怪狩り
源翁和尚の子孫は今、長崎に住んでいる。彼の名は混沌准八、街に出る汎ゆる妖怪を法力と武器を使って倒し地方に奉仕している。准八は僧らしからぬ男であった。毎日酒を飲み言葉遣いも褒められたものではない。しかし、実力は本物だった。彼は出会った妖怪全てを倒すのであった。
准八「ったく...巫山戯やがって、まともに寝れねぇんだよこっちは!!」
准八は今日も目の前に現れた小さな妖狐を法力を込めた鎚で殴り付け対峙する。自身よりも小さい相手は鎚で殴り、自身よりも大きい相手は刀で切り裂くと言う戦い方をしている様だ。また倒した妖怪はお経で供養する。
ある日、准八はいつもの様にお酒を飲みながら町を歩き妖怪を探していた。と、その時、塀の向こう側から巨大な鬼が顔を出した。鬼自体は普段から相手にしている為、余り驚く事は無かった。しかし、准八はこの鬼にある違和感を感じた。
准八「何だこいつは?鬼じゃねぇみたいだ。」
この鬼は気配が鬼ではなかった。どちらかと言えば狐や狸の雰囲気を感じる様な相手であった。しかし准八のやることはいつもと変わらない。刀を抜き高く跳び斬り掛かる。刃が鬼に触れそうになった次の瞬間、鬼が消えたのである。
准八「幻覚か、脅かしやがって...」
幻覚を使う相手は何度も出会って来た。今更驚く必要は無い、そう思って准八は辺りを見回し誰が見ているのか調べようとした。と、その瞬間、何か恐ろしい気配を背中に感じる。それは今まで感じた事の無い様な恐ろしい気配であり妖狐を前にした時の物に似ていた。准八はまさかと思った。ここまで強力な妖狐となれば恐らく過去に倒された九尾の狐位しか思い付かない。准八は恐る恐る後を見てみる。案の定そこには尾が九本存在する獅子よりも大きな狐が居た。
准八「●んだんじゃ、、、なかったのか?」
九尾の狐は確かに過去に●んだ。しかし、妖力は消えなかった。そして別の妖狐がその妖力を吸収し地獄に堕ちた筈の魂を呼び戻したのである。そしてかつての九尾の狐が復活したのである。准八は刀を相手に向け突き刺そうとするも九尾の狐は大きさの割には素早く、また空も飛べる為簡単に攻撃を避けてしまうのである。准八は法力を使い刀と鎚を操り狐に当てようとする。しかし、狐は妖術でそれを防ぎ逆に刀を投げ付け准八を突き刺そうとする。准八は近くに有った扉で刀を防ぎ取り戻す。そして法力で鎚を呼び寄せ鎚も取り戻す。ただ相手は非常に強力で簡単には勝てない事を考えると術で姿を消し狐の目の前から離れる。准八は一旦退散し作戦を立てる事にしたのだった。
翌朝、寺に戻ると准八は汎ゆる資料を読み漁り九尾の狐に関する資料を集めた。そして調べているとどうやら上総介と三浦介が放った矢と長刀によって倒された事が判明した。実は矢も長刀もこの寺に存在する。そしてそれはかつて九尾の狐に使った物ではないもののかなり強い物である。
准八「武器は何とかなりそうだな。後はどう誘き寄せるかか。」
准八はどの様にして九尾の狐を誘き寄せるか考えた。そして准八はある事を思い出した。それは神の使いの狐は大豆を使って作ったお稲荷さんが好きだと言うことだ。そして野生の狐は鳥や鼠等の小動物が好物だ。
准八「悪い妖怪以外の殺生は許されないからな、、、お稲荷さんだけで行くか。」
流石にいくら九尾の狐と雖も狐一匹に対して罪のない鳥や鼠を●すのは良くないと思ったのだろう。可能性は減るが仕方のない事だ。背に腹は代えられない。
夜になると准八はいつものように町へ出掛ける。お酒はいつも通り持って行ったが今回はお稲荷さんも一緒に持って行った。そしてある程度開けた場所に来ると地面に二本の木の棒を刺しそこに火を付ける。そして木の棒の間に木の皿を置きお稲荷さんを上に乗せる。それだけではない。皿の隣に酒を置き匂いでも誘き寄せる事にした。
九尾の狐「美味しそうな匂いじゃないか。私の食欲を唆る。」
しばらくすると狙いである九尾の狐が現れる。准八は近くに隠していた弓矢を手に取り遠くから九尾の狐を狙う。九尾の狐はお稲荷さんを食べ尽くしお酒ものみ尽くした。
准八「掛かったな、これでケリを付けてやる。」
准八は弓矢を構え矢を引く。そして方法を込め一気に放つ。矢は一直線に飛んで行き九尾の狐の額を貫く。九尾の狐は耳を劈くような金切り声を上げる。
准八「何て音だ...流石は大妖怪だな。」
そして金切り声が止んだかと思えば今度は毒気を感じる。どうやら九尾の狐は大きな石に変化した様である。そう、殺生石である。しかし、准八は迷わなかった。鎚を取り出すと法力を大量に込め、一気に振り下ろす。そして殺生石を粉砕してしまうのであった。そして更にお経を唱え魂を供養する。こうして混沌准八は蘇った九尾の狐を倒すのであった。そしてこの出来事をきっかけに准八は言葉を改め、酒を辞める様になった。そして僧として修行に励むのであった。
資料を読み、知識や知恵を使い九尾の狐を倒した混沌准八。彼は今後何処かでまた大きな相手と戦う事になるだろう。そして実は山にとある種族が存在した。天狗である。次の物語は金色の羽毛を持つ烏天狗の兄妹の物語である。