機動戦士ガンダム外伝 斬凶戦記   作:野武士山芋侍

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第十六話 重力の底の底で:ジャブロー転身編

 

第41中隊の面々とその愛機達を乗せたミデア輸送機3機は、護衛機を伴って北米大陸を抜け、さらに中米を超えて南米大陸に至る。

そしてそこから、さらに南へ向けて飛んでいた。目指すはアマゾン川流域、地球連邦軍総本部ジャブロー。

彼らはそこで宇宙艦隊に合流、新たな戦いの場へ出向くことになる。

地球上での戦いはいよいよ佳境を迎え、北米ではキャリフォルニアベース攻略、大西洋を隔てたアフリカ大陸では大規模な掃討作戦が始まろうとしていた。

…そして、ミデア機内。

客室では中隊の面々が思い思いの時間を過ごしている。

「…はぇ〜、ホワイト・ディンゴねぇ……」

バーリングが連邦軍の広報誌に目を通し、感嘆する。そこにはオーストラリア大陸において活躍を見せ始めている連邦軍のMS部隊「ホワイト・ディンゴ隊」についての記事が掲載されていた。

「…よぉサブリナ、お前さんの故郷で暴れ回ってる連中だとよ。見ろよコレ………」

バーリングが隣に座るサブリナに広報誌を渡そうとするが、彼女はとたんに表情を曇らせる。

オーストラリア出身のサブリナだが、コロニー落としで家族親戚を失ったトラウマからその地名を出されるだけでも厭な気分になるのであった。

「………やめてよ。見たくもない。」

冷たく言い放つが、バーリングが不思議そうに聞き返す。

「…え、いや…友軍だぜ?ジム部隊の……」

突然、珍しくサブリナが声を荒げた。

「やめて、っつってんでしょ!!オーストラリアの話なんて聞きたくも…!!………あ、ごめん…」

途中からハッとなり、謝罪する。客室に居た面々の何人かが顔を向けた。

「……いや、いいさ。俺も…すまなかった。」

バーリングは申し訳無さそうに広報誌を引っ込めて丸め、座席の収納ポケットに突っ込んだ。

「…どうした?なんか…大丈夫?」

通路を隔てて反対側に座るシンイチが声をかけた。

「なんでもねぇよ。気にすんな。」

バーリングが軽く手を振って答えた。すると…

「…………見せて、よ。」

サブリナがバーリングから目を逸らしたまま、手だけを差し出した。

「え?」

「友軍の、話でしょ?ジオン相手に暴れ回ってるホワイトディンゴ…」

「んぁ、そうだけど。でもお前さんさっき…」

「見せてって言ってんの。どこ?ここ?」

サブリナは身を乗り出し、バーリングの膝に身を預ける形で収納ポケットを漁る。

「おっ、おぉ………あ、ソレソレ。丸めたヤツ。」

「はぁ、ぐしゃぐしゃじゃない…もう…」

広報誌を広げるサブリナ。少し気まずい雰囲気の中、バーリングは腕を組んで座り直す。

シンイチはサクラと隣り合って座っていた。窓際はサクラ、通路側はシンイチ。

彼女は右手をシンイチの左手に当てがい眠っているが、時折短い呻き声とともに顔を顰める…。

悪夢を見ているのか、フラッシュバックに苦しんでいるのか。シンイチはその横顔を見守りながら、指を絡ませてしっかり握る。

彼女の手の平は汗で僅かに湿っていて、また時折小刻みに震えていた。明らかに輸送機の振動とは別。

(…俺が、支えないとな。)

フライトは続く。窓からは、周囲を固める護衛機のTINコッドとコアイージーが見え、後者のうちの1機は長距離飛行のため空中給油を受けていた。

 

しばらく後、にわかに慌ただしくなるミデアのコクピット内。

「……接近を探知、IFF反応無し。クロだ…方位320、高度5000、機数8。ヴィクター及びユニフォームフライト、頼めるか?」

《ヴィクター1了解、追い払う。》

《ユニフォーム1了解、こちらも対応する。》

ミデア、コクピット内。こちらに向かいつつある敵編隊の接近を探知したパイロットが、護衛機部隊に迎撃を依頼する。

目的地はもうまもなくだが、ここにきてジャブロー周辺地域を空爆した帰りのガウ空中空母に見つかり、そこから発艦してきたドップに捕捉された。

爆撃の帰路故長くは追ってこないだろうが、それでも身重なミデアが振り切るには明らかに荷が勝ちすぎていた。

TINコッドと、コアイージーの編隊がミデア輸送機から離れてゆく。

そんな中、ユニフォーム1ーコールドウェル中尉からさらに通信。

《……41中隊のダンカン大尉かバレンツィーノ中尉に伝えてくれ。貴官らとはここでお別れだが…我々はこの空から、宇宙に赴く勇士達の幸運をせつに祈っている、と。》

「…君、マイクを借りられるか。」

コクピット内に詰めていたバレンツィーノ中尉がパイロットから通信用のマイクを借り受け、返答。

「…ユニフォーム1、バレンツィーノだ。そちらこそ幸運を。…………ありがとう、同志。」

マイクを返しながら敬礼。コアイージーは翼を二回振ったのち、離れていく。

「…中尉、高度を下げますので席に…」

「あぁ、やってくれ。」

バレンツィーノ中尉はシートに深く腰掛け、シートベルトのバックルをがっちりと固定。

《ユニフォーム1より各機、残らず叩き墜とせ。》

頼もしい通信とともに護衛機部隊は一斉に高度を上げ、ミデアの編隊は反対にゆっくりと高度を下げ、一路ジャブローを目指す………。

 

そして、再びしばらく後。唐突に無線が入る。

《……接近中のミデア輸送機編隊へ…zzgzzz…こちらはジャブロー防空指揮所。貴機の所…gzzg…及びコールサイン、飛行目的を……ggzzz…》

「え、もうそんな空域?!マジかよ…ドニー、報告頼む。」

パイロットが驚くが、隣に控えるコパイロットが冷静に返答。

「了解、あー…こちら第248輸送中隊第1小隊、コールサイン『ペリカン1』。宇宙に上がるパイロットと、実戦データ収集中MSの搬送任務を受けて運んできた。着陸許可求む。」

少し間が空いたのち、さらに返答。

《……了解『ペリカン1』、IFFを確…zzg…した。ゲート47より進入、着陸せよ。…ggzgz…管制より誘導を開始する…》

「……よし、これで味方討ちは無いな。着陸準備だ。」

「つっても、何もありませんよ。どこに降りるんで?」

コパイロットが尋ねる。眼下に広がるのは、広大な深緑のカーペット。飛行場らしきものはまるで見当たらない。

彼の不安をよそに、パイロットが得意そうに答えた。

「…あぁ、今に解る。とりあえず、送られてきたルート通りに座標へ向かえ。」

客室では、まもなく着陸という事で全員が席に着いていた。

「もう、着くんですか?」

「っぽいね、なんか何も無いけど……え?!」

シンイチが窓の外を見て驚愕する。かなり高度が下がり、機体が樹木に触れんばかりに低く飛んでいた………それどころか、機体が樹木より低く飛び始めている。

「………あれ、これ、何?……墜ちてる?!とかじゃ…無いよな?」

「モリタ、落ち着け!…『降りて』んのさ。」

やや狼狽するシンイチをバーリングが窘める。ミデア輸送機は広大なジャングルのまっただ中に大きく開いた、巨大なハッチの中に降りようとしていた。

あえて形容するなら、超巨大な地下道への入り口。それは全幅67m、全長45mの巨人機ミデアが降り立つには十分な広さと深さを備えていた。

「降り……?!おっ、おぉぉぉ…そういう事か!……あれ?」

サクラはシンイチの手を握ったまま、青い顔をして涙目になり凄まじい勢いで震えていた。

「……大丈夫?凄い状態になってっけど。」

シンイチが声をかけると高速で首を横に振る。

「あ、あたし…に、苦手なんです、飛行機が着陸するときのこの感覚………」

瞬間、衝撃。着地したらしい。

「ヒッッッ?!ウゥーン…………」

恐怖のあまりか細い鳴き声?とともに失神するサクラ。手の力が抜ける。

「……えっ?!ちょちょちょ、もう着いたて!!サクラ!!おーーい!!」

突然の出来事に驚愕し、必死にサクラを起こそうとするシンイチをバーリングが茶化す。

「うるせぇな…とりあえずお姫様抱っこでもしてやれば?」

「色々とハードルが高いなソレは……」

ミデア編隊はジャブロー基地ゲート47に無事に着陸。地上から見えていた森が、巨大な天井へと姿を変えた………。

 

ジャブロー基地内通路………といっても、もはや「道路」といって差し支えない規模。宿舎へ向かうための移動も、シャトルバスが普通に通っていた。

さらに驚くべき事に、その道の向こうには大都市のそれとさほど変わらない規模の建物と灯りが見える。もはや「地下基地」というより「地下都市」と呼んで差し支えない。

「デッッッ……カいな、アマゾン川流域の地下…だよな、ここ?」

その規模に圧倒されるシンイチ。

「何だお前、来た事なかったのか?」

バーリングは宇宙軍から地上部隊に移籍する際一度ここに来ていた。シンイチは地方で志願した後北米総司令部に送られ入隊したので、ジャブロー入りは初であった。

シャトルバス乗り場を目指して荷物を抱え歩く一向は途中、巨大な艦船ドックのすぐ脇を通り掛かり、そこで見た「艦(ふね)」に息を呑む。

強襲揚陸艦「ホワイトベース」。

まさにその艦が、ドックに鎮座して修理を受けんとしていたのだ。

連邦軍の反抗の象徴。その艦載機がガルマ・ザビを討ち、ランバ・ラルを仕留め、オデッサでは「黒い三連星」をも屠り剰え友軍壊滅の危機をも救った。

まごう事なき「武勲艦」。その威容に、シンイチはまたも圧倒され言葉を失う。

「………これが、ホワイトベース…スゲェな…」

「……ガンダムってのは、どこだ?…」

口々に呟く面々。

丁度艦内からはクルー達が降りてきており、よそ見をしていたシンイチはそのうちの一人と肩がぶつかった。

「お?!……ッッッと、悪い!!大丈夫か?」

シンイチよりさらに若い、ブルーの制服に身を包んだクシャクシャの髪の少年。

 

「…いえ、大丈夫です。こちらこそ。」

 

年相応のあどけない声。瞬間、気付く。

その目には明らかに自分達と変わらない「幾度も死線を乗り越えた」雰囲気を宿らせていた。

「………そっか、良かった。……失礼。」

シンイチは半ば圧倒されつつも、気さくに返し崩した敬礼を送る。少年は会釈して、足早に立ち去った。

そんな彼のもとに歳の頃が同じくらいの、ピンク色の制服と栗色の髪の少女が駆け寄る。幼馴染みだろうか。

足元には球型の小さなロボットが、コロコロと転がりながら後を追う。

彼女もまたこちらに顔を向けたので、ぎこちない、済まなさそうな苦笑いとともに手を振ると、やはり会釈して少年と共に立ち去った………。

「……知り合いか?モリタ。」

ふいに、バーリングが問いかける。

「……いや、あんな子供が、ホワイトベースに乗ってるんだなって。」

「知らなかったのか?ホワイトベースは少年兵を連れてるらしい、おまけに艦長は士官候補生だと。」

驚愕するシンイチ。

「何だって?!そ、それじゃ……『あの子』、ガンダムのパイロットも……?!」

無意識に混じった「あの子」の部分は喧騒に遮られ、バーリングは聞き取れなかった。笑いながら返す。

「まさか!!…連邦軍の最高機密を、少年兵に任せるワケあるかよ。」

「…………だよなぁ。まさか、な。」

(…………何で俺はあの子だと思ったんだ?ガンダムのパイロットが………)

奇妙な感覚を覚えながらも、改めて乗り場に足を向けた………。

 

そして、宿舎。シンイチ達だけでなく各方面から集められたパイロットやオペレーター達が忙しなく歩き回っていた。

「さぁ〜〜て、忙しい忙しい!やる事が山積みだわこりゃ…」

大きな荷物を抱えて廊下を進むシンイチとサクラ。彼女の荷物をシンイチが運んでいる最中だった。

「シ、シンイチさんもうこの辺で大丈夫です、あたし運べますから……」

「いいよいいよこんなの、軽い軽いッッッ!」

サクラが申し訳なさそうに話しかけるがお構い無し。軽々と部屋の前まで運び切ってしまった。

「……よっしゃ、デカ荷物はこんなもんかな…後は俺の分か。」

「ありがとうシンイチさん、助かりました…」

と、そこへ。

「………おい、まさか…モリタ?!シンイチ・モリタか?!」

背後から声をかけられた。シンイチが振り返ると、齢20歳中頃の優男風の男性と、同じ年頃の青みがかった長髪の女性が居た。

「………えッッッ?!デニス?!おまっ……デニス?!」

優男の名はデニス・バロウ曹長。シンイチの訓練課程時代の同期生であった。互いにハグを交わし、拳を突き合わせる。

「こンのスケベ野朗!!生きてやがったのか!!」

「ハハハ、お前こそ!!相変わらず刀振り回してんのか?!」

「うるへぇこの!!鍛錬だ鍛錬!!」

仲良さそうに肩をどつき合う。

「そうだったな、ハハハ……!!…おっと、こちらの可愛子ちゃんは?」

デニスはサクラに目を向ける。「可愛子ちゃん」の一言に赤面しつつ、デニスの勢いにたじろぐサクラに代わってシンイチが紹介する。

「あぁ、彼女はサクラ。サクラ・タチバナ伍長、ウチの敏腕オペレーターさ。そっちこそ、そちらのご婦人は?」

とたんに、得意げに胸を張るデニス。

「彼女はホア。ホア・ブランシェット伍長。そりゃもう優秀なオペレーターで見た目通りの才色兼備、もちろん俺の恋人候hイデデデェェェェェ?!?!」

ここでデニスの尻をホアが思いっきりつねり、言葉を遮った。

「…デニスさん、余計な情報は足さないでくださいね〜。改めまして、ホア・ブランシェットです。SRT-ユニット1のオペレーターです、どうぞよろしく〜。」

制裁を敢行する大胆さとは裏腹に、穏やかな雰囲気で自己紹介。あえて形容するならおっとりしたお姉さんといった感じだが、目は笑っていない。

シンイチは直感で(あ、この女性(ひと)怒らせたらイカンやつや…)と悟りつつ、苦笑いとともに答えた。

「あっ、これはどうも……デニスには、手を焼いてるようで。」

「お察しの通りです〜。」

ニコニコ笑顔で、まだデニスの尻をつねっている。

「ホ、ホア…さん?そろそろ、離してもらえたら…」

「駄目。おしおきです〜。」

「ちょっと千切られるくらいいいだろ、我慢しろお前」

シンイチがニヤつきながら薄情に言い放つ。涙目で青ざめるデニス。

「いや!!そこ千切られたらシート座る時痛いから!!離してホアさん、お願いッッッ……!!」

「そうですね〜。じゃあそろそろ。」

ようやく指を離す。尻を摩りながらシンイチに告げる。

「………まぁ何だ、つのる話もある。後でそこの休憩所で落ち合おう。またな!」

「あぁ、後でな。ケツには絆創膏でも貼っとけ!」

二人は足早にその場を離れた。

シンイチは手を振って見送るが、珍妙なやり取りに途中からついていけなくなったサクラは、苦笑いを浮かべて佇むのであった………。

 

そして、宿舎脇の休憩所。簡単なテーブルとジュースの自動販売機が並んでいる。地下故に煌びやかな照明が並び、さながら屋外バーのような雰囲気。

「ほらよ、再会祝いだ。お前これ好きだろ?」

いつぞやの、シンイチ愛用の炭酸飲料を胸元に押しやるデニス。

「お、悪いな!……んじゃ俺からも…コレ。」

自販機に小銭を投入し、缶コーヒーを差し入れる。

「ありがとよ。それじゃあ、再会に…!」

「乾杯!つってな、ハハハ!」

缶をかち合わせた。軽い音が響く。

少し昔話に花を咲かせた後、おもむろにシンイチが尋ねる。

「……しかしまぁお前さんとまた出会すとはなぁ、そっちも宇宙行きか?」

「いや、宇宙行きはウチの隊長の進言でパスになったよ。せっかくレビル将軍の座乗艦付きになれそうだったんだがなぁ…」

缶コーヒーを呷る。シンイチも一口。柑橘系の爽やかな甘みと微炭酸のほのかな刺激。

「…はー、それはそれは。…じゃ、なんでまたここに?」

「宇宙艦隊の打ち上げ警護だよ。ようはお前らの『お見送り』ってことさ。」

実際、シンイチ達はここに来る道中ガウ空中空母に捕捉されそうになった。無防備な打ち上げの最中にガウが現れ、MSを降下させられようものなら目も当てられない。

打ち上げられる艦隊は重要だが、それを守る部隊もまた必須。ゆえに、各方面から部隊が集められたのだった。

「『お見送り』ねぇ。まぁ…よろしく頼むよ。つって俺達は、どの艦に回されるかまだ分からんけど。」

「…宇宙(そら)へは、あの子も一緒か?…守ってやれよ。いい仲なんだろ?」

「サクラか?…んあぁ、そりゃ勿論……って、ちょい待ち!!なんでそれ分かったんだ?!」

とたんに赤面するシンイチ。伊達に女好きではないデニスは、全てを見抜いていたのだ。

「ハハハハ、やっぱりな!あの子のくっつき具合を見てすぐに分かったよ、お前もなかなかやり手だな!」

「そういうんじゃ……ねぇさ。まぁ…色々あってな………」

彼女との馴れ初めに思いを馳せるシンイチ。気心の知れた同期生同士、話は尽きない。

都市の喧騒は、地下の空間を満たすように響いていた………。

 

第十六話 重力の底の底で:ジャブロー転身編 終幕

 

 

幕間 ベッド下から現れた「モノ」

 

連邦軍某基地、ジャブローへ出発する前々日。

宿舎では、異動のための荷造りと私物の整理が行われていた。

自分の荷物が一通り片付いて後は積み込みを待つだけとなり、手持ち無沙汰となったシンイチはバーリングの部屋で作業を手伝う。

バレンツィーノ中尉から「彼は大分『苦戦』するだろう」と聞いていた通り、彼の私室は雑然としていて苦戦も納得の状況。

「…うっわ、お前コレ…なんで下着がこんなトコに…」

何故か靴箱から出てきたボクサーパンツを摘んで持ち上げる。洗濯はされてる、多分。

「あぁ、それも衣装ケースに突っ込んでくれ。多分綺麗なヤツだ。」

「いや靴箱でお前……まぁいいか、ホイ」

衣装ケースに投げ込んだ。

そのような調子で30分程作業を続けたところ、あらかた片付いた模様。

「よっしゃ、後はベッドシーツだけだな……コイツは官品だから、当番兵詰所だっけ?」

「あぁ、マットレスもな。このまま外して持ってくか?」

「よしきた」

ベッドの両脇に陣取った二人がマットレスを持ち上げ、そのまま室外へと運び出した。官品はきちんと返さなきゃ、エッホエッホ

「よ…っしゃ、こんなもんか。中確認しといてやるよ。」

「悪いなモリタ、頼むわ。」

再びシンイチが部屋に入り、中を見渡す。骨組みだけになったベッド以外には何もない………筈だった。

「……………ん?」

そのベッドの下に、妙にカラフルな雑誌。近づいて見てみるとそこには…

(『地球の本物の海で見た!小麦色の肌100選』…?)

心の中でタイトルを読み上げるシンイチ。表紙にはデカデカと、胸の谷間を寄せて強調する水着姿の女性………タイトル通りの小麦色の肌は、どことなくサブリナを彷彿とさせる、気がする。

健全?な男子の性ゆえか、手に取ってパラパラとページをめくる。表紙の女性こそ水着姿だが内容は一糸纏わn(以下自主規制)

つまるところ、彼が見つけたそれはかなり「紳士向け」のお雑誌にございます。

「…あら、あらららら〜…あらあら………おっほっほっほ〜( ^ω^)、これはこれは………」

心の底から感嘆し、その「内容」に目が釘付けになった。そりゃあ、ね…誰だってそーする、俺だって(略)

と、ここで。

部屋から出てこないシンイチの様子を見に、バーリングが再度入室。そして…

「……おいモリタ、何やって………ッッッ?!?!」

瞬く間に駆け寄り、シンイチが眺めていた「それ」を光の速さで取り上げる。

あまりの速さに、シンイチは雑誌を取り上げられた事を一瞬認識出来なかった。

そして、詰め寄る。

「お前ッッッ!!!!…………見たのか?!」

「えっ?!………あっ、まぁ……………ハイ」

とたんに、ジャンピング土下座で懇願するバーリング。

「頼む、後生だッッッ!!!!サブリナにだけは言わないでくれ、この通りッッッ!!!!」

そんな彼の姿に何かを察したシンイチは立ち上がり、黙って右手を差し出して頷く。

「……何言ってんだ、バーリング。男子の性(さが)だろ。咎めやしない、嗤いもしない。勿論サブリナには……黙っておくともさ。」

「………モリタ!!お前ってヤツは………!!」

固く、固く握手を交わす。なんか気持ち悪いなお前ら。

それから二人は、空っぽの部屋でしばし「鑑賞会」に興じた。

「うっわ、この子……激似じゃん、サブリナに…」

「だろ?!マブいだろ?!…こっちの子の水着はサクラちゃんに似合いそうじゃないか…」

「馬ッッッ鹿、こんなもんほとんど紐じゃねーか!!ダメだろ!!」

まぁ二人とも年頃の「漢」だからね、仕方ないね………。

 

幕間 ベッド下から現れた「モノ」  終幕




オッス、オラ芋侍!いっちょやってみっかぁ!(?)
はい、またも少し間が空きましたが最新話です!!……ゆーて今回は戦闘も無く波乱も無く、ほぼ移動回なので地味ですが(汗)
でもそれだけじゃ寂しいよねって事で、ゲスト的にこの4人(と1機?)を登場させてみました。クロスオーバーのタグ付けた方が良かったかな…?
MS戦線0079のキャラは明文設定がほとんど無くて後はムービーシーンの会話で察するしかないけど、シンイチと同期生って設定くらいは入れてもいい…よね?いいよね?知らんけど(爆)
さて次回はいよいよジャブロー攻略戦に入ります、「哀戦士」のBGMは例によって例の如く脳内にてセルフサービスで!!

次回第十七話「重力の底の底で:ジャブロー防衛編」
お楽しみにッッッ!!!!

サクラちゃん、水着、紐………そこから導き出される答えは(以下自主規制)
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