇の魔術に対する防衛術はロックハートが教えるってこと??えー。せっかくのホグワーツなのに?ルーピン先生が良かったなあ......。今からどうにか出来ないかな?
店内に入るって進んでいくと、ルシウスとアーサーがにらみ合っていた。
あー。そういえばこれもあったね。しかも重要ポイントと言うか伏線と言うかなところだよね。このシーン。
「あれだけ残業代を貰って、お役人は忙しいようですな。それにマグルとつきあっているようでは......」
とルシウスがウィーズリー家と共に教科書を買いに来たハーマイオニーを見た。
ハーマイオニーはそこら辺のマグルとは比べ物にならないぐらい凄い魔女なんだからね!!
アーサーがルシウスに襲い掛かる。......魔法を使えばいいのに。なんでだろ?
「「やっつけろパパ!!」」
というフレッドとジョージの歓声と、
「アーサー!!」
と止めようとするモリーさんの悲鳴が店内に響く。
ルシウスさんと呼ぶ気にはならないし、アーサーさんと呼ぶ気にもならないけど、モリーさんはモリーさんな感じがする。なんでかな?でもまあ、この世界では年上だし、全員さん付けしよう。
というか、大の大人が喧嘩するんじゃないよ。そしてフレッドとジョージは応援してる場合じゃないから!ルシウスさんもアーサーさんも喧嘩っ早いなあ。
2人は取っ組み合いになり、終わりそうにない。そして店内はどんどん荒れていく。本棚から本が落ちる。そしてまた落ちる。
はあ、止めに入るか。止めに入んないとますます被害が拡大しそうだし、仕方ないよね?ここで私が話しかけるのは仕方のないこと!!
私は声を張り上げた。
「すみませんが。私、そこの本が欲しいんですけども、通ってもよろしくて?」
ルシウスさんとアーサーさんが驚いたように私を見た。
なんで声をかけられて驚くのかな?周りを見てよ!!ああ、もう。
2人の周りにいる人たちの中には、さっき会えなかったドラコとハリーもいた。
ハリーの額には稲妻型の傷。リリー譲りの緑色の瞳。綺麗な目だなあ......。眼鏡越しに緑色の目が揺れる。目の前で大人が喧嘩し始めて、驚いてるのかな?
ドラコはじっと私を見つめている。ホグワーツで見た事のない顔だから気になっているのかな?確かに、私はホグワーツ生じゃないもんね。
「あ、ああ。すまなかった。すぐに片付けるよ......」
と我に返ったようにアーサーさんが言い、床に散らばった本を杖を振って本棚へと仕舞いなおす。おお。一瞬で片付いていく。私も使ってみたいなあ。
ルシウスさんは床に落ちた本を1冊だけ拾い、
「ほら、チビ、君の本だ。君の父親にしてみればこれが精一杯なんだろう。孫の代まで大事に使うんだな」
とジニーに渡した。
渡したというか、ジニーの大鍋に放り込んだ。
教科書の下に、もう一冊本がある。これは私が本を注意してみていたから気づけた。隠すのが上手なことで。
黒くて教科書より一回り小さいあれが、帝王の日記帳か。帝王の日記帳が今年のホグワーツで最大の厄災だ。全部これきっかけで事件が起きるもんね。
帝王の日記帳ってことは、トムは当時日記をつけていたのかな?うーん。日課的なものだったのだろうか。あんまり印象に合わないけど。
今、私が日記を奪えば、ホグワーツで被害が出ることは無い。だけど......。
でも、それは歴史が変わりすぎだ。その結果どうなるのか、私では責任を負いきれないかもしれない。悩ましいが、日記帳をスルーする。本当に悔しい!!
「君、見苦しいところを見せてすまなかった」
ルシウスさんとドラコが店を後にした後、アーサーさんが私に言った。
「私が止めに入らないといつまでもしていそうだったので。ルシウスさんと仲が悪いのは知っていますが、喧嘩するなら家とかでやってくださいね」
とだけ言って、私は店の奥に向かった。
家でも喧嘩してほしくはないし、家に招くことなんてないだろうけど!!招くっていうか家宅捜査とかならしそう。取り敢えず無関係の人を巻き込まないで。
しばらく本を眺めていると、隣にハーマイオニーがいた。
隣にハーマイオニー!?私のこれまでの人生ではありえなかった状況だ。
ハーマイオニーは秘密の部屋編で、石化する。その前は猫になる。
私がハーマイオニーにちょっとぐらいアドバイスをしても、問題ないよね?
ちょーっとホグワーツでの事件が早めに解決に向かうだけだもんね!!
「ミス・グレンジャー」
とハーマイオニーに声をかけた。初対面で名前呼びはさすがに怪しまれると思ってやめておいた。ハーマイオニーって呼べたらいいんだけど。
「あなたはさっきの!」
とハーマイオニーが私に気づく。
「ええ。私、魔女のメイベル・ウィステリアって言うの。よろしくね。ねえ、バジリスクって知っている?」
「バジリスク?初めて聞きます」
とハーマイオニーは怪訝そうな顔をした。ハーマイオニーでも知らないのか。知っていたらミセス・ノリスが石化した時にもう気づいていただろうから、予想外ではないけど。
魔法生物についてはあんまり強くないのかな?それにバジリスクはマイナーなのかも?
「調べてみて?きっと、勉強好きなあなたにとって価値のある情報が得られるから」
「あ、ありがとうございます。あの、ウィステリアさんはホグワーツ生じゃないですよね?」
気づかれてるよねー。
「ええ。別の魔法学校に通っているの。それじゃあね」
とハーマイオニーに手を振って別れる。
これくらいなら大丈夫かな?
きっとこれでハーマイオニーは原作より少し早く騒動の黒幕がバジリスクであることに気づくだろう。気づくよね?多分。
けれど、だからといって騒動を止められはしない。真の黒幕は日記帳だから。
うーん。私なりに結構妥協したんだけど。本当は日記帳の真実を言ってしまいたいぐらいだったもの。流石に駄目だよね。
本棚から気になった本を一冊手に取った。
『ホグワーツの歴史』。ハーマイオニーが読んでいて当然だと言っていたやつだ。結構分厚い。せっかくホグワーツがあるのなら、知っておきたいので買う。
「3ガリオン2クヌートです」
あ、そうだった。お金が違うんだった!
「すみません、私、ルータス銀貨しか持っていなくて......。換金して来ますね」
「分かりました。ではこちらの本はこちらで取り置きしておきますね」
「ありがとうございます!!」
まさかグリンゴッツに入ることになるとは......。
ヴェスパーティナでは、アセンサス金貨、ルータス銀貨、ディオーサム銅貨が使われている。1アセンサス10ルータス、1ルータス29ディオーサム。
1ガリオン17シックル、1シックル29クヌートがこっちの魔法界の単位。
もっと切り良くすればいいのに。
グリンゴッツの中には大勢の魔法使い・魔女がいた。
換金カウンターとかいてあるところに向かう。
「すみません。換金をお願いしたいんですが」
カウンターにいるゴブリンに声をかけると、
「ここに」
とゴブリンはカウンターを指した。
「はい」
取り敢えず持っているお金を全部出してみる。お金の価値が一緒か分からないからね。
「......何を買うつもりで?」
「あ、足りませんでしたか?」
「逆です。大金過ぎです」
「換金レート??を教えてください」
「えー、1アセンサスが10ガリオン、1ルータスが1ガリオン、1ディオーサムが17クヌートになります」
わあ!!思ったよりヴェスパーティナの方が高いんだね。
えっと、今必要なのは3ガリオン2クヌートだから......。
「じゃあ4ガリオン分換金してください」
「かしこまりました」
換金してもらったお金を持って書店へ向かう。
「お待たせしました!これでお願いします」
「4ガリオンですね。15シックルです」
お釣りを受け取って、本も受け取る。
重いけど、魔法具で家まで帰れるから、問題は無し!!
よし、やることは全部済ませたし、帰ろっと!
私は今日、書店でメイベル・ウィステリアという少女に出会った。
見覚えのない、初めて会った人だった。
私より少し年上に見えた彼女は、ホグワーツでは無い別の魔法学校に通っていると言った。ホグワーツの他に魔法学校があるなんて驚きだわ。
そして私に、バジリスクを調べてみなさいと言った。バジリスク......。聞いた事が無いわ。
私は彼女言われた通りにバジリスクを調べた。そもそもバジリスクが何か分からなかったので、片っ端から本の中で探してみることにした。
そして魔法生物についての本の中で、バジリスクの記述を見つけた。
バジリスクは魔法生物で、鶏の卵をヒキガエルの下で孵化させることで誕生する。毒を含んだ牙を持っていて、その眼からの光線に捕われた者は即死するそう。蜘蛛が逃げ出すのはバジリスクが来る前触れで、それは蜘蛛がバジリスクの宿命の天敵だから。バジリスクにとって致命的なのは雄鶏が時をつくる声で、唯一それからは逃げ出すそう。
もっと調べてみると、バジリスクは巨大な蛇のような見た目をしていて、目を見ると即死する。しかし、鏡で反射された目を見た場合は石化するそう。
“雄鶏が時をつくる声”というのは、鶏が鳴く声ってこと?
鶏が鳴くのは朝......。朝が来るのを恐れているということかしら?流石に推理が飛躍し過ぎかしらね。
あの少女はなぜ私にこれを調べさせたのだろう。バジリスクなんていう、身近にいないような魔法生物を。
いつか、私の調べたことが役立つのだろうか。
ハーマイオニー・グレンジャーはまだ、秘密の部屋が開かれることを知らない。
書店であったあの子は一体誰なんだろう。父上も知らないそうだ。だが、父上の喧嘩を止めに入るとは中々やるな。
美しい銀髪に藤色の瞳。ホグワーツで見た事のない顔だった。だが、今年入学する下級生ではないだろう。少なくとも僕より年上に見えた。しかし、成人してはいないだろう。
もしホグワーツに転校してくるのなら、ぜひともスリザリンに迎え入れたいものだ。あの気品ある様子は純血だろう。あれほどの気品はグリフィンドールには無い。スリザリンにふさわしい。ポッター達の方に、行かせたくはない。
ドラコ・マルフォイはまだ、屋敷しもべのドビーが動き始めていることも、ルシウスが日記帳をジニー・ウィーズリーに渡したことも知らない。
ハーマイオニーから、本屋で合った少女がホグワーツとは違う魔法学校に通う子であると聞いた。僕は話さなかったけれど、いい人そうに見えた。
そしてその人はドラコの父親とアーサーさんの喧嘩を止めに入った。僕は2人に圧倒されていたのに、凄いな。
しかも、アーサーさんに話を聞いたら、今日初めて会ったんだそう。初対面であんな2人の喧嘩を止めに入れるなんて憧れる。
そして、本屋で会う前に会った時には、僕がノクターン横丁にいると教えてくれたらしい。でも、僕はあの人に会っていない。どこかで僕と会ったから場所が分かったはずなのに、不思議だ。
「どうしたんだいハリー」
隣のベッドからロンが僕に聞く。
「ううん。何でもないよ」
と首を振る。
「明日から新学期だな!」
待ち焦がれたホグワーツ。やっと僕の家に帰れるんだ。
でも、1つ心配がある。
「うん。......ドビーがまた邪魔してこなければいいけど」
ハリー・ポッターはまたしてもドビーによって妨害され、空飛ぶ車でホグワーツへ向かうことになることを知らない。
「今日は幸せだったな~!!」
自室でベットに横になり、今日の事を振り返る。
ハリーにロンにハーマイオニーにドラコにも会えた!主要メンバー勢ぞろいじゃないの!!
ここまで来たらホグワーツに通わせてほしかった。
でも、バジリスクと戦うのは、ちょっと遠慮しておこうかな。石になりたくないし、死にたくないし。
それに、私はこっちの学校で楽しくやってるから、転校したくないし!
メイベル・ウィステリアはこれからホグワーツで起こることを知っている。
けれど、そのことを誰にも話しはしない。
ハリー達にとって昨年から引き続いて、波乱のホグワーツが始まる。
そして秘密の部屋は、まだ閉ざされている。開かれる日は刻一刻と近づいているのだ。
多視点で書いてみました
テンションが高いので、心の声が長い
マグル
魔法が使えない人のこと。
ロックハート
今年度のホグワーツで闇の魔術に対する防衛術の教師を担当。有名な小説家。自伝をいくつも出版しており、その自伝全巻が、今年の教科書に指定されている。
フレッドとジョージ
ロンの兄。双子。悪戯好き。4年生になる。
モリー
ウィーズリー家の母親。
帝王の日記帳
帝王とは誰なのか、日記帳がどのように厄災になるのかは『ハリーポッターと秘密の部屋』にて知ることが出来ます。
トム
誰でしょうね?
ハーマイオニー
石化したり猫になったりするらしい。何があったらそんなに姿が変わるのだろうか。
ミセス・ノリス
誰?
ホグワーツの歴史
ホグワーツについて色々書いてある本。ハーマイオニーは『賢者の石』にて、読んでいることは当然、との発言をした。全然当然ではない。
バジリスク
解説はほぼすべて本文でしています。バジリスクが何なんでしょうかね。
屋敷しもべ妖精
名家にいる、使用人のような仕事をこなす妖精というか魔法生物。
ドビー
マルフォイ家の屋敷しもべ妖精。
これまでハリーに妨害をしてきた。ハリー宛ての手紙を奪い取ったり。ハリーはホグワーツに行っては駄目なのだと言った。