やっとの事で家に着いた俺は家に誰もいないことを確認し自分の部屋へと戻った。
慣れ親しんだ自室を、暫しボーッと眺め一息ついたことで頭がクリアになり自分が先ほど置かれていた状態について深く考えることが出来た。
考えれば考えるほどおかしかった。
昨日の記憶がないうえに目が覚めたら白川郷の宿だ正直かなり笑えない。
「はぁー」
俺は深くため息を吐き自分のベッドに倒れこむ。
よほど今朝の状況が堪えたのかだんだんと眠気が襲ってきた。
だが、すぐにあることを思い出した俺はポストを急いで確認し地元の新聞を取り出して順番にページをめくってゆく。
【19歳女性 事故死】
太ゴシックで不吉に飾られた見出しにはそう書かれていた。
これはやっぱ昨日、いや一昨日の事か
「リカさん だよな」
やはり、助からなかったのか....
ーーーお前の寿命の半分でーーー
そういえば一昨日の不気味な人影はなんだったんだろうか。
俺は不気味な人影にやってみろと言い放ったが、やはり普通に考えてそんなことは出来るわけがない。
現に地元の記事には香山 リカという女性の死を無機質に告げている。
あれは、単に現実を受けとめきれなかった俺が自身に見せた幻...。
目の前でリカさんの死を目撃した俺はショックで土曜日の記憶をなくしてしまった。
実際理由はこれぐらいしか考えられ無い俺は再度、深いため息を吐いたあと自分の考えたことに気落ちした。
しばらくして日が傾いてきた頃、下の玄関で扉が開く音が聞こえた。
「ただいまー!」
「あぁ、おかえり」
俺は下に降り、気だるく返事をした。
「蓮兄どこいってたの⁉︎ なんで連絡の一つもしてくれないのよ私とお母さんがどれだけ心配したと思ってんの!」
そう突然怒鳴ってきたきたのは二つ下の妹の藤堂 由美香だった。
「ご、ごめん 」
妹の剣幕に押され俺はそう返す事しかできなかった、我ながら情けない自分に泣けてくる。
「はぁ.....まったく、本当に反省してんの?お父さんなんて凄く怒ってたよ」
「まじか....」
案の定、夜帰って来た両親により俺はこってりと怒られたのだった...
深夜になり寝る支度を終えた俺はベッドでよこになる。
「大丈夫、だよな」
もしかしたらここで眠りについてしまったらまた記憶が消えてしまうのではないかと不安に掻き立てられ、自分に言い聞かせるように呟く。
そして、俺は意識を浅い闇に溶かした。
明日からまたいつもの日常が帰ってくる
大丈夫。きっと、大丈夫。
翌朝、普通に自分の部屋で起床しケータイで日付を確認する。
6月23日火曜日 午前7時23分
そう表示されていた...
「全然大丈夫じゃねええぇぇぇぇっっ!!」
ま、まさか俺のケータイが壊れてるだけだよな?
そうだ俺のケータイが壊れてるんだ!それしか考えられない、だって今日はちゃんと自分の部屋で目が覚めたし白川郷で別に目が覚めたわけじゃないんだ。
俺は急いでリビングに降りて今日の日付を確認する。
「か、母さん‼︎」
「何よ朝っぱら...うるさいわねぇ どうしたの?そんなに慌てて?」
「今日の日付を教えてくれ!」
「23日だけど、それがどうかしたの?」
「な、なんでもない ありがとう」
俺は震えそうな声を堪えそう言った
「なによ変な子ねぇ」
本当に昨日といい...
母がなにか呟いたように聞こえたが今の俺にはそれどころではなかった...