機動戦士ガンダム外伝 斬凶戦記   作:野武士山芋侍

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第八話 最悪の日:ホバートラック鹵獲編

ジオン公国軍、某拠点のテント内。

一人の女性高級士官が、端末の映像ー友軍MSのガンカメラ映像ーを精査している。

映像だけではなく、その他可能な限り傍受できた連邦軍の無線通信、戦闘中の動向、集合と離散のタイミング、パイロット毎の癖…

数多の情報を集積して解析・精査した結果、一つの結論を導き出した。

「間違いない、やはり…ホバートラック。あれが鍵ね。」

釣り上がった目、艶やかな唇とその声にはサディスティックな感情が垣間見える。

イリーナ・キリレンコ中佐。

彼女はジオン公国軍の諜報部隊「キシリア機関」の将校で、ここ北米戦線において連邦軍のMS戦術を看破すべく暗躍している。

そして此度、情報管制や索敵・指揮通信をほぼ一手に担うホバートラックが戦術の要であると見抜き、これを鹵獲せんと画策していた。

「キシリア様への手土産に、丁度いいわね。コマツ大尉の部隊の損耗は予想外だけれども…ウフフフ………」

不気味な含み笑いがテント内に響く。

そして声に出さず、思案を巡らせた。

(後は、配置した監視ポイントの情報次第か。『奴ら』の配置箇所と、現在の戦況から割り出される次の侵攻ルートは………ここと、ここと……そして、ここ。)

すでに印だらけになった地図に、また新たに印を付ける。

複数の森林地帯がマークされた。

目をつけられたのは第41機械化混成中隊。

かつてない危機が、彼らに迫りつつあった………。

 

オデッサ作戦は連邦軍の勝利で終結した。

同軍はその機甲戦力の8割を喪失したとも言われる大損害を被ったものの、欧州方面のジオン公国軍主力をほぼ壊滅・敗走せしめるに至った。

北米方面においてもジオン公国軍の前線の後退は著しく、勝利の勢いに乗る連邦軍はこれを機に追撃と掃討に転じる。

 

そして、連邦軍某基地。

シンイチ達41中隊が展開するこの基地には連日空軍の輸送機が忙しなく離着陸を繰り返し、追撃部隊のための物資を前線に送り出している。

また時折MS部隊が輸送機に騎乗し、前線に向かう様子も見られた。

そんな中41中隊のMS小隊は、基地に展開する友軍の安全を確保するため今日も基地外周の警戒に従事していた。

《やれやれ、急に駆り出されたと思ったら外周警戒か……大抵何もねぇっつーの。》

バーリングがぼやく。休暇明けの気怠さは、いかな宇宙世紀を迎えた人類であろうとも度し難い敵のようだ。

《黙って警戒してろ。そんな事言ってる時に限って大抵何か『来る』んだよ。》

《怖い事言うなァ…》

シンイチが諭すが、続けて無線が入る。

《こちらタワー、聞こえてますよ二人とも。私語は謹んでください。》

サクラの声。今日は基地の管制塔に詰めている。

彼女の無線の背景音では、空軍の管制官の慌ただしい会話が飛び交っているのが聞こえていた。

続けて通信が入るが、今度は司令室のダンカン大尉の声。

《こちら司令室、割り込む。チャーリー2及び3はブラボー小隊に外周警戒を引き継いだのち、帰投されたし。…新たな命令だ。》

《…チャーリー2了解、ブラボー小隊の現着を待つ。》

《チャーリー2、お前さんの言ったとおりになったな。『何か』来た。》

無線越しに、バーリングの呑気な笑い声が混じった。

帰投し、司令室に出頭する2人。すでにダンカン大尉をはじめ、中隊の全員が集合していた。

また見慣れない空軍士官数名も居る、うち1人は戦闘機用のパイロットスーツ。

「さて、これで揃ったな。始めよう。」

ダンカン大尉のブリーフィングが始まる。

「皆も知っての通り、オデッサ作戦終了以降我が軍は各地で攻勢に転じている。そして我々も、その一翼を担うこととなった。」

大型ディスプレイに映し出された地図に、赤いレーザーポインターの点が示される。

「今回の任務は強行偵察だ。場所はここ、ポイントG(ゴルフ)5の森林地帯…」

「また随分遠いなァ、ちょっとした『お出かけ』になるぜコイツは。」

ダンカン大尉が声のする方、つまりバーリングに目を向ける。即座にバーリングが気まずそうに顔を伏せた。

咳払いをしつつ、再開。

「…この地点において、ジオン軍の歩兵部隊が活発に動いているとの情報が入った。我々が駆り出されたのは敵の規模が不明なため…。」

シンイチが挙手して質問。

「つまり、MSが存在する可能性も?」

これは前々から続く、「第二の懸念」を見越しての質問。

尤もその懸念は未だシンイチの胸中だけのものだが。

「そうだ。否定できない。…また今回は遠方であるため、空軍の輸送機部隊との共同となり、護衛もつく。」

レーザーポインターは、先のポイントのやや東の地点を指す。

「輸送機で現地直近まで移動、MSと61が先行して空挺降下し、G5東側のポイントG4を確保。ここにデポ(補給ポイント)を構築したのち任務にあたる。敵を見かけたら『好きに撃て』とのお達しだ。………何か質問は?」

レーザーポインターの赤い光が消えた。

パーシヴァル中尉が挙手。

「今回大尉はウチの61に同乗されるとの事ですが、それで間違い無いんで?」

「そうだ。変更は無い。」

「…了解。」

続けてバーリングが挙手。

「こんなだだっ広い森林地帯を、我々2個小隊だけで探るんですか?」

「心配には及ばない、空軍の航空支援がある……」

パイロットスーツの空軍士官に目をやると、彼は自信に満ちた表情で頷く。

「…コールサイン『ユニフォーム』、歴戦の部隊だ。新型機も受領したばかりで、体制は盤石だ。また現地では既に、61式2個小隊が展開している。」

空軍士官が立ち上がり、敬礼。

「『ユニフォーム』フライト、指揮官のコールドウェル中尉です。往路での護衛と、近接航空支援を務めさせていただきます。」

コールドウェル中尉はここで41中隊員達を見やり、さらに一言添えた。

「貴隊の活躍は聞き及んでおります、一緒に任務に当たれて…光栄です。」

「おっと、了解。こちらこそ、まっこと頼もしい限りであります。」

思わずバーリングが居住いを正し、照れくさそうに敬礼して椅子にもたれかかった。

「他に質問は?」

挙手する者はいない。

「……よし、それでは作戦準備開始だ。搭乗員は装備を整え、13:00再度ここに集合。……解散ッッッ!!」

詰めかけていた面々が一斉に席を立ち、動き出した。

いよいよもって、連邦軍の攻勢が動き始める…………。

 

少しばかり時間を遡り、再びジオン公国軍某拠点。

「中佐殿!!」

指揮官付軍曹が仮設テント内に駆け込み、キリレンコ中佐に報告。

「ポイントG4(グスタフ・フィーア)の監視地点より報告、敵空軍部隊に動きがあるとのこと。また同所付近に、連邦の機甲部隊を確認したと。」

「なるほど……となると、目標はやはりポイントG5(フュンフ)。軍曹、すぐに出発の準備を。作戦を開始すると現地の陽動部隊にも伝えろ。それから……」

少し間を置いて思慮ののち、確認する。

「G5の直近には農家があった筈だな?廃墟か、有人か?」

「はっ、2日前の情報では農夫の出入りが……」

被せるように、非情な命令。

「ただちに接収、拠点化しろ。住民が抵抗するようなら、あらゆる手段を用いて排除すること。」

指揮官付軍曹に手早く指示を済ませると、足早にテントを出るキリレンコ中佐。

たちまち、入り口付近で作業していた兵達が振り返り、敬礼。

彼女はそのまま、拠点内に停車させてあるサムソントレーラー(MS搬送用大型トレーラー)に向かう。

「車載マイクをもて!!」

運転席に居た兵士に告げる。

差し出されたそれを奪い取るように受け取り、拠点内に響き渡る声で高らかに宣言した。

「各員、時は満ちた!!今こそキシリア様に忠誠を示す時だ。愚かな親鳥はまもなく罠にかかるだろう。これよりホバートラック鹵獲作戦開始のため、ポイントG5に向かう。失敗は、決して許されない…………皆の奮闘努力に期待する。ジーク・ジオン!!!!」

「最悪の敵」もまた、躍動を始めていた………。

 

時は戻り、現在時刻。

まもなく連邦軍ポイント情報「G4」、高度3000メートル…。

3機のミデア輸送機が菱形編隊で飛び、その周囲を新型の戦闘爆撃機「ジェットコアブースター」、通称「コアイージー」が護衛としてがっちりと固めていた。

敵支配地域付近ではあるものの、航空優勢は連邦軍が握っているため敵機の迎撃は無い。また対空砲火もまばらで各機ともここまで無事に来れた模様。

先頭のミデアには陸戦型ジムが2機、バレンツィーノ中尉のチャーリー1とシンイチのチャーリー2が積載。

左翼、2番機にはバーリングのチャーリー3とホバートラック「アルマジロ」が載っていた。

そして右翼3番機には、オスカー分隊の61式戦車2輌。

61式にはかねての予定通りパーシヴァル中尉の車輌にダンカン大尉が騎乗、陣頭指揮を執る。

左翼、ミデア2番機内ではサブリナがホバートラックの最終点検と、「ある細工」を行っていた。

「……?サブリナさん、何してるんですか?もうすぐ搭乗待機だそうですよ。」

サクラが不思議そうに尋ねる。

「うん?あぁ……ちょい待ち。コレね…ちょっとした『細・工』♡エンジンキーにも仕掛けがあるのよ。」

何やらガトリング砲の撃発装置周りの回路を弄っているサブリナ。

程なく作業が完了したようで、ガンナー席から降りてきた。

「…これでヨシ。なんたって今回は敵中ど真ん中で動くのよ、機密の塊のこの子が万一盗られないようにね。」

サクラが羨望の眼差しを向けて感心する。

「すごいなぁサブリナさん…機械ならなんでも弄って思い通りにしちゃうんだから。」

「何でも思い通りにってのは言い過ぎよ!……さぁ搭乗待機ね、行くわよ!!」

「はい!!」

二人してホバートラックに乗車、それぞれの座席につきシートベルトをきつく締める。

地上では、先行していたタンゴ小隊ー現地部隊の61式戦車8輌ーが、敵後方を守る殿と思しきマゼラアタック8輌と交戦している模様。

しかしすでに2輌の61式が撃破され、黒煙をあげていた。

と、ここでミデア3機が高度を落とす。

うち1機、61式戦車2輌を積載した3番機はさらに地表に近づく。

《よーーーっし、準備良いな!!オスカー1よりオスカー2、着地と同時に右90°回頭だ!!ヤツらの横っ腹にブチ込んでやれ!!》

《オスカー2了解、降下準備よろし。》

パーシヴァル中尉の気合いの入った号令と、サラの冷静な返答。

ミデア3番機はさらに高度を下げる。もはや地面スレスレに近い。

《ペリカン3、カーゴハッチオープン!!パラシュート展張用意!!》

ミデアのパイロットから通信。まもなく降下。

機体後部の巨大なハッチがゆっくりと開いた。

眼下には、ベルトコンベアの如く高速で流れ去っていく地面。

「ダンカン大尉殿、まもなくランディングです!!少しばかり荒っぽいので、席をお立ちにならないよう!!」

同乗するダンカン大尉に呼びかける。気丈にジョークで返した。

「あぁ、機内食の後はコーヒーを頼む!!」

「ハハハハ、承知!!極上のを用意しますぜ!!」

《降下まで10秒!!》

「……よし、パラシュート展張!!」

カーゴベイ内のクルーが合図。

たちまちパラシュートが開き、61式戦車を載せた大型のパレットが勢いよく機外に引っ張り出された。

マゼラアタック部隊は正面のタンゴ小隊に気を取られ、よもやミデアのカーゴベイから戦車が投下されてくるなど思いもよらなかった模様。

《タッチダウン、衝撃に備え!!!》

パレットが接地、衝撃とともに地面を滑る。

濛々たる砂煙。

《ザジー、パレットから降りたら後進いっぱい、しかるのち右90°!!》

《合点承知!!》

パレットが停止した。

どちらもうまく降下できたようで、すぐさま動き出す61式戦車2輌。

完全に対応が遅れたマゼラアタック部隊は、側面を突かれる形となった。

マゼラアタックはその特異な構造(砲塔が分離し飛行できる)のため砲塔が旋回できない。ゆえに砲を敵に指向するにはさながら自走砲の如く車体ごと振る必要があった。

タンゴ小隊に対応している最中にさらにオスカー分隊に対応するとなれば、それは優勢な敵に側面を晒すことになり、いうなれはマゼラアタック部隊は側面を取られた時点で既に詰んでいた。

容赦なく浴びせられる、連装155ミリ滑腔砲からの砲撃。

パーシヴァル中尉のオスカー1が放った最初の一撃は見事、敵の最左翼車輌を捉えた。

車体側面に1発、もう1発が車体と砲塔を繋ぐ支柱部分に直撃(ここには砲弾の給弾機構がある)し、たちまち砲弾に誘爆。

マゼラアタックは木っ端微塵に爆散した。

《オスカー1、1輌撃破!!続けて行進射、弾種徹甲!!》

《オスカー2撃ちます!》

サラのオスカー2が発砲。さらに1輌を燃える鉄屑に変える。

タンゴ小隊も正面からの圧力をさらに強め、戦車戦は一気に連邦軍優位に傾いた………。

 

《よし、チャーリー1から各機、こちらも降下ポイントだ。行くぞ!!》

やや低高度、上空500メートルのミデア1、2番機から陸戦型ジム3機、61式と同じようなパラシュート付きパレットに載ったホバートラックが押し出された。

《スラスター噴射のタイミングに注意しろ。空中でバックパックをオーバーヒートさせると、地面とディープキスだぞ!!》

《チャーリー2了解!!》

《チャーリー3了解…ディープキスならとびっきりの美女と、よろしく願いたいもんだ!!》

《言ってる場合かドアホ、高度見ろ!!》

シンイチがどやす。

《………チャーリー1からアルマジロ、流されてるぞ、大丈夫か?!》

パラシュート付きのパレットに載せられたホバートラックが、陸戦型ジム3機から離れつつあった。

《こちらアルマジロ、このままでは……着地点をおそらく数100メートル北西に逸れる模様。着地後急ぎ合流願います。》

《了解、着地点では警戒を怠るな!!すぐ迎えに行く!!》

ホバートラック内でガンナー席に座るサブリナがサクラに伝える。

「降下ポイントズレるの?じゃ、降りたら動かない方がいい?」

「そうですね、おそらく………もうすぐ接地しますよ!」

衝撃。

幸いにして、機能に異常は見られない。

ひとまず安堵するサブリナ。

「ッッッはぁ〜〜〜、無事に下界に降りたみたいね。空挺は生きた心地しない………うん??」

ぼやきつつも、開放式のガンナー席から顔を出して辺りを見廻すと、一瞬だけホバートラックの側面に人影が見えた気がした。

「………サクラちゃん、外に誰か居る?」

ガンナー席から降りながら、サブリナがサクラに問う。

「え、あたしには何も………」

 

そして「最悪の日」が、唐突に始まりを迎える。

 

ガラン、という金属音とともにガンナー席から何かが投げ込まれ、サブリナの足元に転がった。

それを見るや、即座に叫ぶ。

 

「ッッッ!?ヤバい、スタングレネード!!!!」

 

間を置かず、狭い車内で炸裂。

凄まじい閃光で視界が真っ白に灼かれ、響き渡る大音響は鼓膜を破らんばかりの衝撃。

ホバートラック内の二人はたちまち昏倒し、床に崩れ落ちた………

 

…しばらく後。

「……女が二人いる…へっ、しかも上玉じゃねぇか…」

「…なんにせよクルーは情報源だ…殺すな…」

「…お楽しみは…一旦お預けか…」

「…高級将校は…居ない………」

朦朧とする意識の中でサクラは、ホバートラック内に侵入してきたであろう者達の複数のブーツの音と、彼らが口々に発する粗野で粘着質な声をうっすらと、聞く。

(…ジオン………?嫌、嫌だ………来ない、で……みんな………助けて………)

自らを締め上げようとする、無数の手。

絶望とともに、気を失った。

サブリナはスタングレネードが炸裂する直前に顔を伏せていたため、平衡感覚をやられて倒れ伏したもののかろうじて意識は保っていた。

彼女は両手を後ろ手に縛られながら、何とか思案を巡らせる。

(………まだ、動ける。アタイが……何とかしなきゃ………!!)

 

同時刻、チャーリー小隊。

バレンツィーノ中尉が異変に気づく。

ホバートラックが突如、北西の森に向けて猛スピードで走り出したのだ。

《………?アルマジロ応答しろ、何処に行く?何かあったのか?》

当然、返答は無い。

それもそのはず、ホバートラックの支配権は今やキリレンコ中佐配下の工作部隊の手中にあった。

《何処行くんだァアイツら、デポはまるっきり反対方向じゃないか、トイレか?》

それを知る由もないバーリングは、いつもの調子で茶化す。

が、バレンツィーノ中尉は既に異変を感じ取っていた。

《…様子が変だ。至急至急、こちらチャーリー1、展開中の各部隊へ送り込む。ホバートラックに異常、森に向かって走り出した。応援送られたし。こちらは追跡を試みる!!》

《……まさか、乗っ取られ………しかし、こんな短時間で……そんな、バカな事が……!?》

珍しく狼狽えるシンイチ。即座にバレンツィーノ中尉が答える。

《…いや、ありえる!!敵の支配地域だ、何が起こっても不思議じゃない!!》

《…ッッッ!!畜生めが!!》

バーリングが悪態を付くと同時に、言うが早いがホバートラックを追う3機の陸戦型ジム。

しかしホバートラックはスモークを焚きながら、猛スピードで森林地帯に入りさらにその奥へと進む。

と、ここでパーシヴァル中尉達が到着した。

《こちらオスカー1、あの森林地帯では背の高いMSじゃ追跡は困難だ。俺達で追う、一旦デポまで退け!!》

勇躍、北西方向に猛然と進路をとる2輌の61式。

 

最悪の日が始まってから、まだ数分しか経っていなかった………。

 

第八話 最悪の日:ホバートラック鹵獲編 終幕

 

 

幕間 物申す系オタ、シンイチ

 

連邦軍某基地、いつぞやの待機室。

「…ちっ、ハヤカワはまた1/72のフライマンタ、デカール替えか……。」

シンイチがソファに腰掛けて何やらカタログに目を通している。

「…?シンイチさん、それ…カタログですか?」

「そう!!!これプラモ!!今月の新製品よ新製品!!!」

よくぞ聞いてくれました、とばかりにいつになく語り口に熱がこもるシンイチ。

唐突なその熱苦しさ?のあまり、サクラは目が点になる。

「だいたいハヤカワはいつもデカール替えが多いんだよ、セイバーフィッシュの記念塗装機なんてどんだけ有るんだ…」

「あっ、えーっと……何か、不満そうですね…」

どうやらシンイチは、とある模型メーカーに同じ機体のプラモデルのいわゆる「デカール替え商品」が多すぎることに不満がある模様。ワカル。

戦時中故物流や原材料調達等に不便があるとはいえ、こうもお茶を濁すようなラインナップは彼としても不満なようだった。

「まぁでも、超弩級要塞マクベスシリーズのCF(チェンジングファイター)は相変わらずいい線いってるのよね。あれは出来が良いから評価できる…」

「は、はぁ………。」

話についていけず、微妙なリアクションのサクラ。

と、ここで待機室にパーシヴァル中尉が入ってきた。

「ようお二人さん、お疲れ……お、モリタ曹長、それ今月の新製品か?!」

彼もまたカタログを見、一段と目を輝かせた。どうやらシンイチと趣味が合うらしい。

「あ、中尉殿わかります?!ハヤカワの新製品はまたデカール替えですよ!」

「何、またか!相変わらずだな…………ふむ、どうやら今月はタマヤもイマイチらしいな、また61式のバリエか…」

「みたいですね……あっ、でも今度は新規パーツ込みの5型ですよ。」

「うーーむ、初期型の出来がアレじゃあな……タマヤらしくない。」

「タマヤといえば…バトルバードコレクションで、1/72のトリアーエズが来た時は激アツだったんですけどね…。」

「それなら東欧メーカーのズビズバの方がうんたらかんたら……。」

「欧州のドイツラベル社のは他メーカーの箱替えでなんとかかんとか………。」

「………。」

「……。」

「…。」

濃いめのマニア同士、会話は無限に続く。

完全に置いてけぼりのサクラは、とりあえず二人に熱いお茶を注ぎながら思う。

(シンイチさん………こんな風に子供っぽいところも、可愛いなぁ……。)

 

幕間 物申す系オタ、シンイチ 終幕




皆様お疲れ様です、芋侍です。
この度はユニークアクセス470越えまことに恐縮の至り、最後までじっくり読んで頂いている方々に至ってはもはや感謝の言葉もありません…!!
改めましてありがとうございます!!
そして急展開の第八話、連邦軍のホバートラックはこっちの世界の空軍でいうところのAWACSやAEWみたいなモンでそもそも機密の塊だし、ジオンも欲しがるんじゃね?と何となく思った結果このお話ができました。
さらにヒロイン達も攫われて危機に陥るという定番の流れも組み込んだワケですが、ここからもっとアツい展開に持ってく予定です。
ところであんま関係無いけど、空挺降下のシーンは脳内でバトルフィールドのテーマ流れるよね……流れない?

次回奪還編、41中隊はどうする、ヒロイン達はどうなる?!
お楽しみにッッッ!!!!

…幕間の中に出てきた各種模型メーカー名や色んなものの元ネタ、皆は分かったかな?( ͡° ͜ʖ ͡°)

追記:現在第九話を一通り書き上げて調整中、もうしばし待たれたいドーゾ!!
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