《…タワーよりエコー・フライト。間もなくジオン地上部隊の前線が我が基地に到達する。各機、速やかに離陸………zzgzgzz》
管制塔に着弾。これで基地機能はほぼ喪失した。
開戦劈頭、宇宙での戦いで決定的な勝利をおさめたジオン公国軍の勢いは留まるところを知らず、それから間をおかずに地球に降下。
MSを主力とする地上攻撃軍は、従来兵器を擁する連邦軍を次々と蹂躙し、シンイチ・モリタが所属していた北米の某空軍基地にもその魔の手が迫りつつあった。
基地の滑走路上に並ぶのは、連邦空軍の主力戦闘爆撃機フライマンタが僅かに6機。
フル爆装状態のそれらは、この基地に残された最後の航空戦力だった。
滑走路はあちこち穴だらけで、戦闘機1機が一列に並んでやっと離陸できるスペースしかない。
さらに滑走路脇のそこかしこには、焼け焦げた兵器の残骸が転がっていた。
《…エコー1から全機、聞いた通りだ。もうこの基地には降りられない。》
隊長機からの無線。相変わらず冷静な声色だが、静かな怒りが滲んでいた。
《指揮官として最後の命令を伝える。死ぬ前に、宇宙人共を1匹でも多く道連れにしろ。以上、テイクオフ!》
「………やるしかないか。」
シンイチは、最後尾の6番機「エコー6」のコックピット内で決意を固める。
眼前では僚機が次々と離陸し、シンイチの機体もゆっくりと離陸を始めた。
加速、速度が乗り、機体が浮き上がる。
ギアアップ。
吹き飛んでいく風景、愛機は転がるように前へ。二度と大地を踏む事は叶わない。
宇宙世紀を迎えて久しいこの時代、片道切符の戦いに身を投じるとは彼自身思ってもみなかった。
しばらく飛ぶと、すぐに前線へ到達。地上ではMSやマゼラアタック、装甲車両がひしめき合っている。
途端に、周囲で炸裂する対空砲弾。
《エコー1から各機、投弾後は順次空戦に移行、敵航空戦力をー》
指示を終えないうちに隊長機が爆発、撃墜された。
MSからの対空射撃か、敵戦闘機の攻撃かはわからない。
《こちらエコー2、指揮を引き継ぐ。各機手近な目標に投弾しろ!!》
エコー2が機体をバンクさせて急降下に入り、自分達もそれに続く。
降下中、エコー2が被弾。さらに続いていた3番機も爆発するのが視界の端に見えた。
エコー2はそのまま地面に突っ込む。
皆、厳しい訓練過程を潜り抜けてきた仲間達。頼れる隊長。尊敬する先輩。
こうも簡単に失われるのが戦争。
思い出す、他愛無い会話。
(独りもん揃いの、この中隊だけ残ったか…)
(若いヤツは生き残って嫁さん作れよ…)
(言い訳はするなよ、出来る事をやれ…)
覚悟はしていた。殺すのも、殺されるのも。
しかし、ここまで容赦のない現実を目の当たりにすると、もはや冷静ではいられなかった。
シンイチは血が滲むほど唇を噛み、思わず叫ぶ。
「いくら………なんでも!!あんまりだろォ!!!!」
そして、いよいよ投弾高度に達する。
翼下パイロンと、胴体の爆弾槽に満載していた無誘導爆弾を残らずばら撒いた。
戦果確認などする暇はない。凄まじい爆炎を背に機体を引き起こし、再度上昇に移る。
が、自身の右前を飛んでいたエコー5が被弾し機体はたちまち炎に包まれた。
「なっ…エコー5、脱出を!!ラッセル准尉!!!」
《………zzzggzzgz…いかん……zgzzz…すまん、無理……ggzzz…》
爆発。
瞬間、目の前を見慣れない機影が横切る。
翼竜を思わせる奇妙な外観の、ジオン地上軍が保有する戦闘機「ドップ」だ。
エコー5を撃墜したのはこいつらしい、その悠々とした飛び方にさらに怒りが込み上げる。
「クソ…どもめがァ!!」
機体を旋回させ、敵機の背後につく。気づかれたようで、右に旋回し振り切ろうとする。
が、遅かった。シンイチのフライマンタの機銃が仇討ちとばかりに、さながら怒りの咆哮の如く火を吹く。
命中。敵機はたちまちズタズタに引き裂かれて破片を撒き散らし、翼はちぎれ飛び、さらにコクピットからパイロットが放り出される様子さえ見えた。
しかし初戦果を喜ぶ間もなく、直後に衝撃。
早くも報いを受けたらしい。コクピット内に煙、さらに警告音で満たされる。
「畜生ぉ、このまま………死ねるかッッッてんだよ………!!」
せめて、あと一撃。自分はまだ全力を出しきれていない。
と、左前方にあらぬ方向に向けてマシンガンを撃つMSーザクが見えた。
こいつを道連れにしない手はない。言う事を効かなくなった操縦桿に喝を入れ、両手で引いてなんとか機体を指向させる。
距離が縮まる、ザクが気づく様子は無い。
「………………ッッッ!!!」
とたんに襲いかかる、死の恐怖。
思わず、座席の足元にある射出ハンドルに手を伸ばし、強く引く。
が、作動しない。何度引いても、動かない。
キャノピーも飛ばない。
コクピット内の煙はどんどん濃くなる。
警報音は激しさを増す。
ザクの背面は、目の前………。
「うっ、お、おぉぉぉぉぉわああぁぁぁぁぁッッッ…………………」
「はッッッ!!!!はぁぁぁッッッ?!?!………」
叫び声とともに、ベッドから跳ね起きる。
ここは地球連邦軍某基地、シンイチの自室。
どうやら悪夢を見ていたらしい。
汗だくになった身体でベッドから降りた。
日課の素振りを終えた後よりも、息が上がっている。
「また……ハァ、ハァ…この夢か………。」
妙にリアルな夢。
それは、シンイチが半年程前に実際に体験した出来事だった。
夢との違いは射出座席がきちんと作動した事。
自室から兵舎の外に出て夜風に当たる。
僅かな基地の照明だけが、自身を照らしていた………。
翌朝、格納庫。
立膝をついた陸戦型ジムの周囲で整備兵達が慌ただしく動き回り、あるいは2、3人集まって何やら打ち合わせをしている。
喧騒で満たされ、時折工具類の鋭い音や支援車両の走る音。いかにも「現場」の最前線といった様相を示していた。
パイロットスーツ姿のシンイチが、出撃前の最終点検のため格納庫内に駆け足で入る。
「よーっし、もう手伝う事は無さそうね…おっ!」
シンイチに気づいたサブリナが彼のほうに振り返る。いつものキャミソールに作業ズボン、相変わらず大胆。
「おはよう、シンイチ!なんか顔色悪そうだけど、大丈夫?!」
「あぁ、ちょいと昨夜は、寝付きが悪くてサ!」
昨夜の悪夢のせいで寝不足気味のシンイチを、サブリナが心配する。
しかしそうさせまいと、自身の愛機に駆け寄りながら肩を竦めて戯けてみせた。
「それよか機体は?!」
彼女の前で一旦停止、駆け足で足踏みしながら尋ねる。
「そりゃもう、整備班のお陰でバッチシよ!!」
自信満々にサムズアップ。
「っしゃ、なら大丈夫だな!!今日もヨロシクッッッ!!」
「頑張ってね、ガッチリサポートするから!…サクラちゃんが!!」
「すみません、遅れました……えっ?!何の話ですか?!」
丁度、ホバートラックに搭乗するため格納庫に入ってきたサクラが不意打ちを喰らう。
乗降用タラップに乗り込んだシンイチに向けて、ブンブンと元気よく手を振るサブリナ。そして困り顔で戸惑いながらもぎこちなく手を振るサクラ。
乗降用のタラップが操縦席前まで上昇。ハッチを開けて素早く乗り込み、シートベルトを固定しながら機体を起動させる…。
格納庫正面の巨大な扉が開き、陸戦型ジム3機が歩み出てきた。同時に、
「よっし、主役殿のお出ましだ。露払いは前に出るぞ、前進!!」
パーシヴァル中尉の号令一下、61式戦車2輌が基地の外へ向けて前進。
《チャーリー1から小隊各機へ、これより我が隊は敵強行偵察部隊の迎撃に向かう。規模は不明、十分警戒せよ。》
《チャーリー2、了解!》
《チャーリー3、了解ィ!!》
こちらもバレンツィーノ中尉の命令の下、勇躍敵を求めて馳せ参じる。
そして、戦闘区域。すでに数輌のマゼラアタックが撃破されて擱座し、または横転して黒煙をあげている。
《クッッッソ、あと何機だァ……?!》
バーリングのジムが立膝をついてロケットランチャーの弾倉を交換しながらぼやく。
《こちらアルマジロ、音紋探知によるとあとはザク2機…ないしは、3機!!》
《チャーリー2了解!よし、数が同じなら…!》
バーリングの背後に背中合わせで立つシンイチのジム。大型の盾はズタズタで、マシンガンは破壊され既に無い。右手にビームサーベル。
刹那。
《2機近づいてきます、まもなく…接敵!!》
彼らが身を隠している岩場に、ツノ付きのザクII 1機が飛び込む。シンイチの眼前に現れた。
ほぼ同時に、立膝をついているバーリングの眼前にもバズーカを抱えた旧式のザクIが横合いから突っ込んできた。
ザクIIはマシンガンを斉射、しかしシンイチのジムは盾を地面に突き立てて壁を作る。
バーリングのジムはザクIに隙を与えないようショートシールドを投げつけ、即座に距離を詰める。それと同時に発射されたザクIのバズーカ砲弾が左側頭部を掠めた。
投げつけられたシールドはザクIの顔面に突き刺さり、大きく怯ませる。
そのまま左肩から突っ込みタックル、たちまち転倒するザクI。
すかさず馬乗りになるジム。
《死ねや!!!》
空いた左手でビームサーベルを引き抜いて胸部に深々と突き立てる。これでもう二度と動くことはない。
シンイチのジムは地面に突き立てたシールドを前腕からパージし、即座にスラスター全開でそれを飛び越え、ビームサーベルを大きく振りかぶる。
意表を突かれたザクは飛び出してきたジムを撃とうとするが、狙いが定まらない。ヒートホークに持ち替える事も忘れてマシンガンを乱射する。
ザクマシンガンの数発が機体にヒットするものの、射角が浅く装甲に弾かれる。
「『面』が…狙える…ッッッ!!!」
急上昇からの急降下に伴う、凄まじいGの変動。しかし空軍上がりのシンイチにとっては最早慣れたもの。
そのまま頭部にビームサーベルを叩きつける、筈だった。
ザクもさるもの、無意識のうちに数歩下がって間合いから抜けていたため斬られたのはマシンガンの砲身のみ。潔く捨て去る。
同時に左手にヒートホークを持ち、縦に振り下ろすーーーが、
「遅いッッッ!!!!」
シンイチのジムはすでに間合いを詰めており、ビームサーベルで薙ぎ払う。
ザクの左前腕が切断され、ヒートホークは斬り落とされたザクの左手に握られたまま地面に突き刺さった。
もはや手詰まりと思いきや、ザクの右手には煙幕が詰まったクラッカー(投擲弾)。
バックステップしながらジムの眼前に投げつけ、炸裂。
そこから逃げの一手に移ろうとしたが、もはや手遅れだった。
濛々たる煙幕をぶち破り、刺突の構えのジムがスラスター全開で突っ込む。
「突きッッッ、イィぃぃやぁぁぁぁ!!!!」
打突部位を叫ぶ、剣道家故の癖。
ザクは喉元、コクピット付近にビームサーベルを深々と突き立てられた。
たちまちパイロットが消滅し、操縦系統も軒並み破壊され機能停止。
ガクンと膝をつく。勝負あり。
「ッッッハァ、ハァ、突きあり一本…!!どんなもんだァ!!」
操縦桿を握る手が震える。コクピット内で勝利の雄叫びをあげ、急機動の連続からくるGの余波で朦朧とする意識を何とか保つ。
シンイチの左腕には血が滲んでおり、鋭い痛みがはしる。ザクマシンガンを被弾した際、コックピット内に砲弾の破片が僅かに飛び込んでいた。
《…ッッ、こちらチャーリー2、2台片付けた!!チャーリー1、そちらは?!》
少し離れたところでチャーリー1、バレンツィーノ中尉はさらにもう1機のザクIIを仕留めていた。
75㍉ライフルの銃口からは硝煙が伸びている。
片脚を失い、そして倒れ込んでなお起きあがろうとするザクの背を左脚で踏みつけ、そこにライフルを片手撃ちで1発、2発。抜かりなくトドメを刺す。
《こちらチャーリー1…少々手こずったが、問題は無い。あぁクソッッッ、私とした事が……!!》
いつもより息が荒い。
アルマジロのモニターに映るバレンツィーノ中尉の顔には額から血が流れており、また彼のジムは左腕を肩口から失っていた。
《チャーリー1こちらアルマジロ、大丈夫ですか?!》
サクラが心配そうな声で問いかけ、すぐさまダンカン大尉の指揮が飛ぶ。
《チャーリー1が中破、パイロットも負傷!!チャーリー2、チャーリー3、至急合流しろ!!》
《了解!!チャーリー1!!》
シンイチのジムはビームサーベルを格納し、盾を回収し駆けつける。
《なんてこった……!了解!!》
《オスカー1、こちらも片付いた。直掩にまわる!!》
通信を聞きつけたパーシヴァル中尉の分隊も馳せ参じる。
周囲には倒れ伏したMSと、撃破されたマゼラアタックが累々たる骸を晒していた。
《各機、帰還する………皆、今日もよくやった》
バレンツィーノ中尉の短い通信ののち、3機の陸戦型ジムと2輌の61式戦車は戦場を後にする…。
帰還後、基地内の作戦司令室。
「してやられたな、今日は…俺も迂闊だった。」
大柄で口髭を蓄えた短髪の黒人、オリバー・J・ダンカン大尉が報告書を見やりながら、頭に包帯を巻いたバレンツィーノ中尉に語りかける。
「自分も…全く、面目ありません。」
MSの損失や戦死者こそ出なかったものの、陸戦型ジム2機をそれぞれ中破、小破させられるという無視できない被害。
今回は、バレンツィーノ中尉の機とシンイチ、バーリングの2機が分断され、あまつさえ支援のためのパーシヴァル中尉の分隊も誘き出され孤立してしまったのだ。
これは、連邦軍MS部隊の3機1個小隊戦術が早くも見破られつつある事を意味している。
敵が比較的少数であったことと、陸戦型ジムとザクの性能差故被害は最小限で済んだが、今後の戦いが一筋縄でいかない事は明白だろう。
「貴官のいうように、MSには新しい戦い方が必要なのかも知れん。僚機が付かず離れず援護し合い、的確に火力を撃ち込む。」
ダンカン大尉はマグカップに注がれたコーヒーを啜り、軽く咳払いをして続ける。
「…しかし、今日のような場合はやはり、密集して火力を集中させ、確実に各個撃破する方法が望ましくもある。」
反論しようとしたが、バレンツィーノ中尉はあえて押し黙って頷く。今回ばかりは分が悪い、いささか酷い被害を出してしまった故に。
「上には俺から話を通しておく。戦果は悪くないから、言い訳は付くだろう。」
さらにコーヒーを啜る。少し緩い。
「お前さんも、どうだ。」
ダンカン大尉がバレンツィーノ中尉にコーヒーを勧めた。
バレンツィーノ中尉はフッ、と笑って答える。
「いや、自分は…結構です。それより、当番兵に紅茶を用意させていただけたら。」
ダンカン大尉はニヤリと笑う。
「悪いな、あいにく司令室にはコーヒーしか無い。俺の権限でな。」
所変わって格納庫。相変わらず整備兵達が修理と補給に追われ、喧騒が支配する。
立膝をついて修理と点検を受ける愛機を、シンイチは静かに見つめていた。
今回も、この機体に救われたのだ。
「モリタ曹長!」
「おっ、タチバナ伍長!お疲れッ!」
ホバートラックの整備の手伝いを終えたサクラが駆け寄ってきた。
「お疲れ様です、今日は大変でしたね。あっ、左腕のとこ…」
包帯が巻かれた左腕を見て、眉を顰め心配そうに尋ねる。
「ん?あぁコレ?大した事無いさ!ツバ付けて絆創膏貼っときゃ治るよこんなもん」
左腕を軽く振り上げて、笑ってみせる。逞しい前腕にサクラは少しドキッとするが、
「つ…ツバは、そんなの逆にダメですよ!雑菌で化膿しちゃったり、破片も喰い込んだんでしょ?!それにー」
本気で心配して捲し立てるサクラの様子に、シンイチが慌てて訂正。
「あっ、あぁ…そうね、冗談冗談。」
「よぉっ、アツいねぇご両人!」
そこへ丁度、愛機の点検を終えたバーリングが乗降タラップから降りてきて、いつもの口調で茶化す。
彼のジムは今回ほぼ無傷のため、いつもより得意げだ。
「そういうんじゃねーよ!!…お前さん、機体の点検は終わったのか?」
「今最終点検終わったとこ!それより、そっちこそ左腕はもういいのか?治療中涙目だっただろ。」
彼もシンイチの左腕を心配する。デリカシーは無いが、他人を思いやる心は人並みに備えている模様。
「ま、まぁ、そりゃ、ほぼ麻酔無しみたいなもんだったし…破片ぶっこ抜く時はちょっと切開したから、それなりに痛かった、よ?」
「破片抜くとき切開で麻酔無し?!…ひ、ひえぇ〜」
サクラが青ざめる。物資不足故、シンイチの治療は局所麻酔、しかも最小限の量で行われた。
「でもまぁ、バレンツィーノ中尉のがもっと重傷さ。俺のなんて本当に大した事ない。」
改めて、愛機に目を向ける。
「まァ…次もよろしく頼むよ、『剣士』さん。」
ジオンのザクを倒すために生まれた、連邦軍の陸戦型ジム。
いわば生まれながらにして剣士であるこの機体は、跪いたまま静かに、次なる戦いに備えていた…。
第二話 生まれながらの剣士 終幕
幕間 バーリング轟沈
シンイチやサクラとの会話を一通り終えたバーリングは自室に向かう途中、格納庫前で整備を受ける61式戦車の近くを通りがかった。
「おっ?」
その砲塔上ハッチからは、ボーイッシュな短い黒髪に程よく日焼けした肌、タンクトップに戦車兵用の厚手のズボンを履いた女性兵士が出てくる。
何より目を引くのは、女性らしさ溢れる豊満なバストとは対照的な見事に割れたシックスパックの腹筋。
「ワォ…これはこれは♪」
すかさず、61式戦車に歩み寄る。丁度、その女性兵士ーサラ・ノワール・カミナンデス「准尉」ーが、砲塔上から降りてきた。
「やぁ、どうもお疲れ様!」
「…?」
崩れた敬礼を交えて、バーリングが気さくに話しかける。
「戦車と美女っていうのはなかなか乙なもんだよねぇ、ガールズ&何とかってのもあるし!」
無神経に話しまくるバーリングに、サラがツカツカと歩み寄る。
「ところで素敵なお姉さん、この後お食事で…
も゛ッッッ?!?!」
言い終わらないうちに、金的に前蹴り。
そう、彼女は「准尉」、バーリングは「軍曹」。
品位を著しく欠いた態度に、サラは制裁を加えたのだ。
…彼女が上着を脱いでタンクトップ姿だった故、階級章が見えなかったのも原因ではあるが。
「口の利き方に気をつけな、次は無いよ。」
冷たく言い放ち、蹲るバーリングを横目にさっさと立ち去った。
股間を押さえたまま、バーリングが唸る。
「コ゜ッッッ、ぉぉぉ〜〜〜、タマは大丈夫か?1、2、3、と………おぉぉ大丈夫だ、問題無い」
モゾモゾと「何か」を確認。何が3個?
…すると、彼の肩に誰かが手をやる。
「えっ、誰…」
パーシヴァル中尉に匹敵する黒人の巨漢、そしてサラの61式戦車のドライバーを務めるナザレンコ曹長だった。
彼はバーリングの肩に手を添えたまま、首を横に振る。しかし、無口ゆえにバーリングはその意図を汲めなかった模様。
「えっ、何?怖いよぉッッッ……!!」
相変わらず首を横に振るナザレンコ、謎の気まずい雰囲気が辺りを支配する…………。
幕間 バーリング轟沈 終幕
はい、バーリングが轟沈してしまいました…(?)
彼はもう基本こんな扱いです
まだストックはありますが、とりあえず今日はここまで。
読んでいただきありがとうございました!!