かぐやと話していると、ヤチヨのライブの時間になっていた。急いでライブ会場に行く。待ってと聞こえるが、あんたが急いで来い!
『本日もヤチヨミニライブの開演だーっ!!』
忠犬オタ公の声が聞こえた。
「な…なんとか間に合った…。」
「ねえ、彩葉何が始まるの?」
「まあ待ってなって。」
「太陽が沈んで、夜がやってきます。」
ヤチヨではない少女の声が聞こえる。このチュートリアル時の音声がユーザー達を初めてツクヨミに来た時を思い出させてくれる。周りからカウントダウンが始まる。ワクワクが止まらん。
「「「「5…4…3…2…1…0!」」」」
同時に全員が0と叫ぶと同時に…。
「ヤオヨロ〜!神々のみんな〜、今日も最高だった〜?」
ヤチヨが現れると同時に歓声が湧き起こる。かく言う私もその一人だ。
「よーし、今宵も皆を誘っちゃうよ!」
「ねえ、彩葉ってば!」
かぐやの声で我に返る。 あっという間にライブが終わってしまった。
「感謝感激雨アラモード!ヤチヨは果報者なのです。そしてここでお知らせ!ヤチヨカップっていうイベントを開催しま〜す。」
ヤチヨが詳細をFUSHIに任せた。
「参加資格があるのはツクヨミの全ライバー!一ヶ月間に最も多く新規ファンを獲得した人の勝利。優勝者はなんと!ヤチヨとのコラボライブの権利をプレゼント!」
えっ、嘘、コラボ!?
「コラボライブ?すごいの?」
「当たり前じゃん!ヤチヨはライブはいつも一人だったんだよ!?誰と?これは歴史的なライブになるよ!」
「じゃあ彩葉も一緒にやろ。」
(無理でしょ。こんなモブの私とヤチヨがコラボなんて…。)
バーン!
突然ド派手な爆音が轟き、観客全員が注目する。みんなの目線の先にはツクヨミ内でも屈指の人気プロゲーマー'ブラックオニキス'だった。
みんなはブラックオニキスの元に向かうが私は遠慮しておこう。かぐやの後ろに隠れておこうっと。
「すげー、ヤチヨと黒鬼のコラボが!」
「伝説になるぞ!」
周りが優勝者は決まったと考えている。まあそりゃそうだろ…。
「ヤァーーチーーーヨォーーーー!!」
大声でヤチヨ様が呼ばれている。何かトラブルでもあったのだろうか。演出は終わったので少し見てみるとしよう。邪魔にならないように少し後ろの方に…。
「いとかわゆし。」
ヤチヨ様が呟いた。目線の先には金髪の少女…かぐや様がいた。ふと昔を思い出す。あの時も突発的に動いていましたね。
「ほいでは、ライブは一旦ここでクローズ。みんなとちょこっとお話しするよ。さらば〜い。」
感傷に浸っているとヤチヨ様と観客の握手会に入ろうとしていた。邪魔しては悪いので急いで裏側に移動するとしよう。
ヤチヨの方を見ていると鳥居の上に人が見えた。
「ねえ彩葉〜一緒にやろ〜。」
「ダメ!無理む」「ムリムリムリ!小娘が!」
声の主を見てみるとFUSHIだった。もっと可愛いマスコットみたいじゃなかったっけ?
「こら。」
威嚇するFUSHIをヤチヨが制した。うわ、生ヤチヨ、しかもミニヤチヨだと!めちゃくちゃレアだ。
「ヤチヨカップはライバー限定だよ〜。」
「そっか!じゃあ彩葉、私準備してくるねー!」
かぐやが速攻でログアウトした。…今、私とヤチヨの2人きり?やばい。
「今日は楽しんでくれた?」
「は、はい……!あの、そのいつもヤチヨに支えられて、暗くて寒くて長いトンネルみたいな感じで…、ヤチヨのおかげで耐えられるっていうか……。」
まずい、しどろもどろすぎるだろ私。
「…もっと気の利いたこと言いたかったな〜って思ってたり?」
「えっすごい、なんで分かるんですか!?」
「ふふん、ヤチヨはエスパーなのです。」
そういうとヤチヨは私の手を握って…。
「ヤチヨも一緒だよ。」
「ヤチヨも…?」
そういうとヤチヨはツクヨミの誕生秘話を話してくれた。1人ぼっちのウミウシを月が照らしてくれた。人の姿になったウミウシが月を見守るためにツクヨミを作った…と。
「みんなにはナイショだよ。」
たくさんのファンサで一周回って冷静になってきた。そういえば鳥居の上にいた人は誰だったんだろう。…まさか迷惑客!?
「ヤ、ヤチヨ。あの、鳥居の上に人がいたんですけど…。」
「ん、どんな人だった?」
「えーっと、ブロンズ色の長髪でなんかゴスロリ…?っぽい格好で。」
そういうとヤチヨは考えていたが、すぐに分かったように笑った。
「あ、その人はスタッフさん。'秘書さん'だよ。」
「秘書…さん?」
「そう。ここだけの話、演出とかサポートをしてくれるの。なかなか見られないからラッキーだね。」
そんなすごい人がいたんだ。
「心配してくれたんだね、ありがとう。そして、いつも来てくれてありがとう。」
「!?!?!?!?」
頭を撫でられた。溶けそう。…いつも!?認知されている!?って行動ログとか見れば分かるか。やばい、もう限界だ。
「あの、き、今日はこれで。ありがとうございました!」
そう言ってログアウトした。様々な感情がないまぜになって爆発しそうだ。
「またね…彩葉。」
後ろからそう聞こえた気がした。
「ヤチヨ様、あれだけ近く接していると贔屓だと思われてしまいます。」
「いいもーん、贔屓だもーん。」
「ハァ…。」
いくら嬉しいからと言ってもあれはやりすぎだ。バレるどうこうの話ではない。
「…気をつけてくださいね。」
「うけたまかしこまつかまつり〜。」
…気をつける気ないなこの人。
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