藤色の魔女と二つの魔法界   作:六原

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ここからが本編です!
投稿頻度を落とすのは、これから先モチベが下がる場合を見越してです


第1章 セレステ・ネアセリニと禁じられた部屋
1.入学式


「久しぶり、メイベル」

 

アルフェシアに転移魔法で連れられた先の図書館にはセレステが立っていた。

セレステの右手中指には指輪がはめられていた。

これが弟子であると示すものである。

 

「セレステもアルフェシア様に教えてもらうの?」

 

「ええ。私、魔法が使えない家系に生まれたから」

 

それを聞いてメイベルは驚いた。アルフェシアの弟子になるのだから、由緒ある家の出身なのかと思っていた。

 

「私も!!私も、7歳まで魔法が無いところで生きていたから」

 

嘘ではない。転生するまでは魔法と言うものはフィクションの中だけのものであった。

 

「本当?似たような人に会えて嬉しいわ」

 

「えっと、まず初回は、魔法学校ではどんなことを教わるかについて話すわね」

 

と言ってアルフェシアが2人に椅子に座るように促す。

 

「魔法具について、魔法薬について、呪文について、魔法史についての4つを主に学ぶことになるわ」

 

「質問いいですか?」

 

と手をあげたメイベルを、

 

「どうぞ」

 

とアルフェシアが指した。

 

「『闇の魔術に対する防衛術』は無いんですか?」

 

「闇の魔術ってものが何かは分からないけど、防衛術は呪文についての授業で触れることがあるかもね」

 

魔法薬学と薬草学の代わりに魔法薬についての授業があり、魔法史はそのまま魔法史についての授業で代用されているのだろう、とメイベルは考えた。

 

「大きく分けて4つだけれど、1つの分野で様々なことをやるから、想像しているよりも授業数は多いと思うわ」

 

「それって、試験とかもありますか?」

 

とセレステが聞く。

 

O.W.L.試験*1とN.E.W.T.試験*2ね......とメイベルは思った。

 

「あるわよ。年度末にあって、成績優秀者は表彰されるわ」

 

「景品は無いんですか?」

 

「何かしらはあると思うわよ」

 

 

「じゃあ早速やっていきましょうか。魔法史について教えることは無いから、魔法薬からやりましょうか」

 

と言ってアルフェシアが本を持ってきた。

 

「今日は取り敢えず話すだけで。『眠り薬』について、2人は知っている?」

 

「はい、知っています。飲んだ人がぐっすり眠る薬です」

 

とセレステが答えた。

 

「じゃあ材料は?」

 

この質問にはメイベルが答えた。

 

「水にレニール草を漬けて、1時間ぐらい放置しておけば完成です」

 

「素晴らしい、フォーレに5点と言ったところかな?」

 

アルフェシアが拍手を送った。

 

「フォーレって何ですか?」

 

「フォーレって言うのはフォーレットのことよ」

 

2人は更によく分からなくて困った。

 

「知ってる?」

 

とメイベルがセレステを見ると、いいえ、知らないわ。と言いたげにセレステは首を横に振った。

 

「えっと、フォーレットって何ですか?人名ですか?」

 

メイベルに聞かれ、アルフェシアは額に手を当てた。

 

「授業より先にそっちを教えなきゃだったか。ゲルミナレス、コルレウスヴェーテ、フォーレット、ニクスアンジェンテって言うのが魔法学校の寮の名前なの」

 

「4つの寮に生徒は分かれるってことですね」

 

「そういう事。因みにゲルミナ、ヴェーテ、フォーレ、ニクスって略されて言われるわ」

 

コルレウスヴェーテがコルレウスとならないのは、ゲルミナとルの位置がかぶって聞き取りにくいからだそう。

別にそんなことは無い、と当然ながら皆思ったのだが、そのうち浸透していって、ほとんどの人がヴェーテと呼んでいる。

 

「その4つには何か意味があるんですか?」

 

とセレステが聞く。

 

「創立者4人の名字とか?」

 

「いいえ。寮名は順番に、植物が芽吹く頃、木々が緑色になる頃、林が赤くなる頃、銀色の雪が降る頃、って言う意味になっているわ。この言葉は季節をあらわすときにも使われるのだけど、2人とも、聞いたことなかった?」

 

「初めて聞きました」

 

メイベルはセレステの言葉に頷いて、

 

「つまり、春夏秋冬ってことですね」

 

と言った。

 

「しゅんかしゅうとう、って言うのは何?」

 

アルフェシアが聞く。

 

「えーっと、私の生まれた場所での表現の仕方です」

 

この世界にそろそろ慣れていかないとだな、とメイベルは思った。

流石に言いすぎると出身地が怪しまれてしまう。

 

「一応、4寮それぞれに色が割り振られていて、」

 

「赤色、青色、黄色、緑色の4色だったりしません?」

 

「惜しいわね。順番に黄色、朱色、緑色、水色よ」

 

ほとんどホグワーツ、とメイベルは小さく呟いた。

 

「あと一応属性も割り振られてて、順番に土、火、風、水ってなっているわ。あとゲルミナとニクスは光、ヴェーテとフォーレは月もあるわ。割り振られた基本属性の中で、自分が持っていない属性の所には絶対に選ばれないの」

 

「つまり私はどこでも行けて、セレステがヴェーテになることは無い、ということですね」

 

全属性のメイベルは4寮すべてに可能性があり、火属性は持っていないセレステはヴェーテ以外の3寮が候補となる。

 

「それと、寮ごとに授業内の加点を競い合ったり、成績を競い合ったりするわ」

 

「それじゃあ私、セレステと同じ寮になりたいです!!」

 

とメイベルが勢いよく言う。

 

「私に言われてもどうすることもできないわ」

 

「先生方が選ぶわけじゃないんですか?」

 

とセレステが聞く。

 

「違うわ。魔法具を使って選ぶの。というか、先生達で選ぶとしても、私は裏で手を引いたりとかの不正行為はしないからね」

 

「むう......」

 

メイベルが口をとがらせる。セレステは心配そうな顔をしている。

そんな2人の様子を見てアルフェシアは笑った。

 

「そんなに心配しなくても大丈夫よ。結構交友関係を配慮してくれる魔法具だから」

 

 

 

「って言ってたけど、本当に大丈夫かなぁ??」

 

魔法学校へ向かう道を歩きながら、2人で話す。

転移魔法で行けるぎりぎりのところまでアルフェシアに連れてきてもらい、そこからは歩きになった。

防犯上の理由とかで少し離れたところまでしか転移ができないようになっているのだ。そのあたりは姿あらわしができないホグワーツ同様厳重な防犯体制である。。

 

「別の寮になっても、私のところに来てね?知り合いはメイベルしかいないから」

 

セリニスからやってくる魔法使い・魔女は他にも大勢いるのだが、そのほとんどが貴族出身であるので、2人との交流の場がないのだ。また、アルフェシアの弟子と全属性持ちということで敬遠され気味でもあるのだ。

 

「それは勿論!!でも、いつだって最高の形でありたいでしょう?」

 

「同じ寮になるのが一番いい答えなのは間違いないわね」

 

「ねえ、寮ってどんな感じで選ばれるのかしら??」

 

「魔法具で選ばれるって言ってたわね」

 

「そうじゃなくって、何を基準にして選ばれるのかなって思ったの。私はどの寮にも適性がある訳だから、そういう時はどうやって選ぶんだろうなって思って」

 

「確かに。寮同士で競い合うわけだから魔力量で決まる訳ではないわよね?」

 

「やっぱり性格なのかな?」

 

「性格?」

 

セレステは不思議そうに首を傾げた。

 

「勇敢な人はここ、知識を追い求める人はここ、みたいな感じでさ」

 

勇猛果敢な~正しく忠実~機知と学びの友人~どんな手段を使っても~のメロディー*3がメイベルの頭の中で流れた。

 

「なるほど。ありそうだけど、そんな正確に人の性格を判断できるのかしら?」

 

「魔法具なんだから出来るでしょ!!」

 

メイベルが自信ありげに言う。

 

「あんまり理由になってないけど」

 

「魔法具なんだからこれくらいできるでしょ。これくらい出来なきゃ、寮分けなんて出来ないわ!」

 

メイベルが断言したところで、道が途切れた。

目の前には湖が広がっている。

 

「あら、歩いていれば学校に着くと思ったんだけれど」

 

「ここからはあれに乗っていくみたい」

 

メイベルが指をさした先には馬車があった。

それを牽くのは馬ではなく、ドラゴンだった。

 

「まあ、ドラゴン!!飛んで行くのね!」

 

とメイベルは歓声を上げて馬車の方へ走っていく。

 

「ほら、早くいきましょうよ!!」

 

メイベルが乗り込んだ馬車を牽くのは白いドラゴンだった。

 

「ちょっと、そんなに急がなくても大丈夫だって......」

 

セレステは慌ててメイベルの元へ駆け出す。

と、1人の少女がセレステに声をかけた。

 

「すみません」

 

「どうかしましたか?」

 

セレステが振り向くと、薄い青緑色の髪の少女が後ろに立っていた。

 

「ご迷惑じゃなければ、一緒に乗せてもらえませんか」

 

セレステはすぐに「どうぞ」と言おうとしたが、

 

「同乗者に聞いてみますね」

 

と言って、メイベルの乗っている馬車へ声をかけた。

 

「メイベル、一緒に乗りたいって声をかけられたのだけど、いいわよね?」

 

「勿論どうぞ~!!」

 

メイベルは相手が誰かを確かめることなく、馬車の中から返事をした。

 

「ありがとうございます」

 

と少女が頭を下げる。

 

 

3人が乗り込んで扉を閉めると、馬車が動き出した。

 

「乗せていただきありがとうございます」

 

「いえいえ!!当然の事ですから!」

 

とメイベルが言うと、少女は困ったように笑った。

 

「私、色々な方に声をかけたのですけど、皆さん定員だとお答えになられて......」

 

この馬車は4人席である。

メイベルの向かいにセレステが座り、その隣に少女が座っている。

 

「中は見ていませんから、本当かどうかは分かりませんでしたが。嘘だとしても、理由は分かっていますから」

 

「どんな理由か聞いても?」

 

とセレステがおそるおそる聞く。

 

「お2人はご存じないようですが、私、エストレラと言う街の貴族でして。そして、エストレラで領主に次ぐ名家のコンスタンシア家の娘の、アリス・コンスタンシアと言います」

 

「領主に次ぐ......!?」

 

とメイベルが驚く。向かいでセレステも驚いたようにアリスを見た。

 

「ですから、どうしても皆さんに距離を置かれてしまって......。エストレラ家は代々、この青色の瞳を持っていますから、一目瞭然ですし」

 

少女は鮮やかな青色の瞳を持っていた。確かに、珍しい色である。

 

「私達2人が知らないかも知れない、とおっしゃったのはどうしてですか?」

 

「どうして乗せてもらえなかったかの理由を、私に尋ねたからよ」

 

知っているならば、コンスタンシア家のお嬢様だからか、となるはずだからだ。

声をかけられたセレステも誘いを断らず、2人とも理由について心当たりの無さそうな様子から、アリスはそう考えたのだ。

 

「私達、貴族の生まれではないので、そういうことには疎くて......」

 

「あら、そうだったんですね」

 

とアリスが驚く。

 

「私達も自己紹介しますね。私はセレステ・ネアセリニです」

 

「私はメイベル・ウィステリアと言います」

 

アリスは驚いたように口元に手を当てた。

アルフェシアがメイベルに付けた名字はウィステリアだった。

瞳の色で決めたセレステと同様に、メイベルの藤色の瞳からとったものだ。

 

「あら!!お2人がそうだったんですね。セレステさんは、指輪があるのでもしかして、とは思っていましたが」

 

「知ってるんですか?」

 

「だって、お2人は有名ですもの。全属性持ちの魔女、と、月の魔女の弟子、でしょう?私の街にも風が流れ着いてきましたから」

 

「アリス……さんは、」

 

「アリスって呼んで。私、距離を置かれがちなことが嫌なのよ。せっかく出会えたのだから、呼び捨てで呼んでくれないかしら?」

 

「じゃあ、アリス。アリスは何属性なの?」

 

とセレステが聞く。

 

「私は水が一番強くて、他に風と光を持っているわ」

 

アリスのローブの内側は水色だ。

 

「光属性持ちなのは珍しいですね」

 

とセレステが言う。

 

「貴方たちみたいに月と光の両方を持っている人の方がレアだけれどね」

 

「じゃあ、自分が選ばれるのはどの寮だと思ってるの?」

 

とメイベルが聞く。

 

「私はニクスかなって思っているわ」

 

「私達はどこだと思う?きっと、私達よりもアリスの方が寮に詳しいだろうから」

 

セレステに聞かれ、アリスは嬉しそうに笑った。

 

「私、こうやって友達と互いの寮を予想するのに憧れてたの。えっと、メイベルがヴェーテで、セレステがニクスかしら?」

 

「どうしてそう思ったのか知りたいわ!!」

 

メイベルがアリスの方へ顔を寄せる。

 

「ヴェーテは明るくて好奇心旺盛な人が多いところ。ニクスは落ち着きがある人が多いし、有名な魔法使いが一番多い寮だから。2人にはそういう印象を持ったわ」

 

なるほど……と2人は思った。

やっぱり性格で寮を決めるみたいだな、とメイベルは思った。

 

「アリスは偉大になりそうだから、ニクスだと思うわ」

 

セレステの言葉にメイベルも同意するように頷いた。

 

「コンスタンシア家は代々ニクスなのよ。まあ、お兄様はフォーレだったのだけれど」

 

「フォーレはどんなところなの?」

 

とメイベルが聞く。

 

「フォーレは知識を求める人が多いから、一番賢い寮じゃないかしら」

 

「それじゃあ、アリスのお兄様は優秀なのね」

 

「そうね。去年魔法学校を卒業したばかりなのに、もう当主としての仕事を任されたりもしているから」

 

去年卒業したということは18歳か19歳と言うことになる。

それは優秀だわ、と2人は驚いた。

 

「あと、授業については何か知ってる?」

 

「お兄様が言うには、魔法史は眠くなるんですって」

 

メイベルは笑って、

 

「座って話を聞くだけの、退屈な授業なのね」

 

と言った。

 

「それと、一番難しいのは魔法具の授業だ、って言ってたわ。集中力と忍耐力が必要だ、って」

 

「私は魔法具の授業が一番興味あるわ。これも魔法具でしょうし。それに呪文よりも素早く発動するから、自分で作れるようになればとても便利じゃない?」

 

セレステが契約の指輪を見ながら言った。

アリスはセレステに同意するように、

 

「そうね。呪文よりも強い力を引き出すことも出来るし」

 

と言った。

 

「魔法具と言えば、寮を決めるのも魔法具なのよね?どんなのか知らない?」

 

「さあ?」

 

とアリスが首を傾げた。

 

「帽子形だったりしないかしら。それで、被った人の頭の中を見るの」

 

「普通に宝石みたいな形じゃない?」

 

「あるいは、杖みたいな形かもしれないわね」

 

と3人で話していると、馬車が動きを止めた。

止まると同時に馬車の扉が開いた。

 

「到着したみたいね」

 

とセレステが言って、3人は馬車を降りる。

すると目の前には大きな鉄製の門があり、その奥には魔法学校が城のように大きく聳え立っていた。

 

「うわあ……。おっきいわね」

 

「そうね。今までに見た事がある建物の中で、一番大きいかも」

 

と、アリスがメイベルに続けて言った。

 

「それじゃあ、早く行きましょう」

 

とセレステが言って、歩き出す。

多くの生徒が校舎に向かって歩いている。その誰もが3人のことを見た。

全属性持ち・月の魔女の弟子・コンスタンシア家のご令嬢、と来れば見ない人などいないだろう。

 

 

校舎に入ると、そのまま大広間に通された。扉から入ってすぐのところで立っているように、と案内される。

上級生達は寮に分かれて座っている。大広間はドーム状になっていて、入り口から真っすぐ進んだ先に校長先生が立っていた。そこは他と比べて一段高くなっていた。校長の左右には教員が座っている。

 

「椅子が無いってことは、立ってやるのね。と言うことは帽子の可能性は低くなっちゃった......」

 

とメイベルが肩を落とす。

因みに鈴禾の組み分け診断の結果は、グリフィンドールであった。守護霊は狼だった。

鈴禾はこれらの結果を誇りに思っていた。なぜなら寮も守護霊も偉大な魔法使い(リーマス・ルーピン)と同じであったからだ。

 

 

「でも、校長先生は何も持っていないみたいだけど」

 

魔法具を使ってやるのよね?とセレステが首を傾げた。

 

「きっと後から渡されるのよ。ほら、誰か校長先生のもとに近づいてきたわ」

 

見ると、灰色のローブを着た魔法使いが何やら耳打ちしていた。

 

「では、新入生が揃ったようですので、早速寮を決めましょう」

 

校長先生――ミランダ・スペンシアがそう言うと、スペンシアの手元に羊皮紙が現れた。

 

「アッシュフォード・マリー!!」

 

名前が読み上げられる。

新入生の集団の中から、小柄で、金髪を三つ編みにした少女が出てくる。

 

「こちらへ」

 

とスペンシアに言われ、マリーは前へ向かう。

上級生が座っているテーブルの間を通って前へ向かう。

 

「入口の方を向いて、これを持つように」

 

振り返ったマリーの手のひらの上には宝石のようなものがのせられていた。

 

「やっぱり魔法具は宝石型だったのね」

 

と、宝石のような形だと予想していたアリスが言った。

 

マリーの緑色の目が不安げに揺れる。

マリーの手のひらに乗せられた魔法具が輝き、そこから半透明で白く輝く猫が現れた。

猫は空中を駆けまわり、そして水色に輝いて消えた。

 

ニクスアンジェンテのテーブルから歓声が上がる。

マリーは嬉しそうにテーブルへ向かった。

 

 

「あの透明なのは何だったの?」

 

とセレステがアリスに聞く。

 

「あれは守護霊みたいね。そして、守護霊が最後に輝いた色と対応する寮が選ばれた寮になるみたい」

 

「あと、一番多く持っている属性と寮は関係ないみたいね」

 

とセレステが言った。

メイベルはセレステが何故そう思ったのか分からなかったので、

 

「どうして?」

 

と聞いた。

 

「だってさっきの彼女、ローブの内側の色は黄緑色だったもの。黄緑ってことは風と土が強いんでしょうから」

 

ニクスアンジェンテに対応するのは水属性である。

つまり対応する属性はどのくらい持っているかは重要ではなくて、持っているか持っていないかが重要なのである。そして、最終的に重要な判断基準となるのはその人の内面、性格や考え方なのである。

 

 

そこから数人が呼ばれ、アリスの番がやって来た。

 

「コンスタンシア・アリス!!」

 

「行ってらっしゃい!」

 

とメイベルが言い、2人で手を振る。アリスは微笑んでから前へ向かった。

 

 

アリスが魔法具を持つと、そこからはイルカが現れた。

水中を泳ぐかのように優雅に、そして悠然と大広間を一周した後、水色に輝いた。

 

「本人の予想通りだったね」

 

「そうね。ところで、結果が出るまでの時間が長かった気がしたんだけど」

 

他の人は守護霊が出てから少し動いた後に寮が決まっていたが、アリスの時には大広間を一周してから結果が出た。

 

「私も思った!どうしてかしら?」

 

「もしかしたら、魔力量の違い?」

 

「それか、守護霊が何処に行こうか迷ってるのかも」

 

と、メイベルが冗談っぽく言った。

 

「寮って結局何が決めてるのかしら?きっと魔法具よね?」

 

「だとしたら守護霊は何のために?って話になるけどね」

 

「そうなのよね」

 

「守護霊が分かるのってワクワクするし、いいんじゃない?」

 

「守護霊も何が基準なのかしら?」

 

「さあね。でも、何が守護霊であっても嬉しいわ」

 

一応、守護霊は狼だったのだけれど、さすがに恋田鈴禾ではなくメイベル・ウィステリアだから変わるのかしら?

と考えているメイベルの隣で、セレステはつばを飲み込んだ。

ConstantiaからNeaseliniまではかなりの間がある。その間が、メイベルを緊張させた。

 

人によってはすぐに寮が出たりもしている。

 

「私の後に、メイベルがすぐに違う寮になるかもしれないのよね......」

 

とセレステは呟いた。

結果がどの程度の時間で現れるかは、人による。

勿論、長時間結果を待たされて、じらされるのも嫌ではあるけれど。

 

「セレステ、何か言った?」

 

「いいえ。何でもないわ」

 

と緊張を隠すようにセレステは笑った。

表面だけでなく内側まで、笑っていられればいいのにな。

*1
ホグワーツで5年生が受験するテストのこと。これに不合格であった教科は、6年時に授業が受けられなくなる。

*2
めちゃくちゃ疲れる魔法テスト。7年生が受験する。テストの成績は就職に大きく反映される。

*3
組み分け帽子の歌

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