もしFUSHIの他に'付き人'がいたら   作:菓子中毒

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 初見で一番感動したところですね、この花火大会。


お別れの時は近い

 ライブの後に芦花と真実に花火大会のチラシを配られた。

 

「芦花と真実も来るよね?」

「残念ながら夏休みの宿題を完全に放置してたのです。」

「というわけで。」

「「あとはよしなに〜。」」

 

 二人とも宿題はさっさと終わらせるタイプだ。…気を使ってくれてるんだろな。

 

「日付は…今日だ。」

 

 …かぐや。せっかくだし…ね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 リビングに行くとかぐやは鯛を握り寿司に変えていた。

 

「かぐやさん、絶好調っすか。」

 

 いざ、誘うとすると気恥ずかしい。何この自分の変なキャラ…。

 

「お、彩葉。いいところに来た。」

 

 握りたての甘鯛に醬油を塗って私の口に放り込む。

 

「なにこれ、うますぎ。」

 

 どことなく雰囲気が軽く感じる。今なら…。

 

「ねえ、かぐや。」

「ん?」

「あ、遊ぼー。」

 

 かぐやはどんな反応するかな…。

 

「やった!やたやた!やったーーーー!」

 

 …めちゃくちゃ喜んでる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 リビングを片付けて駅前の和服レンタル屋さんに行った。色は白と紺色だがどっちとも向日葵が描かれている。

 

「なんか変じゃない?」

「何着ても似合うよ〜!」

 

 恥ずかしっ。

 

「もう行くよ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 花火大会の会場に着き、色々な屋台を巡る。

 

「楽しキングダム!」

「…ん。」

「彩葉真似っこ〜。」

 

 やらなきゃ良かった。…何処となく重い雰囲気が私たちを纏っていた。

 

「月ってさあ、決められた役割をずっと繰り返すだけなんだよね。」

「そうなんだ…。」

 

 かぐやが自分の故郷について語る。

 

「新しいことを考えること自体が異常っていうか…かぐやだけ、浮いてたんだ。」

 

 悲しそうに震えた声でかぐやは綺麗な笑顔で言った。

 

「……わぁ。」

 

 突然、ドンっという音と共に色とりどりの光弾が散りばめられる。花火が弾けた。

 

「綺麗…。」

 

 そこから連続して花火が上がる。

 

「向こうで暮らしてて、どっか行きたーいって思ってたら違う世界が見れる窓を見つけたの。」

「窓…?」

「そこから見る彩葉たちの世界をみたら、みんな好き勝手動いて、複雑で、一回きりだけどとても自由に見えたの。」

 

 そんな事を言うかぐやはまるで見納めのような顔をしてた。

 

「でもこっちに来てからわかったの。みんな自分の気持ちを抑えてるんだね。」

 

 なんだか、かぐやが大人びてるように見える。

 

「なに、大人じゃーん?」

 

 その成長が嬉しく、少し怖く、少し悲しくてついつい茶化すように言った。

 

「えへへ、彩葉の真似かな〜。」

 

 一際大きい花火が二つ上がる。

 

「ね、かぐや。」

「うん?」

 

 ここで聞くんだ。ここで聞けなかったらもう二度とかぐやの口から聞けない気がした。

 

「かぐや…帰っちゃうの?」

 

 認めたく無い、聞きたく無いけど…。

 

「うん。」

 

 かぐやはあっさりと頷く。

 

「いやー、仕事が残ってるからー、強制送還的な?」

 

 なんでそんな笑顔でいられるの?かぐやはつまらないことが嫌いなのに…。

 

「…かぐやは、"かぐや姫"だったみたい。」

「……。」

「次の満月の夜ににお迎えが来る。」

 

 ライブで出てきたあの日付は次の満月の日だった。

 

「うちに?」

「仮想の世界と月ってとても近いからツクヨミに来ると思うよ。」

 

 なんでそんなに諦めてるんだろう。かぐやらしく無いじゃん。

 

「また、逃げればいいじゃん。」

 

 一緒に逃げようよ。子供みたいに泣いて喚いて暴れてくれればどれだけ気持ちが楽か…。

 

「そんなハチャメチャなかぐや姫にもお迎えが来ましたが、最後の日までめちゃくちゃ楽しく過ごしましたとさ。って、そーゆーのがいいじゃん。」

 

 あんなにハッピーエンドが良いって言ってたのに…。本当にいつのまに大人になってたんだろう。

 

「そりゃあ、本当はさ、もっともっと彩葉と歌いたかった。新しい曲もたくさん…。あ、そうだ!お迎えが来る日に派手にライブしたいなー。」

 

 縋るように、止めるようにかぐやの手首を握る。

 

「もう、おうちに帰らなきゃ。帰れなくなっちゃう。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ねえ、かぐや。卒業ライブに向けて新曲作る?」

「え、いいの!じゃああの途中で終わってた曲!」

 

 よりによってそれか…、けれど。

 

「わかった。」

 

 最後かもしれないから…。

 

「……。」

 

 ピアノに触れる度に亡くなったお父さんを思い出す。一緒に過ごしたのはたったの数年だけ。でも、思い出すのは必ず笑顔だった。怒ったり悲しんだらせずにいつも周りに心を砕いていた。

 

「…ねえ、お父さん。」

 

 私にも大切な人ができたよ。お母さんにも同じ事を思ってたのかな。

 

「……ねえ、お父さん。」

 

 どうしてお母さんを、お兄ちゃんを、私を置き去りにして誰の言葉も届かないところに行ってしまったの。

 

「………ねえ、お父さん。」

 

 私、もう大事な人を失いたく無いよ。

 

「………。」

 

 スマホを握ってメールを芦花と真実と、お兄ちゃんへ送る。

 

『ごめん、全然大丈夫じゃなかった。少しいいかな。』




 ほぼ小説と同じですねこれ。色々変えてはいますけれども。
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