機動戦士ガンダム外伝 斬凶戦記   作:野武士山芋侍

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第十四話 勝利がための誓い

 

地球連邦軍某基地、格納庫。

シンイチの愛機のコックピット内でサクラが機動プログラムを弄っており、その傍には乗降用タラップ上に腰を下ろしたシンイチが作業の様子を見守っていた。

「…どぉ?やっぱりプログラム組むの難しい感じ?」

シンイチが問いかける。サクラがコックピット内で立ち、頭だけ出して答えた。

「あっ…大丈夫です、前回導入した『面返し胴』プログラムを流用すれば、動作はほとんど同じですから…」

実際、「面返し胴」と「抜き胴」は動きが似ていた。

抜き胴は返し胴と違い相手の攻撃を受けず、そのまま前に出て手首の返しを利用し斬る技だが、胴狙いの攻撃には変わりない。

「…なんか悪いね。前も大変だったのに、またお願いしちゃって…」

コックピットを覗き込みながら、申し訳なさそうに頭を掻くシンイチ。

「いいんですよ、あたし、皆の…ううん、シンイチさんのためにお役に立てるの嬉しいから…」

タブレットを見ながら、サクラが恥ずかしげもなく呟いた。

「……あぁ、そりゃ、うん。……でも、本当にありがとうね。お礼にまた、ご飯でも奢るよ。」

申し訳なさを通り越して、少し赤面しながら答える。再びタラップに腰を下ろした。

…少しのち。サクラがコックピットから身を乗り出し、今度は何やら照れくさそうな様子で半分だけ顔を覗かせる。

「……シンイチ、さん?作業……できました。多分いけます。」

「あっ、マジでか?!そいじゃ次は実際に動かすから…………あれ?」

彼女はコックピットから降りてこようとしない。それどころか、顔を赤らめたままシンイチを手招きしている。

その様子に、何かを察したシンイチ。

「…………狭い、よ?めっちゃ。」

「狭いからいいんです。」

渋々かつ照れながらコックピットに入る。シートに座ったシンイチの膝の上に、サクラが腰掛ける形になった。

シンイチの胸に身を預けたと思うと、そのまま抱きつくサクラ。ただでさえ気が気でないシンイチが耳の先まで真っ赤になった。

「……ちょッッッ?!?!サクラさぁん?!?!近い、近いよッッッ!!!」

彼女の頭髪からは、芳しいシャンプーの香り。サクラはそのまま耳元に口を近づけ、囁く。

「シンイチさん?」

「なッッッ…何さ?!」

頑張って平静を装おうとするが、耳を擽る吐息のせいで全てがうまくいかない。

「あたし……ご飯奢ってもらうより、してほしい事があるの。」

密着させた身体同士、心臓の鼓動が早まる。

(…え?!まさか…ちょ、ちょ、ちょ、嬉しいけど!!!!嬉しいけど段階を!!!!段階を踏んでくれ、頼む!!!!)

心の中で必死に懇願するシンイチ。母親以外の女性とここまで密着したのは人生三度目でまだ耐性がついておらず、またここまで顔を近づけられたのは初めてであった。

「…近いうちに、デート…しません?」

「はいッッッ?!デート…?!でもこの辺は、特に何も…」

近辺で思いつく場所といえば、基地の近くにある湖畔のベンチくらいだった。

「少しだけでいいんです。二人っきりになれるところに…行きたいなぁ、なんて。」

「あッッッ…………あぁ、考えて、おくよ……。」

顔を逸らし、言葉に詰まりながら煮え切らない態度で返すシンイチの頬に手を添えて、グイッと自分の方に向かせる。

「考えておく、じゃなくて。お願いしますね?」

さらに顔を近づけて、やや語気強めに念を押した。口角は上がっているが、目は笑っていない。

「はいッッッ!!……ワカリマシタ。」

「フフッ、ありがとうございます!」

軽やかに、コックピットから出て乗降用タラップに乗るサクラ。

残されたシンイチは、真っ赤になったまま額に手を当て、天を仰ぎひとつ深呼吸。

しかしその胸中にあるのは、困惑でも、絶望でもなかった。

(………こりゃ絶対に、死ねない。もし死んだら………向こうでキョーコにもう一回殺されるかも、な。)

(………それに、今度こそ本当にサクラは、『後を追い』かねない。)

頬を両手で叩き、煩悩を消し飛ばす。きつく目を閉じ、すぐに開く。

「よぉしッッッ!!!」

表情を引き締め、改めて気合を入れ直した………。

 

そして、訓練エリア。

標的が立ち並ぶエリアの隅にシンイチの陸戦型ジムが足音を響かせて進入してきた。

パイロット待機用の開放式テントにはホバートラックが横付けされ、いつものクルーに加えてキム伍長とバレンツィーノ中尉が責任者として立ち会っていた。

「…よし、モリタ曹長いつでもいいぞ、やってみせろ!」

中尉がホバートラックから呼びかける。

《……了解、いきます!!》

ビームサーベルを引き抜き、標的に駆け寄る陸戦型ジム。ある程度距離を詰めたところで一気にスラスターを吹かす。

間合いに入った瞬間、素早く手首を返して標的を一刀両断した。

「……いいぞ、ばっちりど真ん中だ!」

「お見事です、曹長殿!!」

たちまち、中尉とキム伍長が称賛。機体に異常は無し、新しい「必殺技」がシンイチのジムに加えられた。

その様子を見ていたサクラも、満足そうに笑みをこぼす。

《…中尉、ターゲットの指定をお願いします!あと何度か試したいので!》

「…了解した、それでは…」

エリア内の地図を見てシンイチの現在位置を確認、標的の位置を指定する。

「…2時方向の06!」

《…ッッッ!!了解ッッッ!!》

素早く方向転換し、一気に斬り伏せる。

「…次、7時方向、07!」

続けて撃破。破壊した標的と、記憶の中の「例のグフ」の像が重なる。

訓練は順調に進んでいた。

そして、その傍でサブリナがカーマイケル伍長を呼びつける。

「…よっしゃ、カー君!!アタイ達もガトリング砲の練習少しやっとこうか。使い方は一通り教えたけど、実射はまだでしょ?」

「はい、姐さん!…でもこの前の奪還と、一昨日の襲撃の時に少し…」

「あの後見たら2回とも弾がジャムってたのよ!次同じ事を実戦でやられたらたまったもんじゃないわ、練習練習!中尉、いいですね!」

サブリナに連れられ、ホバートラックに向かう二人。その背に、バレンツィーノ中尉が振り返りながら一言。

「…サブリナ嬢、訓練は許可するが安全第一で頼むぞ!」

「はぁーい!なんか壊したらカー君宛に請求書お願いしますね!」

「えッッッ?!俺?!」

軽妙なやり取りに、バレンツィーノ中尉の横に立つキム伍長は苦笑いを見せる。

陸戦型ジムの重々しい足音と振動が響く中、別方向に向けてホバートラックの射撃訓練も始まった。

カーマイケル伍長がガンナー席に着き、セフティを外してグリップを握り、申告。

「射撃準備よし、セフティ解除!」

それを見て、隣に立つサブリナが合図を送る。

「了解!さぁて、それじゃ…左右よし、前方よし、方向よし、跳弾に注意、撃ち方用意………連続2秒、テッ!!」

トリガーを引くとたちまち、唸り声のような破裂音。吐き出される大量の薬莢。

そして、テント下でその音を聞いたサクラが突然ー

 

「……………ヒッ、ゔぅッッッ?!?!?!」

 

またも、フラッシュバック。一気に顔が青ざめ、息が詰まる。

サクラの脳内に「あの日」の景色が一瞬で、鮮明に甦った。

撃たれて力無く崩れ落ちるキョーコ、20㍉砲弾が直撃し血飛沫と消える敵兵、地面に広がる血溜まり。

 

(あの時、もっと早く車内に呼び込んでいれば姉さんは助かったのに…)

 

(トロい、あたし。やっぱりあそこで死ぬべきは、あたし。)

 

(皆に迷惑ばかりかけるあたしは、お荷物。)

 

再び溢れ出すネガティブな感情。ほぼ不意打ち的なものであったため、思考を整理する暇も無かった。

「あっ、あっ、あぁぁぁ、や、やめ、て………」

頭を抱え、涙を流して震え出し、途端にその場に蹲る。

バレンツィーノ中尉が即座に異変に気づいた。

「……?!タチバナ嬢、どうした?!何があった?!………至急至急、各員訓練中止、訓練中止!!急ぎテントに集合!!」

「タチバナ伍長!!」

駆け寄るキム。

蹲って震えていたサクラは、そのまま横向きに倒れて気絶した。

 

…目を開ける。不安そうに覗き込むシンイチと、仲間たちの顔。

「………あ、あれ、ここ………」

「サクラ!!良かった……大丈夫か?!」

サクラが体を起こすとたちまち、テント下に集まった全員が安堵のため息。彼女は3脚並べられた椅子に寝かされ、そのすぐ脇に置かれた椅子にシンイチが立膝で座っていた。

「…タチバナ嬢、大丈夫か?驚いたぞ。一体…どうしたんだ?」

バレンツィーノ中尉が聞く。サクラが目に涙を溜めながら、何か言おうと口を開きかけた瞬間ー

「…ガトリング砲のバカデカい発射音に驚いて、気絶しちゃったみたいです。カー君ったらいきなりバカスカ撃ちまくるんだから。サクラちゃん、耳栓も忘れてたでしょ?危ないわよ、気をつけてね。」

サブリナが一気に捲し立て、シンイチやカーマイケルにウインクして目配せする。その様子から、二人は何かを察した模様。

カーマイケルが少し笑いながら、口を開いた。

「……すっ、すみません自分も、少し興が乗っちまったようで…不覚の至り。へへへ…」

続けて、シンイチも苦笑いしながら話す。

「……あぁ…20ミリ砲の音なんか、近くで聴くとヤバい。鼓膜とか…大丈夫か、な?サクラ…」

目が泳いでいるが、どうにか口裏を合わせた。シンイチに顔を向けられたサクラはぽかんとした表情ながらも、やはりぎこちなく数回頷く。

「あっ、だっ、大丈夫………です。射撃訓練って聞いてなくて、大きな音にびっくりしちゃって。耳栓も、忘れてました。すみません…。」

健気な彼女と仲間たちの様子からバレンツィーノ中尉も色々と察し、再びため息。

そして、顎に手をやり少し考えた後ー

「…サブリナ嬢、安全第一と言っただろう。周りへの周知は必須だぞ。カーマイケル伍長も。」

肩を落とすサブリナとカーマイケル。さらに続ける。

「………まぁ、怪我人がいなくて幸いだ。報告は必要だが……私が簡単に済ませておく。…ただし、罰として二人はプランク3分!」

サブリナの表情がたちまち明るくなった。

「…は〜〜〜い!!さぁやるわよカー君、中尉負荷は有り?無し?」

珍しく中尉が意地悪そうな笑みを浮かべる。

「そうだな………では、私が乗ろうか。」

「やぁだぁ、それは色々と無理!!」

テント内は和やかな笑いに包まれた。

その中でシンイチは、サクラがこっそりと目元から溢れた涙を拭うのを見たのだった………。

 

同じ頃、ジオン公国軍某野戦陣地。

その一角のコンテナが並べられた影で、老齢な整備隊長が部下数名とともに、地面に蹲るブレンドレ少尉を囲んでリンチしていた。

「オラァ!!どうだこのガキャア!!!」

「若造風情が、偉そうに!!」

口々に責め立て、複数人が腹に蹴りを入れる。

「誰の、お陰で!!MSに、乗れてるんだ?!言って、みろォ!!」

背中を蹴りまくる。

蹲ったまま、ハンスは言い返せないでいた。

今まで顎で使われていた整備兵達は、彼がキリレンコ中佐という後ろ盾を失ったのをいいことに個人的な制裁という暴挙に出ていたのだった。

補給も絶え絶えとなってまともな娯楽もなく、不慣れな地球の自然環境にも翻弄され兵達の士気は急落の一途を辿っていた。

そんな中生じた些細ないざこざは、時にこのような制裁を生むことになる。

「…二度とウチの部下にナマ言うんじゃねぇぞ、ケツの青いガキが!!」

一通り殴る蹴るした後、気が済んだのか、整備兵達は捨て台詞と共に立ち去っていった。

彼らの足音が遠ざかると、狭いコンテナの間は静寂で包まれる。

ヨロヨロと立ち上がるハンスは、血の混じった唾を吐き出した。

「………。」

悔しいのか、悲しいのか、腹立たしいのか。どう振る舞えばいいのかわからない。

ただ彼自身、自業自得という事だけは分かる。

敵に勝つためなら何でもやるつもりだった。どこまでも汚れるつもりだった。そのために、色々なものも切り捨ててきた。

人間関係、信頼、人望。

しかし一つだけ、捨てきれなかったものといえばー

「ハンス!!」

心配そうな声。スコーネルト少尉が駆け寄ってきた。

「………やぁ、アナ。どうしたんだい?」

無理に平静を装う。しかし顔には痣、口元には血。軍服は乱れて砂と土にまみれていた。

「……どうしたって…?!そっちこそ、何があったの?!」

軍服の砂と土を叩いて払い、ハンカチを取り出して口元の血を拭う。

「……こんな風に、いつしか…手当をしてくれたね。懐かしい…」

「…今は、どうでもいいじゃない。…何があったかよく分からないけど、整備班の人たちと揉めちゃ駄目よ。皆大変なんだから…」

ハンスは、ふと思い出す。

10年程前、サイド3で過ごした幼少期。いつしか虐められて蹲っていた自分を助けてくれたのは、少し大人びた雰囲気のアナスタシアだった。

(…仲良くしなくちゃ駄目よ、皆大変なんだから…)

苦しいながらも、楽しかった日々。アナスタシアが居てくれたお陰で………。

その記憶が、何故かどうしようもなく愛しくなり、同時に彼女に対する想いが涙とともに溢れてきた。

「………アナ、アナスタシア………!!」

ハンスは彼女を抱きしめる。

ベッドの上でキリレンコ中佐を抱いた時とは全く違う、純粋な愛情。今はただ、彼女が本当に愛しくてたまらない。

「……ハ、ハンス……?!どうしたの?!苦しいよ……」

「……僕にはもう、君しか居ない。君しか………居ないんだ。君が………大好きだ。だから、何処にも行かないでくれ……」

声を震わせながら、想いを吐露する。アナスタシアは驚きながらも彼の背中に手を回した。

「……ハンス……あなたも、辛いのよね。大丈夫よ、分かってるわ。それに………私も、大好き。何処にも行かないわ。」

優しい声。ハンスはいよいよ、子供のように声を上げて泣き出す………。

 

野戦陣地、仮設テント内。

コマツ大尉が大仰な通信機器の側のパイプ椅子にどっかりと座り、方面軍司令部からの連絡を受けていた。

目元には大きな隈ができており、また以前より更にやつれている。

「……では、方面軍の意向は変わらないと。我が隊にはどうあっても『窮状打破、然らずんば友軍撤退の殿となせ』……と。そういう事ですな。」

通信機器からは事務的な、しかしどことなく悪意を感じさせる声で返答が返ってくる。

《その通りだ、大尉。貴官は物分かりが良くて助かる。……思想犯の嫌疑がかけられているのなら、サイド3の家族が惜しいだろう。万一命令に背くような事があれば………分かっているな?》

顔を逸らし、聞こえないように舌打ちをする大尉。地球に降ろされて以来、キシリア機関により半ば軟禁状態の彼の妻と息子の安否はほとんど知らされていない。

《…何か他に、質問か要求は?》

「…………補給か、もしくは部隊員に休息を。」

《不可能だ。創意工夫を凝らし、現有戦力を以て任務に………》

断電。

通話用のマイクを乱暴に叩きつけた。

立ち上がると同時に、パイプ椅子を蹴飛ばす。激しい金属音とともに、砂埃が撒き散らされた。

仮設テントを出ると、外で待機していた中隊長付下士官のフレーゲル曹長が敬礼とともに出迎える。

そして、気まずそうに一言。

「…如何様で、ありましたか。」

「変わらん。窮状打破、できなければ殿。補給も………約束できんとよ。機体の整備状況は?」

整備スペースに向けて歩きながら報告を受ける。

「…機体はいずれも問題無しです、中破したグフの修理と、他の機体の整備もどうにか完了しました。」

曹長のいう「どうにか」は、「修理不能機から部品を剥ぎ取って工面し修理可能機に回す」、所謂「共喰い」と呼ばれるものだった。

「整備隊の旧ザクの再武装は?」

「こちらも問題ありません。3機が戦闘行動可能、投入できます。パイロットも扱いに慣れているので問題無いかと。」

「……貴様には、苦労ばかりかけるな。」

「はっ、恐縮です………しかし…」

フレーゲル曹長が表情を曇らせ、申し訳無さそうに告げる。

「……大尉殿のグフは、フィンガーバルカンの弾薬が尽きました。補充できておりません。また、ブレンドレ少尉の大型ヒートサーベルはジェネレーターの出力不足でエネルギー充填が追いついておらず……」

あまりの窮状に、言葉が途切れてしまった。コマツ大尉が冷静に促す。

「構わん、ありのまま報告しろ。他には?」

「……通常のヒートサーベルも、何本か整備不良で発熱しません。ザクマシンガンも交換用銃身の不足が著しく、その他の弾薬も………備蓄が、心許ないです。」

「………ん、わかった。」

並んで歩きつつ、少し考えて手短に伝える。

「……使えるものから若い連中に回せ。バズーカと弾、シュツルムファウスト(使い捨て式無誘導手持ちロケット弾)は旧ザク隊優先だ。……下がっていいぞ。」

指示を終えると、フレーゲル曹長は再度敬礼して立ち去った。

自身の愛機の面前に改めて立つコマツ大尉。修理と整備が終わり、見た目には完璧な状態。

上層部からの理不尽な命令、部隊の現状、低下する士気、後退する戦線。

度重なる理不尽に、コマツ大尉はもはや疲弊しきっていた。

グフの爪先に手を添えながら、彼の脳裏に一瞬「ある考え」が浮かぶ。

しかしー

(…………『それ』だけは……避けねばならん、何としても。……しかし、いよいよもって叶わないのならば……………)

きつく目を閉じて、小さく首を振る。

心の中で自分を戒め、「ある考え」をかろうじて追い払うのだった…………。

 

そして翌日、地球連邦軍某基地。

夜が明けてまもない時間帯、基地内にサイレンが鳴り響いた。

《………スクランブル、スクランブル。直近補給基地より応援要請。一個中隊規模のジオン公国軍MS及び装甲車両部隊が出現、苦戦中。41中隊は直ちに搭乗し出撃せよ。ガンペリー強襲小隊は攻撃即時待機。繰り返す…》

待機室から途端に駆け出す面々。パイロットスーツを引っ掴み、足を突っ込んで履きながら愛機に駆け寄るシンイチ。

彼の隣を準備万端のバーリングが駆け足で通り過ぎ、いつものように茶化す。

「よぉモリタ、まだ着替え中か?お先ッッッ!!」

「うるへぇ、早よ行けこのタコッッッ!!」

スーツのファスナーを上げ、乗降用クレーンから垂らされたワイヤーに捕まった。

コックピットまで登る途中、ホバートラックに向けて走るサクラと目が合い、一瞬、互いに笑顔を交わす。

しかしすぐに表情を引き締めて、陸戦型ジムのコックピットに飛び込んだ。

機体を起動させながら、呟く。

「………絶対に、死なん。何があっても。」

力強く操縦桿を握り込んだ。

格納庫の外では、ガンペリー輸送機3機がコンテナ部分を大きく開けてアイドリング状態で待機していた。フル装備かつ完璧な整備状態の陸戦型ジムが、ゆっくりと歩み寄りコンテナに乗り込む。

61式戦車2輌とホバートラック「アルマジロ」も、それに続く。

決意を胸にした隊員達を乗せ、ガンペリー3機はゆっくりと離陸した………。

 

第十四話 勝利がための誓い 終幕

 

 

幕間 湖畔の二人

 

訓練を終えた夕方、穏やかな日差しが差し込む頃。

サブリナから借り受けた愛車のスーパーカブ(に、外観を似せた特注の電動バイク)にシンイチとサクラが二人乗りし、基地近くの湖畔の道をゆっくりと進んでいた。

1時間だけ許可された外出。

もしかしたら今回が最後になるかもしれない…と思ったシンイチは、訓練終了後すぐに出かけることにしたのだった。

「……サブリナのコレ、大丈夫だよな?!いきなり爆発したりしないよな?!」

「バッチリ整備してある、って言ってましたよ!転ばないでくださいね!」

出かける旨をサブリナに話したところ彼女が気を効かして、また二人の事情も汲んで「レンタル料は取らないわ!」と快く貸してくれたそうな。

ただし、お気に入り故傷つけると罰金1万ドル。マジか…(汗)

僅か数分で、湖畔に置かれたベンチに辿り着いた。

「…ここだ……うわ、ちょっと汚れてんなぁ…」

シンイチがベンチ上の落ち葉や枝、吸い殻を素手で払い落とす。

「……よっしゃ、これで座れるかな。ごめんね、こんなトコで…さぁ、どうぞ!」

手をはたいて汚れを落としながら促す。少し遠慮がちに近づくサクラ。

「ううん、ありがとう…手、汚れちゃいましたね。」

「あぁ、いいよいいよこんなの!」

ベンチの近くには古ぼけた吸い殻入れしかなく、あとは湖を一望できる開けた地形だけ。

二人で寄り添って座り、景色を眺めた。

水面は夕方の陽光を反射して金色に輝き、時折水鳥が飛沫を上げて飛び立つ。

僅かな風の音と、鳥の鳴き声しかしない静かな場所。銃声も爆発音も今は聞こえなかった。

「…はぁ〜、たまにはこういうのもいいね。何もない静かなところで…」

「何もなくなんかないですよ、あたしは…シンイチさんが傍にいるだけでお腹いっぱいだもん。」

「あ、そ、そう?………ハハ、ハハハ……」

ふいに、サクラがシンイチの肩に身を委ねる。また左手をシンイチの右手に重ね、「恋人繋ぎ」になった。

二人の心臓の鼓動が早まる。シンイチの方はもはやそのまま爆発しそうな勢い。

緊張のあまり顔を逸らそうとしたが、思い切ってサクラの方に顔を向けると、サクラもまたゆっくりと顔を近づける。

コックピットの中で抱き合った時よりさらに近い。額がコツンと合わさって目と目が合い、危うく唇まで触れんばかりの距離。

たちまち、「ボンッ」という擬音が聞こえそうな勢いで全身真っ赤になるシンイチ。

そしてサクラが小さく、小さく呟いた。

「………………大好き。」

瞬間、とたんに動転するシンイチ。どう返せばいいかわからず半ばパニック状態。目はプロの水泳選手より泳いでいる。

「えっ?!あっ?!…その、あの、えーーーっと………………ありが、とう………うん………」

突如立ち上がって、なんとか平静を装おうと腰に手を当てたり、腕を組んだり、何故かしゃがみ込んだり、かと思えば捻りを加えて立ったり(ジョジョ立ち?)。頻繁にポーズが入れ替わる。

完全に挙動不審者。仁王立ちで背を向けたまま、やっとの思いで言葉を絞り出した。

「……………………俺も、す、す、す、………好き、だよ。」

サクラは赤面したまま、ニッコリと笑って頷いてから一言。

「『続き』は、また今度?」

さらに動揺するシンイチ。様子のおかしい人です。

「つづブフゥッッッ!?!?……………そっ!!!……そう、だね……いつか、必ず………ねっ!!!」

妙に上擦った声とともに、おかしなポーズで振り返る。サクラは明るく笑った。

「なぁに、その変な動き………アハハハ!」

尊い時間は、穏やかに過ぎてゆく。金色に輝く湖面は、さながら二人の未来を祝福するかのようだった………。

 

幕間 湖畔の二人 終幕




へい、らっしゃい!!!!
野武士山の店はいつでも開いてるよっ、何にしやすかお客さん?今日は新鮮なてぇてぇが沢山入ってやしてね〜、初モノで活きがいいんだなコレがッッッ!!
是非生に醤油で頂いて……え、まずビール??いや〜すいやせんお客さん、ウチ飲み物はマウンテンデューとコーヒー牛乳しか扱ってなくてね!!
へい、お通しのマウンテンデュー(大)一丁!!!ドォン!!!(タルで提供)
……………はい、大変失礼しました。しょーもない冗談はさておき。
今回はてぇてぇ増し増しでお送りさせていただきました。
これからシンイチ×サクラとハンス×アナの両カップルが「てぇてぇフルバースト」ルートに突き進むのか、はたまた「人の心とかないんか?」ルートに転んでしまうのか、それは今後のお楽しみ………ウフフフフ( ͡° ͜ʖ ͡°)
さて次回はいよいよシンイチvsハンスのリベンジマッチ、例の如く「ブッピガン!!!!」の効果音はセルフサービスで!!

次回第十五話「譲れ得ぬもの」
お楽しみにッッッ!!!!

…ちなみにシンイチとサクラは、初期案ではチューぶちかます予定でした(爆)

追記:第十五話………難航中!!しばし待たれたいドーゾ!!

追記の追記:第十五話漸く一通り書けました、現在見直し中!あと少しです!!多分…(汗)
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