機動戦士ガンダム外伝 斬凶戦記   作:野武士山芋侍

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第二十六話 中隊再編成

 

とある宙域をゆく、ジオン公国軍ザンジバル機動巡洋艦「ケーニヒスベルク」とムサイ級軽巡洋艦「リュッツオウ」の2隻。

このうち後者は片側のエンジンブロックを破壊されており、スラスター光が消えている。

重苦しい雰囲気のケーニヒスベルクの艦橋内では、同艦MS部隊指揮官のジョセフ・コンラッド大尉が艦長から容赦のない叱責を受けていた。

「まったく君には失望したぞ!!1度ならず2度までも、敵の力量を見誤って同じ相手に負けるとは………!!」

コンラッド大尉はルウム戦役の頃から戦い続けている大ベテランだが、艦長は一年戦争中期以降に任命された比較的経験の浅い将校だった。

階級が上といえど、自分よりも新参の者にとやかく言われるのは居心地が悪いどころの話ではない。現に固く握られた大尉の拳は小刻みに震えていた。

「……返す言葉も、ありません。」

こうは言いながらも、心の声は全く逆。

(最初に見誤って命令を下したのはどこのどいつだ、ケツの青い素人艦長め……)

「まぁ……全滅を避けられた事だけは不幸中の幸いといったところか。しかし、忘れるな………」

艦長はコンラッド大尉に背を向けると、念を押すように告げる。

「ドズル閣下は寛大な御方だが、同じ相手に仮に3度も負けようものなら………君も私も、次は無いぞ。」

「肝に、銘じます。」

ここで、大尉は辺りを憚りながら、艦長に小声で問う。

「ところで………艦長。グラナダより進発した、キリング中佐麾下の艦隊から受け取った『例のモノ』は……」

「そうだな、いよいよもって…………あれを使う事も視野に入れねばなるまい。」

ザンジバルとムサイはかろうじて隊形を維持しつつ、仮拠点を構えた暗礁宙域へ帰投する………。

 

《リマ3からリマ4応答しろ!!やられたのか?!》

デブリが漂う宙域を必死に逃げる1機のジム。僚機の姿は既に見えず、またいくら呼びかけても応答は無い。

敵は4機でこちらも4機、同数で始まった戦闘。それにも関わらず、残っているのは早くも自分だけとなってしまった。

そして、コックピット内が警告灯で赤く染まり、ロックオンアラートが鳴り響く。たちまち機体を掠める幾多の光条。2機の敵にビーム兵器で狙われていた。

もはや逃げおおせる術もない。凄まじい砲火をなんとか掻い潜りながらビームサーベルを抜いて構え、覚悟を決めて距離を詰めようとする。

しかし、背後からの不意のひと突きに、ついに愛機ごと沈んだー

熱くはない。痛みもない。残ったのは後悔と屈辱と、目の前のモニターパネル一杯に広がる

 

"SIMULATION TERMINATED YOU LOSE

Have a nice day!"

 

の、まことに皮肉な文章のみ。

「………最後の一文、要らんだろクソが。ハァ〜〜ッッッ………。」

リマ3、つまりネオショーMS部隊第3小隊3番機のパイロットは、シミュレーター装置のコックピット内で大きなため息をついてがっくりと項垂れた。

そんな彼に、担当士官からの無情な一言。

《聞こえているぞ、リマ3。さっさとシミュレーターを空けろ。》

また一つため息をつくと、シートベルトを外して気怠そうにハッチを開けた………。

 

地球連邦軍ルナツー基地。ここには大規模な訓練施設があり、大型のシミュレーター装置が幾台も設置されている。

その一角のミーティングルームに第1小隊の面々が詰め、大型ディスプレイに映し出された先程のシミュレーター映像ー第2小隊と第3小隊の戦闘ーに目を通していた。

「圧勝だな。」

バレンツィーノ大尉が呟くと、バーリングが呆れた声で答えた。

「ですね……何やってんだ3小は、ま〜たアークライト中尉がドヤるぞ!」

「やっぱりガンキャノン2機の差はデカいな。地上でも宇宙でもあの火力は脅威か……。」

腕組みしたシンイチが冷静に語る。3人は以前アークライト中尉の小隊に大敗を喫し、またその戦い方を見ていたため彼らにとっても納得の結果といえた。

ここで、彼らの話を黙って聞いていたキムが口を開く。

「でも……戦いようはあると思います。対策も見えてきましたし。」

3人が彼を振り返る。そして、バーリングは疑い深い様子で言い放った。

「よく言うぜ!アイツらは素人じゃねーぞ。それこそ今まで仕留めてきたジオン野朗共とは段違いだ。」

「しかし、バーリング曹長達も同じぐらい死線を潜り抜けていますよね。対策さえしっかり立てれば、勝てない相手じゃないと思いますよ。」

おだてられて少し気分が良くなるバーリング。とたんに饒舌になる。

「まッッッ……まぁよ!!俺はなんたってボール時代から生き延びてきてっからな、踏んできた場数はアークライト中尉とそうそう変わらんし?それに……」

長くなりそうなのでバレンツィーノ大尉が即座に手を翳して彼を制し、再びキムに話を振る。

「そうだな、素晴らしい。………ところでキム軍曹、対策が見えてきたと言っていたな。聞かせてもらっていいか?」

キムが頷くと、淡々と話し始めた。

「まず……第2小隊の戦い方は、いうなればダンカン少佐の戦術の上位互換かと。」

「確かに、火力を集中させるやり方は似てるよな。」

シンイチが補足し、引き続きキムが身振り手振りを交えて説明する。

「そうです。そこに、バレンツィーノ大尉が重要視する2機1個分隊の機動力も兼ね備えているので……逆に言えば、まず火力一点集中を崩せさえすれば……あとは機動力と練度に勝るこちらが優位に立てるかと。」

「ガンキャノンは火力がスゲー分ノロい。その死角を後衛のジム2機がカバーしてるから……まずはそっちか?」

平静を取り戻したバーリングが口を挟む。彼にしては冷静な分析。

「スナイパーカスタムの長射程を活かさない手はないな。ならば………こういうやり方はどうだろう?」

キムの分析を踏まえ、バレンツィーノ大尉が作戦を立てる。小隊の面々は真剣な表情で、黙って聞き耳を立てた………。

 

食事と休憩を挟み、シミュレーター訓練は再開された。第2小隊は編成そのままだが、第1小隊はキムが2番機、シンイチが3番機となりバーリングが4番機に入れ替わる。

これは先のザク改小隊との戦いでバーリングが囮となってシンイチが死角から刺す戦法を、バレンツィーノ大尉が有効と見たからだ。

大小のデブリが漂う仮想空間の宇宙を、第2小隊の4機がゆく。

《アルファ1から各機、まもなく接敵だ。我々は一度勝っているがそれはあくまで地上での話、油断するな。》

《アルファ2了解………》

小隊各員が順に返答。するとそれを待っていたかのようなタイミングで、正面やや斜め上から飛来する光条。

《ブレイク、ブレイク(散開)!!》

アークライト中尉が号令すると、第2小隊はただちに2機ずつの編隊に分かれる。

《チャーリー1から各機、作戦通りだ!!ブレイク!!》

ここで第1小隊は2機ずつではなくバラバラに離散した。アークライト中尉は動揺しつつも手早く命令する。

《バラけた!!何のつもりだ……アルファ2着いてこい、アルファ3、4は左翼の1機を追い詰めろ!!》

ケイトとドイル軍曹がシンイチのジムに向かう。バレンツィーノ大尉のジムスナイパーカスタムは距離をとりつつライフルを放ち、孤立しつつあるキムを狙うガンキャノン2機を牽制。

《よっしゃ、2機こっちに来たな!!チャーリー4何処だ?!そっちから見えるか?!》

《バッチリだ、仕掛けるタイミングをミスるなよ!!》

互いに位置を確認しながら隙を窺う。ケイトとドイル軍曹のジムが距離を縮めてくるが、シンイチの接近戦能力を警戒してかあまり詰めてこない。

《アルファ4、確実に1機ずついく。まず正面、ただしもう1機の動向にも注意。》

《了解!!》

ドイル軍曹が返答すると、すぐさまシンイチのサーベル2本差しジムを襲うビームスプレーガンの光条。

デブリを利用しつつ巧みに躱す。

《ッッッ!!しぶとい……!!もう1機は?!》

敵機の鋭い機動に思わず舌を巻くドイル軍曹。攻撃に集中しすぎて、バーリングのジムを見失ってしまう。するとここで、デブリの陰から出るやスラスターを全開に噴かして距離を詰めるシンイチ。

《アルファ4近づかせるな、援護する。》

ケイトのジムがサーベル2本差しジムに意識を向け、死角に回ろうとしたその時。

《ここだァ!!》

突如横合いから現れるバーリングのジム。ビームスプレーガンを乱射してコックピットに直撃弾を見舞う。

《あッッッ?!ヤバ………!!》

シールドを構えるが一瞬遅かった。アルファ3に撃墜判定。今回シンイチは囮で、バーリングが攻撃担当だった。そして離散したのも単独行動のためではなく間隔を広く取っただけで、相互援助は解いていなかったのだ。

残されたアルファ4は熟練の2機に追い詰められ、アルファ3からさほど時間をおかずシンイチに撃墜判定を献上した。

《アルファ2後ろにつけ、とにかく死角を見張れ!!》

バレンツィーノ大尉は距離を保って引き撃ちしながら、アークライト中尉とワイルダー少尉のガンキャノン2機を誘い込む。

キムは隙を逃さずマシンガンを撃ち込んで牽制。装甲に阻まれ撃墜判定は未だ取れていないが、蓄積ダメージによる機能低下は避けられない。

《……スラスター推力被弾により30%低下!!このままだと浮遊砲台になりますよ、アルファ1!!》

《分かっている!!……目標を変える、チャーリー2から仕留めるぞ!!反転して追い込め!!》

バレンツィーノ大尉を狙っていたガンキャノン2機は、一転してキムを狙い始めた。

《うぉ、こっち来た!!……そりゃ来るよな、知ってましたとも!!》

激しい砲火をかろうじて躱すキム。デブリの濃いエリアに追い込まれた。

《!!しまった、射線が……!!》

キム、撃墜判定。デブリの回避に気を取られたところにガンキャノンのビームライフルが直撃した。

《チャーリー2、よく誘い込んだ。仇は討つぞ。》

しかしバレンツィーノ大尉は動じない。一定の距離を保ちながらライフルを放つ。

《アルファ2、長射程ライフルに注意!!手早く仕留めるぞ!!》

《了解……あっ、アルファ1後方!!7時方向マイナス40から敵2機!!》

《何だと?!》

驚愕するアークライト中尉。ワイルダー少尉が告げた方向からシンイチとバーリングのジム2機が迫っていた。

《……いや、好都合だ!!やはりこちらから仕留めよう、続け!!》

シンイチ達に向けてスラスターを噴かすガンキャノン2機。その背後をバレンツィーノ大尉が狙うが………

《厄介な事だな、背中合わせとは!!》

大尉が見た通り、推力の低下したワイルダー少尉のガンキャノンがアークライト中尉の背面にピッタリと張り付いていた。

さらに機体はこちらに向けており、全ての火器を放ちながらバレンツィーノ大尉の追撃を制している。

《チャーリー3、ガンキャノンが真っ直ぐ突っ込んで来る!!1機……か?!》

《見りゃわかるよ!!ブレイク!!》

編隊を解くシンイチとバーリング、すぐさまバレンツィーノ大尉が警告する。

《チャーリー3警戒、もう1機がすぐ背面だ!!》

《すぐ背面?!……いけねッッッ!!!》

背中合わせになったガンキャノンはシンイチ達から見ると1機に見えていた。編隊を解いて上下に分かれたジムが、それぞれ狙われる。咄嗟にシールドを構えて防御するがバーリングの方がやや遅れ、ワイルダー少尉により撃墜判定。

その隙を狙ってバレンツィーノ大尉がライフルを放ち、ワイルダー少尉も墜とされた。

《2対1か、まだまだやれるッッッ!!!》

スプレーミサイルランチャーを乱射し、頭部機銃まで使って弾幕を張り、シンイチのジムを猛追するアークライト中尉。バレンツィーノ大尉が狙うがビームライフルで牽制された。

《クソッッッ……元気な事だな、チャーリー3一旦距離をー》

しかし、シールドで防御しつつガンキャノンとの距離を詰めるシンイチ。

《シールド損傷率40%、まだ……イケる!!》

《無茶するな!!保たないぞ!!うぉっ…》

バレンツィーノ大尉が警告し援護しようとするが、またもビームライフルと頭部機銃で牽制されて近づけない。

《そのまま削り取るッッッ!!!いただきだァ!!!》

更にスプレーミサイルランチャーの全弾を見舞う。ついにシールドが弾け飛んだ。

しかし、その向こう側にシンイチのジムは居ない。アークライト中尉はここで、盾が囮である事をようやく察した。

《………しまった!!!どこにッッッ……!!》

ガンキャノンが機体を下に向けると、眼前にビームサーベルを振り翳すジム。そしてー

 

「胴おぉぉォォォォォーーーーッッッ!!!!」

 

無意識の雄叫びが響き、仮想空間の宇宙でガンキャノンが真っ二つになる。

勝敗は、完全に決した………。

 

"SIMULATION TERMINATED YOU LOSE

Have a nice day!"

 

訓練終了後、しばらく後………。

「なるほ………どッッッ………手厳しいな、コレ………はッッッ!!!んぬうぅぅッッッ!!!」

「ごほおぉぉぉッッッ………折れるッッッ!!!壊れるッッッ!!!色々とッッッ………!!!」

「………………………。」

「あッッッ…………!!!あと何分ッッッ、あと何秒ですかあぁぁぁ………!!!」

ルナツー基地訓練施設、1G重力ブロックトレーニングエリア。

パイロットスーツ姿のままの2小隊の面々が、恒例の「地獄の5分プランク(ラスト1分『負荷』有り)」の刑に処されていた。

しかも各々の背にはクレア、サブリナ、サクラ、そして第2小隊の整備担当であるモニクが乗っている。

このうちケイトの背に乗ったサクラがストップウォッチを確認し、申し訳無さそうに告げた。

「あ…あと40秒です。皆さん頑張って………」

「40?!?!嘘だろ、あと20秒くらいだと思ってたのにぃぃぃぃ………!!!」

ワイルダー少尉が顔を上げて悲痛な表情で訴えかけるが、その背中に乗るサブリナが無情に発破をかける。どことなく楽しそう。

「はい弱音を吐かない!!腰を落とさない!!ホワイトベース隊のと同じヤツ乗ってんだから、しっかりしなッッッ!!ホレホレぇ!!」

「あ゛ッッッん………♡サブリナ、動かない、でえぇッッッ!!折れる!!折れる……からぁッッッ!!」

足組みをしたまま尻を揺する。ワイルダー少尉は苦しそうな表情だが、擦り付けられるサブリナの尻の感触に内心喜んでいた。

 

※作者より: 前も言ったけど彼らは特殊な訓練を受けています。プランク中の人の背中に負荷として座るのは腰椎への負担がガチめにエグいので、やめようね!あと揺らすな、死ぬど(念押し)

 

そしてそれを、彼女のパートナーたるバーリングが一瞬で看破。ワイルダー少尉の眼前に光の速さで現れ、ヤンキー座りでドスの効いた声を効かせて迫る。

「少尉殿?アンタ今………『悦び』ましたね?俺のハニーのケツの感触に………『悦び』ましたね??サブリナ、やったれ。」

「合点よダーリン♡」

ワイルダー少尉が青ざめる。

「なッッッ………何で分かったんだ、エスパーか貴様はッッッ!!ほぁ゛うッッッ?!?!」

今度はサブリナが身体を縦に揺らし始めた。

「ホレホレ〜あと5秒よ、耐えられるか・し・ら〜?」

悲痛な叫び声がトレーニングエリアにこだまする。

そして、同エリア隅のベンチに腰掛けその様子を眺めるシンイチとバレンツィーノ大尉。

「リベンジ達成、ですね。」

シンイチがニヤリと笑うと、大尉が真剣な口調で諭した。

「浮かれるなよ。あくまでシミュレーターだ、実機でやるのとは訳が違う。全くな。」

「…………確かに、その通り。」

表情を引き締める。

大尉はひとつ深呼吸を挟むと、改めて振り返り、緊張をほぐすようににこやかに告げた。

「ただ………そうだな、勝利には違いない。それに得られたものも、前回より格段に大きい。我々は……まだまだ強くなれるぞ。」

大きく頷くシンイチ。

「………はい!!」

「さて、行くか。我々も少し運動しておこう。」

二人で立ち上がると、罰直のプランクを終えて語らう仲間達のもとへ歩み寄るのであった………。

 

第二十六話 中隊再編成 終幕

 

 

幕間 バッキバキだよケイトさん

 

ルナツー基地、トレーニングエリア。

中隊の面々が、隅のベンチに一堂に介して雑談に興じている。

それぞれ男性と女性に分かれ、思い思いの会話に花を咲かせていた。

「……それにしてもケイトさん、さっきプランクしてた時凄かったですよね。あたしが乗っかっても全然平気だったし。」

尊敬の眼差しを向けるサクラ。

事実ケイトはプランク中姿勢が崩れる事は全く無く、また負荷としてサクラが乗っても微動だにしなかった。さらにアークライト中尉達が妙な雄叫びを上げて苦しむ中、唯1人平然としていたのだった。

しかし当の彼女は照れたり増長したりする様子もなく、普段の気だるそうな雰囲気を保っている。

「まぁ……サクラちゃんは結構軽いほうだから。それに私、鍛えてるし。ホレ」

半脱ぎ状態のパイロットスーツの下に着ていたインナーを恥ずかしげもなくペロンと捲る。

するとそこには……

「え゛ッッッ?!おケイ………腹筋エグくない?!?!」

「何コレすッッッご?!サラさんみたい……!!!」

「カッコいい……!!私もこんな風に鍛えたいなぁ……」

驚愕する女性陣。それもそのはず、ケイトの腹筋はいつぞやのサラ・カミナンデス少尉を彷彿とさせんばかりの見事なシックスパックを形成していた。

「今更負荷有りの5分プランクなんて、大したことないよ。私なら10分でもイケる。」

一斉に褒められて少し興が乗ったのか、心なしか得意そうなケイト。顔を逸らして指で頬を掻いている。嬉しいんだろォ?(?)

改めてその見事な腹筋に顔を近づけ、まじまじと見つめる3人。

「こういうのってやっぱり……スイーツ断ちして鶏肉とか食べてるんですか?プロテインとか…」

クレアが安直な質問を投げかけた。ケイトが平静を装って答えるが、吐息が腹筋をくすぐるのか声が若干震えている。

「い゛ッッッ…いや、甘いのは、好きィッッッ…だよ?食べるものは…結構意識してるゥッッッ…けど…」

続けてサブリナが腹筋から目を離さずに言った。

「うひゃあ〜、アタイおケイなら抱かれてもいいかも…女同士だけど、なんか目覚めそう……」

そして何の気なしに腹筋を指でなぞった、その刹那。

 

「んッッッ!!ひッッッあぁぁぁぁん!!!!♡♡♡」

 

ビクビクッと痙攣しながら、およそ普段の彼女からは想像もつかない程の可愛らしい喘ぎ声。周囲の空気が一瞬固まる。

途端に腹筋を隠して蹲り、真っ赤な顔になるケイト。他の女性陣どころか、すぐ横で雑談に興じていた男性陣も目が点になっていた。

「………なに、今の声………誰の?」

シンイチが振り返って尋ねると、すぐさまサブリナがケイトの前に立って隠蔽工作(?!)に移る。

「いッッッ……いやぁ、アタイがちょっと色々と、気持ちよくなっちゃって。こう……ね!!!」

身振り手振りを交えつつ、必死にクレアとサクラに目配せする。

2人もまた恥ずかしそうに蹲るケイトを庇うようにして立ち、なんとか口裏を合わせた。

「そッッッ……そうそう!!!クレアがサブリナさんをこう………ね!!!」

「うぇッッッ?!……あっ、はい、私がサブリナさんのアレを…アレして………ね!!!」

苦し紛れがすぎるフォロー。3人が3人とも目が泳いでいる。ボブは……いや、男性陣は訝しんだ。

しかしここでバレンツィーノ大尉が彼女達の隙間から見えるケイトの様子に気づき、色々と察する。

「……まッッッ……まぁ、何だ。他の部隊の連中も居るから、あまり騒ぎすぎないようにな。皆、ひとつ水分補給といこうじゃないか。運動の後は必須だ、さぁさぁ。」

さりげな〜く発動する「英国紳士ディフェンス」。大尉に促されてドヤドヤとその場を離れる男性陣……バーリングだけは、サブリナに疑いの視線を向けたままだったが。

そして、安堵のため息を漏らす3人。

「はぁ〜〜、何とかなった……の、かな?ごめんねおケイ、いきなり触って。」

サブリナが軽い口調で謝るが、ケイトは蹲った状態のまま真っ赤な顔を彼女に向けて恨み節を漏らす。

「………スケベ、セクハラ、レズビアン。」

「ちょッッッ?!ごめんて!!っていうか最後のは違うでしょ、まだ目覚めてないからッッッ!!」

ケイトと同じく赤面しつつ、照れ隠しに逆ギレするサブリナ。今回はお前さんが悪い、確実に。

「サブリナさぁん……ボディタッチは程々にしないと………」

「そうですよ、同性でも場合によってはセクハラになりますよ………」

「うぅ〜〜〜ッッッ……反省します……」

後輩2人に割とガチめのトーンで詰められ、サブリナは少ししおらしくなるのであった。

なおこの後、サブリナの閻魔帳にはキッチリと

「おケイは腹筋がバッキバキかつ感じやすい」

と記されていた。反省してねーなコイツ………。

 

幕間 バッキバキだよケイトさん 終幕




ご無沙汰マグナム(気さくな挨拶)
芋侍でッッッす、ま〜た間が空いてしまいましたが、どうにか書けました第二十六話!!
最近更新頻度落ちてっけどもしかしてネタ切れ…?と思われるかもですがキレてないっすよ、俺をネタ切れさせたら大したモンだ(?)
実際大まかな流れとタイトル案だけはもう最終話まで用意してあったりします。書き始めたらホンッッット早いので大丈夫です、マジです(汗)
前回に引き続いて第2小隊が魅せてくれましたね!!そしてケイトの属性が「腹筋バッキバキ敏感ダウナーお姉さん」という凄まじいものに……これサクラちゃんやサブリナより色々と濃くない?大丈夫??
いやおっぺぇは2人程じゃないしそんな開放的でもないから大丈夫、の筈。うん大丈夫だろう、多分(汗)
大丈夫か俺、この短い後書きだけで「大丈夫」って何回言ってるんだホントに大丈夫か?(情緒不安定)
さて次回、いよいよソロモン攻略戦に向けルナツーから連邦軍艦隊が進発。その進路を確保すべく、第343補給分艦隊が奔走するッッッ!!

次回第二十七話「リミットブレイク」
お楽しみにッッッ!!

…え、サブリナは今後レズビアンに「目覚める」のかって?
目覚めません、残念でした(爆)
…え、「目覚めたパターンも見たい」って?つまるところサブリナ×ケイトを?
ダ メ で す ! ! !
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