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「ー葉、彩葉!」
声が聞こえる。段々と瞼が開く。
「ヤチヨ……。」
「馬鹿…壊れちゃうよ…。」
あの時の悲しそうな笑顔ではなく、今にも泣きそうなヤチヨの顔が見えた。
「かぐや…。」
ヤチヨを、かぐやを抱き締めずにはいられなかった。
「ごめんね、気づいてあげられなくて。ずっと待ってて、探してくれてたのに。」
「彩葉…彩葉……。」
「やっと追いついた。」
私の大好きなかぐや。長い長い時間をかけてヤチヨになっていったんだね。無数の孤独と絶望、出会いと別れを得て優しい笑顔を覚えたんだね。
「追いついたのは、私の方…。」
ヤチヨが囁く。
「強くて凛としてちょっぴり悲しい、綺麗な顔。でも初めからそうじゃなかったんだね。それを知るのに八千年もかかっちゃった。」
「ヤチヨ……。」
どうしようもないほどヤチヨの顔が見たくなる。
「私、成長したよ?お母さんとだって話せて、かぐやがいなくたって、十分ハッピーエンド……。お話は、もう終わり。」
それでいいの?
と自分の中から訴える声が聞こえてくる。
結局、また取り繕うの?
かぐやは私に似て、八千年を通して隠し事が上手くなってヤチヨのになった。なら、私は……、あぁやっぱり…。
「かぐやといたい。ヤチヨといたい。」
かぐやのように心の底からの願望を口にする。
「初めて大切な人だと思ったかぐやといたい。私の人生に意味をくれたヤチヨといたい。」
口に出して初めて本当の気持ちに気がついた。
「彩葉……。もうこれで、終わっていいと思ってたのに。」
あの一雫とは違う、大粒の涙がたくさん溢れていく。
「〜♫〜〜〜♪」
「〜〜〜♩〜♬」
震えた声で私とヤチヨが歌う。
「いつも思い出してた。」
「この曲で、生き残れた。」
二人同時に手を挙げる。私とかぐやのハンドサイン。"仲良しのやつ"これがあるなら、私たちはずっと一緒だ。
「触れたら、あったかいなっていつも思うんだ。また、彩葉と一緒にパンケーキ、食べたいな。」
私の手を触れながらヤチヨが言う。これで終わってしまうの?これがハッピーエンドなの?
「違う!」
この物語は終わりじゃない。まだ続けるんだ。
「私やりたいことができた!」
なんとも言えない焦ったさが身体中を駆け巡る。今すぐにでも駆け出したい。
「本当のハッピーエンドまで付き合ってよね!」
私はヤチヨと少し離れた場所にいる秘書さんに向かう。
「秘書さん、ありがとうございます。」
「いえ、それが私のすべきことですから。」
かぐやの孤独と絶望を少しでも和らげてくれた人。
「あの、私やりたいことがあるんです。協力してくれますか。」
そういうと、秘書さんは無表情だけどどこか優しそうな目をしていた。
「ぜひ、協力させてください。」
その言葉を聞いて舞い上がっていた私は気づかなかった。
「………。」
その目は悲しみを閉じ込めた笑顔の目だったことを。
『いよいよですね。』
「うん。」
友人や兄、多くの人の協力を得て作り上げたアバターボディ<KG型>と<YC型>、そのお披露目会だ。
「まあ、あくまでも試作品の第一号機だから失敗前提。…それでもできることはしたよ。」
前途多難だった。ヤチヨを<YC型>に入れたが、意識はあるけど動けないなんてこともあった。でも、これ以上二人を待たせたくない。
『彩葉さん、お疲れさまです。』
「いえいえ、秘書さんの協力あってこそですよ。」
そう、秘書さんの月の技術を基に作った代物。アンドロイドとはいえ、それは殆ど人とは変わらない。お腹が空くし、動けば疲れる。ただ、味覚はもう少々お待ちあれ。
「みんな、入っていいよー。」
廊下から見知った顔が続々現れる。
「みんな、準備はいい?」
「おはよう、かぐや、ヤチヨ。」
「「おはよう、彩葉。」」
これにて一人の人間と二人のかぐや姫の物語はめでたしめでたし。
じゃあもう一人は?
今の所クロスオーバー有りが多いので有りきで考えています。
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